【葱】葱リストより、愛を込めて【FINAL】
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■ショートシナリオ
担当:STANZA
対応レベル:フリーlv
難易度:普通
成功報酬:0 G 65 C
参加人数:4人
サポート参加人数:1人
冒険期間:12月22日〜12月27日
リプレイ公開日:2010年01月06日
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●オープニング
ここに、一本の葱がある。
実はただのフライングブルームを葱の形に削って、それらしく彩色しただけのものである――などと、身も蓋も、夢も希望もない事を言ってはいけない。
葱は――葱なのだ。
それは、これまでに幾多の愛を運び、希望をもたらし、そして人々の幸福を守ってきた。
その輝かしい栄光の飛跡に、今また新たな一筋が加えられようとしている。
この国における葱の伝統を守り、受け継いできたワンダと、それを支えたレッドの愛の物語。
そして――彼等を見守る友、葱リスト達の友情の記録。
葱は、永久に不滅だ。
●葱ウェディングは、華やかに
「‥‥二人には、内緒だからね」
ひそひそ。
「大丈夫、バレてない‥‥と、思う」
こそこそ。
キャメロット市内の、とある酒場の一角。そこには4人の葱リストが顔を揃えていた。
そして何やら、密談の真っ最中。
「それにしても、長かったね」
発案者であるレイジュ・カザミ(ea0448)が、かつての聖野菜‥‥いや、聖夜祭を思い出す。
ちょっと良い雰囲気になっていた気がするあの時から、もう2年の時が流れていた。
その間、二人には何の進展も‥‥あるのかないのか、よくわからない。
「もうそろそろ、レッドさんも腹を括っても良いと思うんだ」
「そうそう〜、ワンダちゃんだって、きっと待ってるんだよねっ」
あの時、パラーリア・ゲラー(eb2257)がプレゼントしたウェディングドレス。ワンダは受け取ってくれた。
問題は――
「レッドさん、だね」
チップ・エイオータ(ea0061)が苦笑いを漏らす。
「てっきり、あの時に告白したんだと思ってたけど‥‥まだ、なのかな?」
「まったく、何をやってるんだかな‥‥」
あの時もせっかくお膳立てしてやったのにと、呆れた様な、半ば面白がっている様な溜息を漏らしたのは来生十四郎(ea5386)だ。
あの時贈ったベールは、まだ持っているだろうか。
「あ、あたし、しまってある場所知ってるよっ。この前、ワンダちゃんに聞いたんだ♪」
パラちゃん、GJ。後でこっそり持ち出してしまえ。
‥‥と、そんな訳で。
「お膳立て、第二弾にして‥‥ファイナル」
葱村で、二人の結婚式を。今度こそレッドを男にするのだ。
二人を誘い出す名目は、いつもの様に「葱サンタでプレゼントを」で良いだろう。
毎年皆で行っている事だ。何かを勘繰られる筈もない。
あの村の教会で結婚式を挙げて、後はそのままパーティに突入だ。
「きっと、喜んでくれるよね」
葱サンタは愛の使者。今年も葱に乗って、皆に愛と愛と勇気と希望と、その他諸々を届けるのだ。
皆の未来が、幸せでありますように。
「じゃあ、行こうか」
4人の葱リストは立ち上がる。
二人を誘いに、そして――幸せを届けに。
●リプレイ本文
クリスマスには、サンタが葱に乗ってやって来る。それはもう、毎年お馴染みの光景。
葱サンタが運んで来るのは、良い子にしていた子供達へのプレゼントだ。
けれど、今年サンタが運んで来たもの、それは――
「‥‥けっこん、しき? わあ、いいね、それ!」
「しーっ」
準備の為にフライングブルームで先に村に入った来生十四郎(ea5386)の言葉に、子供のひとりが歓声を上げる。
十四郎は顔の前に人差し指を立て、悪戯っぽく笑った。
「まだ、秘密だからな。二人が来ても言っちゃだめだぞ?」
「うん、さっぷらいずー!」
「そう、サプライズだ」
