【凶賊盗賊改方】霧の夜

■ショートシナリオ


担当:想夢公司

対応レベル:11〜lv

難易度:やや難

成功報酬:8 G 76 C

参加人数:8人

サポート参加人数:3人

冒険期間:11月18日〜11月23日

リプレイ公開日:2006年11月21日

●オープニング

 その日、受付の青年が日もすっかり落ちて片づけを手伝っていたとある夜のことでした。
 閉じようとしていた裏口からすっと入ってくる影に驚いてみれば、受付の青年には既に顔馴染みの若侍・彦坂兵庫。
「済みません、このような夜更けに」
「いえ、何かあったんですか?」
 見ればいつもながらに仕立ての良いこざっぱりした物を身につけている兵庫ですが、その左袖の一部がすっぱりと、斬られたのかしてなくなっています。
「いやぁ‥‥通りすがりに幸いなことにといいますか、厄介なことにといいますか‥‥」
 なんともいえぬ表情で頬を掻く兵庫にお茶を出しつつ話を聞けば、先頃江戸へと戻ってきたばかりで、道場で身支度をしてから兄の元へと顔を出しに行くところだったそうで。
 その時に妙な話を聞くとはなしに耳へと入ってきたそうで。
「畑の側を通りかかったのですが、なにやら畑のなかから話し声が聞こえてきましてね。うっかりと、これかと思って‥‥」
 そう言って胸のまでだらりと手を垂らして見せる兵庫、どうやらいくら経ってもちと怖いものは苦手のようで、これで斬れるものなら良いんですよ、と顔を赤らめて誤魔化す兵庫に笑いを噛み殺しつつ先を促す受付の青年。
「ついつい固まってしまいましたら声が聞こえてきて、次のつなぎはあと一度、と‥‥」
「‥‥『つなぎ』ですか?」
 流石に表情がさっと変わる受付の青年に頷いてみせる兵庫。
「じゃあ、まさか‥‥」
「どうも菓子屋・いすゞやに押し込むつもりなんでしょうね、聞こえてきた話を思い出してみれば」
「で‥‥」
「いきなり畑から飛び出してきて物も言わずに斬りつけてきたもので、身を捻った時に斬り払われたみたいですね、この袖は」
 霧が出ていて相手を良く見えなかったこともあり、何とか撒いてここまで来たとのこと。
「不可抗力ですが、わたくしが話を聞いてしまったことによりもしやすればことが早まる可能性もあるかと思い‥‥」
 また、道場で出掛けに聞いた改方の様子では現状複数の事柄に人を裂かれ慌しく手も足りていないとのこと。
「これよりわたくし、役宅へと駆けてこの事を知らせに行こうと思います。此方では盗賊捕縛の為の手を、今のうちに集めておいて頂きたいと‥‥」
「わかりました、その旨を‥‥この場合、どなたに連絡すれば?」
「長谷川様、または津村様どちらかと連絡をとっていただく形になると思われます。わたくしはこの後、綾藤に詰めることにいたします」
 兵庫が言う言葉に頷くと、受付の青年は依頼書へと筆を走らせるのでした。

●今回の参加者

 ea0204 鷹見 仁(31歳・♂・パラディン・人間・ジャパン)
 ea0548 闇目 幻十郎(44歳・♂・忍者・人間・ジャパン)
 ea3269 嵐山 虎彦(45歳・♂・僧兵・ジャイアント・ジャパン)
 ea3731 ジェームス・モンド(56歳・♂・神聖騎士・人間・イギリス王国)
 ea4653 御神村 茉織(38歳・♂・忍者・人間・ジャパン)
 ea6177 ゲレイ・メージ(31歳・♂・ウィザード・人間・イギリス王国)
 ea7191 エグゼ・クエーサー(36歳・♂・ファイター・人間・フランク王国)
 ea8191 天風 誠志郎(33歳・♂・侍・人間・ジャパン)

