The monster which scatters a stone
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■ショートシナリオ
担当:しんや
対応レベル:1〜4lv
難易度:難しい
成功報酬:1 G 44 C
参加人数:8人
サポート参加人数:-人
冒険期間:09月12日〜09月19日
リプレイ公開日:2004年09月17日
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●オープニング
好奇心というのは、人を動かすのに充分な動機だ。今までに発見・解明されてきた数多くの遺跡も、其れによる功績が多い。だが、好奇心で自らを窮地に追いやることも多いのも事実。
偶然にも遺跡を発見した貴族も其の一人となるとは、当時の彼は予想しなかっただろう。
彼は学者と戦士を雇い、遺跡へと足を踏み入れる。傍から見れば無謀な行動だが、好奇心に支配された彼の心を制御する者は、誰一人いなかった。
そして数時間後、一人の学者が狼狽しながら遺跡を脱出し、夫人と共にギルドへと赴いた。
学者の口からは遺跡の他に『コカトリス』という単語が飛び出した。
唯一の生存者である学者の証言に因れば、遺跡にはコカトリスが棲息していたらしく、貴族を含む四人の戦士と学者は、石とされてしまった。
「今回の依頼の目的は、二つある」
ギルド員は人差し指と中指をぴんと伸ばして、冒険者の前に出した。そして、続けて言う。
「第一に、遺跡に棲息しているコカトリスの排除。最優先事項だ。第二に、生存者の救出。学者先生に因ると、皆石化されたらしい。石化を解除するには奴等の血液を振りかければ癒すことが出来るから、完全に燃やすなんてするなよ」
一気に言って、漸く依頼書を出した。だが、彼は思い出したように再び口を開く。
「そしてもう一つ。遺跡に眠ってるお宝は持ってくるなよ、判ったな」
ギルド員の言葉を聞いた冒険者は、「よく動く口だな」などと思いながら、依頼書に目を向けた。
●リプレイ本文
●まずは事前調査
──学者さんに聞き込み
冒険者一行は、遺跡に出発する前に、脱出した学者さんの元を訪れていた。
「今回の遺跡について判って居ることはありませんですか? それに、コカトリスの生態についても、出来れば教えて戴きたいのですが」
そう問い掛けるラテリカ・ラートベル(ea1641)に対して、学者はしばらく頭を捻る。
「遺跡自体は、まだ調査が始まったばかりなのでなんとも言えないですね。コカトリスについても、専門の学者が居たわけではないので‥‥」
残念なことに、収穫ナシ。
「怖いこと思い出させて、ごめんなさいでした。話して下さったこと、無駄にしないように、
頑張って来るですね」
ペコリと頭を下げると、ラテリカは学者に謝る。
「襲われたときは、どんな感じだった?」
ウリエル・セグンド(ea1662)の質問に、学者は脅えた様子で口を開いた。
「石造りの回廊を進んでいる時でした。丁度私達が十字路にさしかかったとき、左手の回廊から突然羽ばたく音が聞こえて‥‥2匹の奇妙な鳥が襲いかかってきたのです。仲間の一人がまず犠牲になって‥‥気が付いたときは、私はただ走って‥‥何処をどう戻ってきたのか覚えていないのです」
体中が震えている。
「それ以上は無理しないでください」
学者の様子から、ミリランシェル・ガブリエル(ea1782)が優しく声を掛ける。
