弱肉強食の掟
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■ショートシナリオ
担当:雪端為成
対応レベル:4〜8lv
難易度:難しい
成功報酬:2 G 88 C
参加人数:5人
サポート参加人数:-人
冒険期間:06月20日〜06月25日
リプレイ公開日:2006年07月01日
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●オープニング
森を闊歩する黒い影。
全身を覆う強固な鎧と強力な牙、そして仲間たちとの連携。
彼らは、自分たちを脅かすような存在なぞありえないと思っていた。
周りのものは全て自分たちの獲物。我らこそ最強である、と‥‥。
しかしそれは幻想だったことをある日、彼らは知るのである。
彼らの前に立ちはだかったのは、戦うために生まれてきたような存在。
強力な顎に両手の刃、すばやい動きと空を舞うための強靭な翅。
彼らは捕食者から、捕食される側になったことを知ったのだった。
「これは‥‥どういうことだ?」
ギルドに持ち込まれたとある依頼を見ていた受付の一人が首をかしげる。
その依頼というのは、村の近くに発生したラージアントの一群を退治してくださいというモノ。
しかし、受付の青年が首をひねったのは依頼主の村から寄せられた情報に混じっていた一文。
「どうしたんだ?」
「いや、依頼書のここを見てくれよ」
「なになに? ‥‥『家畜などに対する被害が出ていたのだが、先日一体の食い殺されたラージアントの死骸を発見したので、退治してもらうことに決定‥‥』」
「な? おかしいだろ?」
「‥‥‥あ、そうか。死骸あったってことは、“ラージアントが捕食された”ってことだな」
「そういうこと。つまり村の近くにはラージアントを捕食するようなほかのモンスターがいるってことだよ」
「なるほど‥‥こりゃ、結構難しい依頼になりそうだな」
こうして、依頼は次の一文を加えて張り出されたのだった。
『注意! より強力なモンスターが存在している可能性あり』
さて、どうする?
●リプレイ本文
●自己紹介
依頼を受けた中堅冒険者たち。彼らはそれぞれ徒歩や馬の背に揺られ依頼の場所までの道を行く。
日差しも強くなってきたこのイギリスの土地、お互いに見知った顔もあるものかその道中は和やかであった。
人が集まれば、それぞれお互いがいかなる人間か気になるもの。
特に今回はなかなか個性的な面々が集まっているとなれば、やはり最初は自己紹介から入るもののようである。
「わしはカメノフ、エルフのウィザードじゃ。よろしくのう、お嬢さん方」
妙に夏らしい格好の老エルフ、カメノフ・セーニン(eb3349)はにかっと笑みを浮かべて自己紹介。
その視線の先は、上品そうな黒髪の女性と緑の髪のシフールの『少女』であった。
カメノフの言葉の意味に気付いたのか、シフールの『少女』が反論しようと思ったその刹那、もう1人のシフールが口を挟む。
「ああ、こちらこそよろしくお願いします。私はフェザー・フォーリングと申しまして、こちらが妹のゲフッ!」
「俺は弟だっ!! 何度言えば分かる、この馬鹿兄貴っ!!」
空中で華麗なローリングソバットを兄の後頭部にかますシフールの『少女』‥‥否、彼はれっきとした男だ。
そして外見少女のシフール、レイニー・フォーリング(ea6902)は頭を抱えてのた打ち回る兄のフェザー・フォーリング(ea6900)をよそに、カメノフの方を向いて釘を刺すようにあわてて自己紹介。
「あ、俺はレイニーだよろしくな! くれぐれも言うが俺は男だからなっ」
「男じゃったとは‥‥む、ごほん! いやいや、わしの目はごまかせんて。男だったなぞ最初っから見抜いておったわい!」
