目覚めた悪意を討て

■ショートシナリオ


担当:塩田多弾砲

対応レベル:1〜5lv

難易度:普通

成功報酬:1 G 35 C

参加人数:5人

サポート参加人数:-人

冒険期間:01月21日〜01月26日

リプレイ公開日:2009年01月31日

●オープニング

 年始早々に、その事件は起きた。
 それは、小坊主たちが禁忌を犯した事が原因であり、彼ら自身にも責任がある。
 が、だからといってこの事件を放置しておくわけにはいくまい。
 たとえ、悪童ではあるといえ、子供の命が奪われたのだ。そのものを放置はできない。

 南常陸の山岳地。その一角に、鯉泳寺がある。そこは、仏閣として以外にも、別の役割を担う施設でもあった。
 それは、「子供」。子供たちを引き取り、教育するという側面を有する寺でもあった。
 寺の住職、義恩和尚は厳しくも優しい僧侶。彼の元には、身寄りの無い子供はもちろん、荒れる子供や心に傷を負った子供などが集まっていた。そんな子供たちを時には厳しく、時には優しく、教育し生活をともにしていたのが、義恩。彼は、子供たちを小坊主として仏法を教えるのみならず、一般的な読み書きや勉学なども学ばせた。そうして、成長した子供たちは卒業し、社会へと飛び立っていく。
 しかし、全ての子供が普通に卒業できるとは限らない。多くの生徒が通っている以上、中には不出来な生徒が出てくるもの。義恩はその事を十分に知っていた。なぜなら、自分もその不出来な生徒の一人であったからだ。そして和尚は、不出来な生徒に対しては余計に愛情を感じていた。箸にも棒にもかからないような悪童を、一人前の大人として、僧侶や武士や商人として送り出す。和尚は、かつての己の師が己に対ししてくれた事を、自らの生徒に対しても行ってきた。
 さて、今年もまた悪童がいた。裕福な武士の家から送られてきたかの少年は、自分の子供の頃にそっくりであり、自分も師匠にこのような無礼を働いていたのかと考えると、苦笑がわいた。
 が、千代丸というかの悪童にとっては面白くない。面白くないがために、彼は問題を起こした。

 南常陸の北、内陸に位置する場所には丘陵があり、森林に覆われている。
 しかし、雪化粧の中。付近には「決して近付くべからず」と言われ、それを律儀にも守ってきた寺があった。
 それは、灰魂寺と呼ばれる寺。死霊が眠るという噂があり‥‥実際、建立時には悪鬼と化した侍を封じたという話が伝わっている‥‥そのためにいつしか、人が寄らなくなった。そして十年以上前に、一人で管理していた老住職が亡くなると、そのまま放置されていた。
 周辺地域では「近付くな」という言葉に従い、皆が近付くことは無かった。それは、千代丸という少年以外は。

 母親に溺愛され、弱気な父親はそれに逆らえない。千代丸はわがまま放題の生活をしていたが、八歳の時に山鬼に襲われて二人とも死んでしまった。そして、周囲の大人たちは体のいい厄介払いとばかりに、千代丸を義恩のもとへと送り届けたのだった。
 ここに来て半年、彼‥‥千代丸の素行は一向に良くならず、むしろ悪くなるばかり。それでも義恩は辛抱強く、彼を更生させんと努力していた。
 その矢先、小坊主の一人がぼろぼろになって戻ってきた。そして、その翌日から。周辺の村々に異変が起こり始めたのだ。

 子猫を溺れさせる遊びを見つけられ、怒られた千代丸たち。彼らは夕食抜きにされた罰を不服とし、寺の銭を少しばかり盗むと遊びに出た。
 しかし、ふもとの町へと遊びに行き、その帰り道。迷ってしまったのだ。夜遅くになったため、道をひとつ間違えてしまった。それに気づいたのは灰魂寺にたどり着いてから。しかたない、今夜はここで一泊し、明日の朝早くに戻ろう。
かくして、彼らは寺の本堂にて眠ることに。
 残されていた書物や壁や床の板があるから、燃やすものには事欠かない。町で腹いっぱい食ってきたから、朝まで持つだろう。
 悪童たちは、しばらく気ままに遊び、やがて眠りについた。そして、夜中。「それ」が目覚めた。