「私達が必ず仲間を助けます。それまで、ここで待っていてください。此処には貴方を襲う獰猛な魔獣は存在しません」
にっこりと微笑みながら、ミリランシェルはそう話し掛けた。
●遺跡にて
──遺跡外
学者から話を聞いてきたものの、重要な部分は何一つ得ることは出来なかった。
ただ、複雑に入り組んだ回廊とその途中の幾つかの部屋、そして遺跡の入り口の巨大な石扉の開き方などを聞くことはできたようである。
隊列を整え、ランタンなどの灯の確保。
各自が武具の調整を終えると、さっそく閉じられた石扉の開封作業に入る。
──ギィィィィッ
重い石扉が静かに開かれる。
湿った空気に苔むした香りが漂う。
石造りの回廊には、あちこちに光苔が生えており、足元はあちこちが濡れている。
ちなみに隊列はこのとおり。
〜隊列図
・ランタンはウリエルが担当
・上が前方となります。
今回の遺跡内部は回廊が広いため前衛4、後衛4のシフトとなります。
ウリエル、マリウス、ミリー、響
アリス、ラテリカ、メヌーマ、アーツ
〜ここまで
「コカトリスの生態は、謎な部分が多い。その外見だけでもかなり不気味なものだ‥‥」
コトセット・メヌーマ(ea4473)が一行にコカトリスについてのレクチャーを始める。
頭は牡鶏、胴体は鱗で被われて蛇のような長い尾が伸びている。コウモリのような皮張りの翼を持ち、そして最も恐ろしいのは石化能力。
「話によります、石化したものはコカトリスの血を掛けると治るといいますが、それは本当ですか?」
マリウス・ゲイル(ea1553)が周囲の警戒をしながらコトセットに問う。
「確かに。ただ、一匹のコカトリスの体から絞りとれる血の量はそれ程多くは無い。石化しているらしい4名の石化を解除したら、残りは殆どないかもしれない‥‥」
コトセットの言葉の意味を考えると、ずばり『だから、お前たちは石化するな』という所であろう。
──しばし回廊を彷徨う
「こっちからこう来て‥‥うん‥‥大丈夫だ‥‥ちゃんと繋がってる。マップでは、この先の十字路が襲撃地点だね」
今回のマッパーはアルフレッド・アーツ(ea2100)。
地図に記されている注意書をあらかじめ確認し、トラップなどの起動装置を確認しては、チョークで印を付けていく。
最短コースを辿る為に、前衛に常に指示を飛ばしていたのもアルフレッドである。
「‥‥爪が石を引っかく音‥‥低く唸るような鳴き声‥‥前方から‥‥」
アリス・コルレオーネ(ea4792)がその良く聞こえる耳でコカトリスらしき物音をキャッチ。
同時にコトセットがフレイムエリベイションの詠唱を開始する。
素早く印を組むと、その口から複雑な韻が紡がれていく。
響清十郎(ea4169)は腰から日本刀を引き抜くと、静かに全身の気を高めていく。
「剣は防ぐ為にあるのではない‥‥攻める為にある‥‥」
清十郎はそう呟くと、左腕を直角に曲げて胸の前で構える。右手は柄の上に置く。
垂直になった剣は、まるで空気さえも切り裂くような鋭敏さを周囲に放つ。
薩摩示現流・蜻蛉の構え‥‥。
そこから一歩踏込み、震脚。そのまま右手で剣を押し出すように刃を振り込む。
刃から放たれるソニックブーム。
それは前方から走ってくるコカトリスに向かって必殺の一撃を叩き込んだ。
──ブゥゥゥン
その一撃を受けて、コカトリスは一歩下がる。
だが、すぐにもう一匹のコカトリスが横から飛び出してくると、前衛のミリランシェルに襲いかかった!!
