餅つき

■ショートシナリオ


担当:想夢公司

対応レベル:フリーlv

難易度:やや易

成功報酬:0 G 78 C

参加人数:8人

サポート参加人数:-人

冒険期間:12月24日〜12月29日

リプレイ公開日:2005年01月04日

●オープニング

 その行事好きの若旦那がうきうきとした様子で番頭を連れてギルドにやってきたのは、寒さの合間に訪れた暖かい日差しの、とある冬の日でした。
「祝い餅って言うのも取り扱っていて、そろそろ餅を作って用意しなければいけないのですが‥‥」
 そう番頭が言いかけて若旦那の方へと目を向けます。
「どうせならばこう、盛り上がるような行事が良いと思いませんか? と言うことで、祝い餅を作るついでに、私の家の仕入れで餅米は余分にありますし、餅つきを大人数でやって、振る舞い餅といきたいと思いまして」
 若旦那は実に嬉しそうに笑うとそう言ってギルドの人間に良い考えだとは思いませんか? と同意を求めます。
「そう思ったは良いのですが、実際にこの忙しい最中に餅つきと振る舞い餅のために人が上手く確保できませんで‥‥そう考えてから、こちらでならば過去にお世話になったこともあるしで、良いのでは、と若旦那に強く強く言われまして‥‥終わったらお酒の席でも用意させて頂きます、どうか、どなたかお手の空いていた方で宜しいので、お願いできませんでしょうか?」
 そう申し訳なさそうに言う番頭と、何とかお願いします、と頭を下げる若旦那。
 ギルドの人間は頬を書きながら、とりあえず当たってみましょう、と約束しているのでした。

●今回の参加者

 ea0050 大宗院 透(24歳・♂・神聖騎士・人間・ジャパン)
 ea0639 菊川 響(30歳・♂・侍・人間・ジャパン)
 ea2160 夜神 十夜(29歳・♂・浪人・人間・ジャパン)
 ea2700 里見 夏沙(29歳・♂・志士・人間・ジャパン)
 ea2988 氷川 玲(35歳・♂・浪人・人間・ジャパン)
 ea3115 リュミエール・ヴィラ(20歳・♀・レンジャー・シフール・モンゴル王国)
 ea3269 嵐山 虎彦(45歳・♂・僧兵・ジャイアント・ジャパン)
 ea8191 天風 誠志郎(33歳・♂・侍・人間・ジャパン)

●リプレイ本文

●いろいろ大変な準備
「これとこれと‥‥一体どの位作るつもりなんだ?」
 そう、どこか引きつった顔で言うのは天風誠志郎(ea8191)。
 ちょうど材料の買い出しに馬へと荷を積み込んでいたところでしたが、その荷物の多いこと、江戸郊外の農家まで行って野菜を受け取って戻ってくる頃には、荷物はさらに膨れ上がっていました。
 菊川響(ea0639)と里見夏沙(ea2700)は買い出しと宣伝がてらに酒場へと向かいます。若旦那の好意からか、甘酒を用意したいと申し出ると、当日に振る舞う分の甘酒まで作る人手はないけれど用意した方が良いとなり、酒場に頼むことにしたからです。
「餅つきをやったりお餅を振る舞ったりするから、良かったら来てくれ」
 そう菊川が馴染みの卓に顔を出して茶を飲みつつ言うと、里見はお茶を啜りつつ頷きます。
「何かと物騒なこのご時世、明るい話題を年の瀬にってのもいい感じだな」
 全くだ、などと知人と話しつつ、茶が終わると立ち上がって戻っていくのでした。
「ふむ‥‥何か最近ちゃんと料理人している気がするな‥‥」
 そう呟く夜神十夜(ea2160)はお手伝いをするという大宗院透(ea0050)に大きな鍋の一つ、それの火加減などを任せると、油揚げなどを手慣れた手つきで切り分けてもう一つの鍋へと落としていきます。
 透の前の鍋からは夜神が菊川の要望に応えたようで、白味噌の良い香りが鼻をくすぐって食欲をそそり、夜神が調理している鍋の方は醤油味で作っているようで、どちらも香りだけでどれほど美味しいのだろうかと推察させるには十分です。
「よし、これで大体仕込みは終わったな。後は明日か‥‥」
 そう言う夜神は表がまだ明るいのを確認すると宣伝と称して出かけていきました。
 早速20代後半のすらりとした美人に声をかけつつごく自然な様子で胸を揉む夜神。女性は一瞬何が起きたか分からず目を瞬かせていますが、赤くなって『突然なにをします』と言って慌てた様子で立ち去ります。
「ふむ、なかなか‥‥」
 そんな風に呟いた夜神ですが、ふと歩き出そうとして、20程のすらりとした美人に見覚えがあったようで見かけてつつつと寄っていき、ごく自然な様子で手を取ります。
「あっ‥‥」
 吃驚した様子で見る娘さんに、ごく当たり前のように胸に手を当てる夜神。
「明日餅を食べに、もとい俺に会いに来てくれないか?」
 真っ赤になった娘さんにそう言いつつ胸の感触を楽しむ夜神。思わず真っ赤な顔で頷く娘さん胸の感触を、夜神は暫し楽しんだのでした。

