捕り物・主人殺し
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■ショートシナリオ
担当:想夢公司
対応レベル:11〜lv
難易度:難しい
成功報酬:7 G 23 C
参加人数:8人
サポート参加人数:1人
冒険期間:02月24日〜03月01日
リプレイ公開日:2007年03月07日
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●オープニング
その日、凍えるような冷たい風に細かく降り注ぐ雨の中、笠を目深に被った男性がギルドへと入ってきたのは、どんよりと暗い昼下がりのことでした。
「手を借りたい‥‥出来れば手練れの者を‥‥」
そう言う男性の顔は隈に少しやつれて見える頬、どこから見ても疲労の色濃く浮いたその男性に驚いたように目を瞬かせたのは受付の青年。
「あ‥‥薮田様‥‥どうしたんですか? すっかりと‥‥」
やつれて、そういいかけて言葉を途切れさせる受付の青年は、記憶のものよりも遥かに疲れ果て打ちひしがれた様子の町方同心・薮田衛門七に戸惑っていて。
「あぁ、大丈夫だ。それよりも、あまり時間がない。仕事の話に移って良いだろうか?」
「あ、はい、こちらへ‥‥」
ただならぬ様子に頷いて奥へと通す受付の青年、薮田は腰を下ろすと出される茶を一口啜ると、深く息を付いてから口を開きます。
「‥‥嵯峨屋という酒問屋の件を、聞いているだろうか?」
「あぁ、あの主人と使用人2人が惨殺されて、娘婿が捕まったって聞きましたけど‥‥」
「流石に耳が早いな。その、嵯峨屋の件を今追っている‥‥その為に手を借りたいのだ」
「下手人が捕らえられたというのにですか?」
受付の青年が言えば、悲しそうに僅かに目を逸らす薮田同心、受付の青年もその様子に眉を小さく寄せて。
「違う‥‥んですか‥‥?」
「その娘婿とは、私の弟だ。本人は認めておらぬし、それに姿を消した奉公人もいる。だが、自分はその瞬間を見たという者がいてな‥‥」
身内であるために庇っているのであろうと聞く耳を持たない者もいたし、仕事熱心で真面目、若くして頭角を現していた薮田同心に妬みを持つ者もいるようで。
「実の弟となればかばい立てするであろうと‥‥それはないと肩を持ってくれた者も居たが、現状ではその者達に手を借り、個人で調べるより他に方法はなく‥‥」
暗い表情で言う薮田に言葉を無くして依頼書へと目を落とす受付の青年。
「だが、だが義父である嵯峨屋主人との仲は良好であるし、義妹とも仲睦まじく、春には子も生まれるはずであった‥‥」
「だった、って‥‥」
まさか、と小さく問いかけるように呟く受付の青年に、薮田は頷いて。
「実の父の遺体を目にし、夫も捕らえられ、その悲しみと衝撃が強かったのであろう‥‥。伏せりながらも弟の無実を訴える義妹があまりにも不憫で、やっていないと泣き叫ぶ弟が、あまりに‥‥」
目頭を押さえて言葉を途切れさせる薮田。
「頼む、調べて弟が本当にあのような真似をしたのならば裁きを受けるのは当然のこと。だが、もし‥‥。頼む、手を貸して貰いたい」
僅かに声を震わせながら、薮田同心は改めて頼むと深く頭を下げるのでした。
●リプレイ本文
●濡れ衣を晴らすために
「久しぶりだ。弟さんの濡れ衣を晴らしたら、みんなで祝杯といこう」
「おお、良く来てくれた、誠にもって忝なく‥‥」
禄に休んでいないのでしょう、すっかりと窶れ果てた薮田同心に、柚衛秋人(eb5106)は声をかけると小さく笑いかけて、安心させようとでも言うように頷きます。