●サポート参加者

限間 時雨(ea1968)/ 鷹碕 渉(eb2364)/ ユナ・クランティ(eb2898

●リプレイ本文

●命の価値
「‥‥人の死を背負う覚悟があるなら好きにせよ」
 その一言を残し、凶賊盗賊改方長官・長谷川平蔵は呼びに来た筆頭与力・津村武兵衛について部屋を出て行きました。
 そこは船宿綾藤のとある一室、長谷川平蔵と津村武兵衛はこの側にある見張り所へと赴いて張り込みを続けるよう。
 部屋に残されたのは鷹見仁(ea0204)。
 平蔵は無理に時間を作って顔を出したのですが、呼び出された理由が『兵庫を囮として1人で徘徊させて襲ってくる人間を尾けてねぐらを割り出す』というものに他の言葉は何も残しませんでした。
「わずかな賊のためにむざむざ兵庫殿の命を出す訳にはいかん」
「張り付いていては囮の意味が無いじゃないか。腕に覚えのある者がそれとなく後を付ければ、その男達だって姿をあらわすだろう」
 凶賊盗賊改方同心の天風誠志郎(ea8191)が強い意志を込めて言う言葉に鷹見は肩を竦めて言います。
「第一相手も確かめずに斬りつけるような奴だぜ? 1人でなくとも襲ってくるんじゃねぇか?」
「釣られた敵を格闘戦能力の高い仲間が『運良く見つけ助太刀する』形で退けるのが確実なのではないでしょうか?」
 嵐山虎彦(ea3269)が言えば考える様子を見せて言う闇目幻十郎(ea0548)。
「人間が一度に対応できる人間が何人か、ってぇこったな。もし2人まで何とかなったとせよ、3人目には対応できねぇぞ?」
「‥‥未熟ゆえ、受けることは出来てもかわすことはわたくしはあまり‥‥」
 申し訳なさそうに小さく溜息を吐く兵庫に、パイプをふかしてゲレイ・メージ(ea6177)は口を開きます。
「兵庫氏の身の安全が先だからな‥‥私は兵庫氏に張り付いて護衛しよう」
「俺も兵庫殿殿と市中を回る事にしよう」
「そんな奴らだ、心配しなくても兵庫が顔さえだしゃ手をだしてくらぁな。‥‥‥すまねぇな、囮なんて危ねぇ仕事‥‥ま、付き合わせてもらうぜ」
 誠志郎が刀を手に立ち上がれば十手で自分の肩を軽く叩きつつ申し訳なさそうに言う嵐山。
「では、自分は御神村さんと連絡を取り合い、追い散らした男達の行く先を突き止めることに力を注ぎましょう」
 幻十郎も頷いて言うのでした。

