比良屋の年越し・行く年来る年

■ショートシナリオ


担当:想夢公司

対応レベル:フリーlv

難易度:普通

成功報酬:0 G 65 C

参加人数:6人

サポート参加人数:6人

冒険期間:12月30日〜01月04日

リプレイ公開日:2007年01月14日

●オープニング

「いや、実はですねぇ、清之輔と彦坂様を宴会へとお誘いしたところ、はい、綾藤でご一緒しないかと、こう嬉しい申し出がありまして」
 にこにこと笑顔で言う比良屋主人、見れば丁稚の荘吉君の姿が見あたりません。
「あれ? 荘吉君は‥‥」
「今年最後の仕事と、ここ数日は番頭と集金に回っていますよ。私まで出てしまいますと、今度はお店番が‥‥」
「‥‥‥‥何かが思い切り間違っている気がしますが、そう言えば御店が少し静かですね」
 行って見回せば、薬を買い求める客はいるのですが、対応する店員が、お弓と主人だけで。
「お里に戻る者はそろそろ戻らないと、一緒に年を越せなくなりましからねぇ」
「あぁ、そう言えば確かに‥‥」
 なるほど、と頷く受付の青年に、比良屋はまた思い出したかのように相好を崩して口を開き。
「清之輔も立派な御家に養子に入ることが出来、しかもちょくちょく顔を見せにと彦坂様が言ってくださるので、本当にもう、有り難いことで」
 聞けば彦坂家の大奥様の方からも色々と気遣いがあるようで、清之輔も張り切って勉学や刀をと、これから学んでいくためにまず身体の仕組みを整える所から始めているようで。
「それでですね、『妹君も寂しかろう、今年は比良屋の父君の元で年越しをしてはどうだ?』と言ってくださったのですが、それでは申し訳もなく、もし宜しければ年忘れの宴を、とお誘いしたのですよ」
 返事を待つ間に綾藤や改方からも話が来て、気がつけば合同の年忘れの宴にとなったようで。
「賑やかなのも嫌いではないですし、それだけ居れば、それぞれが自由に宴を楽しめるのではないかと、こう思いまして」
 希望が有れば食材も用意しますし、その後の年越しも、御店に人がいるだけでも助かるので、と言う主人に頷きながら依頼書へ書き付けていく受付の青年。
「では、こちら、宴と新年のお祝いのお誘いと出しておきますね」
「お願いします」
 嬉しそうな笑みを浮かべて何度も頷いた比良屋に、受付の青年は依頼書の確認をして貰ってから、比良屋を後にするのでした。

●今回の参加者

 ea2175 リーゼ・ヴォルケイトス(38歳・♀・ナイト・人間・ノルマン王国)
 ea3220 九十九 嵐童(33歳・♂・忍者・パラ・ジャパン)
 eb0062 ケイン・クロード(30歳・♂・ナイト・人間・イギリス王国)
 eb0993 サラ・ヴォルケイトス(31歳・♀・ナイト・人間・ノルマン王国)
 eb3668 テラー・アスモレス(37歳・♂・神聖騎士・ハーフエルフ・ロシア王国)
 eb5534 天堂 朔耶(23歳・♀・忍者・人間・ジャパン)

●サポート参加者

ルミリア・ザナックス(ea5298)/ 天堂 蒼紫(eb5401)/ 加賀美 祐基(eb5402)/ キルゼフル(eb5778)/ 雷瀬 龍(eb5858)/ 小鳥遊 郭之丞(eb9508