と、目を白黒させてカメノフは言う。そしてこの血気盛んな爺ちゃんは唯一の女性に目を向ける。
こちらはどこからどうみても一分の疑いもなく女性である。そして彼女は粛々と頭を下げると自己紹介。
「私はララーミー・ビントゥ(eb4510)、僧侶よ。よろしくね」
と、そこに近づくのはやはりカメノフ。わきわき手を動かしながらなぜかサイコキネシスの準備なんぞをしている。
「うひょひょ、老い先短い者の楽しみじゃよ〜」
「あら、おじいちゃん。おいたが過ぎるとメタボリズムよ?」
「‥‥むぅ、それはこまるのう」
なぞとどたばたやっていると、最後の1人が苦笑しながら自己紹介をする。
「ほっほっほ、今から体力を使ってどうするの。わしは小丹(eb2235)というものじゃ、よろしくのう」
馬二頭に荷物を満載した妙に老け顔のパラはそういうとぺこりと頭を下げるのだった。
こうして、老成したパラとスケベ爺な老エルフ、でこぼこシフール兄弟に謎多き尼さんという不思議な組み合わせのパーティは、依頼の目的を果たすために進むのであった。
●森にて
「うーん、これは‥‥牙の痕なのでしょうか‥‥」
村の郊外に放置されたラージアントの死骸、それはほとんど損傷しており、あまり手がかりが得られなかったのだが、モンスター知識にこの場でもっとも長けていたフェザーだけは何かに気付いたようである。
「牙? 牙っつーと狼とか肉食獣に襲われたってことか?」
弟のレイニーが問うと、フェザーは首を傾げつつ答える。
「それにしては形が‥‥もしかすると同種の昆虫などの仕業ってこともあるかもしれないですね」
「ラージアントを捕食するようなものが相手とはのう。ふぅ、大変じゃな〜‥‥」
お気に入りの髭をしごきながら小丹が言うと、他の面々の表情が曇る。
なかなかに難しい依頼の予感に、5人の冒険者は身を引き締めるのだった。
そして昼下がり、彼らは森の中を集団で行動し、ラージアントたちの痕跡を探していた。
身長1.5メートルもある巨大なアリだけに、なぎ倒された草などからその移動跡を追っているようである。
「ふむふむ、ここらをしょっちゅう通っとるような気がするのじゃがなぁ。お前さんはどう思う?」
「うーん、アリとかは同じ通り道を使うっていうから、ラージアントもそうなのかもなぁ?」
カメノフとレイニーが森林では道案内を担当。二人で周囲の環境に目を光らせつつ、ラージアントを探すのであった。
しかし、広い森の中で探すのはなかなかの難事、さらには最近の気候のせいかかなりの体力を使うようである。
なので、もちろん体力的にきつい老人たちからへたばるのであった。
「ちょ、ちょいと休まんかねぇ?」
「うむ、わしも少し休んだ方が良いと思うのじゃが」
カメノフが曲げた腰をぽくぽくたたきながらそう提案すると小丹も同意。
こうして一同は森の中でしばらくの休憩を取ることにした。
「それにしてもレイニー坊ちゃん、何ゆえにおなごの格好をしているのじゃ?」
「こ、これは兄貴が勝手に着せてくるんだよ! 好きで着てるんじゃねぇ!」
「はっはっは、そこまで似合うと兄も嬉しいぞ!」
「うるせーー!!」
「のう、おまえさん。疲れてる老人に膝枕なぞしてくれんかのう?」
「私は既婚者ですし、謹んでお断りさせていただきますよ」
「なんじゃつれないのう」
そんなこんなで数十分。しかし、それなりの場数を踏んできた冒険者たちはなにか忍び寄ってくる気配に気付くのであった。
ライトニングトラップの準備をするフェザー。武器をとりだし構える小丹。
がさがさと大きな存在が草木を掻き分けて迫ってくる音が近づいてくる。
それぞれが息を殺して待っていると、ついにそいつは冒険者たちの前に姿を現した!
体長1.5メートル。人とほぼ同じサイズで、怪力や強靭な顎、そして硬い外皮を供えたそいつらはまさに驚異的であった。
いよいよ戦闘開始!