「怪我を負って、唯一逃げ帰った小坊主は‥‥よほど怖かったのでしょう。伝える事を伝えた後、そのまま気を失い‥‥帰らぬ人となりました」
 ギルドにて、義恩の言葉が重く響く。
 聞くところによると、千代丸らを殺した「それ」は、死霊の類だという。どうやら千代丸は、封じた死霊を開け放ってしまったと。
 かつてこのあたりには、身勝手極まりない野武士たちが存在し、近くを通りがかるものたちを襲っていたという。それも、金や宝物を狙うのみならず、女子供でも気晴らしに殺すという、鬼畜な若武者たちが。
 しかし、外道に平穏な終焉はおとずれない。ある時に酒に酔ったところを捕まえて縛り上げた近くの村の住民たち‥‥彼らに、遊び半分に家族や恋人や親兄弟を奪われた者たち‥‥は、野武士たちを半殺しにした。
 彼らは小さな洞窟に彼らを放り込み、その出入り口をふさいだ。そして、洞窟の存在を隠すように、さらには形だけでも鎮魂の意を表するために、寺を建てた。それが、灰魂寺であった。
 以降、この寺はあっても無くても良いような扱いを受けていた。そして老住職が亡くなったのちは、放置され現在に至る。
 千代丸たちは、まず間違いなく死霊を開放し、それに殺されたのだろう。そして、死霊たちは周辺の小さな村や猟師小屋などを片っ端から襲っている。
 近くの村では退治にと浪人を雇ったり、腕っ節のいい若者を向かわせたりしたが、彼らもまた犠牲者となり帰らぬ人に。
「拙僧の教育不行き届きで、こうなってしまったのは否めません。その罰は、受けるつもりです。ですが、その前にこの死霊を退治していただきたく」
 このままでは、きりがない。千代丸が目覚めさせただろう死霊を倒さねばならないが、自分たちにはその力が無い。
 かくして、ギルドに依頼に来たというわけだ。
「どうか、このものたちを退治してください。お願いします」

●今回の参加者

 eb3974 筑波 瓢(36歳・♂・陰陽師・人間・ジャパン)
 ec4507 齋部 玲瓏(30歳・♀・陰陽師・人間・ジャパン)
 ec4989 ヨーコ・オールビー(21歳・♀・バード・エルフ・イギリス王国)
 ec5023 ヴィタリー・チャイカ(36歳・♂・クレリック・人間・ロシア王国)
 ec5766 キーラ・クラスニコフ(32歳・♀・神聖騎士・人間・ロシア王国)

●リプレイ本文

「あれが、灰魂寺ですか」陰陽師にして考古学者、筑波瓢(eb3974)。
「お気づきですか? ‥‥お寺の周りの空気が、淀んでいます」麗しの神主、齋部玲瓏(ec4507)。
「さて‥‥その死にぞこないはどこやろうな」美しき金髪の吟遊詩人、ヨーコ・オールビー(ec4989)。
「見たところは、気配は感じられませんね」薬草の癒し手クレリック、ヴィタリー・チャイカ(ec5023)。
「まったく‥‥話に聞いていた通りだ。放置されて管理がおざなりってかい?」碧の瞳を持つ神聖騎士、キーラ・クラスニコフ(ec5766)。
 五人の冒険者が寺を臨み、それぞれに呟きをもらす。
 彼らを襲うは、身を切る寒さ。周囲に施された薄い雪化粧は、氷と化して木々や地面に張り付いている。
 今朝もまた、うっすらと雪が降っていた。すぐに止んだものの、寒さは変わらずに奪い取っていく。‥‥人の体から、暖かさを。
 あたかも、死霊たちのよう。かつては人の身だった彼の者たちは、この寒さゆえ人の心を失ってしまったのだろうか。そんな突拍子も無い事を思いつき、冒険者たちは苦笑いしつつ周辺へと目を向けていた。
 討つべき「敵」は、近くにいる。気配は無いが、そいつは間違いなく近辺に潜んでいるはずだ。
 全員の心が、寒風もかくやと引きしまった。

