シフール特急便 〜しふ歌会、馴染む〜
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■ショートシナリオ
担当:シーダ
対応レベル:フリーlv
難易度:易しい
成功報酬:0 G 31 C
参加人数:8人
サポート参加人数:-人
冒険期間:06月22日〜06月25日
リプレイ公開日:2006年06月30日
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●オープニング
「108人のシフールを1人ずつ、怖い話をしながら消していくと‥‥」
「消すって?」
「この世から消すってことさ」
「えぇえ〜〜‥‥ ふぅ」
上司の話に唾を飲み込み、黝(あおぐろ)い髪のシフールの少女が聞き入っている。
ずず‥‥とお茶を啜るあたり、緊張感に欠けるが‥‥
「108人のシフールを1人ずつ、怖い話をしながら消していくと‥‥、世界から冗談や噂が消え去ってしまうそうだよ」
「こ、怖すぎる‥‥ ボク、そんな世界では生きていく自信がないよ」
と、再びお茶を啜って一息ついたのが、シフール飛脚便の局員であり、シフール特急便の名で語られる月華という少女だ。
ちなみに、怪談話をしていたのが、彼女の上司で同じくシフール飛脚便の局員。
さて、涼しくなったところで仕事でもするかな、とばかりに自分の机に戻って行く。
「そろそろ、また集めないとなぁ」
月華は自分の机の上の文箱を開け、一通の手紙を開いた。
『しふしふ〜。これは不幸の手紙です。これを貰った者は108首のシフールに関する句か諺を集めなければ不幸に見舞われるでしょう』
これは以前届いた手紙で、内容を信じた月華はしふ歌会と称して会合を開き、以下8首のしふ用句を集めている。
『しふ千里を走る』しふの話す噂は、あっという間に千里先まで届いてしまう。
『しふの世間は、とっても広い』シフールは、会った事のない人でも直ぐに友達になれる。
『しふの一声』しふしふ〜の最初のかけ声で挨拶が済むことから、転じて簡単明瞭でわかりやすいこと。
『しふの噂も75日』情報伝達が早く、移り気で忘れっぽいシフールの噂が75日も残っているなんて、奇跡に近い。
『シフールの噂は7刻半』興味の移ろうシフールにとって新しい噂に流れて旧い噂は長くもたない。
『溺れる者はシフをも掴む』溺れている時にシフール掴んでも意味はない。
『井の中のしふ 誰も知らず』シフールは、かくれんぼが得意で井戸の中に隠れたら見つからない。
『笑う門にはシフ来たる』嬉しいことや楽しいことがあれば、自然と周りにはシフールがいたり、駆けつけてきたりしていること。
「そろそろ休みも取れるし、また冒険者のみんなに手伝ってもらお♪」
月華は、この前のしふ歌会を思い出しながら微笑んで手紙を置いた。
●リプレイ本文
●出発☆
アトゥイ(eb5055)の提案に乗って足を伸ばし、今回の歌会は野点ピクニック仕様。
「そういえば、ピクニックとかは本当に久しぶりですね‥‥」
のんびりした依頼に、アリエス・アリア(ea0210)は羽を伸ばしている。
「梅雨に時期は羽が重いよね〜〜♪」
「しふしふ〜って笑顔になれば忘れるですよ☆」
歩きながら考え中の甲斐さくや(ea2482)の頭の上で休憩中の月華に、ふよよよ〜ん☆とベル・ベル(ea0946)がやって来る。
「梅雨を楽しみましょうです♪」
アリエスに合わせて月華とベルも、お〜♪と腕を突き上げている。
「皆で楽しく行きましょう♪」
アトゥイや火乃瀬紅葉(ea8917)も、お〜♪と腕を突き上げ元気一杯。
「いろいろな美味しいお菓子ぃ〜。すっごく楽しみだよ〜」
美味しいもの大好きな朋月雪兎(ea1959)には当面の悩みがあるが、でも、お菓子は別腹なんだよね‥‥
隣で歩く湯田直躬(eb1807)は、夢見がちに歩く朋月を見て、迷子になったうちの何割かは、こんな風に歩いていたんだろうと困ったように微笑んでいる。
「野点をするのなら天気が心配だね〜。けひゃひゃ」
「多少の雲ならば散らして良くも悪くもならないようにはできるがね」
空を見て笑っているドクターことトマス・ウェスト(ea8714)に、湯田はそう答えた。
●野点?