●弱肉強食
樹木の間から姿を現したラージアントの姿は3匹。しかしその姿を見てララーミーが声を上げた。
「‥‥怪我をしている?」
確かに見れば、その二匹のラージアントはところどころに損傷を負っていた。
そして先頭の一匹がフェザーの仕掛けたライトニングトラップに足を踏み入れると、雷光が迸りラージアントはのた打ち回る。
「いまだ、レイニー!!」
兄の合図で、レイニーもライトニングサンダーボルトの一撃。
ちょうど並んでいたアリを2匹巻き込んで電光の一撃が炸裂する。
「ほれ、こっちじゃこっちじゃ!」
カメノフが木の枝や石をサイコキネシスで投げて、ラージアントの注意を引き、レイニーと連携して誘導。
フェザーが張るライトニングトラップにはめるという攻撃が気持ち良いほどに決まり、ほどなく三匹のラージアントは動かなくなるのだった。
そこで、レイニーがブレスセンサーを発動。他にもラージアントが隠れていないかを探そうと思ったのだが‥‥
「すぐ近くに反応?! ‥‥木の上だっ!!」
レイニーが指をさした先、その木には上下逆さまに張り付いたジャイアントマンティスの姿があった!
ジャイアントマンティス。昆虫系のモンスターではかなり強敵であり、その体長はなんと3メートルにも及ぶとか。
その巨大な森の狩人が、狙うのはなんとカメノフ! 両手の凶悪な鎌は容易くとカメノフを切り裂くかと思えたのだが‥‥
「ホーリーフィールド!!」
幸運にもカメノフの近くに居たのはララーミー。しかも高速詠唱で放ったホーリーフィールドは失敗せずに発動。
一瞬で生まれた透明な壁が、巨大蟷螂の鎌を一度だけ受け止める。
しかし、蟷螂の一撃は鋭くその一回でホーリーフィールドは粉々に砕け散るのだが、
「ここはわしに任せるのじゃ!」
飛び込んできた影は小丹。黒い兜に黒いローブをなびかせるその姿が目を引いたのか、蟷螂は目標を小丹に変える。
飛び掛るようにして襲い掛かってきた蟷螂はまずその凶悪な顎での一撃!
しかしそれを小丹は十手でがっしと受け止める。小丹は返す刃でその体に一撃を叩き込む!
その魔法の刃はざくりとその硬い外皮に突き刺さるのだが‥‥あと一歩のところで決定打にならない!
そしてマンティスの反撃! 小丹はなんとか再度十手で防ぐも、速度に優れた鎌の一撃になすすべもなく吹き飛ばされる!
さらに追撃が加えられようとしたそのとき、大きな石がマンティスを直撃して思わず相手もよろめく。
カメノフのサイコキネシスによる投石、さらに足元で炸裂するフェザーのライトニングトラップ!
その隙に傷を負った小丹にはララーミーのメタボリズムが唱えられ、
「これで終わりだっ! ライトニングサンダーボルト!!」
レイニーの最大の力で放った強力な雷の一撃がジャイアントマンティスをとらえると、ついに巨大蟷螂は動かなくなるのであった。
●危機一髪?
「やれやれ、とんだ強敵じゃったのう」
「ああ、まったくじゃ。しかし、評判よりは随分と簡単に片付いたんじゃないかの?」
カメノフと小丹がそんなことを言っているとフェザーが苦笑をしつつ言葉を投げかける。
「‥‥どうやらこのジャイアントマンティスは、我々と戦う前にラージアントと一戦していたようですね」
「なるほど、だからラージアントたちも怪我してたんだな」
とレイニー。そこでふと気付いたかのように顔をあげる。するとララーミーも同じことに気付いたのかフェザーに問う。
「ということは、怪我をしていたジャイアントマンティスでこの強さなら‥‥無傷の個体と遭遇していたら、我々も危なかったかもしれませんね」
「ふむ、今回は人数も少ないし、3匹のラージアントはやっつけているのだから、追撃は他の者に任せた方がいいかもしれんのう」
小丹の意見に異を唱えるものはいなかった。
流石にこの少人数では、ラージアントの殲滅を完遂することは不可能。さらに、無傷のジャイアントマンティスが登場したのなら、命の危険すらある。
追撃はまた別のグループに任せることにして、何とか彼らは無事に依頼を終えることが出来たのである。
完全成功は無理だったが、最大限の成果を挙げ、彼らはキャメロットに帰還するだった。