動物たちの復讐?

■ショートシナリオ


担当:雪端為成

対応レベル:2〜6lv

難易度:普通

成功報酬:1 G 69 C

参加人数:4人

サポート参加人数:7人

冒険期間:11月12日〜11月17日

リプレイ公開日:2005年11月23日

●オープニング

 最近キャメロットで妙な事件があったそうな。
 とある肉屋の話。
「いやぁ、驚いたね。目が覚めて在庫を確認しようと思ったら、なんと肉が全部ないじゃないか!」
 ―――盗まれたんですか?
「うーん、どっちかというと盗んだというよりは、目的があって奪ったって感じじゃないかなぁ?」
 ―――というのは、なにか根拠があって?
「ああ、なんだかよくわからないけどこんなもんが倉庫のど真ん中においてあったからな」
 ―――拝見させてもらってよろしいですか?

『我らはここに宣言する! 人の身勝手に振り回されている我らの友人たちの復讐を遂げると!』
『我らはここに宣言する! 食べられるために育てられるという理不尽は決して許されないと!』
『我らはここに宣言する! 虐げられるのは終り、もう人に隷属していた時代は終わるのだと!』

 ―――なんですかこれ?
「さあ? 前に噂に聞いたことがあるけど、動物を可愛がる余り牛とか豚とかの保護をしてる奴らじゃないか?」

 いきなり黒幕はばれているが、とりあえずそういうことである。
 そして場面転じて、キャメロット某所。
「なにぃ、牧場で牛を逃がす作戦は失敗しただと?」
「はい‥‥その、柵を壊すまでは成功したのですが、牛たちが柵から出ようとしなかったのもので‥‥」
「‥‥ふん、役立たずめ。お前には罰を与えねばならんな」
「そ、そんなっ! どうかお慈悲を!! あ、あんな可愛い羊の毛を刈るなんて出来ませんっ!!」
「ふん、我らの崇高な使命を果たすためにも資金は必要なのさ‥‥連れて行け」
「い、いやだぁぁぁぁ‥‥」
「さて、次の報告を聞こうか」
「はい、実は冒険者に対して依頼が出されたとかいう話が‥‥」
「なるほど。そんなこともあろうかと我らが思想に賛同する猛者を集めておいたのだ」
「おお、なんと! 流石のご慧眼恐れ入りました‥‥」
「ふっふっふ‥‥ふはぁーはっはっは!」
 と、怪しげなやり取りが繰り返されるのであった。

 ということで、依頼内容はこうだ。
 牛とか豚とか羊とか鳥とかを盗む不届きな集団がいる。
 ちょっと懲らしめてやってくれないか?

 さて、どうする?

●今回の参加者

 ea0007 クレハ・ミズハ(36歳・♂・神聖騎士・人間・イギリス王国)
 eb2322 武楼軒 玖羅牟(36歳・♀・武道家・ジャイアント・華仙教大国)
 eb3389 シータ・ラーダシュトラ(28歳・♀・ファイター・人間・インドゥーラ国)
 eb3653 ケミカ・アクティオ(35歳・♀・ウィザード・シフール・イギリス王国)

●サポート参加者

龍星 美星(ea0604)/ ベアトリス・マッドロック(ea3041)/ アンジェリカ・シュエット(ea3668)/ アイル・ベルハルン(ea9012)/ エスリン・マッカレル(ea9669)/ ぱふりあ しゃりーあ(eb1992)/ フェリシア・フェルモイ(eb3234