しかも、とびきりの。
訳もわからずにはしゃぐ子供達を眩しそうに見た十四郎は、集まった大人達に目を転じる。
「そんな訳でな。村の皆にも協力を頼みたいんだが」
サプライズの周知と徹底、それに会場の設営やその他諸々。
「料理はこの僕に任せてね」
世界に冠たる葉っぱ男、葱の勇者にして伝道者、そしてこの計画の立案者でもあるレイジュ・カザミ(ea0448)が胸を張った。
「でも大掛かりなものになるから、僕の方でも手伝いを頼む事になると思うけど。皆、よろしく!」
こうして、今年最後の悪巧み――いや、最高に素敵なショーの準備が着々と進められていた、その頃。
「2人の幸せの為に、少しでもお手伝いができると嬉しーな♪」
「うん、レッドさんとワンダちゃんに聖夜の結婚式をプレゼントだよぉ〜♪」
チップ・エイオータ(ea0061)とパラーリア・ゲラー(eb2257)、二人の葱サンタはワンダの工房を訪ねていた。
「迎えに来たよ!」
「えへへー。クリスマスカード、届いたかにゃ?」
プレゼントの袋を持って、待ちかねた様にワンダと‥‥その背後から少し遠慮がちなレッドが飛び出して来た。
「ええ、届いたわ。二人共ありがとう」
聖夜祭のパーティへの招待状を兼ねたそれは、数日前に届いている。
「今年もよろしくね、サンタさん達。‥‥あら、他の皆は?」
いつもは必ず一緒に来る筈の二人の姿が見えないと訝るワンダに、チップが答えた。
「レイジュさんと十四郎さんは先に行ってパーティの準備してるんだ。おいら達はいつもと同じに、ね」
「そうそう、プレゼントはあたし達が持って行くの! だから、ワンダちゃん達は先に行ってて♪」
すぐに追い付くから、とパラーリアはワンダの背中を押し、チップがレッドの腕を引っ張る。
その隙に‥‥こそこそこそ。
「確か、ここだったよね‥‥あった!」
二年前に贈ったはきちんと手入れされて、大切に保管されていた。
「これなら、すぐにでも着られるねっ」
きっと、その日を待ちわびながら‥‥時折取り出しては眺めていたのだろう。
「‥‥うん。あたし、ワンダちゃんが勇気をもてるように応援するねっ。きっと、大丈夫。幸せになって! って♪ 」
ぎゅうー。ドレスを抱き締める。
みんな、いっぱいいっぱい、幸せになろう。
パラーリアは急いで皆の後を追った。大事な衣装をプレゼントつづらに入れて。
4人が村に辿り着いた頃には、宴の準備はすっかり整えられていた。
後は‥‥
「レッドさんが腹を括るだけ、だね」
「‥‥何?」
意味ありげな笑みを浮かべたレイジュの言葉にレッドは首を傾げる。
「何の、事だ?」
気が付けば葱リストの4人がレッドとワンダの周囲を取り囲んでいた。
「まずは、僕達から二人へのクリスマスプレゼント、受け取って貰おうかな」
レイジュがパラーリアに目で合図を送る。それを受けて差し出されたのは、先程ワンダの引出しからくすねて、いや拝借して‥‥いやいや、お預かりしてきた、ドレスとヴェールだ。
「はい、ワンダちゃん!」
「え、これ‥‥!?」
ワンダは両腕にふわりと掛けられたそれと、4人の顔‥‥そして傍らのレッドを見比べる。
レッドはと言えば、狐につままれた様な、鳩が豆を喰らった様な、何とも間の抜けた顔で呆然と突っ立っていた。
「まあ、そういう事だ、レッドさん。今度こそ、覚悟を決めてもらうぞ」
その肩を、十四郎がぽんと叩く。
「え!? いや、あの‥‥っ!?」
「葱リストから、2人に結婚式のプレゼントだよ♪」
「えええっ!!?」
満面の笑顔を浮かべたチップの言葉に、レッドは更に狼狽え――そして、その髪や瞳に負けないほどに真っ赤になった。
「そ、そんな、俺はまだ、その、そんな、あれじゃ、いや、あの‥‥っ」
「レッドさん」
レイジュがひとつ、大きく溜息をついた。
「レッドさんは葱リストなんでしょう!?」
「う、あ、うん、その」
「葱リストなら、ワンダさんをこれからずっと守っていかなきゃ、そう思わない? もしこの場で逃げるなら‥‥」
びしいっ!