 ギルドより出て、現場の山、ないしはそのふもとに到着した一行は、情報収集に取り掛かった。
 その死霊は何者か、寺にて、住職が居た当時の様子はどうだったのか。
「まずは、何をおいても行わなければならない事をせなあかんやろ? ‥‥にしても、寒いわ〜」
「そうだな。まずは‥‥調べなければ」
 村の茶店にて。一行は熱い茶を口にして体を温めている。茶を飲みながら、ヨーコと筑波が口火を切った。
 情報収集。まずは、事情と状況。知るべき事を知ってから、討伐に向かわねばならないだろう。
「そこで、提案ですが。俺は‥‥」
 筑波たちは、茶店にて情報収集の分担を決め‥‥数刻後に再び落ち合う事にして茶店を出た。

「それで、亡くなった小坊主さんはなんと?」
 義恩の寺、鯉泳寺。
 ヴィタリーは、ここで義恩に詳しい話を聞いていた。
「うむ、ヴィタリー殿。そやつはこう言っていた」
 いわく、「骸骨の鎧武者が、切りつけてきた」。鎧兜に身を固めた、恐ろしげな骸骨が切りつけてきたと。
 武器は、自分の身ほどもある、錆びた大太刀。それで千代丸たちの首や手足をはねた‥‥と。自身にも、やはりひどい怪我を負わせたらしい。
「少なくとも、そいつはまるでなぶり殺すのを楽しんでいるかのようだった‥‥と」
 その言葉は、ヴィタリーにとって嫌悪感をもよおすものだった。異教徒といえど、彼は知らずに誓った。年端もいかない少年たちを殺した罪を、償わせてやろう、と。

「ふーん、どうもろくすっぽ情報は集まらへんなあ」
「ええ、困りましたね」
 ヨーコと齋部が、互いに困ったものだと嘆息する。
 件の死霊たちは、確かに目撃はされている。それに、その所業も。
 ではあったが、その多くは「暗い中で、遠くから何かが襲ってきた」または「誰かが襲われているのを見た」といったたぐい。平たく言えば、当事者で生き残っている者、それを目撃している者はいなかったのだ。
 しかしそれでも、巨大な太刀を振り回し、鎧兜に身を固めた骸骨‥‥という姿はわかった。そして、その数が三体らしい事も。
 が、代官所にて保管されていた書物より、彼女たちは新たな情報を得た。
「‥‥まむし三兄弟?」
「‥‥どうやら、この三兄弟とやらが、今回の死霊となった人たちのようですね」

「聞いた話によると、『まむし三兄弟』は極悪な野党で、金やものを奪い取るのみならず、命を奪わないと気がすまない、とことん性根が腐ったやつらだったらしい」
 築地もまた、茶店に戻っていた。皆それぞれで情報を収集し、それらを報告しあっていたのだ。
「長男の赤まむし、次男で鋸刃の太刀を使う青まむし、三男でもっとも大柄かつ、巨大な太刀を用いる黒まむし。いつかは常陸まで下り、強盗団でも作って街中を荒らしまわるつもりだった‥‥と。しかし悪行は長くは続かず、そいつらは倒され‥‥」
「今回の事件を起こした、死霊どもに変貌してしまった、と」齊部の言葉を受け継ぎキーラは言う。
「これに関して詳しくは記されてないし、出現場所を地図で記しては見ても‥‥あまり共通点は見られなかったね。出てくるのはたいてい、夕暮れから夜にかけて。ただ、場所は灰魂寺の付近だということは共通してるから‥‥」
「となると、灰魂寺に行って、直接彼らが出てくるところを‥‥とするべきではないでしょうか」
齋部の言うとおりだろうと、皆は思った。
寺に直接赴き、出てきたところをたたく。それ以外には倒す事はかなわぬだろうと、本能的に理解した。

