聖なる夜に安らぎを
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■ショートシナリオ
担当:STANZA
対応レベル:フリーlv
難易度:普通
成功報酬:5
参加人数:8人
サポート参加人数:4人
冒険期間:12月25日〜12月28日
リプレイ公開日:2007年01月02日
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●オープニング
「‥‥お前は、あの男の命令で遠征に出ていた‥‥そのせいで、妻の死に目に遭えなかったんだろう?」
真っ暗な部屋の隅から男の声がした。
いつの間に入って来たのか‥‥暫く気を失っていたらしい。
ボールスは、既に殆ど感覚がない、折られた右腕を庇いながら体を起こす。
「‥‥最期まで、お前の名を呼び続けていたそうだな。お前がそばにいて、手でも握ってやっていれば、助かったかもしれん‥‥だが、お前は下らん任務のせいで‥‥」
「黙れ」
ボールスは低い声で相手を制す。
だが、相手は構わず続けた。
「たかがモンスター退治に、円卓の騎士が出向くまでもない‥‥だが、あの男はお前を指名した。何故だ? 所詮、余所者の騎士など、あの男は信用していないのだ。妻の出産を理由にお前が命令を拒めば、これ幸いと処断するつもりだったのさ」
男は、さも楽しそうに笑いながら続けた。
「今もそうだろう? あの男はお前の話になど、耳を貸そうともせん。‥‥あれは、王の器ではない‥‥そう、思わんか? このままでは、この国はバラバラだぞ? どうだ、あの男を倒し、お前が王にならないか? ならば、この俺が力を貸そう」
「悪魔の力など」
確信はない。だが、目の前の相手はデビルだ‥‥ボールスはそう感じていた。
「だが、お前の信じる神とやらは、妻の命を救ってはくれなかった」
ボールスは何も答えない。
「‥‥まあ良い。そう簡単に落ちるようでは面白くないからな。いずれまた、会おう」
ドアが開き、誰かが出て行く気配がする。
‥‥転移能力は持ち合わせていないらしい。
ならば、デビルとしても雑魚に毛の生えた程度か‥‥。
「じゃあ、その時に会ってたの!? どうして皆に言わなかったのよ!?」
話を聞いたルルが頭から湯気を立てる。
「標的は私ですし‥‥それに、皆さんがまたあの屋敷に向かうとは思いませんでしたからね」
「う、そ、それは‥‥」
ルルは返答に詰まる。
「幸い、皆さん無事に戻られましたが、命令違反には違いありません。ルーファ・ルーフェン。あなたには以下の罰を与えます」
「‥‥はい‥‥」
ルルはしょげかえって、上目遣いにボールスを見る。
「3分間無言の刑!」
「ええーっ!?」
「あ、ほらダメですよ、罰はもう始まってるんですから!」
「3分も黙ってたら、あたし死んじゃうー!」
‥‥楽しそうだ‥‥。
ルルとの漫才を終えてボールスが居間に戻ると、エルディンが真っ赤なリボンをかけるべく、大きなどんぐりと格闘している最中だった。
何度やっても、つるん、ころん。
丸い木の実はエルをバカにしたように逃げていく。
「う〜〜〜〜〜!」
顔を真っ赤にして奮闘する息子に、父親が助け船を出した。
「エル、小さな箱に入れてみてはどうですか?」
「はこ?」
ボールスは、机の引き出しからリボンと共に大事にしまってあった、小さな木箱を取り出す。
その中身は今、彼の胸元で揺れていた。
「この箱、使わせて頂きますね」
小声で言うと、それを息子の前に置く。
「ほら、これなんか丁度よさそうでしょう?」
