【北海の悪夢】イルカ団の危機、再び!
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■ショートシナリオ
担当:STANZA
対応レベル:11〜lv
難易度:難しい
成功報酬:9 G 95 C
参加人数:5人
サポート参加人数:-人
冒険期間:06月13日〜06月19日
リプレイ公開日:2008年06月21日
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●オープニング
――大海が災厄の警鐘を鳴らすかの如くうねる。
5月15日頃からイギリス周辺の近海で海難事故が頻発するようになっていた。
始めこそ被害は少なかったものの、紺碧の大海原は底の見えない闇に彩られたように不気味な静けさと共に忍び寄り、次々と船舶を襲い、異常事態に拍車を掛けてゆく。
王宮騎士団も対応に急いだが、相手は広大な大海。人員不足が否めない。地表を徘徊するモンスターも暖かな季節と共に増え始め、犯罪者も後を絶たない現状、人手を割くにも限界があった。
「リチャード侯爵も動いたと聞いたが、去年の暮れといい、海で何が起きているというのだ?」
チェスター侯爵であり円卓の騎士『獅子心王』の異名もつリチャード・ライオンハートも北海の混乱に動き出したと、アーサー王に知らせが届いていた。自領であるチェスターへの物資の流入に異常が出ることも懸念しており、重い腰をあげたという。
「キャメロットから遠方の海岸沿いは、港町の領主達が何とかしてくれる筈だが‥‥後は冒険者の働きに期待するしかないか」
現状キャメロットから2日程度の距離にあるテムズ川河口付近の港町が北海に出る最短地域だ。
海上異常事態の解決を願い、冒険者ギルドに依頼が舞い込んでいた――――。
このところ天候不順や謎の海難事故が頻発しているという北海。
だがここ数日は珍しく波も穏やかで、青い空から吹き下りて来る心地良い風が一杯に張った帆を膨らませ、船を陸地へと運んでいた。
「この分なら何事もなく港に戻れそうだな」
交易品を満載した船の舳先に立ち、船長は遠く霞む水平線に目を凝らす。もう暫くすれば、そこに陸地の影が見えて来る筈だ。
空と海の境界は、解け合ってよくわからない。それ程に、その日の空は晴れ渡っていた。
なのに‥‥
「‥‥何だ?」
殆ど何の前触れもなく、洋上に現れた一塊りの黒い雲。それは見る間に膨れ上がり、突然の強風と共に大粒の雨を甲板に叩き付け始めた。
「い、いかん! 総員配置に付け! 畳帆だ! 帆を畳め!」
しかし、冷たい風を一杯にはらんだ帆は人の手を拒んだ。激しい横波が叩き付ける中、マストが軋み、やがて断末魔の悲鳴と共に倒れる。
倒れたマストが船を砕き、そこへ高波が襲いかかった。バランスを欠いた船はあっけなく横倒しになり、やがてうねる波間に呑み込まれ、姿を消した。
暫く後‥‥海は何事もなかったように、静けさを取り戻す。
遠く霞む水平線の上に現れた故郷の大地は降り注ぐ陽の光に輝いていたが、誰もそれを見る事は出来なかった。
イルカが描かれた旗を翻した一艘の船が海原を漂っていた。相次ぐ海難事故の報を受けて調査に乗り出した、イルカ団‥‥海の平和を守る男達を乗せた船だ。
「‥‥この辺りだったな‥‥おい、何か見えたか!?」
船長は甲板から、マストの上に登って周囲を見張る2人の少年、ヨーとピッチに怒鳴る。
「なんもないっスー!」
「雨雲もないっスー!」
全ての帆を畳んだマストの上から返事が返る。
「気ぃ抜くなよ! 嵐は何の前触れもなく起きるって話だ!」