●いすゞや
 参拝堂沿いにあるいすゞやは、『小福ごころ』という一口饅頭が人気の菓子屋で、その一階は入れ込みになっており、若い娘さんから良いところの商家の旦那、また若い浪人やら道場帰りの若者やらで活気付いており、その様子にジェームス・モンド(ea3731)は笑みを浮かべて茶を啜ります。
 すっかりと店の茶運びのおばさんと笑顔で会話をしながら何とはなしに話を聞いていればいすゞやの中での話もちらほら聞こえてきて。
「では主人殿も女将さんも人が良くて楽しく働いているのだな」
「えぇもう、お給金だっていいし、皆気持ちよく仕事が出来るんですよぅ、旦那」
 モンドは相槌を打ちながら限間時雨や鷹碕渉が聞き込んできていたいすゞやの話と一致するのを確認しています。
 聞けば既に十数年のお店で、ほとんどの者は長く勤めている者ばかりだそうで、新しく入ったのは嫁に行った奉公人である娘さんの代わりに入った女性と、はやり病でぽっくり行ってしまったらしい下働きの男の変わりに来るようになった男の二人とか。
「どちらも良く働くいい人なんですけどねぇ‥‥」
 そこまで言って眉を寄せて声を潜め、囁くようにモンドへと告げるおばさん。
「でも下働きの久吉さんは忙しいときにふらっと出て行っちゃうことがあるようでねぇ」
「ほうほう、それで他の店の者は何も言わないのか?」
「それがふらっと自然に出て行っちゃうもんで‥‥あたしだってたまたま出て行くのを見なきゃ‥‥ねぇ?」
 おばさんの言葉にモンドはにと笑っておばさんの世間話を嫌な顔せずに聞きながら情報収集を続けるのでした。
「‥‥女じゃねぇ‥‥彦坂様の弟御が気付いたのは男の二人組み‥‥」
 御神村茉織(ea4653)は口の中で呟くように呟き見れば、そこはいすゞやの裏手、通りを隔てていすゞやの様子を窺う御神村が聞き込んでいたところ、やはり比較的新しい人間といえば新しく入った娘さんと下働きの男の二人だけのよう。
「連中から命狙われてる件も気になるが、もっとやべぇのは押し込みの方だからな」
 確かに兵庫の方に大事があっても大変ですが、だからといってみすみす手掛かりを掴んでおきながら、それこそ話を聞くだに皆殺しをするであろう様子の者たちに押し込みをさせるわけにもいきません。
「いすゞやは昼だけの通いの者も多うございますからね、夜にお店に残るのは主人一家を含んで十二人とか」
 向かいの蕎麦屋の座敷に上がりそれとなくいすゞやの様子を窺えば、先の仕事で動き詰めで休みを取っていた庄五郎という、浅黒くてすっきりとした男ぶりの良い密偵が顔を出して酒をその店の小女から受け取り御神村へと告げます。
「済まねぇな、折角休んでたってぇのに」
「遠慮するもんじゃございません。ま、ともかくお一つ‥‥別嬪の酒じゃないのは勘弁しておくんなさい」
 笑いながら酒を勧めて言う庄五郎、丁度この店は庄五郎の昔馴染みである女が出している蕎麦屋で店のものにも気兼ねをする必要はないとか。
「この辺りは俺に取っちゃぁ庭みたいなもんです、ここも弟分だった男の女が出している店。いかようにもお使いなすってください」
「向かいってこたぁ、いすゞやについてそれなりに詳しいのか?」
「へい、それにあれです、彦坂の若殿様もあそこの小福ごころが好物とかで時折御自身でもお買い求めですし」
「へぇ、そいつは知らなかった」
 杯を手に互いににやっと笑い合う御神村と庄五郎。
「それにしても、いすゞやには幼ぇお坊ちゃんにお嬢さんも‥‥なんとしても未然に‥‥」
「させやしねぇよ、賊の思い通りになんてな」
 庄五郎の言葉に、御神村は頷いて杯を口元へと運ぶのでした。
「押し入りとは品が無いねぇ。もっとスマートにやって欲しいかな」
 スマートならば良いわけでもありませんが、エグゼ・クエーサー(ea7191)はそんな事を呟きながらいすゞやの付近を歩き回っていました。
「それにしても、店も多いけど人も多いな」
 既に日も暮れかかった参拝道、エグゼが軽く辺りを見回すも特に見たところ不審者は見当たらず、ぶらぶらといすゞやの前を通り過ぎます。
 既に付近を張って3日目、兵庫の方も特に襲撃を受けたという話は聞かず、兵庫も御店の身辺も、至って平和な時間が流れていました。
 と、エグゼはすと通り過ぎる中年男に気がつき、何食わぬ顔ですれ違い、すぐ近くの小道へと入って振り返ります。
 確かにそれはモンドや御神村から伝えられていたいすゞやの下働きの男の姿。
 ちらりと蕎麦屋へ目を向ければそこからすと出て来る御神村と密偵の庄五郎。
 目配せをして二人が分かれて後をつけ始めるのを見ていすゞやのあたりへと戻れば、店の裏手、道を隔てて僅かに白い息を吐いて立つモンドへと歩み寄ります。
「繋ぎは今出て行ったようだけど、兵庫さん襲撃もまだだし‥‥上手くいくといいのだが」
「策が功を奏せばそれが一番だが、どうも心配性でな‥‥こういう地味な役は俺で丁度いいだろう。しかし、流石に寒さが堪えるようになってきた」
「夜になればさらに冷えてくるだろうから、後で何か持ってこよう」
「有難い」
 僅かに笑みを浮かべて見合う二人ですが、どこかぎこちなさが残って。
「‥‥押し込みまで間が無いだろうに、今頃漸く繋ぎの男が出て行くってことは‥‥」
「今日明日にでもやってくる、という事か‥‥今日であった場合は塒を突き止めるどころではないな」
「‥‥」
 目を見合わせ一瞬の沈黙の後襟を正すモンドと歩き出すエグゼ。
「ゲレイさんが話を通してあるんだったな? 直ぐに彦坂さんから手を借りてこよう」
「俺はお店に事情を‥‥」
 それだけ交わすと、二人は急ぎその場を後にするのでした。