──キィン、キィン
素早い嘴の2撃をミリランシェルはダガーで受け流す。
3撃目はうまく躱わし、体勢を整える。
「思ったよりも素早い動きですね。でも、見えない速度ではありませんわ」
そう呟くと、ミリーはホイップを右手に構えなおす。
「御願い、眠って!!」
ラテリカのスリープ発動。
だが、コカトリスはラテリカの魔力に耐えぬいた。
一歩下がっていたコカトリスも間合を詰寄ってくると、素早くマリウスに攻撃を仕掛けていく。
──キィン
左腕のオーラシールドでその攻撃を受け流そうとしたが、コカトリスの嘴の速度が優った。
──ビシィッ
「しまった‥‥」
マリウスの右足の感覚が消える。
「意思の弱さとはこのことですか‥‥」
つつかれた場所から石化が始まったのである。
さらにもう一匹は依然としてミリーに攻撃。
──キィン、キィン
再び2撃はダガーで受け流し、最後の一撃は体術で躱わそうとする。
──ビシィッ
だが、やはり体術での躱わしはまだ力及ばす。
ダガーで受止めるには態勢が間に合わない。
嘴はミリーの左脚に深々と突き刺さった。
マリウスと同じく、ミリーの左脚も感覚が消える。
「急いで倒さないとっ!!」
ミリーはそのままの態勢でホイップを振る。
──ヒュウン
しなやかな鞭が空気を切り裂く。
先端の速度は音速を越え、コカトリスの首に一撃を叩き込んだ。
そしてそのまま首に絡み付くと、コカトリスの動きを拘束。
──ブッシュュュュュュッ
逆手にダガーを構えると、そのままコカトリスに向かって渾身の一撃を叩き込むミリー。
鮮血が吹き出し、ミリーの全身にかかる。
「アリス急いでっ!!」
咄嗟にそう叫ぶミリー。
「氷の女王よ、契約に従い力を貸せ。時を凍らせ、彼の者に久遠の安らぎを与えたまへ‥‥」
そのタイミングで、アリスも魔法詠唱完了。
「アイス・コフィン」
──パチィィィィン
指をパチンと鳴らすアリス。
その瞬間、鮮血を吹き出していたコカトリスが氷の棺に閉じ込められる。
そしてアリスは、仲間を信じて再び詠唱開始。
残るは一体。
マリウスは態勢を何とか維持し、右手に持った毛布トラップをコカトリスの首に巻き付ける。
そのままコカトリスの首で毛布が石化してくれれば良かったが、首にくるんだ程度では毛布は石化しない。
それでもある程度の拘束にはなったらしく、コカトリスは必死にもがく。
「これで決める!!」
ウリエル・セグンド(ea1662)が手にしたショートソードを腰溜めに構える。
さらにコトセットのフレイムエリベイションが発動、ウリエルの全身に炎による気合いが注がれた。
──ドシュッ
そして一気に踏込むと、そのままコカトリスの首筋に会心の一撃を叩き込んだ。
首筋をショートソードが掠める。
「浅いっ」
そのまま月の体勢で横を掠めていくと、ウリエルは体を大きくねじり、さらに首筋の薄皮の部分に件を叩き込む。
──ヒュウン
押さえつけられているとはいえ、まだコカトリスの動きが止まった訳ではない。
その一撃はぎりぎりの所で躱わされる。
「アリス、あとは頼む」
その言葉と同時に、清十郎が一気に走りこんでコカトリスとの間合を詰める。
──ドシュュュュッ
上段袈裟がけ炸裂。
一気に瀕死まで追込まれるコカトリスに、再度アリスのアイスコフィンが発動。
──パチィィィィン
「これで終了と」
その場には二つの氷の棺。
既に下半身が石化したマリウスが、そこにいる。
「急いで石化を解除して下さい」
そう仲間たちに頼み込むマリウス。
「ふっ、御免。アイスコフィンが溶けるまで、しばらく石化していてくれ」
そう呟くアリス。
アイスコフィンの欠点である『解除方法は自然解凍』が、ここにきて裏目に出る。
「絶対御願いしますよ‥‥」
そう告げると、 マリウスは石化。
そしてコトセットのバーニングソードで、アイスコフィンを溶かすと、コカトリスの体液を絞り出してマリウスの石化を解除。
同じく奥で石化していた学者達の石化も解除すると、一行は急いでこの遺跡から離れていった。
●後日談
今回の依頼でアルフレッドが書込んだ地図は、貴族と学者にそれなりの値段で買い取ってもらった。
残った血を集めて石化解除薬を作ろうとしていたミリランシェルだが、残念なことに血は殆ど残っていなかった。
〜Fin〜