●リプレイ本文

●宴の前
「二年続けて比良屋の皆と年越し出来るなんて‥‥こんなに嬉しい事は無いよね」
 そう目を細め、久方ぶりの比良屋でよく使っていた客間に通され荷を置いていたケイン・クロード(eb0062)は呟きます。
 比良屋は既に年越しの支度もおおよそ済んでおり、綾藤に出かけていくだけになっているようで。
「あ、お雪ちゃん、ちょっと良いかな」
「けいんおにいちゃん?」
 ケインに呼ばれてちょこちょこと歩み寄るお雪は、直ぐ側に腰を下ろすと首を傾げます。
「お雪ちゃん、エスナお姉ちゃん、覚えてるかな?」
「うん、おぼえてる。いっしょにあそんでもらったもん」
 こっくりと頷くお雪に、ケインは木彫りのうさぎの人形を取り出し続けます。
「お姉ちゃんね、いま遠い異国にいるんだけど、お雪ちゃんにこれを渡して欲しいって」
「おねぇちゃん、とおくにいるの?」
 お雪の言葉に小さく頷くケイン、ケインはお雪へとそっと人形を差し出し。
「‥‥お友達の証だって、また戻ってきたら一緒に遊ぼうね、て‥‥だからお雪ちゃん、受け取ってもらえるかな?」
「‥‥」
 じわっと目に涙が浮かぶお雪ですが、差し出されたお人形を受け取り暫く俯いていて。
「‥‥‥えすなおねぇちゃん‥‥」
「ん?」
「もどってくる? また、おゆきといっしょにあそんでくれる?」
「‥‥もちろんだよ」
 お雪の頭を撫でてやりながら微笑するケインに、お雪は目元をぐしぐしこするとぎゅっと人形を抱きしめているのでした。
「大勢で宴会‥‥うーん、賑やかで楽しそう♪」
「そーだねー。うーん。呼ぶ人呼ぶ人‥‥」
 天堂朔耶(eb5534)が愛犬・総司朗を撫でながら言うのに、サラ・ヴォルケイトス(eb0993)も頷くと、考えるように首を傾げて。
「そーだ、美名ちゃんと鶴吉くん一家の人たち呼ぼう!」
「美名ちゃんと鶴吉くん?」
「そ、あたしの妹と弟」
 笑いながらサラが言えば、そこへ正装で現れるリーゼ・ヴォルケイトス(ea2175)。
「サラ、そろそろ挨拶に行くよ」
「あ、はーい」
 リーゼに言われて慌てて支度を始めるサラ。
「んー‥‥お兄ちゃんと来れなかったのはちょっと残念ですけど、まあ仕方ないですよね♪」
「くぅ?」
 遠くから『は、離せ加賀美! 俺は朔耶の側で見守って‥‥』と離れていく声が聞こえたのはきっと気のせいでしょう。
「拙者は義侠塾というトコロで学ばせて頂いてるでござるよ」
「ぼ、僕は小さな町道場で降棒から始めています‥‥」
 テラー・アスモレス(eb3668)と話しているのは清之輔、先頃比良屋から彦坂家というなかなかに立派な旗本の所へ養子へと入ったばかりの少年です。
「なかなかに厳しい学び舎ゆえ苦労致すでござるが、それだけにやり甲斐のある場所でござる」
「ん‥‥それを聞くと少し不安になります‥‥僕は彦坂のお父上も御祖母様も良くしてくれますけど‥‥まだ今の生活になれるところまで行っていなくって‥‥」
「拙者のように異国へ出て参るとかは行き過ぎでござろうが、学ぶ方法はたくさんあるでござる。己のペースでじっくり考えて鍛錬されると良いでござるよ」
 焦らずに、笑って付け足すテラーの言葉に、清之輔も悩んでいるような表情に笑みを浮かべて頷くのでした。
「確か復興祭以来だったか‥‥お雪ちゃん、比良屋の旦那はあれから約束破ったりしてねぇか?」
「うん、ととさま、やくそくちゃんとまもってくれるの。ゆきも、いいこにしてるよ」
 かっくりと首を傾けるお雪に良い子だ、と撫でるのは九十九嵐童(ea3220)。
 過去にお祭の約束を守って貰えなくて拗ねてしまったこともあるのを知っている嵐童は、約束をちゃんと守って貰えて良かったな、と言えば、にこぉっと笑って頷くお雪。
「とと、どこか行くのか?」
「あのね、おかいものにいきたいの‥‥ととさまのおしりあいのおうちと、かわいいぬのをかってこないといけないの」
「ふむ‥‥」
 どうやら皆忙しい様子、1人では危ないからと嵐童はお雪のちょっとしたお買い物に付き合うことにしたようなのでした。

