夏の色彩

■ショートシナリオ


担当:想夢公司

対応レベル:フリーlv

難易度:普通

成功報酬:0 G 52 C

参加人数:6人

サポート参加人数:1人

冒険期間:08月29日〜09月03日

リプレイ公開日:2008年09月13日

●オープニング

 その男性がギルドを訪れたのは、まだ暑さの厳しい夏の昼下がりのことでした。
「残念ながら朝顔市に参加するだけの余裕が、今年ゃなくてなぁ」
 そう言う野は植木屋の2代目で、毎年朝顔市などに参加して色々と賑わわせて居たのですが今年は色々とあったらしく参加をしなかったそう。
 受付の青年から話は聞いていたためか、過去の依頼と見比べて確認しつつ話しを促す正助。
「ま、あの親仁も参加はしなかったからな、どちらにしろ勝負ッてぇのにゃならなかったんだが、そこにちょいととある香具師の元締めやってるお人のところで声を掛けて貰ってよ」
「朝顔とほおずきをお祭の賑わいとして提供、ですか?」
「おう、うちは朝顔は特別に隠していたもんしかねぇから、あの藤色やら青やらと言ったのを飾らせて貰うのと、後はほおずきでもと思っててな」
 話を聞けば、今年は何やら揉め事に巻き込まれたり一部の不心得者に商品を壊されたりとあったようで、それも関係して朝顔市などといったものには出なかったよう。
 あまり詳しい話はしたがらない様子なのでそちらには触れないようにしつつ、お祭の方の話題を振れば、とある香具師の元締めが人に頼まれある参拝道で地域の者達が集まってやるお祭に飛び入り参加する者があらわれたとか。
 その人物のたっての頼みでお祭自体を賑やかにしたい、また地域の人達もどうせなら賑やかに楽しくやりたい、となったそうで。
「なるほど、ならば夏らしい雰囲気のお祭にしたいって言うので、お話が来たんですね」
「おう、普通の朝顔ならあっちの親仁が提供っつぅこって参加するからな、こっちも負けちゃいられねぇ、ただ、不心得者が出てこねぇように、冒険者が祭りにうろついててくれりゃ、ちったぁ牽制になるかと思ってよ」
「護衛ですか?」
「いやいや、そんな物々しいもんじゃなくてよ、祭りで適当に遊ぶ範囲での飯代やら茶や菓子代なら出すから、祭りの期間うろついててくれりゃいいのよ」
 実際の祭りの治安などは元締めの元にいる人達が応対してくれるそうなのですが、そもそも冒険者を見かければ、敢えて騒ぎも起こすまい、と言ったところでしょうか。
「はぁ‥‥えぇと、じゃあ取り敢えず、節度を守ってお祭に参加してくれる人を募集、で良いんですか?」
「おう、何か迷惑かけることをしたら摘み出されるそうだからよ、そのヘンだけ注意してくれと」
「‥‥」
 お祭にただ参加するだけなのに迷惑を掛ける行為なんだろう、そう思っても取り敢えずは口にしないで、正助は依頼書へと筆を走らせるのでした。

●今回の参加者

 ea0988 群雲 龍之介(34歳・♂・浪人・人間・ジャパン)
 ea9885 レイナス・フォルスティン(34歳・♂・侍・人間・エジプト)
 eb2872 李 連琥(32歳・♂・僧兵・人間・華仙教大国)
 eb5534 天堂 朔耶(23歳・♀・忍者・人間・ジャパン)
 ec4924 エレェナ・ヴルーベリ(26歳・♀・バード・エルフ・ロシア王国)
 ec5137 綾織 緋冬(31歳・♂・浪人・人間・ジャパン)