「おいらも犯人は弟さんじゃないって信じるよ。真犯人を捕まえる為に頑張るから、薮田さんも元気出してね?」
心配そうに見上げるチップ・エイオータ(ea0061)はすっかりと出立の支度を調えており、チップが絶対に逃げた人は連れ戻すよ、と頷いてみせるのに、微かにですが笑んで頷き。
「おう、チップ、人相書きは出来たぜ。先行っててくれや、直ぐに追いつくからよ」
嵐山虎彦(ea3269)から軽く畳まれたそれを受け取り改めて顔を確認すると、大事そうに人相書きを荷に納めて、チップは一度だけ振り返り手を振って。
「じゃ、行ってくるね!」
フライングブルームで宿場へと急ぐチップを見送ると、幾つか逃げた男について調べていた天風誠志郎(ea8191)が入れ違いのように戻ってきて。
「薮田殿、心中お察しします」
痛ましい事柄に目を伏せる誠志郎は、真剣な表情で筆を走らせ続ける嵐山へと目を向け。
「男の体格は、弟とあまり変わらないぐらいであったと伺ったが‥‥」
「並べば少し、こやつの方が大柄ではあったが、少し背を丸めて歩く癖があったようでな、遠目に見れば同じに見えるやもしれん」
自身の記憶を手繰るかのように眉を寄せて言う薮田に頷く誠志郎、先程から他の同心に話を聞いていた様子の日向大輝(ea3597)は腕を組み軽く首を傾げて。
「決め手になっているのが使用人の女性の証言か‥‥」
「『あれは絶対に若旦那だ』それの一点張りでな‥‥勤めて長く仕事もそれなりには出来るのだが‥‥」
そそっかしくお喋り好き、仕事そっちのけで噂話に花を咲かせる性格のため、弟には何度かやんわり注意をされていたこともあったそうで、弟に対しては婿入りしてきた若旦那が口出しするなとぴしゃり、そんな話も聞こえてきます。
「まずはその女性に当たってみるのが筋だよな‥‥あ、あと、その後押収された得物や衣類など、調べることは出来るかな?」
「現場への手配は自分が‥‥今薮田さんが近付くと、痛くもない腹を探られるからな」
大輝が聞けばこの件を担当している様子の若い同心・中島が責任を持って手配するとの事。
「あと、出来れば弟さんと話が出来ると有難いのですが」
ルーラス・エルミナス(ea0282)が言えば、手続きに少しかかるそうですが直ぐに手配してくれるとの事。
「無実の罪か‥‥もし本当であれば、何とか冤罪を晴らしたいし、悪人は犯した罪を贖わねば」
西中島導仁(ea2741)が人相書きと調書を確認しながら言えば、ジェームス・モンド(ea3731)にかっと笑い頷いて。
「先入観を除いて見ても、薮田殿の弟殿は犯行に至る動機が薄い。こう、何かあるんじゃないかと、俺の勘にも響いてきていてな」
それぞれの言葉を聞いて薮田は目元を僅かに赤くしながら、改めて宜しく頼むと頭を下げるのでした。
●現場百遍とは良く言って
「疑ってかかりだしたらきりがないんだが、気になる所は調べない時がすまなくてな」
苦笑するモンドに中島同心はその気持ちは分かる、と頷きながら件の女性の話を聞きに来ていました。
「目撃した女はこちらに着くのがもう少しかかるとの事だ」
中島同心が連絡に来ていたらしき小物を返すと言う言葉に頷くと、早速室内の様子を確認し始める柚衛に、どこにどう触れていいのやら迷うように現場を見て眉を寄せる大輝。
殺された嵯峨屋の主人の部屋は凄惨を極めていました。