●年忘れの宴
「あ、総司朗は宴会場には入れないからねー」
「きゅーん」
 綾藤へとやって来て朔耶に待てを言われて庭で寂しそうに鼻を鳴らした総司朗ですが、見れば座敷の中で既に子供達と一緒に猫や犬がじゃれて遊んでいます。
「あれ?」
 首を傾げた朔耶に声をかけるのはテラー。
「おお、金山でのペットコンクールの時以来でござるな、お久しゅうござる、あの時は優勝おめでとうでござる」
「あ、テラーさん、お久し振りですー」
「総司朗殿もお元気そうで何よりでござる」
 頭を撫でれば嬉しそうに千切れんばかりに尻尾を振る総司朗に、朔耶も嬉しそうに笑って。
「あ、わんちゃんーそーしろーくん?」
 なにかの包みを大切に抱えたお雪がちょこちょこと歩み寄れば、憶えててくれたんだーと笑いながら言う朔耶。
「なでてもいい?」
 お雪に並んで鶴吉が顔を出して聞けば、ぺたんと畳の上に座って大人しく撫でさせる総司朗に嬉しそうに笑って撫でる鶴吉とお雪。
「まぁ、そんなところにいないでどうぞ。犬は足を拭いてあげれば結構ですよ」
 綾藤の女将・お藤が笑って言い、足を綺麗に拭って貰った総司朗は何だか誇らしげにてこてことお座敷の中を歩くのでした。
「二人とも元気だった? 美名ちゃん鶴吉くんにいじめられてない?」
 美名と鶴吉の姿を認めたサラが2人に駆け寄ってぎゅっとすれば、嬉しそうにぎゅっと抱きつきかえす美名と、はにかんだ笑みを浮かべる鶴吉。
「鶴吉くんも仲良くするんだよ〜? そうじゃないとおしりぺんぺんだぞ♪」
「ぼ、ぼくいじめてないよ」
 あわあわと慌てる鶴吉、とそこへ来たのは凶賊盗賊改方の同心、伊勢と田村。
「相変わらず賑やかだな」
 ちょっとぶっきらぼうに言いつつも口元に笑みを浮かべている伊勢ににまっと笑って返すサラ。
「そろそろ始まるようだ、中へと入っていた方が良いだろう」
 田村に促されて宴会場に入ればケインがお膳を運んで入ってきて、朔耶もお手伝いへ向かった様子。
 すぐに始まった宴会場、ネムが頭を下げてから爪弾かれる曲、リフィーティアの歌にリーゼも鉄笛を口元へとは運び、演奏に彩りを添えます。
 そこで仲睦まじく言葉を交わしている壮年男性とその若い奥方に気が付いて歩み寄るサラ。
「子供たち二人とも元気だし、明るいし、ほんと幸せそう‥‥おふたりさんも幸せそうで何よりだよ♪」
「おお、これはこれは。今年も世話になった」
「本当に、感謝しておりまする」
 互いに笑みを浮かべ微笑み合うと、サラに礼を言う2人。
「これからもあの子達がちゃんと過ごせるように、アタシたちは頑張るから、ね」
 どこか嬉しそうな照れたような表情で言うサラに、無理だけはしないでくれよ、と娘を見るかのような穏やかな目で、壮年男性は言うのでした。
「欧州で聖夜に贈り物をしてまわるという不思議な老人を模して作られた品でござる、宴会にお呼び頂いた感謝の気持ちという事で」
 テラーが比良屋主人に差し出すのはサンタクロース人形。
「ほほう‥‥面白い風習があるのですなぁ‥‥しかし、その、この御老人はどのような基準で贈り物を配っておられるのでしょうか? 人の手ではそれほど配れるものなのか、何がその後老人を駆り立てているのでしょう?」
「いやいや、不思議な老人と言っただけあり、普通の人では出来ないような、沢山の人に贈り物を配るのでござるよ」
「ほほぉ‥‥妖怪というわけでもないようですし、誠に不思議な老人のようですなぁ。有難く頂戴致します」
 嬉しそうに受け取った比良屋主人は、後で素焼きの埴輪お返しに渡したとか。
「それにしても良い魚と、立派な野菜がありましたね」
 腕の奮い甲斐がありました、と笑うケインに、テラーのお手伝いに来ていたキルゼフルが持ってきてくれた野菜に雷瀬龍の手に入れてきたお魚が追加されたとのことで、改方の人達も箸が進むようで。
 見ればルミリア・ザナックスと小鳥遊郭之丞が宴のお手伝いをしながら時折食事やお酒を勧められているのが見えたり。
 そんな様子を笑みを浮かべて眺めていたケインは、ふとそわそわしている荘吉に気が付き。
「落ち着かない?」
「ええ、何かやっていた方がしっくり来るのですが‥‥」
 声をかけられれば頷く荘吉にケインは微笑します。
「‥‥荘吉君は、もっと人に頼ったり、甘えたりしてもいいと思うよ」
「そ、そうですか?」
「うん。それに、今年一年、比良屋の大黒柱として頑張ってくれたんだから、年越しくらいはゆっくりしてもらわないとね」
 なかなか慣れないみたいだけど、笑いながらケインが言うのに、荘吉は頬を掻くのでした。
「‥‥あいつは死ぬような奴じゃないからね‥‥」
 笛を奏でる手を止めて呟くのはリーゼ。
 同心達に声をかけられお猪口をくいと乾せば、進められる料理を口にしながらついつい仕事の話に盛り上がり。
「虎も誠志郎も嵐童も、今年はまた忙しくなりそうだね‥‥っと、嵐童は?」
 お猪口を手に言うも、ふと見れば先程まで居た嵐童が見あたらず首を傾げる3人。
「つまみが切れたからな‥‥」
 とそこへ現れる嵐童、誰かが酒もつまみも凄い勢いで消費するから、と言えば嵐山は呵々と大笑い。
 夜も更けてきて子供達名そろそろ別室でお休みに入った頃らしく、サラがやってきてリーゼの隣に腰を下ろし。
「‥‥お酒軽く飲んでるみたいだけど、子供たち居るしあたしは飲まないよ? 飲まないったら飲まないの!」
 ちょっと駄々っ子のような口調でリーゼに甘えるサラ、リーゼのそれが分かってか優しい目でサラを見ています。
「さてと、もう一曲いくかな‥‥」
 笛を口元へと運んだリーゼ、誰を思ってかしんみりとした曲が流れ、宴を楽しむ人達も、年を振り返り言葉を交わして。
 改方の面々も、綾藤の面々も、そして比良屋の人々も、過ぎゆく年に思いを馳せるのでした。

