シフール特急便 〜 恋の行方 〜

■ショートシナリオ


担当:シーダ

対応レベル:4〜8lv

難易度:難しい

成功報酬:1 G 92 C

参加人数:10人

サポート参加人数:-人

冒険期間:01月29日〜02月03日

リプレイ公開日:2005年02月07日

●オープニング

 透き通るような雪のように白い肌。心優しく情に深く、この世の物とは思えない美貌の持ち主‥‥
 話半分にせよ、依頼主の八雲という青年は、夫婦同然に暮らしていた想い人のお雪という女性についてそう語った。
 しかし、年が明けてすぐ、お雪は八雲のもとを去ってしまった。知らぬ間に、何も告げずに‥‥
 小さい頃に父と雪山で遭難した時に見た女の人の話をしたら怒ってしまったのか故郷の山奥に帰ってしまったのだそうだ。
「きっと妬いているんです。あの人のことを美人だなんていったから‥‥
 本当なら今すぐ行って連れ戻したい。でも、直接会ったら、怒り出すかもしれません。
 だから、この手紙を渡してほしいんです。お願いします」
 八雲は月華に手紙を渡すと受付を済ませた。

「どうしよ‥‥」
「また、問題か?」
 シフール飛脚便江戸支局へ入ってきた月華は大きく溜め息をついた。
「聞いてくださいよ〜」
「却下。問題ある配達を請け負ってきたときは、規定の経費以外はじ・ば・ら」
 相変わらず厳しい上司だね〜。
「また、自腹かぁ」
「と言いたいとこだけど、那須藩が結構利用してくれるようになってるからな。ご褒美だ。今回は局から出してやろう」
「ホントですか〜♪」
 月華の瞳がキランと輝く。
「あぁ、自分が払うつもりで値切って来い」
「は〜い♪」
 月華が嬉しそうに局を出て行く。行き先は当然冒険者ギルド。今回の配達を手伝ってくれる冒険者を募るためだ。

 もっと困った時のために貸しは取っておけば良いものを‥‥
 がんばれ月華、野を越え、山越え、吹雪を突っ切って恋文一通届けるために‥‥
 命を懸けた雪中強行軍。果たして月華たちは生きて帰れるのか〜♪

●今回の参加者

 ea0167 巴 渓(31歳・♀・武道家・人間・華仙教大国)
 ea0984 平島 仁風(34歳・♂・浪人・人間・ジャパン)
 ea2011 浦部 椿(34歳・♀・侍・人間・ジャパン)
 ea2482 甲斐 さくや(30歳・♂・忍者・パラ・ジャパン)
 ea2989 天乃 雷慎(27歳・♀・浪人・人間・ジャパン)
 ea3865 虎杖 薔薇雄(35歳・♂・浪人・人間・ジャパン)
 ea5209 神山 明人(39歳・♂・忍者・人間・ジャパン)
 ea5930 レダ・シリウス(20歳・♀・ジプシー・シフール・エジプト)
 ea6526 御神楽 澄華(29歳・♀・志士・人間・ジャパン)
 ea7514 天羽 朽葉(30歳・♀・侍・人間・ジャパン)