レイジュはレッドの胸に、ぴたりと剣の切っ先――いや、葱の先端を向けた。
「僕は貴方を、葱リストとは思わない!!」
――ずがあぁぁん!
と、音が聞こえてもおかしくない程に、レッドは衝撃を受けた。
そう、この葱が‥‥葱こそが、ワンダとの、そして仲間との出会いをもたらし、そして愛と友情を育んでくれたのだ。葱リストと呼ばれる事は、その証。それを失う訳にはいかない。
いや、それ以上に――
「‥‥俺で、良いのか? 本当に‥‥」
純白のドレスを抱き締め、自分を見つめている――彼女。
返事は聞かなくてもわかっていた。もう、随分前から。ただ、度胸がなかっただけだ――たった一歩を踏み出す度胸が。
ワンダが小さく頷く。
「おめでとう!」
レイジュが先程突き付けた葱を、今度は押し付ける様に手渡した。そして、ワンダにも。
「式には、葱に乗って登場してね。葱リストの結婚式だもの、当然でしょ?」
「‥‥あ、‥‥あ、り、がとう‥‥その、何と‥‥礼を言ったら‥‥」
「感激するのはまだ早いだろう」
十四郎がレッドの背を叩く。
「俺のお古で申し訳ないが、レッドさんの礼服も用意させて貰ったんでな。ああ、手直しはしてある。サイズは合う筈だが‥‥」
そして、もうひとつ。
「こいつは‥‥覚えてるかな、ライル・フォレスト‥‥黄金葱の時に会ってる筈なんだが」
「ああ、勿論。あの時は世話になった」
「そいつからの祝いだ」
そう言って手渡したのは、ジーザスのダイヤモンドが二つ。く輝くダイヤモンドを用いた、銀製の指輪だ。そこには「2人の愛が、ジーザスの加護でダイヤのように末永く輝きますように」と書かれたカードが添えられていた。
「ワンダを一生幸せにできる男はお前だけだ、自信を持て」
どん! 再び背中をどつく。
「う、うぅ‥‥ほ、本当に、何と礼を‥‥っ」
「あー、いいから。感涙にむせぶのはまだ早いって‥‥畜生、こっちまで泣けて来るじゃねえか‥‥っ」
しかし、そこはぐっと我慢の子。
「さ、着替えに行くぞ。新婦さんの方は村のおばちゃん達が手伝ってくれるからな」
「あたしも手伝うね。行こっ♪」
パラーリアがワンダの手を引いて歩き出す。
「じゃあ、僕はその間に料理の仕上げだ」
自分で釣った魚やトリュフ、大豆を使った豆料理‥‥
「今までで一番美味しい料理を作るよ。葱はこの僕、葉っぱ男の名と共にある。2人の結婚式を大いに盛り上げないとね!」
それは、一風‥‥と言うか、かなり変わった――誰も見た事のない光景だった。
二人の葱サンタにエスコートされ、新郎新婦がバージンロードを歩いて‥‥いや、飛んでいる。その尻には、葱。尻尾の様に生えた、葱。
しかし、誰もその光景を奇異に思う者はいない。だって、ここは葱発祥の地。そしてワンダの故郷なのだから。
静かに通り過ぎる二人を、親しい村人達が見守る。その中にはきちんと礼服(ただし葱仕様)に着替えたレイジュも、そして花嫁の父の如くむせび泣く十四郎の姿もあった。
「‥‥とうとう‥‥とうとうこの日が‥‥24時間葱の祈りが通じる日が来たか‥‥っ。2人共、末永く幸せにな‥‥っ、くうぅっ」
涙で滲んだ視界の中、先導の二人が左右に道をあけるのが見える。新郎新婦はその先に進み、神父の前で歩みを――いや、葱を停めた。そして、ふわふわと宙に漂ったままで式は厳かに、滞りなく進行する。
「おめでとう!葱夫婦おめでとう〜♪」
式を終えて教会を出た二人の頭上から、レイジュがライスシャワーならぬ葱坊主の雨を降らせる。
「2人ともとってもステキだよ、末永くお幸せに♪」