障子に飛び散っていた小さな黒い染みは兎も角、畳の上に黒く乾いた黒い何かが鼻につく匂いと共に意識を引き、壁や天井にまで飛んだ血が、部屋に入りざまに主人とその用を受けていた使用人とを斬り上げたことを物語っており。
「こっちから入ってきたから、反対側の逃げ道のない方に逃げてしまったってことか‥‥」
難しい顔をして部屋を見渡していた大輝が言えば、モンドが頷きながら手ぬぐいを添えてそっと蓋を持ち上げた奥の大振りな漆塗りの入れ物には何も入っておらず、中には血が垂れた跡が残っています。
「この手文庫の中には何が?」
「いくらかまとまった額の金が入っていた。ただ、店の者は皆その事を知っていた」
屈んでいたモンドの上から覗き込んだ導仁が中島同心に尋ねれば、返ってくる答えに考える様子を見せる柚衛。
「つまりここに金があるのを知っていて、主人をまず入ってき様に殺し、同席していた使用人をも殺し金を取り出した‥‥」
「嬲り殺しと合ったので時間をかけていたかもしれんが、とにかくその後そこに来たのが目撃者の女性と言うわけだな。なら、何故殺さなかったかであるが‥‥」
柚衛の呟くような言葉にモンドが言えば、導仁は口を開きます。
「その場にいた他の使用人は一緒に殺されたと言うのにな。殺されていればと言うつもりはもちろんない。だが、作為的なものを感じるな」
そう言うと、奉行所の小物が中島同心を呼び、二間離れた部屋へと移動する一行。
「自分に話すのと同じく、聞かれた事には正直に答えるよう」
「失礼な、あたしゃ何度も言いましたよ。若旦那を確かに見たんだ、この件はもう終わりでしょうさ」
主人の部屋と同じ間取りの部屋のうちの一つ、きんきんと甲高い声を張り上げて言う女性ですが、そこへ穏やかなモンドの声が割り込んで。
「お役所仕事とは色々と面倒なものでな、些細な事でも確認が必要になる事があるのだ。お前さんには申し訳ないが、もう一度話を聞かせて貰えんかな?」
にかっと笑いかけて言うモンドの言葉に、あんたもあれぐらい下手に出ななどと中島同心に暴言に近い事を吐き捨ててから一行へと向き直る女性。
色々とその時の様子を窺えば、聞こえてきた物音に部屋の前まで来ると、突然障子が開いて、若旦那がにたりと笑って出て行ったと言い出すのですが。
「ふ‥‥振り向いて笑った、ですか‥‥?」
あまりにあまりな証言に目を瞬かせる一行、しっかりと目撃されていて何もせずに逃げたと言うのならばと驚くその様子を、自分へ感心したのと勘違いでもしたのでしょう、若旦那に『なんて事をしたんだ』などと声をかけたとまで言い出す始末。
「おい、声をかけたなんて今まで一言も言っていなかっただろう」
「いーや、あたしゃ若旦那に確かに言ったんだ。その話だって確かにしたよ」
「‥‥‥なるほど、こういうことか‥‥」
「まさか、ここまでとは、な‥‥」
女性と中島同心の会話に柚衛が溜息をつけば、沈痛な面持ちで額に手を当てる導仁。
「ちょ、ちょっと聞きたいんだけど‥‥」
「なんだい、子供は引っ込んでな」
「なっ‥‥子供じゃないっ!」
思わず声を上げた大輝、ふんと莫迦にしたように鼻を鳴らす女性にむっと怒った表情で睨み付ける大輝ですが、深呼吸をして再び口を開き。
「それ、どの辺で見た? 多分さっきの部屋とこの部屋、見たところ同じ造りみたいだし‥‥」
「そうだな、申し訳ないがちょっと見たと言う、その場所に立ってもらえんかな?」
大輝の言葉にモンドも女性へと促し、その間に大輝はきょろきょろと何かを探しているようで。
「えぇと、この台で平気かな‥‥そこ、笑うなっ」
