比良屋の避暑

■ショートシナリオ


担当:想夢公司

対応レベル:フリーlv

難易度:普通

成功報酬:0 G 65 C

参加人数:8人

サポート参加人数:1人

冒険期間:09月04日〜09月09日

リプレイ公開日:2007年09月16日

●オープニング

 その日、比良屋の主人とその愛娘・お雪が手を繋いで仲睦まじそうにギルドへとやって来たのは日が蔭り少し涼しくなった夕暮れ時のことでした。
「いやいや、すっかり夏の暑さにばててしまっていまして‥‥今日のお雪がせがむものですからこうして漸くお邪魔できまして」
「あらら、大丈夫ですか? 今年は異常に暑いですからねぇ‥‥お雪ちゃんは暑さ大丈夫?」
「ゆき、あつくてへろへろだけど、ととさまといっしょに、がんばるの‥‥」
 はにかんだ笑顔で言うお雪ですが、どうも暑さにはかなり参っている様子。
「この時期色々と危険だとは思ったのですが、江戸から半日‥‥もう少し先ですかね、とにかく1日はかからない所にある知人の棲む村に、避暑にでも行こうと云うことになりまして」
 比良屋の言葉に気持ちは分かります、と頷く受付の青年は、比良屋の告げる村の話に感心したように頷いて。
「ほう、それはそれは‥‥川沿いの涼やかな村と‥‥」
「うちは子供達と私、それに女中のお弓が行く予定でして‥‥今回兵庫様は道場があるので離れられないそうですが、昭衛様が何とか時間を作って今回は同行されると言うことで、清之輔様もそれは喜んで‥‥」
 彦坂の家に養子に入ったからでしょう、比良屋は清之輔のことを様付けで呼んでいますが、その言い方はどこか感慨深げでもあり。
「ですので、宜しければ御一緒にいかがでしょうかと、こうお誘いに来た次第です」
 嬉しげな比良屋の言葉につられて嬉しそうな笑みを浮かべて頷くと、受付の青年は依頼書へと筆を走らせるのでした。

●今回の参加者

 ea3269 嵐山 虎彦(45歳・♂・僧兵・ジャイアント・ジャパン)
 ea5927 沖鷹 又三郎(36歳・♂・僧兵・人間・ジャパン)
 ea9885 レイナス・フォルスティン(34歳・♂・侍・人間・エジプト)
 eb0062 ケイン・クロード(30歳・♂・ナイト・人間・イギリス王国)
 eb0752 エスナ・ウォルター(19歳・♀・ウィザード・ハーフエルフ・イギリス王国)
 eb0939 レヴィン・グリーン(32歳・♂・ウィザード・人間・ロシア王国)
 eb1098 所所楽 石榴(30歳・♀・忍者・人間・ジャパン)
 eb5534 天堂 朔耶(23歳・♀・忍者・人間・ジャパン)

