小さなエルの、大冒険!?

■ショートシナリオ


担当:STANZA

対応レベル:フリーlv

難易度:普通

成功報酬:0 G 65 C

参加人数:5人

サポート参加人数:3人

冒険期間:10月01日〜10月06日

リプレイ公開日:2008年10月09日

●オープニング

「あのね、とーさま、びょーきなの」
 5歳の誕生日を目前に控えたエル‥‥エルディン・ド・ガニスは、足元できちんとお座りしている狐のふわちゃんに真剣な表情で語りかけた。
 その「とーさま」の病気は既に殆ど回復しているのだが‥‥先日、倒れたところを城に運び込まれた様子が印象に残ってしまったのだろう。ボールスが冒険者達と共にキャメロットの猫屋敷に戻った今でも、エルは父親は病気なのだと思い込んでいた。
「だからね、えるがおみまいにいってあげるんだよ?」
 背中に背負った小さな荷物には先日お土産に貰ったお菓子の家が入っている。父親が帰って来たら一緒に食べようと、独り占めしたい気持ちを抑えてとっておいた、宝物だった。
「とーさま、きっとよろこぶよね? そんで、びっくりして、びょーきなんてすぐなおっちゃうの」
 それは確かに驚くだろう‥‥心臓が止まる程に。
「とーさまのとこにはね、ここをま〜っすぐいくんだよ?」
 エルが指差したのは、キャメロットへと続く街道。
 確かに、その道は猫屋敷のあるキャメロットへと続いていた。ただし‥‥大人の足でも二日はかかる距離だが。
「だいじょうぶ。える、なんどもとおったこと、あるもん」
 馬車か‥‥殆どの場合父親の馬に乗せられて。
 それでもかなりの時間がかかる筈なのだが、エルにとって父親の馬に乗せて貰うのは、あっという間に過ぎてしまう楽しい時間だった。
 だから、キャメロットはとても近くにあるものと思っていたらしい。
「じゃ、いこっか」
 エルは片手にくまのぬいぐるみをしっかりと抱え、狐の頭をひとつ撫でると元気に歩き出した。夜が明けたばかりの、まだ薄暗い街道を北に向けて。


 そしてここにも、心臓が止まるほど驚いたであろう人物が一人。
「エルが‥‥!?」
 こっそりとエルの‥‥そしてウォルの誕生パーティを計画していたクリステル・シャルダン(eb3862)がそれを聞いたのは、パーティ当日の朝。会場である猫屋敷まで連れて行こうと、タンブリッジウェルズの城までエルを迎えに来た時の事だった。
「まだ遠くへは行ってないと思うんだけど‥‥まったく、あのチビさんにも驚かされるわ」
 ルルが大きく溜息をつく。
 どうも、見張りの交代時間の隙を突いて外に出たらしい。見張りの者も外からの侵入者に対しては敏感だが、出て行く者に対してはさほど気を張ってはいなかったらしい。ましてや小さな子供が早朝から城から抜け出すなど、想定外の出来事だったろう。
「私としてはチビさんのその根性を買って、好きなようにさせてあげたいトコだけど」
「でも‥‥この辺りにはデビルもいますし‥‥」
 エルが一人で出歩いていると知れれば、ロシュフォードも狙って来るかもしれない。
 そうでなくても小さな子供の一人歩きは何かと危険だ。
 もし誘拐でもされたら‥‥
「あの、私‥‥探しに行って来ます!」
 血の気の引いた顔で慌てて飛び出そうとしたクリスを、ルルが呼び止めた。
「ちょっと待って。探しに行くのは当然だけど‥‥ちょっと、様子見てみない?」
「‥‥え?」
「だってホラ、せっかく男の子が意を決して冒険に出たのよ? ここはその心意気って言うか、旺盛な独立心ってヤツを尊重してあげたいと思わない?」
 勿論、エルを探しに行く事に異論はない。だが‥‥
「見付けたら、そのまま見守るって‥‥どう?」
 エルに気付かれないように、影からそっと。時にはこっそりと助け船を出し、諦めて泣き出すまでじっと待つか、或いは‥‥
「意外と根性ありそうだから、自力で猫屋敷まで行っちゃうかもね?」
 きっと良い経験になるだろう‥‥途中で捕まって、連れ戻されるよりは。
 ただし、見守る方は気が気ではないが。
「じゃ、そういう訳で‥‥私、助っ人頼んで来るから!」
 ルルは返事も聞かずに飛び出して行った。行き先は勿論、冒険者ギルドだ。
「‥‥大丈夫、でしょうか‥‥」


 その頃‥‥
 関係者達の心配と不安を余所に、エルは元気いっぱいに街道を歩いていた。
「おなか、すいたね」
 脇を歩く狐に声をかける。
 ポケットには小銭が何枚か入っている。近所の子供達と遊ぶ時の為に貰っていた小遣いの一部だった。
「える、ちゃんとおかいものできるもん」
 普段はどこに行くにも付いて来るお目付役も、今日はいない。初めての自由。
「あさごはん、ください!」
 エルは良い匂いの漂ってくる食堂のドアを開けた。