ウェザーコントロールで雨の心配もないし、絶好のピクニック日和だぁ。
だ・け・ど‥‥
「もう少し静かにしてくれないかね〜‥‥ ジャパ〜ンの風情に浸りたいのだよ〜」
マイ日除け傘、マイ唐物茶釜、マイ素茶碗まで用意して、臨んだドクターはトホホ‥‥
「ん、美味し♪」
朋月は、梅干しの酸っぱさがほのかに香る美味しいお菓子を、こっそりつまみ食いして、ほんわか笑顔〜。
御茶より団子ってことか?
「こちらが気持ちよくなるくらいの食べっぷりにございまするね‥‥」
「『しふの大食い』って言うでしょ?」
「そうですよ〜☆」
月華とベルに、火乃瀬は思わず笑みを浮かべる。
「『シフより団子』とも言うんだよね?
ほら、シフールの人達って体が小さいから、食べる量も少ないでしょ。だから、ちょびっとだけも一度で二度美味しい感じだよね〜」
羨ましそうな朋月に得意げな月華とベル。
「そういえば、あたし、シフールのお友達って一人しかいないんだよね〜」
「何言ってるの♪」
「これでもう、友達なのですよ〜☆ しふしふ〜☆」
月華とベルは空中でクルリと回るとハイタッチ。も一度回って朋月とタッチした。
「あたしのこと、江戸一の丸美人だなんて言っちゃ嫌だからね」
「わかった♪」
「シフールの人たちってみんなスリムだけど、体型維持の秘訣を教えてもらえたら嬉しいなぁ〜」
「知らないなぁ」
刹那、考えて、月華は団子の皿に取り付くのだった。
「ナタネル、ごろごろ」
アリエスに命令されたダッケルは、腹を見せて右へ左へ♪
月華やベルも一緒になってごろごろ、ごろごろ〜。
みんな自由だぁ‥‥
「これがジャパ〜ンの風情なのかね〜」
「『これも』風情というものなのさ」
「成る程、そんなものかね〜。けひゃひゃひゃ」
湯田の一言に、気を取り直したドクターは、素茶碗に御茶を注いで差し出す。
そこへ花びらが舞う。
「しふの文身、似るその姿、紫陽花に」
そこには紫陽花を持ったアリエスの姿が。
「雨に濡れても綺麗に咲き続ける紫陽花と、雨の日も人の手紙の為に頑張っているシフールは何だか似ているということなのです。人の笑顔の為、頑張っていると思うのです」
「ありがと♪」
アリエスと月華の顔が綻んだ。
そのとき‥‥
「んがんぐ‥‥」
「ふみゃ‥‥」
「だ、大丈夫でござるか?」
喉に団子を詰まらせた月華とベル。甲斐は慌てて御茶を探す。
「こっ、これを」
火乃瀬はドクターの立てた御茶を取って、2人が飲みやすいように傾けた。
「「熱〜い」」
月華とベルの二重奏に、またも笑いが起きる。
「素早いシフールが、勢い余って皿まで飲み込んでしまう事があるので、シフールの行動には常に目を光らせておいた方が良い、という意味で使われると聞きましたが、『シフがくらわば皿まで』‥‥ 本当だったのでござりまするね」
喉の痞えがとれた月華たちに火乃瀬は一安心。
●迷子
『シフールに息を吹き込む』と五色の筆で、さらりさらり‥‥
どうなるか分からないことから、本来やってはいけないということ。転じて、物事の価値が分からない状態を指すのだという。
「うむ、あきらかに体が小さいからね〜。どうなるか結構興味はあるがね〜」
「変態さん?」
「『変態』〜? 違うね〜、『変人』だ〜」
真面目に言い返すドクターに笑いが漏れる。
「『掃き溜めにシフ』‥‥
掃き掃除中は考え事や余所見をしてはならない。または、シフールはむやみに庭先で寝転がったりしてはいけない、という意味だ。
あれは昔、まだ幼かった息子に庭掃除を頼んだ時のことだ。息子はボケーっとしたまま庭掃除をしてましてな。終わってから芋でも焼こうと落ち葉の山をよく見れば、シフールの少年が、ぐったりと埋もれておったのですわ。木陰に寝転がってダンゴムシを観察してたところを、息子が気付かずに力いっぱい掃いてしまったようですな」
湯田の話に、盛り上がってると‥‥
アトゥイの姿が見当たらない。
「うむ‥‥ こっちにばかり気を取られ過ぎていたか」
朋月を見て、湯田は頭を撫でた。
「遠出は家に帰るまでが遠出と言うのだよ〜」
ドクターの軽口も、皆の不安を取り除くまでの効果はないようだ。
「何かあったら大変。皆、探そうよ」