●サポート参加者

九十九 刹那(eb1044

●リプレイ本文

●嬉しい再会
「お雪ちゃん、やっほー!」
 賑やかな声が比良屋に飛び込んできたのに嬉しそうに顔を上げたお雪、声の主はお雪のお友達の天堂朔耶(eb5534)です。
「ほらほら、お雪ちゃん!」
 朔耶が何かを後ろで隠すようにして言うのにきょとんと首を傾げるお雪。
「総司朗、ちっちゃくなっちゃったー!」
「キャン!」
 朔耶がひょいと後ろから取り出すのは愛犬の総司朗ですが、どうやら総司朗君は不思議な骨の力で小さくなってしまったようで。
「わぁ、おゆきでも、だっこできる?」
「うん、大丈夫だよー」
「きゅぅん」
 朔耶から総司朗を借りてだっこしているお雪、そこにぬっと現れた嵐山虎彦(ea3269)が上から覗きこめば、にこにこしながら総司朗を撫でるお雪をわしわしと撫でて。
「もうそろそろ昭衛の旦那も来るかねぃ?」
「朝早くに出て石川島に寄ってから来るそうでござるから、舟でそろそろ着く頃でござろうか」
 嵐山の言葉に答えるのは沖鷹又三郎(ea5927)で、釣り道具を確認して荷を纏めていて。
「それにしても今年の夏はことのほか暑かったでござるからの。ましてや子供には身にこたえたでござろう‥‥」
 水辺の村での避暑で元気になってくれれば良いのでござるが、そう続ける沖鷹に頷く嵐山。
「静かな所と聞く。ならばゆっくりと骨を休めるのに向いてもいよう」
「ええ、それはもう、のんびりとした村ですからきっと御期待に添えるかと」
 レイナス・フォルスティン(ea9885)が比良屋と言葉を交わすところへと歩み寄ったのは、レヴィン・グリーン(eb0939)と所所楽石榴(eb1098)の夫婦。
「比良屋さん、お久しぶりだねっ?」
「お招きに預かりありがとうございます。私たち夫婦もご一緒させていただきますね」
 その言葉に嬉しそうに笑みを浮かべて頷く比良屋。
 そんな中、入口部分では4人の人間がばったりと出くわす形となり。
「あ‥‥清之輔君のお父上‥‥でしょうか? お初にお目にかかります」
 ケイン・クロード(eb0062)が清之輔と共に現れた少々きつい顔つきをした男性・彦坂昭衛に声をかければ、なるほど、と理解したような表情で頷き口を開く昭衛。
「清之輔から話は伺っていた。大層世話になったようで、感謝する」
「ケインさん‥‥戻られたんですね。お帰りなさい」
 僅かに口許を緩めて言う昭衛に清之輔はどこか嬉しさを隠しきれない様子でぺこりと頭を下げ。
「あ‥‥えすなおねえちゃん?」
「あ、ケインさん、やっと来たんですねー♪」
 言葉を交わすケインの後ろでおずおずといった様子で比良屋を見ていたエスナ・ウォルター(eb0752)の耳に懐かしい声が聞こえたかと思うと、とてとてと朔耶と共にやってきたお雪に、エスナも嬉しそうな笑顔でお雪へと向かい。
「おかえりなさい、えすなおねえちゃん」
「えと、お雪ちゃん‥‥これ、ありがとう‥‥とっても、嬉しかったよ‥‥」
 そう言ってエスナが触れる香り袋ににこぉっと笑って見上げるお雪、エスナは屈むとお雪に目線を合わせておずおずといった様子で続けます。
「また‥‥一緒に遊んでくれる‥‥?」
「うん、おゆき、おねえちゃんがかえってくるの、まってたよ。また、おゆきとあそんでくれるんだよね?」
 お雪の言葉にエスナは薄らと目に涙を浮かべてほほ笑むとその頭を撫でてやるのでした。