チップの声に送られて、二人は手を繋いだままふわりと上空へ舞い上がった。
そこから投げられたブーケは、誰の手に渡ったのだろうか――
「じゃあ、まずは2人で最初の共同作業という事で!」
式が終わって披露宴。十四郎の音頭による盛大な拍手で迎えられた新郎新婦は、ここでもやっぱり葱に乗っている。
レイジュお手製のウェディングケーキ――豪華な五段重ねの天辺に黄金の葱が燦然と輝き、葱型の蝋燭がこれでもかという程に乱立しているそれに入れるナイフは、やっぱり葱を模したもの。
二人で一緒に持ったそれは、天辺から真っ直ぐに最初の歴史を刻み込む。何から何まで葱尽くし。まさに葱での門出だ。
「僕達からもプレゼントだよー!」
それを見届けたレイジュは仲間達と共に夕暮れの空へと舞い上がる。葱リスト4人による祝いのアクロバット飛行だ。
パラーリアがキラキラと光るレミエラで飾った葱にランタンをぶら下げ、チップとランデブー飛行を繰り広げる。イルミネーションの様に空に描かれた軌跡は結構を祝う言葉。
その飛行中に、チップは本物のライスシャワーを空から振りまいた。香り付きの花びらと江戸から持ってきた米を混ぜたものだ。会場全体に、ふんわりと仄かな香りが漂う。
そしてレイジュは葱で飛びながらのジャグリングを披露した。両手が自由になるのが、葱の良い所だ。
「‥‥流石、葱リストだな‥‥」
見上げるレッドが簡単の溜息を漏らす。その袖を、ワンダが小さく引いた。
「――ねえ」
一緒に、飛ぼう。二人は瞳を合わせ、頷く。手をとり、舞い上がった。
「おう、何だ‥‥来ちまったのかい。見てるだけじゃ、退屈か?」
「そういう訳じゃないけど」
苦笑いを漏らした十四郎に、ワンダが悪戯っぽく微笑み――レッドをちらり。
「葱リストの血が騒ぐの。ね?」
「そういう事だ、な」
本日の主役も交えて総勢6人。歴戦の勇者達は今、葱に乗る事をただ純粋に楽しみ、喜びと幸せをを分かち合っていた。
そう、これこそが葱の理想――フライング葱、本来の姿なのだ。
「葱は戦いの道具じゃない。愛と友情の絆を深め、確かめ合う為の道具なんだ!」
レイジュが力説する。いや、道具と呼ぶのも憚られる。そう、人類にとって葱はパートナー。葱は、人間の友なのだ!
「結婚おめでとう。心から祝福するよ」
やがて空がすっかり暗くなった頃。フライトを終え、静かに地上に戻ったレイジュは二人に告げた。
「このフライング葱は、ずっとこのキャメロットに伝えて行きたいんだ」
この村に、結婚した2人と葱リストの名前を刻んだ記念碑を建てられないだろうか。
「後世の人達にも僕達の活躍を伝えていきたいんだ‥‥どうかな?」
「‥‥流石に、ちょっと恥ずかしいわね」
頬を染めてワンダが答える。しかし‥‥
「でも、良いと思うわ。これからも、葱を広める活動は続けて行く訳だし‥‥」
「そうそう、葱リストはまだまだ増えるし、増やさなきゃ!」
皆にプレゼントの袋を配りながら、チップが言った。袋の中身はおめでたい席に相応しく、色とりどりのハート型マカロンの詰め合わせだ。
「葱リスト二世は、何人生まれるのかにゃ〜?」
パラーリアが二人の顔を覗き込む。
「ねえねえワンダちゃん。今の心境は? 子供は何人欲しい?」
「え、あの‥‥っ」
お決まりの質問に、ワンダは耳まで赤く染まる。しかし、ここで押されてばかりいる様な女では、ない。逆襲に出た。
「パラちゃんこそ、何人欲しいの?」
「え? あた、あたし? えと、えと‥‥その‥‥えへへっ」
笑って誤摩化した!