特にこんな天気の良い、波の穏やかな日には。
その時‥‥
「‥‥あっ!」
ピッチが大声を上げた。
「お、お頭ーっ!」
「船長と呼べ!」
船長はとりあえず訂正を入れてから、上に向かって怒鳴り返した。
「何だ!?」
「船っス! オレらと同じ位の船が、陸に向かって走ってるんスけど‥‥」
「あの方角だと、浅瀬の岩礁地帯に突っ込んじまうっス! ヤバイっス!」
報告を受けて、船長はただださえ泣く子もチビる強面に怒りと苛立ちを滲ませる。
「ちっ‥‥どこの馬鹿だそいつは!?」
だが海の平和を守る者として、危険に飛び込もうとしている船を放っておく訳にもいかない。
「追いつけるか?」
船長は操舵しに尋ねた。
「お頭、こいつの足に敵う船があると思いやすか?」
「船長と呼べ! 良し、あの馬鹿の前に回り込め。奴が浅瀬の岩にキスする前にな!」
「アイ、サー! お望みとありゃ、幸運の女神様の前にだって回り込んで見せますぜ!」
だが‥‥
「お、おかしらーっ!」
「わかってる! いちいち大声出すんじゃねえ!」
慌てふためいた上からの声に、船長は怒鳴る。
言われなくてもわかっている‥‥これが異常事態だという事は。何しろ、追いかけていた船が目の前でかき消えたのだから。
「くそ、どうなってやがる‥‥!?」
このところ海で起きている一連の事件はモンスターの仕業という噂もある。これも、そのひとつだろうか。幻の船に導かれ、誘き寄せられたのか‥‥?
「いや、今はここから抜け出るのが先だ」
気が付けば、そこは岩礁地帯のド真ん中。下手に動けば見えない岩に乗り上げ、座礁してしまう。
「ヨー! ピッチ! 舳先に回れ! 目ん玉ひん剥いて海ん中をよぉ〜く見るんだ!」
「アイ、サー!」
命令を受け、2人の少年はサルの様に身軽にマストから滑り降り、舳先から身を乗り出す。
「よし、お前らは通れる場所を‥‥外海に出る道を探せ。良いか、目測を誤るんじゃねえぞ!」
「アイ、サー!」
2人の返事を受け、船長は操舵手の肩を軽く叩いた。
「舵は任せたぞ」
「任せといて下せぇ!」
しかし、その時‥‥
「お、お頭! 嵐だ!」
「船長と呼‥‥なにぃっ!?」
その声にふと空を見れば、頭の上に灰色のシミの様な雲の固まりが浮いている。それはじわじわと広がり、やがて灰色が黒に変わり‥‥
――ぽつり。
大きな滴がひとつ、顔を叩く。
「拙い、急げ!!」
だが、雨は見る間に激しくなり、風と波も次第に強さを増して来る。
「くそっ、ハメられたか‥‥っ!?」
「へっ、上等だ! 野郎共、振り落とされンなよ!」
豪雨にけぶる視界の中、殆ど勘と反射神経だけで舵を着る操舵手。
突き出た岩の脇を辛うじてすり抜けた時、そこに何かが‥‥誰かの姿が見えた様な気がした。
あれは‥‥マーメイド? いや、違う。あれは‥‥
嵐の中、あの岩礁地帯をどうやって抜けて来たのか‥‥乗組員の誰にも、確かな記憶はなかった。だがとにかく、満身創痍になりながらも船は港に帰り着く事が出来た。
「もうホント、奇跡っスよ!」
「オレらちょーぜつラッキーっス!」
2人の少年は、ギルドのカウンターに身を乗り出して言った。
「でも、ラッキーは何度も続かないっス。それに他の船の被害も放っておけないっス!」
「そうっス! 海の平和を守る男達としては、黙ってられないっス!」
元凶は、恐らくあの時に見えたマーメイドのような姿‥‥ヴェパールという海の悪魔だ。
「お頭が昔、出くわした事があるらしいっス。嵐を起こしたり、幻で誘き寄せて座礁させたりする悪魔らしいっス」
「オレら、船の修理をしてる間に、あの岩礁地帯の近くを調べたっス。あいつは、あの近くの小島を根城にしてるらしいっス」