エルは木箱に森で拾ったとびきりの素敵などんぐりを入れ、リボンをかける。
今度は上手くいったようだ‥‥結び目がグチャグチャなのは仕方がない、何しろまだ3歳なのだから。
「できたー! とーさま、あたまいー!」
小箱に入れられた木の実は、カラカラと良い音がした。
「いいおとー。ねえ、かーさま、きにいってくえうよね?」
「そうですね」
とりあえず、否定はすまい。
「でもね、エル。パーティーには他の皆さんもいらっしゃるでしょう? その人達にプレゼントはないんですか?」
「あうよ。どんぐい、いっぱいあげうの!」
確かに、どんぐりは子供にとっては素敵な宝物だが‥‥。
「ねえ、エル、パーティーでは皆で宝探しをしてみませんか?」
「たやさがし?」
「そう、皆で持ち寄ったプレゼントを、家のあちこちに隠すんですよ。プレゼントは見付けた人の物。どうです?」
「やうー! たかやさがし、やうー!」
‥‥その場合、目当ての相手に自分のプレゼントが届くとは限らないのだが‥‥まあ、それは言わないでおこう。
「あたしもっ! あたしもやるー!」
話を聞きつけたルルがすっ飛んで来る。
‥‥3分の刑期は無事に終えたようだ。
「では、この家からの参加は私を入れて3人‥‥」
と、言いかけたところに、ウォッホンという、やたら偉そうな咳払いが響く。
「4人、で、ございますぞ、王子」
執事も参加する気らしい。
「各自、好きな場所に隠せばよろしいのですな?」
一斉に隠して、一斉に探す。
かくれんぼと同じで、誰かが隠した同じ場所には隠せない。
そして、自分が隠したのとは別の場所を探し、見付けた人がプレゼントを手に入れる‥‥ただし、一人にひとつずつだ。
「ほっほっ、これは家の隅々まで知り尽くしているこの執事めが有利ですな」
‥‥いや、有利とかそういうものじゃないから、執事さん。
まあ、確かに色々な隠し場所を知っていそうではあるが‥‥。
「‥‥さて、お客様はどれくらい集まって頂けるでしょうね。 爺、料理の準備は間に合いそうですか?」
「お任せ下され、臨時に人を雇い入れましたのでな。お陰で少々、懐のほうが厳しゅうございますが」
執事の言葉にボールスは苦笑する。
「今年はギルドの方にも随分お世話になりましたからね」
確かに、一度ギルドとお近付きになって以来、あっという間にお得意様になってしまった感がある。
冒険者ギルドはちょっとした頼み事をするのに都合が良い事は確かだ。
しかし何より、冒険者達と過ごす時間はボールスにとっては居心地が良く、最近の楽しみのひとつになっていた。
「たのしみだね、とーさま!」
エルディンが、にっこり笑った。
ボールスの家では、毎年の聖夜祭には庭を開放し、近隣の住民に食事を振る舞うのが習わしになっている。
騎士は国民の税で養われている身。ならば年に一度くらい、隣近所の人々に限られるとは言え、お返しをするのは当然‥‥そう、ボールスは考えていた。
普段の年は自分の領地にある城で行うのだが、今年はこの別邸と両方での開催になる。
パーティーは誰でも気兼ねなく立ち寄れる無礼講だ。
それだけに、家族や招待客の安全が気掛かりではあったが‥‥
「せめて、聖なる夜くらいは平穏無事に過ごしたいものですね」
ボールスは、綺麗に飾り付けられ、後はロウソクに灯を灯すばかりになった庭の樅の木を見つめ、呟いた。
●リプレイ本文
「ねえボールス様、コレ良い! 絶対似合う!」
そう言いながらルルがクローゼットの奥から引っぱり出したのは、目の覚めるような真っ青な上着。
――似合いませんよ、そんな派手な色‥‥。
――ううん、絶対似合う!