●血溜まりの道
「っ!! 兵庫はっ!?」
「っ、だ、大丈夫‥‥っ! 大した傷ではありません!! そ、それよりも天風殿はっ!?」
 嵐山が声を上げるのに必死の形相で返す兵庫、兵庫はゲレイを後ろに庇いながら斬りつけてくる浪人者の刃を必死に受けているよう。
 小さく呻くと大丈夫だと言いかける誠志郎の肩には深々と矢が刺さり、ゲレイがその具合を見て声を上げます。
「大丈夫、だけど矢を何とかしないと‥‥くっ、どこから撃って来るんだっ!」
 既に辺りは夕闇に包まれた寂しい裏通り。
 一歩表に出ればまだ人通りも絶えてはいないのですが、完全に待ち伏せに合いそれも一瞬で片をつけようとでも言うかのように矢で射られるのとほぼ同時に複数に斬り付けられ血が飛び散り、切り込みも間髪入れられないため反撃に打って出られないようにさえ見える一行ですが‥‥。
「っらえぇっ!!」
 矢が一瞬途切れたのと同時に切りかかる男の刀を受け流しざまに十手を叩き込む嵐山。
「そこかっ!?」
 矢の射られた方角へと問答無用にグラビティーキャノンを撃ちこむゲレイ。
「させん!」
 そして、兵庫に斬りかかる二人目の男の刀を霊刀で受けて斬り返す誠志郎。
「うぬらっ! 何をしておるっ!」
 そして上がる、嵐山と誠志郎には聞き覚えのある声が割り込んでくれば、凶賊盗賊改方の同心・伊勢が兵庫へと踊りかかった男を斬捨て、主格らしき男は僅かに身じろぎをします。
「っ、引けっ!」
 主格らしき男が言うと同時に身を翻せば、はじめから告げられていたであろうそれに続く男達は、負傷した者はそのままに捨て置くのも当然とばかりにその場に打ち倒され、斬り倒された3人の男を置いて素早く潮が引くかのように駆け去ります。
「誠志郎に兵庫、傷を見せてみな」
 言うと傷を癒す嵐山に、ゲレイも兵庫の怪我の具合を見て嵐山が誠志郎の処置が終わるまでと簡単な手当てを行って。
「しかし伊勢、どうして‥‥」
「御頭の言いつけでな」
 誠志郎が問えば答える伊勢の姿は、よくよく見れば僧形で付かず離れずに見守っていたようなのですが、それですら彼らが潜んで待ち構える姿を見咎める事ができなかったとのこと。
「後は闇目達に任せるしかねぇが‥‥」
「嫌な予感がする。いすゞやへと赴いて守りを固めたほうが良いのではないか?」
 誠志郎の言葉に頷くと、兵庫の手当ても済ませて4人は急ぎいすゞやへと向かうのでした。