「いつも波打ち際にいるっス。でも、オレらで叩こうとしたんスけど‥‥」
「オレら、海賊相手が専門っス。悪魔の相手は厳しいっス」
だから、冒険者達の手を借りたいのだと2人は言った。
船が停泊している港までは徒歩で2日程度。そこから現場の海上まではそう遠くない。
「外海には出ないっスから、あんま揺れないっス」
「船酔いとか、多分平気っス」
ただ、海が荒れた場合にはかなり辛い事になりそうだが‥‥。
「大丈夫っス! 海の女神様はオレらの味方っス!」
「海の平和を守る為に、どうかよろしくお願いするっス!!」
●今回の参加者
ea0286 ヒースクリフ・ムーア(35歳・♂・パラディン・ジャイアント・イギリス王国)
ea3041 ベアトリス・マッドロック(57歳・♀・クレリック・ジャイアント・イギリス王国)
ea9669 エスリン・マッカレル(30歳・♀・ナイト・人間・イギリス王国)
eb5475 宿奈 芳純(36歳・♂・陰陽師・ジャイアント・ジャパン)
ec0843 雀尾 嵐淡(39歳・♂・僧侶・人間・ジャパン)
●リプレイ本文
「イルカ団たァ、ご面相の割に可愛らしい名前だねェ」
揃って出迎えたムサクルシイ海の男達をじろじろと眺めながら、ベアトリス・マッドロック(ea3041)はニヤリと口元を歪めつつ船へと乗り込む。
「ま、エスリンの嬢ちゃんが信頼してンなら本物だろ。頼りにしてるよ」
「おばちゃん、ねーちゃんの知り合いっスか?」
「すげー、デカいっス!」
周囲の男共に比べたら天使の様に愛らしく‥‥見えなくもない二人の少年はベアトリスを見上げて目を丸くする。ついこの間まで仲間以外の人間さえ見た事のなかった彼等にとっては無理からぬ反応だが、後に続くヒースクリフ・ムーア(ea0286)と宿奈芳純(eb5475)は‥‥
「もっとデカいっスー!!」
決して大きいとは言えない船に、ジャイアントが三人。重さで沈む事はないだろうが、何となく不安だ。
「頼むから一ヶ所に固まらんでくれ。傾いてひっくり返りそうだ」
船長は思わず苦笑いを漏らした。
「ああ、それから‥‥船室は天井が低いからな、まっすぐ立ねえかもしれんが‥‥まあ辛抱しろや」
「‥‥以前のソードフィッシュは、今回の災厄の前兆だったのだろうか?」
呟きながら乗り込んで来たのは、もうすっかり顔馴染みになったエスリン・マッカレル(ea9669)だ。
「一連の海の事件。やはり根っこでは繋がっているのだろうか‥‥」
その言葉を聞いて、ヒースクリフは以前漁師に聞いた海の魔物リヴァイアサンの伝承を思い出す。
「本当にそれが関わっているのだろうか?」
「とにかくだ、デビル退治、それももう何隻も被害が出てるってェ事なら、主の僕の端くれとしちゃ放ってもおけないさね。いっちょ気張って行こうじゃないか!」
ベアトリスの掛け声を合図に、船は静かに港を出て行く。目指すはヴェパールが待ち受ける、海の難所‥‥。
「‥‥あの島ですね?」
件の島が遠くに見える位置から、芳純がその様子を探る。船は岩陰に隠れて向こうからは見えないが、芳純にはエックスレイビジョンがある。併せてテレスコープを使えば離れていても問題はない。
まだこちらに気付いていないのか、相手は無警戒な様子で波に洗われる岩場に腰掛けている‥‥本来の、人魚の様な姿で。
船の上で占いを試したところ、余り良い結果は出なかったのだが‥‥良くない結果は変えてしまえば良い。確定していない未来など、工夫と努力でいくらでも変えられる筈だ。
「船で海から近付くよりは徒歩で接近した方が良いだろう。このまま島の反対側に回れるか?」