●今回の参加者

 ea1274 ヤングヴラド・ツェペシュ(25歳・♂・テンプルナイト・人間・神聖ローマ帝国)
 ea7244 七神 蒼汰(26歳・♂・ナイト・人間・ジャパン)
 eb3862 クリステル・シャルダン(21歳・♀・クレリック・エルフ・イギリス王国)
 eb8317 サクラ・フリューゲル(27歳・♀・神聖騎士・人間・ノルマン王国)
 ec4984 シャロン・シェフィールド(26歳・♀・レンジャー・人間・イギリス王国)

●サポート参加者

アルディス・エルレイル(ea2913)/ ユキ・ヤツシロ(ea9342)/ レア・クラウス(eb8226

●リプレイ本文

 サクラ・フリューゲル(eb8317)は悩んでいた。
「エルさんのプレゼントどうしましょう‥‥」
 様々な雑貨を扱う店が立ち並ぶ界隈を、あっちにウロウロこっちにウロウロ。
 ウォルへのプレゼントは手持ちの物からと決めてはあったが、小さな男の子には何を選べば良いのか‥‥
「ああ、早く決めてパーティの準備に戻らないと」
 ウロウロ、オロオロ。
 それでも何とかプレゼントの品を決めたサクラが猫屋敷へ戻ってみると‥‥
「エルちゃんが一人旅である! ふはははは、流石は円卓の騎士の跡継ぎよ!」
 ヤングヴラド・ツェペシュ(ea1274)が例によって悪役っぽい高笑いを響かせていた。
「あ、あの‥‥一体どうされたのでしょうか?」
 おずおずと尋ねたサクラに、七神蒼汰(ea7244)が一枚のメモを見せた。
 それはクリステル・シャルダン(eb3862)が伝令用に放った鷹、ボラールの足に付けられていたものだった。
「‥‥男の子だねぇ」
 くすくすと笑みを漏らす蒼汰とは対称的に、メモを読んだサクラの顔からは音を立てて血の気が引いて行く。
「た、大変ですわ!? ウォル! ウォルに知らせて、ああ、それから‥‥っ!」
 慌てふためき、バタバタと通りへ飛び出して行く。
「あ、ちょっと‥‥サクラ殿?」
 蒼汰の制止など、全く聞こえていない様だった。
「まあ‥‥後はウォルに任せておけば良いか」
 微笑ましげにその背を見送り、再びくすくす。
「さて、私達はどうしましょうか」
 同じ様に微笑を浮かべながらサクラを見送ったシャロン・シェフィールド(ec4984)が言った。
「危険だからと止めるのは簡単ですが、ここは応援するのが大人の役目かもしれませんね」
 子供なりの、精一杯の励ましのつもりなのだろう。多少の危険はあるかもしれないが、そこは大人がフォローしてやれば良い。
 ただ、手の出しすぎは禁物だが。
「願わくば、エルの決心が悪い方向に働きませんようにって感じかな」
 と、蒼汰。
 だが、もし何かの力が働いたとしても悪い方へは行かせない‥‥その為に自分達がいるのだ。
「ふはははは、では余も陰ながら見守りまくっちゃうのだ〜 !」
 ヴラドはグレートマスカレードを取り出し、装着!
「これで余はどこから見ても通りすがりの正義の味方なのだ!」
 いや‥‥それはどうだろう。
「街道が整備されているとは言え大人でも二日はかかる道のり、道中の心亡き輩どもの跳梁跋扈が気になるところなのだ。例えば変態どもの毒牙にかかり、葱好きなどになってしまったら‥‥」
 そう言ってる本人が「通りすがりの変態さん」に見えなくもないのだが。
「ボールスどのは悲しみのあまり発狂するかもしれないのだ〜」
 そのボールスは‥‥先程からぼんやりと、南の空を眺めていた。まさに心ここにあらず。「ここ」どころか、どこにもないのではないかと思える程の放心っぷりだった。
「あー、七神どの。ソレの面倒はお任せしても良いであるかな?」
「ああ、コレね。そうだな‥‥」
 他の者はエルの手助けに行く様だし、大勢でゾロゾロ行っても目立ちすぎる。それに今のところ、どうやって護衛の任を果たすか、上手い考えが見付かっていなかった。
「わかった、任されるよ。一応補佐役だし、仕事も溜まってるみたいだから手伝いも兼ねて、な」
 とは言え‥‥
「二人とも、足は?」
 ヴラドが連れている馬はまだ子供で、とても人など乗せられるものではない。シャロンもいつもの戦闘馬は連れていない様だった。
「歩いて行ったんじゃ、間に合わないと思うんだが‥‥俺がペガサスで運ぶか」
 一人ずつ乗せて、二往復。
「今はクリステル殿が一人で見張ってる筈だからな。早く行ってやらないと」
 本当は真っ先に、そこでソワソワしている上司殿を送り届けたいのだが。
「ボールス卿。俺が戻る迄に、少しは片付けておいて下さいよ‥‥その仕事の山」
 恐らく無理だろうと思いつつ、蒼汰は猫屋敷を後にした。