●リプレイ本文

●情報収集は静かに
「こういう奴らは自分たちが正しいと信じて疑わないのだろうな。言うだけ無駄だな」
 やれやれと肩をすくめて、呆れているのはクレハ・ミズハ(ea0007)。
 ぱふりあしゃりーあに手伝ってもらいながらの情報収集の途中である。
「見つけ出したら問答無用、実力行使だな。さてと、ぱふりあから聞いた話では‥‥」
 場所は冒険者ギルドの一角。なにやら関係ありそうな噂を知っているという冒険者に話を聞くようだ。
「最近、妙な噂を聞いたとか‥‥」
「ん? ああ、かなり妙な話なんだがな、腐った匂いがする貴族の屋敷があるんだとさ」
「‥‥‥ああ、なるほど。それで、なにか他には情報は知らないか?」
「流石に人が住んでいる屋敷でアンデッドはいないだろうが、周りに住民から苦情がでてるとかで‥‥」
「いや、もういい。多分すぐに片付くと思う」
 そう言ってクレハは話を打ち切った。どうやら求めていた情報にあっさりと辿りついたことを悟ったようだ。
「さて、他はどうしてるかな‥‥」

「アイルさんはボクの故郷に行きたいの? いい処だよ〜。その時は案内するね」
 サポートに駆けつけたアイル・ベルハルンにそういっているのはシータ・ラーダシュトラ(eb3389)だ。
 情報収集のためにベアトリス・マッドロック、エスリン・マッカレルの助けも借りての情報探しである。
「肉を大切にする気持ちは分かるけど、動物は食べるために育ててるんだし、肉を食べなくちゃ力が出ないもんね?」
 なんでそんなことするんだろう? とばかりに首を傾げて街を元気良く闊歩するシータ。
 とりあえず、今まで被害にあった商店などをまわっているのだが、いくつか分かったことがあるようだ。
「夜中に怪しい集団がうろうろしてたから、声をかけたら逃げた?」
「ああ、裏路地のあたりでごそごそしてる集団がいたからな。誰だ! って呼びかけたら、一目散に逃げてったぞ」
「んー‥‥なんだか、素人さんって感じですね〜。やっぱり夜の見回りをしたほうがいいかもしれませんね」
 そういって、踵を返そうとするシータ。すると聞き込みをしていた肉屋の店員が声をかけてきた。
「あ、そういえば‥‥昨日妙な落書きをされた店があるって聞いたぞ? 場所教えるからそこに行ってみるといいかもな」
 それを聞いたくるりと振り向いて、シータはにこっと笑顔を浮かべてお礼を述べて、
「ありがとうございます! 行って見るね♪ よーし、肉泥棒退治だ〜!」
 そして他の冒険者たちへと情報を伝えに行ったのだった。

●怪しい奴発見?
「猫を飼う身として動物は勿論可愛いが、生き物達が差し出してくれた命を無駄にする輩なら容赦の必要は無かろう」
「このわたしが来たからには、盗賊一味は全員凍り漬けよ! なんだかんだ言ってもやってることはただの盗賊よね♪」
 拳をばきばきっと鳴らして静かに言ったのは武楼軒玖羅牟(eb2322)。
 ぱたぱたと羽ばたきながら、妙に怖いことを言っているのはケミカ・アクティオ(eb3653)だ。
 時は夜。場所はとある肉屋の裏路地の影。冒険者4人はシータから聞いた場所に集まっていた。
「ここのお肉屋さんが、つい昨日妙な落書きをされたって‥‥ほら、あれ」
 シータがぴっと指差したのは、裏口の壁。でかでかと『復讐の鉄槌は下されるであろう!』と書いてある。
「ここまで馬鹿正直だと、ある意味清々しいな‥‥」
 とことん呆れ顔でクレハ。4人は襲撃してくるであろう一味を待ち伏せしているのだった。
 そして数十分後、遠くを見渡して警戒していたケミカが警告の声を発した。
「‥‥どうやら来たみたいよ‥‥」
 ひたひたと夜道を急いでいるのは、荷車を押している一団。先頭にはローブの男がいる。
 戦闘の男が、懐からスクロールをだして、それを開こうとした瞬間、暗がりから冒険者たちが飛び出した。
「高速詠唱で拘束詠唱〜、なんちゃって♪」
 なんて冗談を飛ばしながら、ケミカが高速詠唱でのアイスコフィン。魔法は見事ローブの男を捕らえて男は氷漬けである。
 突然飛び出してきた冒険者たちに泡を食っている一味の者と思しき男達。続いてそこへ冒険者たちがとびかかった。
「何事も度が過ぎると迷惑だということだな」
 荷車を引いていた男を、ロングスピアの石突で突いて地に這わすクレハ。
「じたばたしないで、観念してね。悪いことしたんだからね」
 剣をすらりと抜くと、棒立ちの男に剣をぴしっと突きつけるシータ。男は一歩も動けずただ震えているだけだった。
「さて、黒幕の居場所をはいてもらおうか‥‥」
 あっという間に逃げようとしていた男に拳を見舞って打ち倒し、引きずり起こしながら尋ねかける玖羅牟。
 あっさりと一味の者がとある下級貴族の館を白状したのはいうまでもなかった。
「さて、最後の仕上げだな‥‥」
 ぽんぽんと拳を打ち合わせながら玖羅牟が言う。
 とりあえず縛り上げた一味の下っ端どもに案内をさせて、一同は急いで貴族の館へと向かったのだった。