エスリンの問いに船長は黙って頷き、操舵手に合図を送る。出来れば周囲が暗いうちに上陸したかったが、流石に目視が出来ない状態でこの海域に乗り入れるのは自殺行為だった。
「デビルに追い込まれながらも脱出し得た上に再度立ち向かう、その意気に応えよう‥‥海神よ、加護を!」
もしもの時にはすぐ出航出来る準備を整えておくように言い残すと、冒険者達は小舟で島へと近付いた。
『‥‥あれは、幻でも何か替え玉の様なものでもない様です。デビルの本体に間違いありません』
岩場に隠れて接近した雀尾嵐淡(ec0843)から芳純へとテレパシーが返って来る。ニュートラルマジックが効かないというのが、その根拠らしい。
嵐淡はそのまま近寄ってメタボリズムをぶつけ、MPを空にしてやろうかとも思ったが‥‥流石に接触する程に近付くのは危険だし、彼の隠密能力ではまず確実に気付かれる。それに、メタボリズムは傷を負っていない相手には何の効果も発揮しない魔法だった。
「直接攻撃は坊主に頼るしかない。あたしにゃ、直接とっちめてやれる手段は無いからね‥‥その代わりデビルの爪だろうと毒だろうと、主に願ってきっちり治してやるからね。頼んだよ?」
更に離れた岩陰で、ベアトリスがヒースクリフにレジストデビルとグットラックをかける。
「坊主の信じる神様のご加護じゃないのは我慢しとくれ」
既に自らオーラエリベイションとオーラボディをかけてある彼は、これで攻守とも備えは万全だ。
「ありがとう。私は近寄って斬りかかる以外の手は無いからね。‥‥さて、まずは一撃お見舞いしておこうか」
一度で仕留めない限り海に逃げられて終わりだ‥‥イルカ団の面々はそう言っていた。こちらの安全を考えた遠距離からの魔法や弓の攻撃では、一度に大ダメージを与える事は難しいだろう。
「でもスマッシュEXが当たれば、一撃で相手の動きをほぼ封じられる筈だからね」
それが出来れば、こちらの勝利は確定と思って良いだろう。
岩の向こうで寛いでいる相手はまだ、こちらの存在に気付いていない様だ。その位置を確認すると、ヒースクリフはパラスプリントを発動し、一瞬で相手の背後に回る。
だが‥‥
「‥‥!?」
その刹那、ヴェパールの周囲に漆黒の炎が立ち上がった。
「カオスフィールド‥‥読まれていたのか!?」
フォーノリッヂでも使ったのだろうか。それとも、こちらの行動は最初から見透かされていたのか。
球状にヴェパールを包むその結界を挟んでの攻撃は、一切無効になる。中からの攻撃も効かないのは救いだが、効果時間が切れるまでこちらも全く手出しが出来ない。
「だが、中に入ってしまえば‥‥!」
ホーリーフィールドとは違い、それは敵の侵入を防ぐ壁とはならない。通り抜ける際にダメージは喰らうが、気にする程の事でもなかった。ヒースクリフは黒い炎の中に身を躍らせる。
だが、相手もただそれを黙って待っている筈がない。次の瞬間、ヴェパールの姿がかき消えた。
「‥‥ツっ!」
背中に小さな痛みが走る。
‥‥大した事はない。カスリ傷程度だ。だが‥‥ヴェパールにとってはそれで充分。後は放っておいても、体内に入った毒が相手を始末してくれる‥‥神聖魔法の使い手さえいなければ。
「坊主!」
岩陰からベアトリスが飛び出す。蛇対策の為に分厚いブーツで足をガードした彼女は少し動き辛そうに、海面に突き出た岩を伝ってヒースクリフに駆け寄った。
嵐淡が唱えたニュートラルマジックで結界が解除されると、ベアトリスはすぐさまアンチドートとリカバーを唱えた。
「芳純殿、奴は何処へ!?」