●サポート参加者

伊勢 誠一(eb9659

●リプレイ本文

●お祭りへのお誘い
「今年の夏の締めくくりに、さまーかーにばるをえんじょいするのです♪ わふー!」
「さ、さまぁかぁにばる??」
「あぁ、夏祭りのことですねぇ。えんじょい‥‥は、楽しむ、でしたか?」
「ざっつらいとっ♪」
 そこは比良屋の奥、お雪をお出かけにお誘いっとやって来たのは天堂朔耶(eb5534)で、お雪が目を瞬かせるのに対し御仕事柄少しは、などと言って比良屋が頷いていて。
「旦那さんも一緒にとぅぎゃざーどうですかー?」
 愛娘のお雪とそう言えば前もお祭りに行ったなぁ、などと呟いて目を細めて良いでしょうと答える比良屋、朔耶はちょっぴり下を向いて小さくよしと拳を握るのに愛犬の総司朗君が見上げていて。
「‥‥これでお雪ちゃんとお揃いの浴衣を買って貰えるかも‥‥」
「わふぅー」
 ごしゅじんさまださんてきー、という総司朗の声が聞こえてきそうですが、そんな総司朗相手にぶんぶん腕を振って弁解を始める朔耶。
「だって、お兄ちゃん達しか浴衣持ってないんだもーん。せっかくだから、術じゃなくて本物着たいんだもーん!」
「そうですねぇ、この時期でしたら出来合いのものを買いに行くのも良いでしょうねぇ‥‥じゃあ、荘吉、番頭さんに出かけるって伝えてくれないかねぇ?」
「‥‥いえ、天堂さんが来た時点で番頭さんがお仕事代わりに始めちゃってるから大丈夫ですよ‥‥」
 もはや昨夜の内心の企み事は何事もなかったかのように普通に受け入れられている辺り突っ込んでしまえば負けなのかもしれず、荘吉も既に諦めたかしっかりとお財布を用意して比良屋の外出準備などをてきぱきこなしていて。
「わーい♪ お雪ちゃん、でりーしゃすなのをめにーめにー食べるのでーす♪」
「たのしみなの♪」
 更に何か違うのが混じっていますがそれはそれ、むしろ意思の疎通が雰囲気だけで通じている辺り頭の痛いところではありますが、実に嬉しそうに呉服屋さんへと向かう一行の中で、その様子に荘吉だけが小さく溜息をついているのでした。
「ふむ、あの辺りの祭なら白鐘のシマであるし愚弟もいる、ま、良かろう」
 同じ頃、李連琥(eb2872)は難波屋のおきたを祭に誘うべく、安全の為に身柄を預かっている彦坂家へと顔を出していました。
 時はほんの少しだけ遡ります。
「し、しかし、どうやって誘ったものか‥‥」
 連琥は彦坂家の前に来たは良いものの、いざ誘うとなると色々と気恥ずかしさもあってか門の前を行ったり来たり。
「確かに時期的には渡りに船、だが祭りに行こうというのはあまりにも安直すぎやしないだろうか‥‥いやいや、しかし最近の依頼ではおきた殿に迷惑をおかけしてい‥‥」
「‥‥何をしておる、李よ」
「っ!!」
 そうしていれば当然と言おうか、その屋敷の主が出かけていれば帰ってくるのは必定、屋敷の主の昭衛に声をかけられて息が止まらんばかりに驚いて固まる連琥。
「先程から門番がそこで困っておるぞ」
「あ、これは申し訳なく‥‥」
「その様子では火急の用ではないな。まぁ良い、入れ」
 昭衛に促され屋敷の中へと入る連琥は、気不味い思いをしつつおきたを祭りへと気晴らしも金と行って誘いに来たのだと話し、身の安全を連琥がきちんと守るのを条件として許可を出されたわけで。
 何やら意地の悪い笑みを昭衛が浮かべているのは気のせい、そう割り切ることとした連琥と共に久々の外出のおきたは楽しみですねと微笑みかけ、二人連れだって祭りへと向かうのでした。