 その頃、エルはまだ最初に立ち寄った食堂でのんびりと朝食を摂っている最中だった。
 テーブルの上に乗っているのは‥‥どうやらメニューにもない、子供向けの特別料理らしい。店の者が気を利かせてくれたのだろう。
「んふふ、おいしーねっ♪」
 足元の狐には干し肉とミルク。
 やがて食事を終えたエルは元気に立ち上がり‥‥
「ごちそーさまでしたぁ! えっと、おいくらですか?」
 ――チャリン。
 やっと目が出る程の高さのカウンターに、小銭を何枚か。勿論それで足りる筈もないのだが‥‥
「じゃあ、これだけ貰っておくよ? はい、毎度ありがとうね坊や。また寄っとくれよ?」
「うん、ばいばーい!」
 店の女将から釣り銭‥‥と言うか、出したコインの殆どを返して貰い、エルは意気揚々と再び街道を歩き出す。
 ここはまだボールスのお膝元。それに‥‥
「あの、ありがとうございました」
 エルが店を出た事を確認し、クリスがこっそりと厨房から顔を出す。
「残りの金額はきちんとお支払いしますので‥‥あの、おいくらになりますか?」
「ああ、良いんだよ。気にしなさんな」
 女将は豪快に笑う。これで背中など叩かれたら、多分床と仲良くなる位では済まないだろうが‥‥如何にマダム族とは言え、見るからに華奢な女性にそんな事はしない。
「あの子のとーさまには、こっちも世話になってるからね。この町のモンなら大抵、喜んで協力してくれるさ。だけどね‥‥」
 女将は声を潜める。
「町から出たら、気を付けた方が良いよ。特にあの、セブンオークスを抜ける道は、ね」
「‥‥はい‥‥」
 クリスも緊張の面持ちで頷いた。
 確かに、あの場所が最も危険‥‥いや、あの町さえ無事に抜ける事が出来れば、後はそう危険な事もないだろう。
 だが、危険だからと言ってそこを避けて通らせる訳にも、そこだけ馬車に乗せて駆け抜ける様な訳にもいかない。
 今まで通り、地道に根回しを。
 ペガサスで飛び立ったクリスは下を歩くエルに見付からない様に街道を大きく迂回しながら、セブンオークスの町へ向かった。

「ああ、どうしましょう、心配ですわ‥‥」
 オロオロ、そわそわ。
 ウォルを捕まえてタンブリッジウェルズの町までやって来たサクラは、ハラハラと落ち着かない様子でエルを見守っていた。
「で、でも‥‥頑張っている様ですし、出来る所まで見守る事にしましょう。ええ、それが良いですわ」
 サクラはぐっと拳を固めると、傍らに身を潜めているウォルに言う。
「ですから、手を出してはいけませんわよ? 私達はあくまで万が一の時の為に‥‥ああ、でも‥‥」
 街道を歩くエルが道行く人に声を掛けられたり、街道を逸れそうになる度に、はらはら、そわそわ。
「だーかーらー、おーちーつーけー?」
 見かねたウォルがその頭をぽんぽんと軽く叩く。
「サクラがウロたえたってしょーがねーだろ?」
「うう‥‥それは、そうですが‥‥」
 その手が少し大きく、逞しくなった様な気がする‥‥などと思いつつ。
「‥‥あっ!」
「何だよ?」
 見れば、エルは街道の分かれ道にさしかかっていた。
 右と左、果たしてどちらへ行けば良いのか‥‥道標が読めないエルは、迷っている様子だった。
「よーちゃん、お願いします!」
 サクラは連れていたフェアリーに、エルを誘導する様に頼む。
「あの子はまだ、お披露目していなかった筈ですわ‥‥」
 迷った末に反対方向に歩き出したエルの目の前を、お日様のような明るい色をしたフェアリーがついと横切る。
「あ、よーせいさん!」
 それを目で追うエルに、フェアリーは「おいでおいで」をする様に小さな手を振る。
「‥‥そっち?」
 こくん、小さな頭が前に揺れた。
「ありがと、よーせいさん! ばいばいー!」
 頭上で輪を描く様に飛んでから上空に消えたフェアリーに向かって、エルは大きく手を振る。
「ふわちゃん、こっちだって。いこっ!」
 エルは正しい道を再び元気に歩き出す。
 それを見て‥‥サクラは盛大な溜息を漏らした。
「見ているだけなのに‥‥疲れますわ、ね」
 だが、まだ先は長い。そしてこれからが正念場だった。