「森の中には危険な動物がいるかもしれないでござる。月華、一緒に行くでござる」
「うん。じゃ、何人か1組で探そ」
月華の提案に探索を始めて、すぐ‥‥
「何がございましたの? 色々採って参りましたのよ。お一つ、いかがですか?」
皆の慌てた様子に首を傾げるアトゥイは、事情を聞いて申し訳なさそうに頭を下げた。
無事で良かったと喜び合う月華たちだったが‥‥
アトゥイの後ろの茂みからガサゴソと音がして1頭の小さな獣が‥‥
「あらあら? 着いて来ては駄目だと言いましたのに‥‥ 皆さん、キムンカムイの子ですわ〜。可愛いでしょう♪」
小さいながらも、がっしりとした四肢。茶色い体毛の獣の子をアトゥイは撫でている。
これはその‥‥
あれだぁ‥‥
しかも、子供がいるってことは、親もいるはず‥‥
「キムンカムイの親子も、ご一緒させても宜しいでしょうか?」
ブンブン‥‥ 皆で一斉に首を振る。
「残念です」
アトゥイは寂しそうに茂みの方へ獣の子を追いやろうとしている‥‥
「はっ‥‥ もしや、これが棒の正体? 月華ちゃん、どのような棒が来ても、紅葉が護りまするゆえ‥‥」
違ぁう‥‥
「あれって、どう見たって‥‥ それに棒って‥‥」
「棒ではありませぬのか? 飛脚便の上司殿は、確かそう申しておりましたが、はて?」
首を傾げる火乃瀬に月華たちは焦りつつも笑顔を向けると、楽しげな様子に目の前の獣も嬉しそうに身体を揺すっている。
は‥‥ 今はそれどころではない‥‥
ぐるるるる‥‥
やっぱり〜〜〜♪
大きな獣が茂みの中から現れちゃった。
「さくやぁ」
今回はピクニック気分でまともな武器など持ってきてはいない。
‥‥が、そのとき獣たちの動きが止まった。
「けひゃひゃひゃ、悪く思わないことだね〜」
ドクターのコアギュレイト。高速詠唱の賜物だ。
今のうちと、皆はその場を離れる。
「『前門のミケ、後門のポチ』どころの話ではなかったでござるな‥‥」
甲斐も連れ溜め息を漏らすのだった。
おっと、説明しよう。
『前門のミケ、後門のポチ』とは、シフにとっては狼や虎などといわず、油断すると身近に災難が転がっている、との例えでござるぅ。
で、これで終わらないのが凄いとこ。
「ん、朋月? はぁ‥‥ 少し目を離すとこれだ」
「あ、湯田パパさ〜ん」
今度はこっちが迷子か? と湯田が溜め息をついていると、柴犬のかすていらちゃんとボーダコリーの吹雪に誘われるように朋月が暢気に手を振っている。
湯田は再び溜め息をついた。今度は深ぁく‥‥
●楽しい時間
場所を移してピクニックの再開。
「『シフの魂、百まで』‥‥
意味は、シフールは肉体が死してもなお、その魂は百年は生き(?)続けるらしいということですわ。
ですから、うっかりシフールに恨まれてしまいますと、一生取り憑かれてしまいますのよ〜」
ね? っと宙を見てアトゥイが微笑む。
「アトゥイ? どこ見て‥‥話してるの?」
「あら、御仲間のシフールが、そこに来てますよ」
「しふしふ〜☆ 誰もいないのですよ〜」
あら、まぁ‥‥っといった感じでアトゥイが驚いてみせると、甲斐は咄嗟に震える月華とベルを掴んで飛び退く。
「大丈夫でござる。月華の身は必ず護るでござるよ」
甲斐は短剣を抜いて虚空に睨みを利かせ、背中に張り付いて隠れている月華たちに気を配っている。
「ぼ、棒の脅威でございますか?」
流石、思い込んだら命懸け。火乃瀬の天然ボケにドクターは大笑いし、皆での爆笑へと変わっていった。
ホッとしたのも束の間、
「あ〜、楽しみにしてたのにぃ」
朋月がブーたれている。
「『残り物にはしふがある』という戒めの言葉があるですよ☆
いつまでも残していると、しふしふがいつの間にか持って行ってしまうことから、転じて、いつまでも後生大事に大切なものを持っているんじゃないわよ、ってことなのです☆
しふしふは物を見つけるのが得意ですから、隠したって無駄ですよ〜☆」
勝ち誇ったようなベルに、ドッと笑いが起きる。
朋月の方は、湯田が自分の分をやって収まった模様。
そのころ、アリエスはというと‥‥
湯田特製の占い札の真っ最中。
「花‥‥ 恋愛運上昇中。依頼での積極的会話が吉?」
札をしっかと持って固まってしまうのだった。