 かくして、灰魂寺。
 ここの本堂にて。血のあとや燃えカスなどが散乱し、汚れまくっている惨状を見て、冒険者たちは顔をしかめざるをえなかった。
 既に、亡くなった住職の事を知っていたり、手伝っていたりした人間のほとんどもまた高齢で、多くが亡くなっていた。それでもわずかに得た情報によると、寺の周辺には昼なお暗い森、そして岩肌に穿たれた大小無数の洞窟、洞穴により、何かが隠れる場所には困らないと。実際に来てみて、皆はそれを実感した。ヴィタリーやヨーコも、愛犬を連れていても「これには時間がかかる」と断念せざるをえなかった。
 ともかく、灰魂寺の本堂にて。一行は死霊侍が出現するのをここで待ち、迎え撃つ作戦を取る事にしたのだ。
 キーラが記した、今までの出現の法則。それによると、寺、およびその付近には必ず出てくる。それに従えば、自分たちがここに待っていれば現れるだろう。犬や馬などは、村の宿屋にあずけてある。万が一危険に巻き込まれる事を考えての事だが、これでその危険も無くなった。
 怪物がここを直接襲ってくる可能性に、彼らは賭ける事にした。

 本堂内、中央には焚き火をした跡。そこにヴィタリーと築地は集めた焚き木を積み、火をつける。
 本堂そのものが燃えないように注意を払いつつ、皆はその炎に当たって暖を取った。じきに、日が暮れる。
「そろそろ、日が落ちる頃ですね‥‥」
 齋部が、火に当たりつつつぶやいたとき。
 ザッ、ザッ、ザッ。
 音がして、皆は飛び上がった。やつらか?
 いや、積もった雪が枝から落ちただけだった。それのみならず、また新たに雪が降り始めている。
 中に戻ろうとした、その時。
「!?」
 黄昏の中、森の奥深くに人影が見られた。
 それは、少しづつ接近してくる。旅人だろうか。しかし旅人にしてはおかしい、剣を手にして兜などを被っているものだろうか。
 それに、この薄暗い中。明かりを持たずに山奥に入る者がいるだろうか。
 いるとしたら、それはただひとつ。
 その者たちのため‥‥齋部は仲間たちに警告を発し、自らは取り出した石に念じ始めた。
「道返の石」は、持ち主の意図のもと。その効力を発揮し始めた。

 筑波は、皆と背中合わせになりながら、目前へと視線を投げかけていた。
 後方に来たら、背中を預けている皆が警告してくれるだろう。実際、嫌な気配、よどんだような雰囲気が漂いつつあるのが肌で感じ取れていた。できることなら、それを排除したいと思うくらいに。
 右の瞳、青紫の浄眼を一旦手で隠し、筑波は戦闘に向けて心を落ち着かせた。
 彼自身の武装は、白虎の法被に身を固め、数々の呪文が記されたスクロールを手にしている。それを唱え、彼はその力が地獄へと地獄の化け物を追い払える事を祈っていた。
 齋部は桃の木の木刀を構え、ヴィタリーは法王の杖を手に。
 ヨーコは筑波同様に丸腰だが、やはり呪文を使える。キーラは、波打つ刀身の剣ラ・フルーレを手に。
 浄眼が、再び開いた。そしてそれとともに、討つべき敵が筑波の視界へと入ってきた。