 エルが元気にセブンオークスの町に足を踏み入れた頃。
「ふはははは!」
 悪役笑いが町にこだまする。
「余は道中の露払いをするのだ。汚物は消毒なのだ〜 !」
 汚物とはつまり、野良犬、野良変態、野良山賊、野良悪領主、野良デビル。他にも人相が微妙な者、不審な者に出くわしたりしたら、奥義サーチフェイスフルで信仰心の有無を確認し、その危険度を調べる。
 ‥‥でもやっぱり、その本人が一番微妙で不審な気がするんですが‥‥?
「ちょっとアンタ、何してんだい?」
 ほら来た。街道沿いにある店のオバチャンが、物陰に隠れて様子を窺っていたヴラドをじろじろと見る。
「さっき若い姉ちゃんに頼まれたんだけどね? なんでも父親の見舞いに行こうと一人で頑張ってる子供を狙う不届き者がいるとか‥‥」
 いや、そうは言ってない。
 確かに先行したクリスが似た様な頼み事をしては行ったが。
 彼女はただ、見かけたら気に掛けてやって欲しいと頼んだだけだ。
 しかしその頼み事はオバチャンの脳内で微妙に変化してしまったらしい。
 いや、それも目の前に現れた不審者のせい、か?
「いや、余は不審者ではないのである! 余‥‥いや、私は通りすがりの正義の味方! ああっ、こうしている間にも悪の手がエルちゃんに‥‥!」
 黒いコートをしっかり掴んで離さないオバチャンをどうにか納得させ、ヴラドは慌ててエルの後を追いかける。
 ‥‥と、後から追い越して行った荷馬車が、エルの脇で止まった。
「ぼく、一人? どこに行くのかな?」
 御者台から顔を覗かせた男が声をかける。
「良かったら乗って行かないか?」
「むむ、人浚い‥‥!?」
 奥義ボウ、発動! 護衛対象はエルディン・ド・ガニス! ついでにカリスマティックオーラも発動! 殺る気モード、セット!
「ふはははは、神罰を代行してやるのだゴミめらが! 滅せられたくなくば改心して失せるが良いわ!!」
 だが、そう言い放ち、飛び出そうとした瞬間‥‥!
 ――ぐいっ!
 またしても、黒いコートが引っ張られた。
「むう、何奴!? 邪魔をするとは‥‥っ」
「ヴラドさん、あの、落ち着いて下さいっ!」
 コートの端を必死で引っ張っているのは‥‥
「クリステルどの‥‥?」
「あの方は、私がお願いしたんです。キャメロットに向かうというお話でしたので、事情を説明して‥‥」
 その時。
「‥‥かーさま?」
 エルが振り向いた。
「ふわちゃん、いま、かーさまのこえ、したよね?」
 ぱさり。狐は返事の代わりに尻尾を振り‥‥
 一声鳴くと、クリス達が隠れている建物の影に向かって走り出した!
「ま、拙いのである!」
 早く逃げろと追い払う様な仕草をすると、ヴラドは街道に飛び出した。
「待たれよ、そこな少年!」
「‥‥?」
「少年、そなた今、母の声が聞こえたと申しておったな?」
「‥‥?」
「そなたは今、ひとりで父の許へへ行こうとしていたのではないのかっ!? 誰にも頼らず、己自身の力のみでっ!」
「‥‥なんで、しってるの?」
「そ、それは‥‥っ」
 ヴラド、苦戦中。
「正義の味方は何でも知っておるのだ! そして、そんな中で母の声が聞こえるとは、これ依存心の現れ!」
「‥‥よくわかんない。おじさん、だれ?」
「おじさん!?」
 ‥‥まあ、五歳児から見れば大人は皆おじさんという事で。
「‥‥余、いやいや私は名乗るほどの者ではない。さらば!」
「?????」
 颯爽とマント‥‥いや、黒いコートを翻して走り去るグレート仮面! その背を見送り、エルは頭の周りを疑問符だらけにしながら首を傾げる。
「だれだったんだろ、ね? それに、かーさまは‥‥?」
 もう、気配はない。
「‥‥かーさま‥‥」
 急に、寂しくなった。鼻の奥がつんと痛くなる。でも。
「える、なかないもん。ひとりでとーさまのとこいくって、きめたんだもん!」
「そうかそうか、偉いなぁ」
 その言葉を聞き、荷馬車の男がニコニコと微笑む。
「どうだい、乗ってくかい? これくらいなら、ちゃんと一人で来たって褒めて貰えるよ?」
 だが、エルは首を振った。
「しらないひとについてっちゃ、いけないんだよ?」
 ‥‥その辺りはしっかりと教育されている様だ。
「知らない人じゃない‥‥と言うか‥‥頼まれたんだが‥‥なあ」
 荷馬車の主は口の中でそう呟く。しかし、自分の事は内緒にしておいて欲しいと言われた以上は、それを言う訳にもいかなかった。
「‥‥そうか、じゃあ‥‥頑張れよ?」
「うん、ありがとー」
 去り行く荷馬車に手を振ると、エルは再び元気に歩いて行く。
 途中で昼食を摂り、少し休んでから再び歩く。しかし、そろそろお昼寝の時間。それに、流石に疲れたのだろう。エルは道端に座り込むと‥‥
 こてん。
 狐を枕に横になり、そのままぐっすりと寝入ってしまった。
「‥‥どうしましょう‥‥」
 再び尾行を開始したクリスは、物陰からこっそりとその様子を見つめ‥‥悩む。
 まだ昼間とは言え、外で寝ていては風邪を引いてしまう。しかし自分が出て行っては、もしも目を覚ましたら折角の冒険が台無しになってしまうだろう。
「シャロンさん、お願い出来ますか‥‥?」
 同じくこっそりと後をつけて来たシャロンに尋ねる。
「ええ、私ならまだ顔を知られていない筈ですし‥‥」
 ただ、余り顔を見られては後でパーティを開く時に気付かれてしまうかもしれない。ここはあくまで通りすがりの他人のふりで‥‥
「あの子、どうしたのでしょうね? どこか具合でも悪いのでしょうか‥‥?」
 街道の両脇に並ぶ店で買い物のふりをしながら、居合わせた客に話を振ってみる。
「おや、ほんとだ」
 いかにも世話好きといった風情のオバチャンが、早速反応を示した。
「ちょいと坊や? こんなトコで寝てると風邪ひくよ?」
 小さな肩を軽く揺すってみるが‥‥
「あれまあ、ぐっすり寝込んじまってるねぇ」
 オバチャンはエルの小さな体を片手でひょいと抱き上げた。慌てて、一緒にぐっすりと眠っていた狐のふわちゃんが飛び起きる。
「ほれ、あんたもおいで? うちはこの近くだからさ」
 領主の評判は悪いし、町の雰囲気も決して良いとは言えないセブンオークスだが‥‥そこに住む者ひとりひとりは、特に他と変わる所もない。彼等も個人的には、どこにでも居る善良な人々のひとりに過ぎないのだ。
 ただし、エルが隣町の領主の息子だと知られたら、恐らくこうはいかないだろうが。