●避暑地の光景
 長閑な道中、沖鷹が牽く馬に乗っかって恐る恐るといった様子でその鬣を撫でるお雪は、ときおり物珍しげに辺りを見ては、ひょいと嵐山によろけないように支えて貰ったりしています。
 なんだか楽しげに道々の様子を傍らのエスナに話しかけるケイン、エスナは話しかけられれば頬を染めて微笑み返して頷き。
 婚前旅行になるのかな、などと二人とも意識をしているのか、ふと目が合っては照れたりはにかんだりと微笑ましい様子、そんな二人の周りを絵砂の愛犬・カカオとラティがしっぽをぶんぶん振りながら歩いており。
「それにしても、昭衛の旦那ぁすっかり清之輔相手に頬が緩みっぱなしじゃねぇか」
「‥‥‥‥嵐山、後で話がある」
 荘吉と比良屋に挟まれて楽しげに話す清之輔に僅かに口許を緩めて眺めつつ歩いていた昭衛へと嵐山がからかいにも似た口調で言えば、微笑を浮かべたまま凍りつくような目つきで顔を向けて言う昭衛。
「あー‥‥まぁ、なんだ、荘吉、最近商売の方はどんな按配だ?」
 慌てて前を行く荘吉に声をかければ、不安定な状況でも薬種問屋だから困った客は増えても客に困る状況ではないですよ、と振り返りつつ返す荘吉。
「比良屋さんも大変なんですねー?」
「まぁ、旦那様は別にいつも通りなんですけどね」
 目を瞬かせて言う朔耶にはやれやれとばかりに肩をすくめて比良屋を見る荘吉が答え、不思議そうに首を傾げる比良屋。
 レイナスがそんな一行の後ろを歩き、そのさらに後ろで愛犬たちと共に仲睦まじく語り合うのはレヴィンと石榴の夫婦。
「最近は密偵修行で大変とも思いますし‥‥たまにはこうしてゆっくりと体を休めるのも必要なことですからね」
「うんっ、のんびり出来たらいいなーっ」
 夫婦で一緒に、と照れたように笑って頷く石榴にレヴィンは微笑で頷いて。
 やがて見えてくるのは街道から村へと入る道と、その向こうに見える家々。
「静かで良いところでござるな」
 村へと着いての沖鷹の第一声、川に面した辺りには畑や民家がぽつぽつ建っていて、川沿いの道にはのんびりにこにこ立っている恰幅の良いおばさんがお出迎えに出てきていました。
「あんれ、買い出しかね。じゃ直ぐに舟を出すよ」
 レヴィンと石榴が買い物に出るというのに直ぐに舟を用意すると、買い出しに行く二人を見送り一行は荷を解いて少しの間お茶をいただいて休憩です。
「これでお汁粉を作って‥‥」
「大丈夫ですか? 持ちますよ」
 舟で宿場町までは本当に直ぐ、石榴が幾つかの食材を手に取り抱えれば、レヴィンが少し重そうな包みを受け取り、楽しそうな買い物風景。
 必要そうな物など色々と手に入れて舟へと積み込んで戻るのにもたいした時間はかからず、程なくして一行の元へと帰って来る夫婦。
 その間に沖鷹は家の主人を手伝って一行の昼食の支度を済ませていたのでみんなでわいわい話ながらのお昼。
 お腹もくちくなってのんびりお茶を飲みながら村の配置やら穴場やらを聞いていると、ちょっと料理人としても釣り人としても心が躍ったか、沖鷹は自前の釣り道具を手に立ち上がります。
「では川に行ってみるでござるか」
「おう、ちみっこ達ぁも少し休憩してからでいいぜ」
「じゃあお雪ちゃん、おやつを包んで貰ってから、一緒に水遊びだよー♪」
 嵐山も立ち上がり子供達に言えば、我々は後でも打っていましょうか、等と比良屋主人と昭衛は縁側へ。
「ゆき、おてつだいする‥‥?」
「ほんとっ? じゃあ‥‥はい、味見だよっ♪」
 小豆を煮て甘くした物をさましていた石榴は、エスナといっしょに白玉作りにかかっていたよう、とことこと近付いていって聞いてみれば、丁度あった白玉の小さな欠片をあーんとお雪に食べさせてみたり。
「ん‥‥川でお鍋ごと冷やすと良いって‥‥白玉を冷やす、みたいに‥‥」
 川に出かけると行っても直ぐ目の前にある川なので、その河原の浅い水の流れで丁度幾つか野菜を冷やしているから、家の人間にそう聞いて石榴に言えば、そっか、直ぐ近くだしねっ? と頷く石榴は竹筒にまだ温かいお汁粉を移そうとしていたところで。
 その間にも、お雪と朔耶はどうにもエスナの手元の白玉が気になるよう。
 桶に汲んだ水は夏の暑さにはひんやりしていて、その中に見える白い粒が楽しいのか、これから笊にあげて川の流れに晒して冷やすと聞いて興味津々の2人。
「流れていっちゃいそうですねー?」
「しらたま、ながれちゃう??」
「流れちゃうほど‥‥強い流れじゃないから‥‥平気、よ?」
 心配そうに聞くお雪にくすりと小さく笑ってその頭をそっと撫でるエスナ。
「そうだ、僕、一度お茶とかお汁粉に氷を浮かべてみたいなって思ったりしたんだけど、頼んじゃ駄目、かな‥‥?」
「この暑さですから必要かと思いまして、今作っていたところですよ」
 石榴がレヴィンに頼んだのは氷を作り出すこと、そしてレヴィンは必要と思って既に大小の容器に水を張って、その手にはスクロールが。
 保存もしておけますよと壷を見せて言うレヴィンに嬉しそうに頬を染めて礼を告げる石榴。
「じゃあ、行ってらっしゃい、楽しんできてね」
 ケインは薪を手に一行を見送り、兄の清之輔とエスナの手を引くように河原に歩き出すお雪の姿に笑みを浮かべて。
「今から沸かせば丁度良いかな‥‥?」
 そう言って風呂の釜へと向かうのでした。