その傍らで、十四郎は集まった客達に自作の酒を振る舞い歩いていた。
「いや、若いだけに不安や不慣れな部分もあるだろうからな‥‥」
この会場にワンダやレッドの「家族」と呼べる者はいないらしい。だが、この村では皆がひとつの家族の様なものだった。
「2人の新生活のサポート、どうかひとつ‥‥よろしく」
酒を注ぎつつ、丁寧に頭を下げる十四郎は、まるで二人の親族の様だ。
やがて会場を一回りし、二人の元へ戻って来た十四郎は懐を探り‥‥二つのペンダントを取り出した。雄と雌の、コマドリのペンダントだ。
「俺からの、祝いだ。2人共、きっと幸せになるんだぞ‥‥!」
それを握らせた二人の手を包み込む様に、自らの大きな手を重ねる。
「何かあれば俺達葱リストも力になるからよ‥‥う、くく‥‥っ、嬉しいじゃねぇか畜生っ」
言いながら、頬を伝う滂沱の涙。
「ありがとう、頼りに‥‥させて、もら‥‥うおぉぉぉん!」
あー、こっちも泣き出した。
「え、あ、あの‥‥っ」
涙もろい二人の男に挟まれ、ワンダはおろおろ。
それもまた‥‥幸せな風景。
やがて夜もとっぷりと暮れ、宴も終焉を迎えようとする頃。
こっそりと会場を抜け出した、小さな影がふたつ。チップとパラーリアだ。
二人が向かった先は、明かりも落とされてしんと静まり返った教会。パラーリアはチップから贈られたお手製のウェディングドレスとヴェールを身につけていた。
これから、二人だけで結婚式を挙げるのだ。
葱のお陰で知り合えた二人だから、この葱の村の教会で。聖なる日の夜に――2人きりでもいいから。
木の重い扉を二人で開けて、中に入る。誰もいない、筈。
手を繋いだまま、椅子の黒い影を避けて、祭壇に歩み寄る。
「‥‥え、と」
こほん。チップは祭壇の前で咳払いをひとつ。
「今日は‥‥神様の前で、誓う為に‥‥ここに来ました」
繋いだ手を、固く握り直す。
「一生パラーリアさんだけを愛し、2人で助け合って生きていきたい‥‥いえ、生きていきます」
「あ、あたしも、チップせ‥‥さん、だけを、ずっとずっと愛します。それで、幸せになりますっ!」
神様への報告は、終わった。
「えと、誓いのキス‥‥しても、いーかな?」
「‥‥ん」
二人の唇が静かに触れ合った、その時。
「おめでとう!」
声と共に、教会の中に光と――そして拍手が溢れた。
「え‥‥み、みんな!?」
椅子の影から現れたのは、仲間達。
「水臭いよ、二人共」
「俺達にも内緒ってのは、なあ?」
レイジュが、十四郎が笑う。
「邪魔、したか?」
レッドの言葉に、ふたりはぶんぶんと首を振った。
「じゃあ、パーティの続き。やりましょ!」
即席で作った葱坊主とドライフラワーのシャワーを浴びせ、ワンダはパラーリアの手を引く。
「――ありがとう、あたし幸せになるねっ」
葱サンタが運んできたもの、それは皆へのプレゼント。
幸せという、とても素敵な――
葱よ永遠に! 葱リストよ、永遠に!