●穏やかな時間
 夏のじりじり焼けつくような暑さの中、その参拝道は木々が程良い木陰を作り、参拝道の両脇にはすらっと立ち並ぶ屋台が賑やかにそれぞれの売り物を盛んに売り込み、そこを通る人々も楽しげに屋台を覗いたりしています。
 その中をゆっくり木陰に沿って歩くエレェナ・ヴルーベリ(ec4924)は、活気ある夏祭りの様子に目を細めて見ていました。
 ちなみにエレェナのお手伝いに来ていた伊勢誠一は、治安維持のためと言っても自分の組織の宣伝も兼ねていた為、ちょうどそこの辺りの元締めさんところの若衆たちに丁重にお断りされてしまったり。
 もっともその組織を良く知られていれば、逆に伊達に対して良い印象を持っていない元締めの若衆たちとちょっと揉めてしまっていたでしょうから、それぐらいで済んで良かったのかもしれません。
 それは兎も角、エレェナがぶらりと歩けば、道々を飾る朝顔やほおずきを眺めて笑むと、ついでに味見していきな、などと御煎餅や細工飴など渡されたり。
「本当に、ジャパンに最近来たばかりだけれど、見るもの触れるもの皆新鮮で興味深いよ」
「はは、ついでに気に入ってくれりゃ文句なしだな」
 からから笑いながらいう屋台の親爺に微笑を浮かべるエレェナは、ぐるりと当たりを見渡してから親爺へと再び目を向けて。
「この祭りにはジャパンの楽師も来ないかなと‥‥」
「楽師かい、そうさなぁ‥‥この近くに神社があるんだが、そっから御輿が来てこの辺りを練り歩いて、んでもってまた神社へと戻るんだが、その時にお囃子が聴けるかも知れねぇなぁ?」
 地域の御輿が出て来る為か、山車にお囃子乗せてやってくれば賑やかな調子と威勢の良い声が聞こえてきて。
 祭り好きの男衆が担ぐ御神輿を眺めながらお囃子にも御神輿にも興味を示すエレェナ。
「神を担ぐ‥‥か。あれ程揺さぶられては、当人も坐り心地が悪くはないのかな‥‥」
「なに、神様なら多少揺れたって平気だろうさね。それに、こうして活気を分けてさしあげるってぇなもんよ」
 エレェナの呟きに、思わず笑いながら屋台の親爺は答えるのでした。
 さて同じ頃、綾織緋冬(ec5137)も用意されていた休憩所で御神輿を眺めていました。
 実際の所御神輿が参拝道へと入ってくれば、担いだりして輪に入るわけでなければ脇に寄ったり店に入って眺めたりする形になるのですが、どうも綾織はのほほんとそんな光景を眺めて不自由を感じている様子もなく。
「‥‥‥はぁ、たまにはお祭も良いなぁ‥‥」
 休憩所で振る舞われるお茶とお団子をのんびりもきゅもきゅと食べながら眺める綾織は、時折見える酔っぱらいから暴れる気でありそうな男達からが、治安を維持している若衆達に手際良く摘み出されるのを眺めて、安心してお祭をのんびりと楽しんでいるようで。
 実際の所、先程からのんびりお茶を頂いているだけでも、冒険者であるのが何とは為しに窺えれば、休憩所で騒ぎを起こそうなどという様子は見えず、綾織も心置きなくのんびりと出来ているようで。
 ちらりと賑やかな当たりへと目を向ければ、レイナス・フォルスティン(ea9885)が木刀へと持ち替えた状態で、御神輿を避けての僅かな人の流れに乗るように当たりを警戒しているかのように巡回しているのが見え。
「‥‥露店を回っていろいろ買ったり、遊んだりするのもいいか」
 実際少数の冒険者らしき姿だけでも大分抑止力になっている様子を確認すると、綾織は延びをしてから、お茶のお代わりを貰って、今暫くの間御神輿を眺めながらぼ――っとした時間を楽しむのでした。