 結局、エルが目を覚ましたのはその日の夕方‥‥もう西の空に陽が沈み始めた頃だった。
「もう遅いからね、今夜はうちに泊まってきな?」
 見知らぬオバチャンに言われ、エルは不安げに狐を抱き締める。
「大丈夫だって、坊やの事はちゃんと面倒見るようにって‥‥おっと、こいつはナイショだったね」
 こっそりと後をつけたクリスとシャロンから事情は聞いていた。
「まあ、出て行っても良いけどね? でも折角だから晩御飯だけでも食べて行きなよ。ほら、丁度良い具合にスープが煮えて来た」
 鼻腔をくすぐるその匂いに、エルのお腹が盛大な音を立てる。
「じゃあ‥‥ごはんたべたら、える、いくからね?」
「はいよ、好きにしな?」
 しかし、腹が膨れれば再び眠気が襲って来る。こんなに長い距離を歩いたのも初めての事だ。
 エルは食事の途中でテーブルに突っ伏してしまった‥‥スプーンを握り締めたまま。

「‥‥エルの冒険は、まずは順調の様ですよ」
 鷹のボラールによって届けられた「本日のエル情報」を蒼汰が読み上げる。
 それを聞いて、ボールスは心底ほっとした様に大きく溜息をついた。
「でも‥‥夜泣きは大丈夫でしょうか‥‥それに、夜中の洪水も‥‥」
 そして再び、上の空モード。
「そう言えば、まだ治ってないんでしたっけ‥‥エルのおねしょ」
 ボールスは黙って頷く。回数は減ったが、まだ時々は失敗するらしい。
「余所の家でなら大丈夫でしょうか‥‥それとも、緊張して余計に‥‥?」
 そわそわと落ち着かない。
 勿論、机の上に山と摘まれた書類も少しも片付いてはいなかった。
「‥‥自分で見守っていたい、ですか?」
 その問いに答えはないが、俯いた所を見るとイエスなのだろう。
「だったら、まずこの仕事を片付けて下さい。それで時間が出来たら、ご褒美にシルフィスに乗せて上げますから」
 そのケルピーのオーナーはボールスなのだが‥‥何となく、乗せてあげるという言い方がしっくり来る。
「遠乗りでもエルの様子を見に行くのでも、好きにして構いませんから‥‥それまでは、経過報告だけで我慢して下さい。明日からは俺も様子を見に行きますし」
 他の仲間も付いてるから、大丈夫。
「‥‥勿論、大丈夫なのはわかっています‥‥が」
「わかってるなら、はいこれっ!」
 ――どんっ!
 蒼汰は新しい書類を容赦なく積み上げる。
「もう書類の読み方とか処理の仕方がわからないなんて言い訳は通用しませんからね?」
 記憶そのものは完全に戻っている。それでも仕事が滞るのは‥‥
「心配なのはわかりますけど、ね」
 まあ、息子が心配で仕事が手に付かないなどというヘタレっぷりは、ボールスが元の状態に戻りつつある証拠、かもしれないのだが。