以前にもそんな会話を交わした事があった。
だが、それを贈ってくれた人は、もういない。
「‥‥おっと、失礼」
プレゼントの隠し場所を物色していた七神蒼汰(ea7244)がドアの影から顔を覗かせる。
立ち去ろうとして、蒼汰は普段着のままのルルに声をかけた。
「ルル殿は着飾ったりしないのか?」
「ん、これからね」
「もしなんだったらコレ着ないかな?」
蒼汰は荷物の中からドレスを引っぱり出した。
「タンスの肥やしになるより、誰かに着て貰った方が服も喜ぶと思うんだけど‥‥良かったらそれ、やるよ。俺が持っててもしょうがないし?」
ルルはそれを見て瞳にお星様を煌めかせた。
「ほんとっ!? 貰って良いのっ!? キャアァァ蒼ちゃんありがとアイシテルっ!!!」
居間の暖炉の前では、相変わらず一頭の犬が子猫を腹に抱えて眠っていた。
「良かった、元気そうですね」
どれも似たような模様なのに、自分が名付けた子はわかるのか、マルティナ・フリートラント(eb9534)は一匹の子猫の頭を指でそっと撫でた。
その後ろ、暖炉の真ん前で、エルディンが何やら言いたげに左右に揺れている。
どうやら、その辺りに隠したから探してくれと言っているらしい。
クリステル・シャルダン(eb3862)が暖炉の上を探すと、それはすぐに見つかった。
「まあ、なんて綺麗などんぐり」
‥‥いや、どんぐりではない。
よく見ればソルフの実だった。
何故か森の中にひとつだけ落ちていたらしいが‥‥何故かは、わかる気もする。
「ありがとう、大切にしますわ」
ほっぺにキスをされ、エルはキャアキャア言いながら逃げて行った。
「‥‥裏をかいて、ヤドリギ近くを探してみるか」
マナウス・ドラッケン(ea0021)がヤドリギに近付く。
その白い実は、集まった一般客によって既に殆ど取り尽くされていた。
「あーっ! 義父様はっけーん!」
駆け寄ってくるシェリル・シンクレア(ea7263)の手には、マナウスが用意した水晶のペンダントが握られていた。
エルフらしい場所を探したら、室内にある小さなツリーの中で見付けたらしい。
「義父様のプレゼント、見付けたのですよ☆」
抱きつきざま、シェリルは大胆にもマナウスの唇を奪った。
ヤドリギの下のキス。
‥‥本来は男性から女性へ、しかも事が成就した暁には実をひとつ摘み取らねばならないのだが‥‥まあ良いか。
その拍子に、マナウスの目に青いリボンの包みが映る。
それはルーウィン・ルクレール(ea1364)が隠した物だった。
「高級羽根ペン、騎士学校ペナント、オカリナ‥‥って文具セットかっ!?」
そのルーウィンは、客室のベッド周りでシェリルが隠したケルティック・ハイクロス+1を発見。
自分の提供物に対して、随分とおトクだった。
キッチンを探していたディアナ・シャンティーネ(eb3412)は、カトラリーの中に1本だけ、リボンが結ばれたスプーンを見付けた。
「ほう、幸福の銀のスプーンですな」
同じ場所を探していた執事が声をかける。
「確かそれは、王子が隠したものだと‥‥むっ!?」
執事のプロの目がゴミ箱に注がれる。
何やら見慣れないゴミ‥‥いや、プレゼントが捨てて‥‥いや、置いてある。
青のリボンをかけた小箱の送り主はマルク・ウィラン(eb9115)。
銀のネックレスは執事の手に渡った。
そしてマルクとマルティナは家具の陰を物色中に鉢合わせ。
「あ、すみません!」
「こちらこそ、ごめんなさ‥‥」
マルティナは顔を上げた拍子に、数冊の本が並んだ小さな棚に違和感を覚える。
その中のひとつは、リボンをかけられた木箱‥‥中身は蒼汰が用意したダークだった。
「‥‥う〜ん、見つかりませんねえ‥‥?」
相変わらず何も見つからないマルクはクローゼットを開けてみる。
その奥に‥‥
「あった!」
素焼きの植木鉢、黒い小さな種。
ディアナのプレゼントだ。
「見ぃ〜付けた!」
聖書の間に挟まれたマルティナの布教道具‥‥いや、プレゼント、十字架のネックレスを手に、ルルが飛んで来る。
「あれ、二人ともまだ見つからないの?」
二人とは、蒼汰とボールス。
「ほっほっ、蒼汰どの、壺や花瓶の中は基本中の基本ですぞ?」
「いや、探したけど‥‥」
待て。
目の前にある、花が生けてある花瓶は探していない。
まさかとは思うが‥‥。
蒼汰は花の茎を押しのけ、水の中に手を突っ込む。
「‥‥あった」
執事が隠した水晶のダイス。
まさか水中に沈められているとは。
そしてルルのプレゼント、ラブ・ノットは、暖炉上のリースの飾りと一体化していた。
「これは、わかりませんよ‥‥」
って言うか、ラブ・ノット?