●楽しいお祭
「ふむ、祭りか‥‥皆が楽しめる良い祭りになって欲しいものだな」
 賑やかな人混みをするりとぶつかる様子も見せず歩きながら、群雲龍之介(ea0988)は微笑を浮かべて祭りの賑やかな様子を眺めていました。
 先程ほろ酔い加減で女性連れの若者にちょっかいをかけようとしていた破落戸の方をちょんちょんと突いて、振り返ったところを鬼の形相で笑いかけてやれば、酔いが覚めたかのようにそそくさと帰っていったのを思い出し。
「騒ぎにしないのが一番だからな」
 一つ頷いていう群雲は、目の前の細工屋を眺めながらちょいちょい根付けの出来などをとっくりと見て楽しんでいたのですが、ふと漂ってくるえも言えぬ匂いに目を向けると歩み寄れば、そこは何やら人気のありそうな飯処。
「ほう‥‥これは‥‥」
 見れば三十そこそこの女将さんが若い男女を四人ほど使って切り盛りしていて、お祭だからと店を休憩所として提供しているようで、店の前では屋台を張っていつもより安価で食事を提供しているとの売り文句。
「これは旨いな」
 匂いからして少し違うとは思って居ましたが、御飯にお新香、そして味噌汁の一杯に小皿に焼き魚が添えてあり、特にお味噌汁が人気のようで、少し昼を過ぎて落ち着いてきた様子のお店の者に声を掛けてコツを聞いてみたり。
「あら、秘密ですよ? これを使っているんです」
 聞かれた言葉が女将さんへと伝えられたようで笑いながら、何やら新しい杓子を手にやって来た女将さん、いくつかあるのでお一つどうぞと言いながら差し出すそれを受け取ると、新しくお味噌汁を追加で用意するらしき様子にその作業を少し参考に見させて貰い。
 見ていれば一つ一つが手際良く一手間を加えてあるそれに感心するように眺めた群雲は、折角なのでお礼の意味も込めて、と飯屋の手伝いを始めるのでした。
「わー、お雪ちゃん! 比良屋さん! 思わずあんぐりーになっちゃいそうな‥‥あれ? 群雲さん?」
 なので、お祭を楽しんでいた朔耶が匂いに釣られるようにお雪ちゃんと手を繋いでやって来たときにも群雲はそこにいて。
「あれ? 群雲さーん?」
 掛けられる声に群雲が顔を上げれば、愛猫・真魚を右手で抱っこして愛犬・総司朗を頭に乗っけた朔耶が、お雪と手を繋ぎながら近付いてくるところで。
 既にあちこち回ってきたようで、休憩がてらにと御飯を頼んでお店の縁台に座る二人と、遅れて比良屋がやってくれば、これはこれはとのんびり挨拶する比良屋に群雲も笑って頷きつつ席を勧めて。
「うーん♪ お祭りで食べるふーどは、特別にでりしゃすな感じではっぴーな気持ちになりますよねー♪」
「わふー」
「‥‥うれしいことっていうのだけは、わかったの‥‥」
 総司朗ももっと普通じゃないと意味不明―と言うのに、雰囲気だけでお雪は何となくだけではありますが察していて、一緒に美味しい食事を食べた後で、二人で連れ立って朝顔を見にあちこちの屋台の側に飾られる朝顔を見て楽しげに笑っており。
「お雪ちゃんは何色の朝顔が好きかなー? 私は藤色が好きー♪ なんだか、上品な雰囲気だし、こういうのが似合う女性になりたいなー‥‥なーんて♪」
「ゆきは、しろがすき♪」
 総司朗が精進しなさいというのは果たして飼い主かお雪へか。
 そんな二人の様子を微笑ましく見ながら通りかかるエレェナは、休憩所となっているその飯屋へと差し掛かると席を仮、食事を楽しむ人々へとリュートを取り出して。
「大した腕ではないけれどね。リュドミーラは、踊ってごらん」
 リュートの調律をしながらいうエレェナ、お雪と朔耶が戻ってくるのと同じ頃合いに、レイナスも巡回中差し掛かったのか、群雲が声を掛けて。
「見て回ったが、冒険者の姿が抑止力というのはあるらしい、特にこの辺りではな‥‥」
 一時休憩で冷たい麦茶を受け取りながらいうレイナスが頷きながら受け取ると、こそを降ろすのを待って、ゆっくりとリュートを爪弾き始めるエレェナ。
 徐々に空が茜色が混じり始める頃合い、済んだ柔らかな音色がジャパンの人間からすれば異国情緒溢れる静かで穏やかな曲が流れれば、その曲にあわせるかのようにエレェナの側でふわり宙を舞い踊る妖精のリュミドーラ。
 暫くすれば祭りのお囃子をやっていた人達が耳へと入ってきた曲に釣られるように集まって来て。
 エレェナは曲と曲の合間にお囃子の人達と言葉を交わしたり、朔耶やお雪に声を掛けられたりとしている様子を、ふらりとお祭を楽しんできていた綾織が通りかかって眺めていたり。
「あれ? おきたさんと李さんですねー」
 朔耶が気が付いて言えば、何やら連琥がほおずきと朝顔の鉢を包んで貰ったものを持ち、なにやら少し初々しく祭りを楽しみながら歩く二人の様子に、そこはやっぱり女の子、何だかにんまりと何か言いたげに眺めて見送るのでした。