「‥‥洪水は起きずに済んだ様ですね‥‥」
 翌朝、エルの様子を見に来たシャロンは安堵の溜息をつく。
「では、私は引き続き付かず離ずの護衛を」
 オバチャンに礼を言い、再び元気に歩き出したエルの後を追う。
 一方クリスは、その姿が見えなくなった事を確認してからそっとドアを叩く。
「本当に、お世話になりました。あの、これは食費と、それに泊めて頂いた‥‥」
 コインを数枚、その手に握らせようとするが‥‥
「ああ、良いんだよ。こっちもカネが目当てでやってる訳じゃないさ。昨日は一日、可愛い孫が出来たみたいで楽しかったしねえ」
 オバチャンは受け取ろうとしなかった。
「それより、あの子キャメロットまで行くんだろ? 道はまだまだ長いからね、気を付けてやっとくれよ? 礼は‥‥そうさね、また今度、何かのついでにでも遊びに寄ってくれりゃ、それで良いさ」
「ありがとうございます。では、お言葉に甘えて‥‥」
 クリスは丁寧に何度も頭を下げると、エルの後を追った。

「あの子、さっきからずっと一人で歩いてる様ですが‥‥この近所の子ではないのでしょうか?」
 あくまで「たまたま同じ方向を目指してる他人」のふりをして護衛を続けるシャロンは、街道の途中に点在する町や村に立ち寄っては、そうして周囲の者に注意を促す。
「親とはぐれたのかもしれませんね‥‥」
 それを聞いて、手を差しのべようとする者、見なかったふり、聞かなかったふりをする者‥‥反応は様々だ。
 そんな人々の様子を見るのも、なかなかに面白い。
 シャロンは常にエルが視界に入るような距離を保ちつつ、不自然に見えない程度に寄り道や休憩を挟みながら、ゆっくりと街道を歩く。
 だが、遂に‥‥
「おねーちゃ、いつもいっしょだね」
 にこー。
 何度目かの休憩時。とうとうエルに気付かれてしまった。
 エルはシャロンの腰掛けているベンチの隣に飛び乗る様にして座ると、にっこりと笑いかけた。
「きのうから、ずっといっしょだよね? おねーちゃも、きゃめろっといくの?」
「え? ええ、そう‥‥です、ね」
 思わず少し声色を使ってみたり。
「おねーちゃも、だいじなよーじ?」
「え、あ、はい。大事な用事‥‥です」
「えるもね、だいじなよーじなんだよ。とーさまのおみまいにいくの!」
「お見舞い‥‥お父様はご病気なのですか?」
「うん。とーさま、あたまいたいって。でもね、えるがおみまいにいけば、きっとすぐなおっちゃうの。だって、える、とーさまだいすきだもん」
 にこにこにこ。
 こんな可愛い子の「大好きパワー」なら、きっと大抵の病気は治ってしまう事だろう。気の病なら、特に。
「そう。では、お父様もエル君が大好きなのですね」
 だがその問いに対し、エルは‥‥
「わかんない。とーさま、おでかけばっかりだし、える、いつもおるすばんだし‥‥」
 足をぶらぶらさせながら、俯く。
「そんな事はないでしょう? お休みの時は、いつも遊んでくれるのではありませんか?」
「うん、そうだけど‥‥」
「今だってきっと、心配していらっしゃいますよ?」
 きっと、仕事が手に付かない程に。

「‥‥ボールス卿」
 トントン。指先で机を叩いてみる。
「ボールス卿!」
 すぱあん!
「痛っ‥‥あ、はい?」
 ハリセンで叩かれ、漸く呼ばれている事に気付いた円卓の騎士は、何事かと部下を見る。
「仕事‥‥さっきから全っ然、進んでないんですけどっ?」
「あ‥‥ああ、そう‥‥ですね」
 トボけた答えに蒼汰は頭を抱える。
「‥‥そんっなに気になりますか?」
「え、いや、別に‥‥」
 だが、心は明らかに南の空へ飛んでいる。
 蒼汰は諦めた様に大きく溜息をついた。
「‥‥わかりました。様子、見に行きましょう」
「え?」
「どうせ仕事なんか手につかないんでしょう?」
「‥‥‥‥」
「その代わり、無事な姿を確認したらすぐに戻って‥‥この山を片付けて貰いますからね!?」