 本堂に踏み込まんと迫りくるそれは、まさに骸骨。だが、ただの骸骨ではなかろう。奇妙にゆがみ、腐臭を漂わせ、朽ちかけた鎧兜とともに、腐りかけたよどんだ空気をその身にまとっていた。
 その手には、長い野太刀。三体のひとつは鋸刃で、もうひとつはより大きい。
 死霊侍。それらの死に損ないは、手にした剣を構え、散開した。
「たとえどんな理由があるにせよ子供を殺す事を許す事は出来ん!」
 雄々しく響き渡る、筑波の言葉。それとともに、構えたスクロールに力が宿り、力がたぎる。
「邪怪駆逐!天地万物の正義をもちて変化微塵とせむ。禁! 『マグナブロー』!」
 赤き地の流れが、地面を割って現れる。それは溶岩と言う名の息吹をもって、おぞましき化け物を迎え撃った。
 ひとつ、真ん中の‥‥おそらく、赤まむしがその名の通りに赤く燃え広がった。
 が、残りの二体が迫りくる。左右に展開し、広い本堂内を接近しつつあった。
 齋部のかけた結界は、若干ながらそいつらの動きは封じている。しかしそれでも、まるで怨念が見えざる糸をたぐって動かしているように、そいつらは軽快に動いては刀を振りかざした。
 齋部その人へと向かっていった左側の死霊侍は、黒まむし‥‥巨大な太刀を携えているやつ。
 が、齋部とともに居るヴィタリーが、強力なる一撃を放った。
「黒き聖光よ、わが求めに答え、邪悪なるものを打ち据える礎になれ! 『ブラックホーリー』!」
 呪文が功を成した。動きが鈍いそいつは、呪文をもろにくらい、そして太刀を取り落とし、崩れ落ちた。
 更にうごめき、立ち上がらんとしたが。
「はーっ!」
 齋部の手にした、桃の木の木刀が、死霊侍を完全に叩きのめした。

 右側の、青まむし。鋸刃の野太刀を構えた危険な動く死体。
 それはすばやく走り、駆け寄ろうとした。が、ヨーコの詠唱と悪態の方が早かった。
「このアンポンタンの嫌われ者! 性懲りもなく死に損ないよって、ホンマかなわんヘタレやで!」
 悪態とともに、呪文で練られた力がヨーコからほとばしった。
「魔の矢よ、その力でうちの敵を討ったれ! 『ムーンアロー』!」
 ムーンアローが炸裂し、そいつに多大なる痛手を食らわした。が、それでもそいつは動いている。死なずに生きる事をしがみついているかのように。
 青まむしの死霊侍は吼え、鋸刃の剣で切りつける。が、対照的に美しい刃が、それを阻んだ。
「もう一度‥‥死んできな!」
 キーラの一閃が、不死なる怪物へと三撃食らわし、そしてそれがとどめとなった。
 ラ・フレーメの白刃が、手から剣を弾き飛ばし、不死の化け物の体を切断する。
 叫びとも取れぬ邪悪な吐息が、そのまま死霊侍の最後となって朽ち果て、事切れた。

「和尚さん、アンタの子たちを連れて帰って来たよ」
 キーラが、小さな棺を義恩へと手渡す。
 死霊侍を倒した後、冒険者たちは付近を捜索。そして、千代丸らの遺体を発見し、それを集めて寺へと運んだのだった。
 だが、遺体はその多くが損壊していた。それでも頭だけ、集められるだけの部位を集め、運んだのだ。
「‥‥皆様、ありがとうございました。ですが、やはり‥‥帰ってこない子供たちを見るのは、辛いものです‥‥」
 義恩が、つらい表情でつぶやく。
「和尚、ひとつ提案が」
 筑波が、そんな彼へと言葉をかけた。
「罪を償うと言うのなら、この灰魂寺で死んだ子供達の魂を慰め、導いてやってはくれないか。子供達の魂が悪しき因果に捕まらぬ様に。あなたの罪滅ぼしはそれしかないと私は思うが」
「俺も、それに賛成だ。それに、灰魂寺‥‥そこもまた、整備して村人たちとともに、法要すべきかと思うが、いかがなものだろうか」
 ヴィタリーもまた、進言した。
「ええ、まったくおっしゃるとおり。この子達の葬式を終えた後に、そのように取り計らいましょう」
 義恩は、何度も頭を下げ、例を述べた。

 その後。灰魂寺は『戒魂寺』と改名。新たな住職とともに、仏閣として再出発したとの事。
 そして、その墓には。千代丸らの名前が刻まれていた。