●比良屋の年越し
「お蕎麦、美味しー」
「ばう!」
 のんびりと比良屋でお蕎麦を啜る一同に、聞こえてくるのは除夜の鐘。
 比良屋の人々はその年最後の日をケインや朔耶は年越し蕎麦の準備におせちをお弓に習って作ってみたり。
 お雪は貴由に習って舞いに手伝って貰い目的の物を縫い上げたようで、お礼にお気に入りの帯留めを2人に贈っていたり、荘吉と主人は顔を付き合わせて来年に向けてとお仕事の最終確認を済ませ。
 テラーはお弓の手が空いた時に、初日の出の見える場所を確認し、防寒対策を敷いて年越しの支度もばっちりです。
 リーゼとサラは故郷の話しに江戸に来てからといろいろ姉妹の間でつもる話もあるようで、お蕎麦を啜りながら楽しげに言葉を交わしています。
「色々あったよなぁ。良い事も、そうでない事も。来年はどうなることか‥‥ま、言ってても始まらないか」
「ぼやいていても始まらない。それに、良い年になるようにって気持ちを持っていないとね」
 せめてお正月ぐらいは、笑いながら言うリーゼにそうだな、と頷く嵐童。
「あのねあのね、ゆき、つくったの‥‥えすなおねえちゃんに、あえたらわたしてほしいの」
 そう言って、お蕎麦を食べ終えてお茶を飲みながら除夜の鐘を聞いていたケインにお雪が差し出したのは香り袋。
「ゆき、おにんぎょうだいじにもってる‥‥おねえちゃんもどってくるの、まってるから」
「うん‥‥ありがとう、お雪ちゃん」
 ケインが受け取って頭を撫でると、こっくりと頷いてとてとてと戻るお雪。
 渡したことで気が弛んだのか、除夜の鐘が鳴り終わる前に、お雪は総司朗を撫でているうちに総司朗と一緒に夢の中。
「あは、お雪ちゃんも総司朗もあっという間に眠っちゃった‥‥」
 笑みを浮かべてみる朔耶。
 こんなふうに比良屋は新たな年を迎えるのでした。