●リプレイ本文

●八雲
「お雪ちゃんが帰って来たら、二度と他の女に目を向けた風な事を口にしちゃいけねぇぜ? 妬いた女は怖ぇったらねぇからな」
「別に浮気なんてしてませんよ」
「そういうこと言ってんじゃないっての」
 カカカと笑いながら平島仁風(ea0984)が八雲の背中をバンと叩いた。
「必ず届けるよ」
 甲斐さくや(ea2482)の肩に乗った月華の肩かけ鞄には八雲から預かった手紙が入っている。それをポンといた。
「託された想いは、ちゃんと届けてあげるから♪」
「お願いします」
 月華や天乃雷慎(ea2989)たちの笑顔に安心したのか八雲は頭を下げた。
「月華には、そういう相手はいるのでござるか?」
 本当はそんなことを聞きたくないのに‥‥ 甲斐はつくづく自分の天邪鬼な性格を呪う。
「さくや‥‥」
 お?
「ボクにそういう相手がいたらどうする?」
 返答に窮する甲斐に月華が悪戯っぽく微笑んだ。
「‥‥」
「いたら苦労しないよぉ。それより、さくや。今回も頼んだわよ」
「全力を尽くすでござる」
 つくづく自分の天邪鬼な性格を怨む甲斐であった‥‥
「恋文でなければ暖かくしているところだが‥‥ お雪がどれくらい美人か興味があるしな」
「ちょっと‥‥」
「気にするなよ。どのくらい美人か妙に気になるだけだ」
 神山明人(ea5209)が苦笑いを浮かべた。お雪がお雪なら八雲も八雲と言ったところか‥‥
「まあ、手紙は渡すけどよ。そっからはおまえさんたち次第だぜ。手を貸す事と、余計な手出しは違うんだ」
 巴渓(ea0167)が豪快に笑う。
「お雪‥‥」
「重傷だな。根性入れろ、根性を!!」
 溜め息をつく八雲に巴渓は一層豪快に笑った。