●戦慄のお仕置きタイム!?
「おお、遅かったではないか‥‥む、誰だ、お前たちは!」
 下っ端の1人に鍵を開けさせ貴族の館へと踏み込んだ冒険者たち。場所はもちろんクレハが調べた結果行き当たった貴族の屋敷だった。
「くぅ、我輩の崇高な計画を邪魔しようというのだな‥‥こいつらを生きて帰すな〜!!」
 まるまると太った貴族の男は、そう声を上げる。すると数名の手下と思しき男たちが姿を現すのだが‥‥
「なんだか少ないわね。まあ、あなたたちがやってることはただの盗賊なのよ、冷たい氷で反省しなさい〜!!」
 問答無用でアイスコフィンが発動。あっさりと手下の1人が凍りつき、あとは右往左往する手下と貴族をあっさりと冒険者たちがぶちのめしたのだった。

「‥‥それで、盗んだ肉はどうしたんだ?」
「‥‥一部は墓をつくって埋めたんだが、場所が足りなくてほとんどはまだ保存室に入れてある‥‥」
 ぎゃーぎゃーと騒ぐ貴族には猿轡をかませて、とりあえず手下の中で一番偉そうなのをクレハが尋問中である。
 とりあえず、盗まれた肉類の一部は元に戻すことが出来そうだ。これにて無事依頼完了‥‥と思いきや。
「‥‥ミズハ殿、少々時間をくれないか」
 玖羅牟は他の冒険者にひそひそと秘密の相談。それを聞いた一同はいい考えだと同意して行動に移ったのだった。
 こうして、お仕置が始まった。

「‥‥食せ」
 どーんと貴族の目の前に石ころを突きつける玖羅牟。
 何を馬鹿なことを、とばかりに目を見開いている貴族とその手下たちに、玖羅牟は告げる。
「命を奪って生きるのが許せぬのだろう? それならば動物も植物も同じ生き物。許せぬならば‥‥これを食し生きてみろ」
 とそのとき、貴族の屋敷の厨房からなにやらいい匂いが。
「できたよー♪」
 シータの声が響き料理の皿を運んでくるクレハ。料理を作ったのはどうやらシータのようだ。
 皿の上にはこれでもかと肉料理が並んでいた。そして、一味を目の前にしてなぜか宴会が始まった。
「これは、ボクの故郷の料理でね〜」
 シータが見慣れない料理を冒険者たちに勧めたり。
「美味しいものを食べれないというのは不幸だな」
 クレハに見下されてみたり。
「あちっ! ‥‥でも、これ美味しいわね♪」
 猫舌のケミカが火傷しつつ美味しそうに食べてるのを見せ付けられたり。
「売り物にならないものはこうして食べても文句はないだろうな」
 玖羅牟のアイディアで、目の前でさもおいしそうに肉料理の数々を見せ付けられる一味であった。

 ‥‥ごくりと下っ端がつばを飲む。

 後に組織は賛同者を一切失い、完璧に瓦解したという話であった。
 風の噂では手下たちがほとんど全て離散したそうである。