●川遊び
「むーっ、かかんねぇなぁ‥‥」
「そうでござるか? 拙者は‥‥お、これは子供達が来たらそこの七輪で塩焼きにでも‥‥」
「沖鷹ぁさっきっから当たり続けだが、俺ぁ全く、擦りもしねぇ」
「うーん、餌も同じで竿にも問題があるようには見えないでござるが、今回は不思議な程に釣れないでござるな」
 流石に嵐山の惨状は、先程から同じ川で釣り糸を垂れているとは思えない程の状態で。
「おきたかのおにいちゃん、あらしやまのおじちゃん、おさかな、つれた?」
「‥‥その、嵐山さんにそれを聞くのは酷かと思いますが」
 並んだ魚籠の中身の差から何かを察するように言う荘吉、その様子に首を傾げるのは清之輔で。
「考え事などしながらだと魚がかかったことにも気が付かないと聞いたことがありますが‥‥」
「いんやぁ? 考え事でって言うよりゃ、それ以前にぼーっとしてるだけだぜぇ?」
「父上は良く釣り糸を垂らしたまま考え事をしていて、釣り竿を持っているのも忘れて手を離して考え込むことがあるそうで、最近では安い竿しか使わないとか‥‥それと似たような感じなんでしょうか?」
「‥‥‥‥それは明らかに違うでござるよ」
 わいわいがやがや、いつの間にか静かに釣り糸を垂らしている情景が賑やかな談笑の場へと早変わり。
 河原の木陰で木に寄っかかって昼寝中だったレイナスはちらりと見るも、ここのところの暑さで短かった睡眠時間を埋めるかのように涼やかな水辺の空気に小さく欠伸を噛み殺すと再び目を瞑り。
「お雪ちゃん、お汁粉‥‥一緒に食べよ‥‥?」
 エスナが声をかけるのに気が付いてこっくり頷くと隣へと腰を下ろすお雪、朔耶が反対隣へと腰を下ろして嬉しげにお汁粉を口へと運べば、よく冷えた白玉と喉越し良く粒が潰されたお汁粉に、時折混じる小さく砕いた氷の欠片の涼やかさに満面の笑みで頷く朔耶。
 お雪もにこにこと嬉しそうですが、何より黙々と言葉もなく夢中で食べている人間が1人いたりしまして。
「荘吉君、お代わりはっ?」
「あ‥‥す、済みません、頂きます」
 竹の容器にひんやりとしたお汁粉がよそわれるのに、珍しいまでに僅かな興奮を見せて見つめる荘吉は、どうやら冷やし白玉お汁粉がとても気に入ったよう。
「あとで父上にも持っていって良いですか?」
「うん、もちろんだよっ♪」
 楽しげな会話の中、突然ですがまったくもって魚が釣れなかった嵐山が突然すっくと立ち上がり、怪訝そうな表情を向ける一同と、何となくお鍋に蓋をする石榴にそのお鍋が差し出されたのに反射的に受け取るレヴィン。
 次の瞬間、どぼんと大きな水柱、強攻策に出た嵐山が川へと飛び込み。
「うりゃああぁぁぁっ!!」
 どがんと岩を叩くその様子や飛び込んだときに立った水柱で川の水が飛び散り川の側にいた一同はびしょぬれに、そして川にやがて浮かんでくる魚たち、ですが。
「流されていく前に捕まえなければ意味がないでござるよ?」
「ぬお、しまった」
「あ、て、手伝います」
 あわあわと魚を掴みに行く嵐山に浅瀬の辺りに浮かんできた魚を捕まえる清之輔、そしてすっかり濡れてしまったお雪達はといえば。
「冷たくて気持ちいー♪ お雪ちゃん、ていっ」
「わふ?」
「きゃあ、おかえしなの〜」
 濡れたついでに水遊びを始める朔耶とお雪にクスリと小さく笑って水の中に足を踏み入れて眼を細めるエスナに、あそぼーと飛び込んでくるカカオにラティが力強い犬かきを見せたり、前足でペしぺしとして構って欲しがったり。
 ちなみに、石榴とレヴィンがお鍋や白玉などを咄嗟に避難させて水の範囲から避難させたのは流石的確と言いますか、手で容器を庇ってしっかり護りきった上に、水遊びを見つつ黙々と食べている荘吉もなかなか。
 日が傾いてきてすっかりと川遊びを楽しんだ一行は、大漁のお魚をお土産に家へと戻るのでした。