ついつい微笑ましげに笑みを浮かべる奉行所の小物に思わず顔を赤くして言う大輝は、中島同心に遺体の位置と、下手人が立ってたと思われる場所の確認をして、下手人の位置へと台を置き上ります。
「‥‥‥やっぱり‥‥」
「何がやっぱりなんだい?」
不満げに鼻を鳴らす女性に、大輝は逃げた男や薮田同心の弟である若旦那の背をもう一度確認してから口を開きます。
「そこからじゃ、犯人の顔は見えない‥‥!」
大輝の言葉に弾かれたように見る一同。
「‥‥へ?」
たった一人、その言葉の意味を理解できかなった女性は、何を言われたかも分からないようでなんとも間の抜けた声を漏らすのでした。
●宿場の捕り物
調べ物をしていた誠志郎と嵐山がその宿場へと着いたのは、二日目の夕刻のことでした。
「取り敢えずまずは宿に荷を置こう」
先に立って宿へと向かう誠志郎に、荷を背負い直して後を付いていく嵐山。
やがて宿場の端にあるそこそこ大きな宿の軒先に笠がつり下げられているのを目に留めた誠志郎がその宿に入って行けば、チップが後から追っかけてくると告げていたようで、直ぐに通される部屋に荷を置いて出される茶を飲み漸く一息つく誠志郎と嵐山。
「あ、2人ともついたんだね」
「ああ。そちらの首尾はどうだ?」
暫くして部屋に顔を出すチップに頷く誠志郎は、挨拶もそこそこに尋ねかけて。
「来る前に聞いていた例の親族、この宿場の反対外れに小さな寮を持って居るみたいで、そこに人の出入りがあったみたいだよ、数日前に」
チップは江戸を立つ前に来生十四郎が確認を取ってくれていた情報を抱え、人相書きと一緒に大事に持ってきています。
「おいら明日は敷地内にこっそり入って、中の人の顔を確かめてこようと思うんだけど‥‥」
「俺は宿場役人に少し話を通してこよう。捕縛する場合に誤解や間違いがあっては不味いからな」
チップと誠志郎が言えば、嵐山はどうするかねぇと言いつつ少し考える様子を見せて。
「俺ぁ、その使用人の親族の所にちぃと行って来ようかねぃ」
「‥‥大丈夫なのか?」
嵐山の言葉にちらりと確認をするかのようにチップを見る誠志郎、チップは軽く首を傾げて。
「今のところ寮とその人の家の行き来はないっぽいかな。この宿場内で簡単に聞いたところだと、しょっちゅう問題を起こす甥が居て、江戸なら知られていないだろうっていって厄介払いしたとか言う話だって」
「された方が迷惑だ」
誠志郎が言うのも当然のこと、身内の恥を知らないところに押しつけて口を拭ったという事だからです。
翌日に行動を再開した3人、宿場役人に手早く話を付ける誠志郎に、嵐山が直接尋ねていった親族の家ではけちな主人に嫌気がさしておん出てきたとだけ男が言って戻ってきたことが分かり。
チップは敷地内にこっそりと侵入すれば、寮ではだらだら縁側でみっともなく寝ころんでいる、がっしりした体格の雰囲気の悪い男の姿が。
それを確認すると、宿場役人を同行させて3人は直ぐに踏み込むことに。
親族の男は知らなかったとはいえ男を匿ったこと、その男が幾つか起こした問題を無理矢理金と脅しで黙らせていたことが分かり既に捕まえています。
「やっと見つけたぜ。さぁて、観念しな、一度捕まえたからにゃ逃がしゃしねぇぜ!」
戸を蹴破り入る嵐山に身を翻し刀を取る男ですが、嵐山の体躯にその威圧感、咄嗟に身を翻して。
「‥‥神妙に縛につくのだな。それとも閻魔様に面会するか?」
「んだとぉ‥‥」
ぎと睨み付け刀を握りしめるも、誠志郎に目を向けてから辺りに逃げ道はないかと目を彷徨わせ。
「江戸の赤鬼はしつこいぞ? 地の果てまでも追いかける」