「ふふ〜、ボールス様は絶対、最後に残ったのを取ると思ったんだ〜」
ルルちゃん、直球です。
さっきは蒼汰にアイシテルとか言ってたような気もするけど。
「とーさまー! きてー!」
エルの呼ぶ声がする。
どうやらプレゼントを見付けたらしい。
「くまさん! こえ、かーさまの?」
ボールスはくまのぬいぐるみに添えてあったカードを手に取り、読み上げた。
『メリークリスマス 一緒にいないときでも、私はエルさんの幸せを祈っています 寂しいときには思い出してくださいね クリスより』
「エル、お礼を言いに行きましょうか?」
「うん!」
招待客は、既に庭に出ていた。
蒼汰が用意したツリーが乗った大テーブルの周りに全員が集まっている。
「あえ? かーさまは?」
「ディアナさんも、いませんね」
二人はどうやら着替えに行ったらしい。
「わー、おねーちゃ、きえいー」
真っ白なドレスに着替えて現れたディアナとクリスに、エルが駆け寄る。
「かーさま、はなよめさんみたいー。ねえ、とーさまと、けっこんすゆの?」
その台詞に、その場にいた何人が吹いた事だろう。
だが、エルは自分の言った事など一瞬で忘れ、クリスの手を引っ張った。
「えう、かーさまとおどゆの!」
子供は無敵だ。
それまで軽快な民族音楽を奏でていた楽師達が、雰囲気を察して曲調を変えた。
「‥‥では、お手をどうぞ、レディ」
息子をクリスに任せ、ボールスがディアナに手を差しのべる。
ディアナはその手をとって、にっこり微笑んだ。
「しっかりリードして頂いて楽をしようなんてこと、もう思っていませんので安心して下さいね」
蝋燭の明かりに浮かぶツリーの下で流れるように踊る二人の姿を見ながら、マナウスは指で軽く拍子をとる。
‥‥ステップ、ターン、‥‥ああして、こうして‥‥。
「‥‥よし、まあ何とかなるだろ」
そこにタイミングを見計らったように現れるシェリル。
「義父様〜、一緒に踊りましょう〜♪」
にわか仕込みと付け焼き刃、どっちもどっちだが、それでも見た目はかなり様になっている。
「なかなか上手いな。いつの間に覚えたんだ?」
「ふふ〜、それはヒミツなのですよ〜☆」
昼間こっそり練習していた姿をウッカリ見てしまっていたマナウスではあったが、シェリルの気持ちを尊重して驚いてみせた。
ツリーの周りを、おめかししたフェアリーのむ〜ちゃんがライトの光球を掲げて飛び回っている。
念願叶ったシェリルは満足そうに音楽に身を委ねていた。
「はい、交代」
クリスと踊っていた‥‥と言うか、クリスに手を引かれ、片手にぬいぐるみを抱えたままおかしなステップを踏んでいたエルの背後から、大きな手が差し出される。
「えー、まだおどゆー!」
駄々をこねるエルの体を、脇からひょいとかっさらい、肩車をしたのは蒼汰だ。
「はいはい、邪魔しない。エル、向こうで兄ちゃんにわんこの名前、教えてくれよ」
エルは迷っている。
「エル、わんこ好きだろ? 俺も大好きなんだ。昔は飼ってたんだけど、今はいないからちょっと寂しくてさ。紹介してくれないかな?」
「‥‥あっち」
蒼汰はボールスにちらりと目くばせすると、指差された方向に肩車をしたまま歩いて行った。
「‥‥クリスさん、踊って頂けますか?」
クリスは恥ずかしそうに躊躇いながらも、差し出された手をとる。
「あの‥‥足を踏んでしまうかもしれませんわ」
確かに足元はかなり危なっかしいが、ナイトたる者、レディに恥をかかせるべからず。
青い服の王子様に巧みにフォローされ、白いドレスと、薄布のヴェールが風に舞う。
「‥‥ん? 何だかあそこだけ違う世界になっているような‥‥」
ご馳走を口いっぱいに頬張ったマルクが、二人の姿を見て呟く。
さて、自分が呼ばれたのは結婚披露宴だったか?