ベアトリスから受け取った色の付いた水を手に、エスリンが叫ぶ。
芳純はエックスレイビジョンとリヴィールエネミーを使って相手を捜すが、リヴィールエネミーの効果は15mまでしか届かない。その範囲内で魔法に反応する存在は感じられなかった。
「ならば‥‥月の光よ、悪魔ヴェパールを貫け!」
淡い光の矢が一直線に飛んで行く。それが吸い込まれた場所は‥‥海の上だった。
「ティターニア!」
エスリンが上空で待機していたヒポグリフを呼び、その背に飛び乗った。
「これでは色水は効果が薄いか。だが泳いでいるなら、体は透明でも波の動きで居場所がわかる筈だ‥‥頼むぞ!」
芳純もまた小舟に嵐淡を乗せ、ムーンアローを連発してその位置を確認しながら後を追う。
「そこか!」
ティターニアの背から二本の矢が飛ぶ。それが命中した瞬間、水面にヴェパールの姿が現れた。そして、その体が黒い霧のようなものに包まれる。
「エボリューションか。しかし、武器を替えれば‥‥!」
エスリンは別の弓に持ち替え、弓弦を引き絞る。しかし、弓を替えても矢で攻撃する事に変わりはない。耐性を得たヴェパールに、それはもう効果がなかった。
「ならば、これはどうだ!?」
今度はスリングに持ち替えて石を放ってみる。
その間に小舟で近付いた嵐淡がニュートラルマジックをかけた。
――バシャン!
魔法を解かれ、一度水面で大きく跳ね上がったヴェパールは魚へと姿を変え‥‥
「私が追います」
嵐淡はミミクリーでソードフィッシュに変身し、海の中へと潜って行ったそれを追う。だが、彼のモンスター知識では一度見た事のあるその外見を真似る事は出来ても、性能まで完全に真似る事は出来なかった。ミミクリーでの変身を完璧なものにする為には、技だけでなく相応の知識も必要なのだ。
水中を逃げるヴェパールとの差は、みるみる広がっていく。
その時、頭の中に芳純の声が響いた。
『戻って下さい、嵐です!』
「ティターニアなら、あの程度の嵐になど負けはしないものを‥‥!」
船に戻り、エスリンは遠くに渦巻く暗雲を見上げる。
イルカ団の船は嵐の到来を察知すると早々に仲間達を乗せて、その海域から離脱していた。
「まあ、仕方ねえな。海に逃げられて、嵐まで起こされたんじゃ‥‥勝算はゼロじゃねえにしても、リスクがデカすぎる」
デビルを取り逃がし、気落ちする冒険者達に船長は務めて優しい口調で言った。‥‥まあ、顔は相変わらず怖いが‥‥元々そういう顔なのだから仕方がない。
「確かに、少しずつだがダメージは与えていた。これで暫くは動けぬだろうが‥‥」
回復すればまた、被害が出るだろう。
「悔しいねぇ、最初に坊主の一発が当たってりゃ‥‥ああ、別にあんたを責めてる訳じゃないさ」
ベアトリスがヒースクリフの肩を叩く。
「いや‥‥」
気にしていないと言う様に首を振って、ヒースクリフが言った。
「とにかく、海に逃がしてしまったのが痛かったね。陸上で戦えるなら、幾分かはこちらが有利になるかもしれないが」
海での戦いを得意とするものを陸上に誘き寄せるのは難しい。余程周到な作戦を考えなければ、何度挑んでも海に逃げられて終わりだろう。
「まァ、こっちは奴さんの庭で戦ってる様なもんだからねえ」
だが、これで相手の手の内はほぼ知る事が出来た。もしも次があるなら、その時こそは‥‥。
「しかし、彼等の目的は一体なんだ? リヴァイアサンは何を企んでいる‥‥?」
ヒースクリフが呟いたその言葉に、返事はない。
だがそれは、いずれ明らかになるだろう。上手くすれば、その企みが実行に移される前に。‥‥或いは、事が起きた後で知る事になるのか、それはまだわからないが‥‥。