●自然って怖〜い
 平島を先頭に一行は雪を掻き分けて進んでいた。はぐれない様に全員の腰が縄で数珠繋ぎになっている。
 雪中行軍用装備を入手できたのはいいが、大自然の驚異の前にはあったら楽だなくらいの効果しかない。
 空は晴れていても風が吹けば地吹雪になる。荒れた天気ではないが、雪山の怖さは存分に猛威を振るっていた。
「どこかで休まないともたね〜ぞ」
「そこで休もう。やっぱ寒いぜ」
 風があまりふいていない感じの場所に見当をつけて巴渓が指差した。
 燃える心と割れた腹筋を持っていても死ぬほどの寒さの前では何の役にも立たない。防寒着をつけていても天羽朽葉(ea7514)や御神楽澄華(ea6526)のような普通の体格の者の方が、どちらかと言えば寒さには強い。
 前を進む者の足跡を踏むように歩いたり工夫してはいるが‥‥
「ふっ、こまめな体力回復が雪山では大切なのだと親戚の友達の父親が言っていたのだ。良い考えだと思うよ」
 平島の動きに合わせて虎杖薔薇雄(ea3865)が歩みを緩めると御神楽が虎杖の背中に手をついた。
「おっと、あまりに美しいからといってそんなに近づいてきてはいけないよ。お嬢さん」
「足がもつれただけです」
「照れなくてもいいですよ」
「照れてません」
 真面目に否定する御神楽に虎杖は笑いながら振り向く。2人の会話がかみ合わないのに巴渓は受けまくりだ。
「それでは用意しましょうか」
 御神楽は荷物を降ろすと縄を解いて背伸びした。背中がすーすーと寒い。
 だが、汗を拭くにはまだ早い。スコップを借りるとサクサク掘り始めた。
 何人かでスコップを駆使して雪を掻き出すと、除けた雪で壁を作り始める。休憩だけならこれで十分。
「うぅ‥‥ 寒い、寒過ぎるよ。南部育ちのボクには、この寒さは辛いかも。月華ちゃんは大丈夫?」
 天乃のようにやせ気味の者も寒さに強いほうではない。ましてや南国育ちであれば尚更。
「大丈夫。さくやが守ってくれたからね。でも、やっぱり寒〜い♪」
 防寒着を着ているといっても体の小さいシフールに寒さは酷である。
「私の国も夜は冷えるから寒いのは意外と平気じゃぞ。それよりもお昼寝できんのが寂しいのう」
 何はともあれ、レダ・シリウス(ea5930)がウェザーコントロールを使えたからこそ道程はかなり楽になっていた。
 そうでなければ吹雪の中を進まなくてはならなかったであろう。
「また吹雪いてきそうだな」
 神山は空を見上げた。確かに天気が変わり始めている。
「それならば私の出番じゃ」
 レダは防寒着を脱ぐとヒラリヒラリと舞い始めた。
「寒くないのか?」
「寒いに決まっておろう? 気分の問題じゃ」
 神山の問いにレダの表情がキリッと引き締まった。
「天候よ、穏やかに‥‥ 願わくは陽の光が見えるほど良くなってほしいのじゃ」
 神楽舞を踊りながらウェザーコントロールの詠唱が紡がれていく。
 雪景の中、軽やかに舞うシフールの姿。地を踏み、歩を進め、時には空中をも舞台の一部として舞っている‥‥
 その姿に見惚れているうちに、天気はいつしかさっきまでの落ち着きを取り戻していた。
「すっご〜い♪」
 月華が手を叩く。
「良い出来じゃ」
 天乃から防寒着を渡され、レダはそれを羽織ながら満足そうに頷いた。
「向こうのは川か」