 という事で。
 ペガサスに乗った蒼汰は上空からエルの姿を探す。まずはオーラセンサーで位置を確認。そして、その情報をケルピーで追って来るボールスに伝え‥‥
「見るだけですからね? 手助けは駄目ですよ?」
「‥‥‥‥」
 返事をする余裕もない、らしい。
 ボールスの目は、少し足を引きずりながら歩くエルの姿に釘付けになっていた。
 これで二日目‥‥大人の足ならもうキャメロットに着いている頃合いだが、エルはまだ行程の半分も進んでいなかった。
「‥‥いたっ!」
 転んだ。何もない所で。
「‥‥あ!」
 同時に、街道に面した藪の二箇所から小さな声が上がる。
「‥‥え?」
 互いに、声のした方を振り向き‥‥
「‥‥クリス、さん?」
「‥‥ボールス様‥‥」
 親バカ二人、鉢合わせ。だが、二人の注意はすぐさまエルの方に引き戻された。
「‥‥泣く‥‥かな」
「‥‥いいえ‥‥きっと、大丈夫‥‥」
 はらはら、どきどき。
「える、なかないもん。つよいこだもん!」
 エルはよいしょ、と立ち上がる。片方の膝からは血が流れていた。
 どうしよう。飛び出して行ってリカバーをかけてやりたい。いや、クリスのリカバーはレミエラのおかげで射程が伸びていた筈だし、ボールスにはギブライフもある。
 しかし‥‥
「‥‥バレる、かな」
 ボールスの言葉に、クリスは無言で頷く。
 だが、その時。
「あら、転んだのですか? どこかで手当をしないと‥‥」
 救いの女神、シャロンが現れた。
「あ、さっきのおねーちゃ」
 シャロンはまだ用事があるからと言って先程の町に残り、頃合いを見計らってこっそりと後をつけていたのだ。
「この位なら、水で綺麗に流しておくだけで大丈夫そうですね」
 わざと大きな声で言う。
 同じ様な安堵の溜息が、ふたつ。
「‥‥さあ、もう良いでしょう? 仕事に戻りますよ!」
 ぐいっ。
 ボールスは後ろから襟首を掴まれ‥‥
「え? あの、ちょ‥‥っ」
 部下に引きずられる様にして、藪の奥へと消える円卓の騎士。
「あ、あの、引き続き、よろしくお願いします‥‥!」
 そんな、ちょっぴり他人行儀な言葉を残して去るその姿を、クリスは小さく手を振りながら見送った。

 エルの冒険は続く。
 クリスは先回りをして危険なものや、悪い噂がないかを調べ、店や宿には事情を説明して回り‥‥シャロンは付かず離れず、サクラとウォルは物陰からこっそり、そしてヴラドは大凧で空から。
 疲れて眠ってしまった所をこっそりと馬車で運び、気付かれない様に距離を稼いでみたり‥‥。


 そして遂に、四日目の夕方。
「きゃめろっと、だ!」
 道の向こうに、見慣れた町並が姿を現した。
 思わず走り出したエルと狐のふわちゃんを町の入口で出迎えたのは‥‥
「エル!」
「かーさま!?」
 驚いた様に見つめるエルを、クリスは思い切り抱き締めた。
「無事で良かった‥‥!」
「かーさま? なんで‥‥?」
 内緒の冒険だった筈なのに、どうして出迎えが?
「わかってるわ。父さまをびっくりさせたかったのよね? よく頑張ったわ、エル」
 でも‥‥、と、クリスは体を離し、両手でエルの方を掴んでその目を覗き込んだ。
「黙っていなくなるんですもの‥‥皆心配したのよ? お願いだから、今度からは誰かに言ってからにして、ね? 秘密にしたいなら、ちゃんと約束は守るわ。だから‥‥」
「‥‥ごめんなさい‥‥」
 しゅん。
 だが、項垂れたエルに向かって、クリスは優しく微笑んだ。
「良いのよ。さあ、行きましょう? もう少しだから‥‥頑張って」
「‥‥うん!」
 差し出された手をとり、エルは再び元気に歩き出した。
 とーさまの待つ、猫屋敷へ‥‥。

「‥‥エル!!」
 待ちきれずに屋敷を飛び出したボールスの目に、転がる様に走ってくる息子の姿が映る。
「‥‥あっ!」
 庭の芝生に足をとられ、またしても転びそうになるが‥‥今度は父親が、その体をしっかりと受け止めた。
「とーさま、ただいま!」
 ただいまと言うのも、何か違う気もするが‥‥細かい事は気にしない。
「お帰り、エル。よく頑張りましたね」
「うん、える、がんばったよ! がんばって、ひとりであるいてきたの! とーさま、びっくりした? びょーき、よくなった?」
「‥‥‥‥」
 どうやら、父さまは言葉が出ないらしい。エルをしっかりと抱き締めたまま、黙って頷いた。
「‥‥よかっだ、とーざま、げんぎに‥‥ひくっ‥‥うえ‥‥っく」
 うわあぁぁん!
 今までずっと我慢していたのだろう、エルは火が付いた様に泣き出した。
「どーざま、ぐす、えりゅのごど、えぐ、ずき? えりゅのごど、ひくっ、ぎやいになったり、じない?」
「当たり前でしょう? 大好きですよ、エル。それに‥‥心配かけてごめん、ね。ありがとう‥‥」
 それを聞いて、エルは更に激しく泣き出した。