「まあ良いや、たくさんご馳走が食べれるなら、何でも♪」
会場の一角では、マルティナが集まった人々と談笑‥‥いや、何やら真剣に話し込んでいる。
神聖騎士である彼女は、折角のパーティーの席でもその聖職者としての責任を疎かにする事は出来ないと考えているらしく、パーティーに集まった人々の悩みを聞いてあげていた。
聖職者らしく、より多くの人が幸せになれるよう振舞いたい。
‥‥向こうで楽しく踊っているのも同じ神聖騎士と、ついでにクレリックだったりするのだが‥‥まあ、何に責任を感じるかは人それぞれ。
どんな形であれパーティーを楽しめているならそれで良いだろう。
こちらのテーブルではルーウィンが‥‥これまた真剣な表情でルルと話し込んでいた。
例の黒い馬に乗った大男の事らしい。
「大丈夫だと思うよ? 今のとこ特に何もないし、今日も部下の人達が見張りに来てくれてるし、さっきはシェリルちゃんがいっぱいトラップ張ってたし、ボールス様だってああ見えてちゃんと警戒してるし‥‥」
と、ツリーの方を見やり、ぷうーっと頬を膨らませる。
何やら気に入らない光景が見えたようだ。
「ルーちゃん、踊ろ!」
ルーちゃん?
「‥‥踊ろう、と言われても‥‥」
ルーウィンも踊れない訳ではない。
だが、シフール相手にどうやって踊れと?
「何よ、ルーちゃんだってナイトでしょっ!? レディの頼みは断っちゃいけないのよっ!?」
暫く後、遊び疲れたエルを寝かしつけたクリスは、様子を見に来たボールスと共に再び庭へ出ようと玄関ホールを通った。
天井に吊されたヤドリギの実は、もうひとつも‥‥いや、枝の影に隠れて、いくつか残っている。
何やら作為的なものを感じないでもないが、とにかく実は残っていた。
「‥‥クリスさん」
呼び止められて振り向いたクリスの肩にそっと手をかけ、引き寄せる。
「敬愛と、感謝の意を込めて」
ボールスはその額に軽く口付け、頭上の実をひとつ、もぎ取った。
料理も殆ど食べ尽くされ、一般客の影もなくなった会場に、クリスマスプディングが運ばれた。
警戒に当たっていた部下達も任を解かれ、輪の中に加わる。
幸運のコインを当てたのはマルティナだった。
彼女にはこの1年、富と幸運、そして健康が約束されるだろう。
「ボールスさん、ケルピー乗りますか?」
ルーウィンが厩に隠しておいたケルピーのグライアを引き出してきた。
「乗ります!」
即答してるし。
会場の一角では、ディアナがそんな彼等の姿をスケッチしていた。
いずれ出来上がった絵はこの家の居間に飾られる事だろう。
そして翌朝。
昨夜二人きりで寝室に向かい、それっきり会場に戻らなかったマナウスとシェリル。
彼等が発見された時、ひと騒動あったとかなかったとか‥‥。