 白一面の中に黒く深い筋のようなものが見える。
「なら、こっちだな」
 天羽が地図の一部を指差すのを見て、一同は景色を目で追った。
「月華が、ぱっと飛んでいければ楽なんだが、この天気じゃな」
 火打石で火をつけ、少しだけ油の力も借りて薪に火をつけた。じっとしていたので体が冷えてきたようである。くしゃみをしながら天羽は石を焚き火にくべた。
「何してるの?」
 汗を拭いていた天乃が不思議そうに見ている。
「こうやって暖めた石を手ぬぐいとかで包んで懐に入れておけば、少しの間でも温かいだろ?」
「へ〜、すごいね」
 南国生まれの天乃にはパッと思いつかないような方法である。感心しきり。
「それにしてもすごいところだよ。こんなところに人が住んでるなんて信じられない」
 一冬も雪に埋もれる生活なんて天乃には全く想像がつかない。
 とはいえ、麓の村で聞き込んだ話によると、近頃のこの辺の天気は例年にない荒れ様らしいのだが‥‥
 天羽は続けて小鍋を用意し、鍋ごと雪に突っ込んだ。ギュッギュッと鍋に雪を押し込むと、それを火にかけた。
「今のうちに上空から確認しておこうか」
「そうじゃな」
「月華ちゃん、レダちゃん、突風に飛ばされない様に注意してね」
「ほ〜い」
 手を振りながら2人のシフールが羽ばたいて空へ駆け上っていった。
 眼下は一面の銀。日の光を反射して眩しくもあった。
「目的地はそう遠くないみたいじゃな」
 サンワードの魔法の力はレダに目的地がそう遠くないことを告げていた。月華と2人、じっと目を凝らしてみる。
「あれ‥‥ かな?」
 キラリと日の光を反射する雪の中、月華の指差す先には雪に埋もれるように家らしき影が‥‥
「間違いないじゃろう」
「さぶい〜。帰ろうよ」
「そうじゃな」
 2人のシフールは体を捻って浮力を失わせると一気に高度を落としていった。

「温か〜い」
 焚き火にあたりながら月華はお湯を口にした。一気に体が温もっていく。
「うわ、冷たい」
 暖めておいた布をかけてやった御神楽が2人を触ってビクッと手を引っ込めた。
「雪山の奥深くに住まう絶世の美女、ね‥‥ 話だけ聞いていると雪の精とかに思えてしまうが‥‥」
 つくづく便利な魔法だと浦部椿(ea2011)が呟く。
「雪の化身か。本当にそうだとしたら八雲も難儀じゃのう。街中で吹雪でも起こされたら大変じゃ。
 じゃが、お雪がもしそうじゃとしてもウェザーコントロールで操作できるのじゃから、この辺の吹雪は魔法ではないぞ。」
 天乃の膝の上で焚き火に背を向けた奇妙な格好で火にあたっているレダが呟きに反応した。
 冒険者には大らかな者が多い。異種族間の恋愛だろうが、たとえ魔物との恋愛であろうとも身に危険が降りかからなければ寛容する者が多いのだ。まぁ、本当にお雪が彼女たちの言う様な雪の精であれば2人の将来は決して平坦なものにはならないだろうが‥‥
「やっぱり少しは違うな」
 酒を口に含むと、浦部の体中に酒精がフワッと広がっていく。酔うために飲んでいるのではない。体を温めるためである。
 ボヤボヤすればするだけ体力を消耗してしまう。ひとしきり休んだら、すぐにでも出発しなければならない。
「さて、油断しないで行こう」
 神山の声に頷くと、荷物を背負って一行は休憩を終えた。