「泣き寝入り、か」
 蒼汰が少し残念そうに笑う。
「せっかくエルの初冒険を記念する横断幕も作ったのに、な」
 中庭に面した窓の上に、二つの文字が並んでいる。
『エル・ウォル 誕生日おめでとう』
『祝・エルディン・ド・ガニス初冒険!』
「仕方がありませんね。お父様の顔を見て安心したのでしょうし‥‥それに、子供の足にはかなり堪えたでしょうから」
 エルの頑張りを思い出して、シャロンが微笑んだ。
「主役の片方が不在なのは残念だけど‥‥折角だし、始めるか?」
 エルにはまた後で、家族だけの小さなパーティでも開いてやれば良いだろう。
「ほれ、主役!」
 前へ出ろと、蒼汰がウォルの背中を押す。
「え? いや、あの‥‥なんだよ、またサプライズ!?」
 などと言いながら、まんざらでもない様子のウォル。
「ほんとは楽しみにしてたんだろ?」
「そ、そんな事ないっ!!」
 蒼汰にからかわれ、ぷうっと膨れ上がる所はまだまだ子供だが‥‥
「ウォル、お誕生日おめでとうございます」
 純白のドレスに着替えたサクラが、そんな出で立ちには似つかわしくない物騒な得物を差し出す。
「プレゼントをどうしようかと、随分悩んだのですが‥‥愛用していた剣と、これを」
「何だ、これ?」
 軽くて性能の良いマグナソードはウォルにとって嬉しい贈り物だったが‥‥
「赤い、毛糸の‥‥輪っか?」
 指でつまんで、かざして見る。どこからどう見ても、ただの毛糸の輪っかだ。
「あの‥‥どなたか気になる人ができた時に」
「って、サクラも付けてんじゃん? 誰か気になるヤツ、いんのか?」
 ‥‥男の子は総じて、果てしなく鈍感な様です。
「私も、似たような贈り物になってしまいますが‥‥」
 こちらもドレスアップしたシャロンが、対になったハート型のペンダントを渡す。
「いずれ、ウォルが立派な騎士になって、守りたい女性が出来たら片方を渡してあげてください。 あんまり、じらせては可哀想ですよ?」
 ちらり、と意味深な視線をサクラに投げるが‥‥その視線の意味に気付くには、もう少し時間がかかりそうだ。
「俺からは、これな?」
 蒼汰が渡したのは、ウォルのサイズに合わせて仕立て直されたジャーニージャケットだった。
「俺のお下がりってのがちょっと悪い気もするけど‥‥まぁ、勘弁してくれや」
 そしてクリスから手渡されたのは、名入りの高級羽根ペン、なのだが‥‥勉強道具よりも、ケーキの上に乗せられた小さなお菓子の家が気になるあたり、やっぱりまだまだ子供。
 中庭に用意されたテーブルには、エルとウォルの好物‥‥つまりはお子様向けのメニューを中心に、色々な料理が並べられていた。隠し味に蜂蜜が使われたノルマン風のケーキはサクラの手作りだ。
 料理の匂いを嗅ぎつけたのか、家の中からふわちゃんが出て来た。
「お、おまいさんは元気だな。エルと一緒に頑張ってくれてありがとう、ご苦労さん」
 蒼汰は指輪の力を借りたオーラテレパスでそう語りかけつつ、干し肉をプレゼントする。
「では、早速パーティを始めるのだ〜」
 マスカレードを外し、怪しさ半減のヴラドが言った。


 そして‥‥ぐっすり寝込んでいるエルの枕元には皆からのプレゼントが並べられていた。
 小さなマントに、独特の雰囲気を醸し出すぬいぐるみと、またこんな無茶をしても少しは守られるようにとの願いを込めた首飾り。
 それに、可愛い熊と狐の顔が付いた淡いピンクのリュックサック。外から見えない部分には、エルの名前が刺繍してあった。
 翌朝エルがこれを見付けたら、早速ピクニックに行こうとねだる事だろう。
 大事に持ってきたお菓子の家は崩れて粉々になってしまったが‥‥夜のうちにこっそり作り直して貰おうか。崩れたものは、他のお菓子の材料に出来るかもしれない。
 ともあれ、今はゆっくり‥‥お休み、エル。