●大盛況の餅つき
「うら、勝負だっ!」
「‥‥虎、先にどっちが向いてるかを試してからだ」
 息のあった様子で準備を進めている、揃いの店の名が入った法被を着た菊川と里見に声をかけた嵐山虎彦(ea3269)ですが、直ぐに氷川玲(ea2988)が杵を肩に担いできながらそう言います。
 店先に臼と杵を用意し、既に先日の宣伝からかお祭り好きな江戸っ子達が集まってきます。子供達などお餅が振る舞われると聞いて嬉しそうな様子で見に来ているようです。店に入った直ぐの所では透と誠志郎が夜神の指示の元餅米を蒸していて、もうすぐ蒸し上がるようでした。
 最初は菊川と嵐山がつく側になったようで、勝手を良く知っている番頭さんが蒸し上がった餅米を臼に入れてから杵で始めに捏ねるそのやり方を説明しながら実際にして見せます。
 餅米に粘りが出てきて、ひとかたまりの状態を維持できるようになったら、合いの手側が臼から餅米をはがしてまとめていよいよ本格的な餅つきの始まりです。
「うらうら! 気をつけろ玲! おたおたしてると手ごとつくぞ!」
「おら、しっかり腰入れて餅つけよ! 響」
 何やら声をかけるのが逆な二組。嵐山は流石にジャイアントの巨体だけあって力強く餅をつき、かけ声で上手く間を作りながら器用に氷川が合いの手を入れます。
 逆に息がぴったりで餅をついていくのは菊川と里見。菊川などは事前にこっそりと岩を相手に付く練習をしていただけあって、なかなかにこつを掴んでいる模様。
「うしっ、出来たっ!」
 一回目は僅かの差でですが菊川と里見の方が早くつき上がったようで、それをせえので餅箱へと入れて、店先で振る舞う準備をしている夜神達の元へと運ばれていくのでした。
 先ほどから子供達が見ているのに気が付いた4人はそれぞれ子供達に手招きをしたりして、順番に餅をつかせて上げることになります。
「あっちぃ! 餅を返すだけでも結構大変なんだなぁ‥‥ぎゃー痛ぇ!!」
 氷川が手を添えて小さな女の子にお餅を付かせて上げているとき、大きな手でやりにくかったかひっくり返すのに手間取る所に女の子の杵が降ってきて慌てて手を引っ込める嵐山ですが、ちょこんと当たって大げさに驚いた風を見せますが、女の子が吃驚しているのに照れくさそうに頬を掻いて自分でリカバーをかけています。
「大宗院殿もやらないか?」
 少しだけ手が空いた透が餅つきの様子を見ているのに気が付いた菊川は、そう声をかけて手招きをすると、杵を持って少しよろめく透を里見が後ろから支えて餅つきを始めます。
 少しゆっくりではありますが、ほこほことしたお餅がやがて付き上がると、透は汗を拭ってそのお餅の入った餅箱を持って振る舞う方へと運んでいくのでした。