●お雪
 さてさて、苦労の末の到着。
 戸を叩くと、少し間をおいて戸が開かれた。そこに佇むのは‥‥
「綺麗な人‥‥」
 確かに美しい。月華の第一声に同行者たちは溜め息を漏らした。
「ちわっす、飛脚でーす。貴女の八雲さんから御手紙を預かってめぇりやしたー」
「あ、ずっる〜い。それ、ボクの台詞だよ」
「早いもん勝ち‥‥じゃねぇよな。やっぱ。ダハハ」
 チクッと痛む首筋に平島が引きつった笑いを浮かべる。甲斐の忍者刀がチンと音を立てて鞘にしまわれた。
「可憐だ」
 雪のように白い肌。まるで墨を引いたろうな緑なす黒髪。神山は八雲が惚れるのも無理はないと思った。
「これ、八雲さんからの手紙です。できればお返事がほしいそうですよ」
 月華は鞄から手紙を取り出すと、お雪の目の前に進み出た。
「八雲から?」
「はい。直接行ったら、もめるかもしれないと手紙を託されました」
「そうですか‥‥」
「今、幸せかの?」
 レダはどこか寂しげなお雪の顔をまじまじと見つめた。
「あの、その‥‥ね。八雲さんって隠し事をしたくなかったんじゃないかな。
 う〜ん‥‥ どう言うのかな。貴方との間に秘密を作りたくなかったんじゃない?
 だから話した。
 信頼以上の想いを寄せた人だから、好意を寄せた人から、別の異性の人の話が出てくるのは嫌だけど、ボクならずっと秘密にされてて何かの拍子で他所から知らされるより本人の口から聞いた方がマシだよ‥‥ その時は辛いかもしれないけどね。
 これは単なるボクの独り言♪」
「そうでしょうか?」
 文面に視線を落としたまま、お雪は天乃の言葉に一言だけ返した。
「男ってなぁバカだからよぅ。心底惚れた女が居ても綺麗なネェちゃんを見るとつい鼻の下が伸びちまうもんなんだわ。
 でも、普通なら他の女に目ぇ向けた事なんざ惚れた相手にゃ隠そうとする所をわざわざ話したってのは、八雲のニィちゃんが隠し事もしたく無ぇくらいにおめぇさんを大事に思ってるって事だと思うぜ。野郎にばっかし都合の良い話だけどな」
 人懐っこい表情で、にこ〜っと笑う平島を見て、お雪の表情が少しほぐれる。
「どうかね。ここは将来おめぇさん達が夫婦喧嘩でもやらかした時に使える切り札が出来たと思って、八雲のニィちゃんを赦してやっちゃあ」
「八雲はどんな風でしたか?」
「しょげてたぜ。ず〜んと地の底までめり込んでく感じで落ち込んでた」
 お雪が僅かに微笑む。
「一番大切な望みが何かを考えれば、進むべき道は自ずと開けるのではなかろうか。
 留まるだけでは何も始まらぬ。まだ繋がっていたいと願うならば互いに偽り無き想いを伝えあう事が何より。
 結論は急がずとも、悔い無き道を‥‥」
「そうですね」
 天羽の言葉に耳を傾けようとしていたが‥‥
「祭祀にも携わる者として、山の方の言葉を里の者に伝えるのも祭祀の努めなれば、どうか御助力願えないかな?」
「それはどういう意味ですか?」
 浦部の言葉にお雪の体が緊張するように固くなっていくのが傍目にもわかる。
「深い意味なんてない。八雲の気持ちはあなたにある。それ以外に何が必要なのか。2人で暮らす方法などいくらでもあるだろうに」
「そうだぜ。根性決めてかかれば何とかなるもんさ」
 さりげなく視線を逸らす浦部と燃える瞳で見つめる巴渓の対比が面白いのだが、どちらかというとそんなことを言っている様子ではない気がする。何となく寒気がしてきたような‥‥
「何故勝手に逃げたでござる? 八雲さんは貴女に正面から向っているでござる。
 本来なら私にとってどうでも良い事なれど、別れるなら理由を知らせる義務があるでござるよ。これだけは退けぬでござる」
「そうだね。理由は何であれ、返事は書いてほしいな♪ このままじゃ、どちらも辛いよ」
「そうでござるな。できれば、気が済んだら八雲と会ってほしいでござる。どちらも可哀相でござる」
 いつになく饒舌な甲斐。人のことならこんなにも正直なのに‥‥
 合いの手を入れた月華をチラリと見て、甲斐は少し俯いた。
「お嬢さん、恋をするものは穢れなく美しい!」
 瞳の中に星をキラキラさせながら虎杖がお雪の手を取った。ヒヤリどころか雪のように冷たい。
 もしかしたらもしかするな‥‥なんて、そんなこと虎杖の心の片隅にもなく‥‥
「私は美の伝道師。恋をする者たちを応援するよ」
 虎杖の笑みにお雪は苦笑いを浮かべている。
「よっ、バラバラマン!」
 巴渓の妙な合いの手のせいで微妙に輝きに陰りが差したが、それは一時的なものでしかない。
「美しい私に自ずと皆の視線が集まるように、キミには八雲君の視線が釘付けなのだよ。それを忘れてはいけない」
 フッと細く息を吐くように小さく笑うと防寒着を流麗に脱ぎ捨て、片足を軸にクルリと回る。同時にフワリと手を広げ、小さく体の近くに畳むと右手を差し上げるように上半身を伸ばし、左足を高々と頭の上まで上げた。
 陶酔の表情で暫くその姿勢を維持し、肘から指先までの動きを利用しながら再びクルリと回って両足を交差させるように足を下ろして頭を下げた。
「返事を書けば良いのですね?」
 呆れ顔でお雪は笑顔を見せた。
「責任を持って八雲の許へ届けさせてもらうよ。美しくね。おっと、これは月華君の台詞だったね」
「ホントだよ」
 背後からの甲斐の忍者刀を華麗にかわした虎杖が月華に微笑んだ。

●雪解け
 さて‥‥
 帰り道はウェザーコントロールが必要ないほどの晴天。まだ木々の根元だけだが雪は溶け始めていた。
「太陽は私を照らしたくて仕方ないのだろうね」
 八雲への返信をもらうことのできた虎杖たちの表情は明るい。
「あの2人、うまくいくといいね♪」
「全くでござる」
「そうじゃな〜」
「ほんと〜‥‥ ふぁ」
 天乃と甲斐の手の平の上で昼寝にありついたレダと月華は眠りに落ちていく。
「寝たら死ぬぞー。あはははは」
「んな、アホな」
 巴渓に平島が鉄拳突っ込みを入れる。2人はニヤリと笑った。
「無事に済んで何よりだな」
「本当に返事が貰えて良かった」
 すったもんだに気を揉んでいた神山と御神楽は、ホッと胸を撫で下ろした。
「山の神の御勘気も解けたみたいだしな」
「そうであるな」
 浦部と天羽は晴れ渡った空を見上げた。
 雪が解けたら‥‥ もうすぐ春が来るってことかな?