●思い思いの宵の口
「お風呂頂きました」
「良いお湯だったよっ?」
 温度もお風呂自体もという意味を込めて言う石榴に、にっこり笑って頷くケインは専業主夫もいいかなと少し思ったようで。
 仲睦まじくお揃いの狸浴衣で寄り添いながら食事へと向かう姿を見ていて、ちょっと良いなぁという様子を滲ませていたケインですが、2人が通りかかるのを見かけて同じく思った様子のエスナは、食事の支度のお手伝いに来た様子。
 川遊びをしてきた面々は御飯前にお風呂につかって暖まってからの食事、川魚や村で取れた穀物などが並びます。
「おいしー♪」
「きゃん♪」
 お蕎麦を啜って朔耶の第一声に総司朗の一鳴き、沖鷹の打った蕎麦に川で獲れた魚の塩焼きが更に並び、村で獲れた野菜は味噌和えで、昭衛はいたく気に入ったようで沖鷹に作り方の手順を聞いていたりしています。
 昭衛が満足げな様子で食事を進めていれば、清之輔と荘吉が手分けをして、お雪と比良屋の魚の骨を取ってやっていたり。
「おう、酒が進んでねぇぞ」
「む‥‥頂こうか」
 冷や奴は目下嵐山とレイナスの酒の魚になっており、景気の良い飲みっぷりにお酒のお代わりを持ってきてくれる村の人達も面白がっている様子が見られたり、ケビンが作った豆腐ステーキと椎茸の炊き込み御飯の嵐山の消費速度に目を丸くしたり。
「いえ、昼間や日頃の鍛錬などで疲れかと思いますので、私が‥‥」
「今日こそは僕が、レヴィンさんに膝枕してあげたいんだよっ‥‥だめかな?」
 こちらは御飯が済んでのんびりと宵闇の村の風景を楽しむレヴィンと石榴、どちらが膝枕をするかのお話中のようですが、駄目かなと言われればいやも応もなく、膝を提供するのは石榴になったようで。
 やがて楽しげな談笑から、日頃の疲れからかうたた寝を始める石榴。
 そんな様子に微笑を浮かべたレヴィンがそっと口付けをすれば一瞬目を覚ましかける石榴ですが再びうとうと、そんな様子の石榴にレヴィンは微笑を浮かべて身体を起こし、石榴をお姫様だっこして起こさないように、そっと部屋へと運ぶのでした。
 そしてケインとエスナも縁側で寄り添って宵闇の空を見上げています。
 言葉はなくても幸せそうに寄り添うその様を、月は静かに見守っているのでした。