●これでもかと振る舞い餅
「みんな〜、お餅だよ〜♪ 炊きたてつきたてのお餅だよ〜♪」
 そう声を上げるのはリュミエール・ヴィラ(ea3115)。と言っても、餅つきの熱気や賑やかな見物客の耳にどれほど届いたかは定かではありませんが。
「‥‥十夜、一個ぐらい味見させて‥‥いや、ナンデモナイッス」
 ひょっこりと顔を出してそう言いかけた嵐山は、そう言いながら慌てて顔を引っ込めました。覗いた瞬間包丁を手に何やら手を加えていた夜神、迎撃する気満々の誠志郎に透の無言の視線が突き刺さったからです。
 休憩をして、店の人と少し変わって上がってきた嵐山は、先ほどまで客と一緒に甘酒を飲みながら話していましたが、ふと漂ってくる、えも言えない匂いに釣られてふらふらと近付いて来たのですが、子供の相手をしながら餅つきを教えている氷川の所に戻ったようです。
 暫くして、試食用の餅をそれぞれに味見して貰う夜神。
 汁粉に雑煮を2種類、餡子餅に海老に胡麻。それに袋煮の味を見てもらい、文句なしの出来に直ぐにお餅の振る舞いが始まります。
「響」
「うん? むぐっ」
 里見と並んで餡子餅を作っていた菊川は、呼ばれて振り返った瞬間に熱々の餅が押し込まれるのに目を白黒させつつも、何とかむぐむぐ口を動かして食べると慌てた様子で冷たいお茶を口へと流し込みます。
 こういう事も有ろうかと用意していたようで、口の中の熱さに目を白黒させつつも、餡子の程良い甘さとつきたての餅のその食感に目を細めます。
 その横では、上手くできたお餅を里見から貰って嬉しそうに笑いながら食べている子供達の姿が有るのでした。
「い、忙しい‥‥。これほど集まるものなのか」
 驚いたような様子で汗を掻きつつ走り回っているのは誠志郎。先ほどから餅が出来上がると、透と手分けしてお餅を配って走り回っていますが、予想以上に盛況な様子に随分と大変な事になっているようです。
 とりあえず少し選り分けて貰ったお餅を捏ねて自分の顔の大きさに丸めようとするリュミですが、それは偉く体力のいる仕事となったようでぷうとむくれて駄々を捏ねようとしたときでした。
「わりぃ、手が滑った」
 そう言うリュミの上に、うっかり子供が落としてしまった餅の固まりがどかっと降ってきて押しつぶしているのでした。
「男は別に来なくてもいいぞー、むしろ女性大歓迎」
 そんなことを言いつつ、夜神は調理した物をよそったりしながら集まってきている女性や道行く女性の胸元へと目を向けています。時折扇子で匂いを道側へと扇いで人寄せをしています。
 用度良い感じの、30ぐらいの美人の胸へとひょいと手を伸ばした夜神。やはり大人と比較されたように思い、切なげに隅っこでお汁粉を食べている昨日の娘さんに気が付くのでした。

●大混乱の打ち上げ
「うまい餅に、うまい酒! はは、今年はいい年の瀬を迎えられたぜ! 来年もいい一年になりそうだな♪」
「うむ‥‥」
 嵐山が上機嫌に杯を煽るのに、直ぐ側にいた誠志郎が頷きつつ餅を口元へと運びます。
 里見と菊川が餅を肴に酒を飲む側では、何故か透と番頭、それに若旦那が集まって酒を飲んでいます。
「『お餅』を『お持ち』帰り‥‥」
「ええもう、ぱーっとぱーっと持って帰って下され〜」
「『餅』は『もち』ろんやわらかい‥‥」
「ぶわははは、お嬢さん、真面目な顔して面白いの〜」
「‥‥‥うちの番頭は笑い上戸だったか‥‥」
 ‥‥ここはここで楽しいのかも知れません。
「飲み比べで勝負♪」
 酒も入って要るのに既に出来上がりつつあるリュミにそう挑まれると勝負と聞いて応じる嵐山と、夜神と氷川の所に避難する誠志郎。
 勝負も何もなにぶん呑む量が違う。あっという間に酔っぱらって辺り構わず飛び回り、手近にいた若旦那に抱きつくと無理矢理口付けようとするリュミに振り払おうと抵抗する若旦那。
 若旦那の頬に口付けるのと夜神・氷川がリュミにスタンアタックを叩き込むのはほぼ同時でした。
 簀巻きにして転がされたリュミは気が付くと『にゃはははははは』などと笑って転がりまくるり、いつの間にか麻袋をがっちりと掴んで戻ってきた若旦那がリュミを摘んで袋の口をしっかり縛り、ふらふらと千鳥足で立ち上がります。
「‥‥萌えないごみ‥‥もとい、燃やしてはいけないごみは‥‥」
「‥‥若旦那、女性に幻想を持てたようだな」
「あ――‥‥今年の餅は良い餅だ、うん‥‥」
 直ぐ何事もなかったかのように再開された宴会は賑やかに、そのまま夜は更けていくのでした‥‥。