ゆっくりと抜き放たれる刀が紫に煌めくのを見て下がりかける男はその後ろを嵐山が立ち、弓を番えているチップの姿に目を向け‥‥。
「っ‥‥どけぇっ!!」
抜き打ち態に斬りつける男ですが、誠志郎はすと小さく身体を引くだけでその一撃を交わし、その身体に刀の峰を叩き込んで。
そのまま崩れ落ちる男にチップと嵐山も歩み寄ると、ひょいと持ち上げる嵐山。
「さて、さっさと包んで土産を持ち帰ってやろうぜ」
嵐山の言葉にチップは、にと笑って頷くのでした。
●違え様の無い事実
「私は、やっておりません‥‥」
中島同心の他の、担当している同心に自白を迫られて痛めつけられて居た様子のその年若い男性は、一行がやってくるのに目を向けると、それでもまっすぐと見ながら何とか身体を起こし居住まいを正してそう言います。
「当日は出かけていたと言うことですが‥‥」
ルーラスが尋ねれば頷く男性。
「あの日は幾つかお得意様へと挨拶回りをして、その帰りに安産祈願を‥‥家内が身重で何かがしたく‥‥そしてその時に家内の好物の菓子を求めまして‥‥」
切れ切れながらそう答える男性、役人達と違う雰囲気の一行に、男性は小さく問いかけて。
「恐れながら、申し訳ございませんが、家内はどうしていますでしょう‥‥私がこのようなことになって、義父が殺されたという話で‥‥どれほど心細いことか‥‥」
その言葉に思わず目を見合わせる一行、現場の様子も、奥さんの現状も知らない様子に困ったように見る一行ですが、導仁が口を開いて。
「今は療養所で休んでいる。無実の証明が出来れば、直ぐに会いに行ける」
その言葉に無事であることを伝えて貰えて感謝をする男性。
幾つか聞いていき、その後の遺体の調べ書きを見ても斬り口や様子など、男性と断言できないところが多く、また、男性の着物は場所さえ知っていれば誰でも出せたため、血塗れのその衣服が確証となるとも思えません。
何とか集めた情報を前に頭を悩ませていた一行は、逃げた男を捕まえて戻ってきた3人と合流して。
「あの男の荷からこんな物が出てきてな」
誠志郎が言って取り出すそれは小さな紙切れではありますが、僅かに残る赤い跡は、嵯峨屋の印が押されていたあと。
「手文庫から消えた金を包んでいた紙の一部が残っていたようだな」
そう言うと、誠志郎はにやりと笑ってみせるのでした。
●陽の下
「誠に忝なく‥‥」
そう言って礼を言う薮田同心は、弟を連れて療養所へと足を向けるようで。
「起きてしまったことは事だが‥‥後で弟さんの濡れ衣が晴れた、その祝いでもやろう」
そう言って声をかける柚衛に頷く薮田。
「弟を送ったら、必ず顔を出す。本当に、忝ない」
そう言って駕籠を呼び弟を乗せる薮田。
弟は一行に頭をさげると、眩しそうに目を細めて空を仰ぎ見てから、駕籠に揺られてその場を去り。
「身勝手な思いであの様な凶事を引き起こすとは‥‥」
小さく呟くモンド、逆恨みのような小さな恨みと娘の婿への妬みで踏み切った凶行、その日予定になかった外出を娘がしていなければ娘も斬られていたことが取り調べで分かり。
娘はあまり具合が思わしくなく、奉公人の1人に付き添われて医者の元へといっていたそうで。
「報われん事件だったが、あの2人なら立ち直って立派に店を建て直していくだろうさ」
話を聞きに行った時の男性、そして療養所の娘の様子を思い出し言う導仁。
その言葉にこの後のことを思って僅かに眉を寄せて空を見上げた大輝は、眩しそうに空を仰ぎ見た薮田同心の弟の顔をふと思い出し、青く澄み渡る空を見ながら小さく笑みを浮かべるのでした。