●霧の夜
 けぶるような霧が立ち込める中、すっかりと辺りは暗くなった中を、急ぎ駆けるのは幻十郎。
 駆けつけた先は凶賊盗賊改方役宅で、平蔵は別の件での探索でまだ役宅へは戻っていないとのことで、直ぐに筆頭与力の津村武兵衛が出迎え、幻十郎の報告を受けます。
「‥‥では、今にもその賊どもは」
「急ぎ向かわねば‥‥兵庫殿襲撃が成功しようがしまいが、聞かれた時点で押し込みを早めることを決めていた様子です」
 幻十郎の言葉に一瞬目を瞑った武兵衛は直ぐに立ち上がり声をあげます。
「同心・与力・小者で出られる者は直ぐに支度をせいっ!」
 言って大刀を手にすると武兵衛は幻十郎へと振り返ります。
「駆けつけて直ぐにで済まぬが、案内を頼むぞ」
 武兵衛の言葉に幻十郎は頷いて立ち上がるのでした。
 そして、その頃いすゞやでは‥‥。
「店の者は‥‥?」
「大丈夫だ、向かいの蕎麦屋に預かって貰っておるし、引き込みの久吉という男は括って納戸に放り込んで置いた」
 囁くように尋ねる言葉に、同じく声を落として答えるモンド、一同は一階の入れ込みの奥で息を潜めて待っていました。
「合図がきたら、俺が‥‥」
 御神村が言えば、賊が中へと押し入ってくると同時に外の彦坂昭衛率いる部下たちが御店の周りを囲んで抑えるとのことで、それぞれが神経を研ぎ澄ませて待ち構えています。
 やがて、そう待たない内に裏の戸が小さく叩かれ、そっと戸の錠を外して離れる御神村に、どこか怪訝そうな面持ちで入ってくる男達の数は十人。
 彼らが中に入るとほぼ同時に、一斉に掲げられる『凶盗』の高提灯。
「御店より逃れ出でる者、手向かえば斬捨てよ!」
 外から聞こえてくる武兵衛の声と上がる声、一行が奥から姿を現せば、一斉に抜き放たれる刀。
「さっきの借りを返させてもらうぜぃ」
 にやりと笑って言う嵐山。
 男達の抵抗はかなりのものがありましたが、結局のところ退路も塞がれ、空が白み始める事にはそれぞれがどこかしらに深手を負いつつ捕らえられるのでした。

●小福ごころの頂きながら
「しかし、魔法とは便利なものだな」
 武兵衛が言うのには訳が。
 包囲網を突破しようとした主格の浪人の手により深手を負った同心や小者もいたのですが、手早く嵐山が癒したため命を落としたものは出ませんでした。
 ここは綾藤の一室、いすゞやの主人が小福ごころを持参して先程何度も礼を述べて帰って行った後、それを茶と共に頂きながら兵庫と言葉を交わしていました。
「弓などを扱っていた数名を取り逃してしまったのは残念ですが‥‥」
 襲撃時に主格の男と共に襲い掛かってきた浪人たちはそのまま散り散りに逃げたようで、倒して引き立てたものや押し入ったものたちを責めて聞き出した盗賊宿は既にもぬけの殻だったとか。
「浪人崩れの者たちが集まって此度の事を起こそうとしていたのか‥‥」
「だが、それまでに行っていた強請りに集り‥‥それ以外にも幾人も殺してるってぇ話だからな」
 その辺りの裏づけは改方で引き続き行うそうで。
「まぁ、何にせよ無事で良かったなぁ?」
「一時はどうなる事かとひやっとしたがな」
 嵐山と誠志郎の言葉にしみじみとした様子で頷く兵庫。
「まだまだ忙しくなりそうだな‥‥」
 誠志郎は饅頭を一つ手に取りそう苦笑混じりに呟くのでした。