●比良屋のお正月
「今年一年も、お兄ちゃんたちと総司朗と仲良く過ごせますよーに。あと、立派な忍者になれますよーに♪」
「きゅー‥‥」
 元気良くお参りの朔耶に総司朗も何やらお願い事があったよう、お雪と並んで晴れ着でお参りしている様は微笑ましく周りからも映るようで。
 一方リーゼとサラも、改方の知人達と一緒に初詣に出ているようで。
「家族と、仲間が泣かない様な一年であるように」
 小さく呟くリーゼ、改方の面々も、それそれが仲間の無事を祈っている様子です。
 中にはお祓いを受けている誠志郎のような者も居たり。
「あ、おみくじおみくじー」
「あ、あたしもー!」
 朔耶とサラがここで見事に顔合わせ。
「お兄ちゃんが言ってました『運命は自分の手で掴み取るものだ』て♪ えい!」
 ある意味正しい御神籤の引き方、神様だってちゃんとお願い事や決意を分かれば運勢はお知らせしやすいもの、とっても良い結果の御神籤に朔耶は思わずにっこり。
 サラの運勢もまずまずだったようです。
 テラーも無事に初日の出を拝んでこられたようで、1日目は御節を食べてお餅を食べてのんびり過ごします。
 そして、2日目は何やら比良屋主人は裃に大刀小刀下げて何やら荷を抱える荘吉。
「新年の挨拶回りなんですよ」
「あぁ、そう言えば‥‥」
 昨年も一緒に年を越したためか頷くケイン。
「午後には綾藤の方へと向かいますので、皆さん、お先にのんびり楽しんできてください」
 そう言って早めに出かける比良屋と荘吉、他の者は綾藤へとのんびり向かいます。
「んむんむ‥‥む‥‥紙が入ってた‥‥」
 むぐむぐと御神村が出したお饅頭を頬張っていた鶴吉が、お饅頭の中から突き出した折り畳まれた紙切れに首を傾げて引っ張り出すと、それを開いて首を傾げます。
「‥‥えと‥‥な‥‥き・ち‥‥?」
「中吉、だな」
 鶴吉の手元の紙を覗いて言う御神村ですが、何やら無言でじっと手元の紙を見つめている荘吉に目を向けて。
「どうかしたのか?」
「いえ、僕は初めて吉のついた御神籤を引きました‥‥」
「それは幸先が良いな」
 言われて繰り返し小吉の御神籤を見る荘吉に笑いがこぼれる一同。
 こっそり大吉から小吉までしか入っていないのは秘密です。
 玲が搗いてリーゼが返し、嵐山が搗いて純直が返し。
 沖鷹が大福にしたり子供達がお手伝いで甘いお餅が出来たり、目一杯にお正月を楽しむ人々。
「わー美味しそう、存分にゴチになりまっす♪ 」
 サラがはしゃいでお餅を貰って居る後ろでは、お餅も出来たしと書き初めを始める純直に、教わる子供達。
「では拙者も‥‥!」
 勢いのある堂々とした『義侠』の文字を黒々と半紙に書き付け満足げなテラー。
 賑やかにお餅を頂きながら、比良屋と一同は新しい年を迎えたのでした。