●朝顔の誓い
 お祭の通りを楽しげな様子で語らいながら歩くのはおきたと連琥、二人はほおずきや朝顔を依頼人より譲り受けたり、茶屋でお茶を頂きながら御神輿を眺めたり。
 やがて空が茜色に染まり始める頃、休憩も兼ねて御茶屋のお座敷に上がって、聞こえてくる異国の曲を楽しみながら言葉を交わしていれば、何やら少し緊張気味の連琥に釣られ、おきたも少し落ち着かずにいて。
「その、おきた殿に受け取って貰いたいものが‥‥」
 漸くに意を決したのか口を開く連琥が懐から取り出した包みを差し出せば、少しはにかむように、おきたもいつもの感謝を込めて渡すものがといい。
 先に連琥のものを受け取り開けて見れば、それは半透明な桃色の宝石で作られた首飾りで、思わず頬を染めるおきた。
「おきた殿、私はこの江戸を守るためにあろうと思っている。それは使命としてでもあるが‥‥おきた殿を守るためなのだ。私はそう思って良いだろうか‥‥」
 連琥が頬を染めるおきたへと告げれば、顔を真っ赤に染めて連琥へと目を向けて。
「私は、貴方を守り、そ、そ、添い遂げたいと思っているのだが‥‥」
 思わず赤い顔で告げる言葉も徐々に小さくなってしまうのに、おきたも何と良いって良いのか迷うように赤い顔のまま俯いて。
「‥‥そ、その‥‥」
 なんとか小さな声を漏らすおきたへと連琥が目を向けると、巾着からおきたが取り出した包みを受け取り開ければ、水晶で出来た、連琥には何処か懐かしさを感じさせる美しい杯で。
「前に手に入れたのですけれど‥‥その、仏門に居られる方に贈るのはと自分でも思ったのですけれど‥‥」
 赤い顔のまま何処か恥ずかしそうに小さくいうおきたは、何処か消え入りそうな様子で何度も躊躇うように口を開きかけるも漸くに小さく口を開き。
「いつもご無事を祈っています‥‥いつも、無事に戻ってらして下さいね」
 恥ずかしげに赤く頬を染めて微笑むおきたに、連琥はぎゅっとその手を握って頷き返すのでした。

●祭りの余韻
 夜になりほおずきや朝顔が提灯の明かりで彩られる中、そろそろ店仕舞いとなるも、気が付けば一行は群雲が手伝っていた飯屋に集まって夕食に興じていました。
 通りの様子を眺めながらお茶のお代わりを貰い、のんびりお握りを囓ってぼーっと祭りの後を眺めている綾織。
 お店の女将さんのご亭主が帰ってきてその迫力にちょっと驚きつつも、お店の屋台のお手伝いや片付けを手伝ってくれたと感謝されつつ、女将さんと料理談義に花が咲く群雲に、お囃子の人達の宴会に巻き込まれる形で話を聞いているエレェナ。
 レイナスがゆるりと酒を飲んでいれば、どうぞとお酒を注ぐのは比良屋の旦那でしたり。
 そして、なにやらきゃーきゃー連琥とおきたをからかって騒ぐ朔耶に、良く分からないけれど一緒にはしゃぐお雪。
 賑やかな祭りの宵は、こうして今暫くの間続くのでした。