恒例? 仕事の後はのんびりお茶を

■ショートシナリオ


担当:STANZA

対応レベル:フリーlv

難易度:易しい

成功報酬:4

参加人数:8人

サポート参加人数:1人

冒険期間:04月16日〜04月19日

リプレイ公開日:2007年04月24日

●オープニング

「こんにちは」
 静かな声と共にドアを開けたその男の姿に、ギルドの内部でざわめきが起こる。
 入ってきたのは円卓の騎士ボールス・ド・ガニス。
 つい半年ほど前までは顔も名前も殆ど知られていなかった彼も、今ではすっかり常連客‥‥いや、有名人‥‥って言うか人気者?
 店の入口から奥のカウンターに辿り着くまで、その歩く姿を幾つもの視線――女性のものが多いような気もする――が追いかけるが、本人は相変わらず全く気付いた様子もない。
 自分が注目を集める存在だとは、露ほども思っていないようだ。
「‥‥なんか‥‥急に増えましたよねぇ」
 溜め息混じりに言う受付係に、何の事かとボールスは首を傾げる。
「いや、いいです。わからないなら‥‥それで、今日はどんな?」
「状況が何とか落ち着きましたので、お茶会でも開こうかと‥‥」
「ああ、恒例のヤツですね?」
 恒例?
 お茶会そのものはまだ一度しか開いていない筈なのだが。
「そうですね‥‥何かと理由を付けて、遊んでばかりいますから」
 ボールスは照れたような苦笑いを浮かべ、話を続ける。
「場所とお茶は提供しますので、後は参加者の皆さんでお好きなように‥‥何か企画を持ち込んで頂いても構いませんし、ただのんびり過ごして頂くだけでも、何でも結構ですので」
 お茶菓子は何か希望があれば用意するし、持参しても、厨房を借りて自分で作ってもいい。
「ああ、勿論ペットの同伴も歓迎ですから‥‥往復の人目にさえ気を付けて頂ければ、何でも」
 その口調は歓迎と言うより寧ろ「連れて来い」と言っているように聞こえるのは気のせいだろうか‥‥。
 そして、一通り用件を伝え終わったボールスはすぐに帰るのかと思いきや、店の中にたむろする顔なじみの冒険者達と談笑を始めた。
 一連の事件もどうにか‥‥とりあえずはカタが付き、いつも忙しそうな円卓の騎士にも多少の余裕が出来たようだ。
「‥‥しかし、あの人も最初の印象と随分変わったよなあ‥‥」
 そう呟きながら、受付係は新しい依頼を掲示板に張り出した。

●今回の参加者

 ea1364 ルーウィン・ルクレール(35歳・♂・ナイト・人間・イギリス王国)
 ea5913 リデト・ユリースト(48歳・♂・クレリック・シフール・イギリス王国)
 eb0062 ケイン・クロード(30歳・♂・ナイト・人間・イギリス王国)
 eb0752 エスナ・ウォルター(19歳・♀・ウィザード・ハーフエルフ・イギリス王国)
 eb3412 ディアナ・シャンティーネ(29歳・♀・神聖騎士・人間・フランク王国)
 eb3630 メアリー・ペドリング(23歳・♀・ウィザード・シフール・イギリス王国)
 eb3862 クリステル・シャルダン(21歳・♀・クレリック・エルフ・イギリス王国)
 eb6596 グラン・ルフェ(24歳・♂・レンジャー・ハーフエルフ・イギリス王国)

●サポート参加者

システィーナ・ヴィント(ea7435

●リプレイ本文

「ボールス様、お招きありがとうございました!」
 いつも元気なグラン・ルフェ(eb6596)はニコヤカにそう挨拶しながら、出迎えた主人にお手製のネコ耳ヘアバンドとネコ尻尾を差し出した。
「これはつまらないものですが‥‥ま、ま、ドウゾ遠慮なさらず♪」
「‥‥私に、これを付けろと?」
 ボールスは苦笑いを浮かべながら、それを受け取る。
 ‥‥まあ、良いか。どうせ気楽なお茶会だし、それにどうやら似合うと評判のようだ。
「後でお揃いの白耳も作りますねっ」
 グランは嬉々としてそう言うと、お茶会の準備を手伝う為に屋敷の奥へと消えて行った。
「猫屋敷の主人らしいであるな! 似合うであるよ」
 リデト・ユリースト(ea5913)が友人のシスティーナと連れだってその後を追う。
 彼女には1日で出来る限りのお菓子‥‥勿論林檎の‥‥を作って貰うつもりだった。
「あの‥‥材料費は、本当に良いんですか?」
 台所に用意された和菓子作りの材料を見て、ケイン・クロード(eb0062)が心配そうに言う。
「ええ、気にしないで‥‥お菓子を作って頂く手間賃とでも思って下さい。ただ、余り多くは用意出来なかったのですが‥‥これで足りますか?」
 和菓子の材料はその殆ど全てが高価な輸入品で、市中には出回らない物も多い。
 手に入る物も、その種類は限られていた。
「任せて下さい。ある物で工夫するのも楽しみのひとつですしね」
「では、私も何か手伝うといたすか」
 メアリー・ペドリング(eb3630)が呟きながら、その脇を通り過ぎる。
「菓子作りも錬金術の実験も本質的には物事を成すということに変わりはない。精一杯手伝いをさせていただくといたそう」
 お菓子に何か変なものを混ぜられなければ良いが‥‥。
 いや、まあ、大丈夫だろう。
 多分。

 そしてお茶会当日。
 陽当たりの良い庭の一角にテーブルがセットされ、招待客がそれを取り囲む‥‥とは言っても、以前のような固い雰囲気は全くない。
 参加者の殆どが顔なじみでもあり、何より主催者からしてネコ耳と尻尾を付けてのご登場ですから。
「う。カワイイ‥‥っ」
 自らは黒い犬耳を付けたグランが思わず声を上げる。
 うん、下手をすると息子よりも可愛いかもしれない、この人。
 3歳の子供が可愛いのは当然として、いい大人‥‥しかも円卓の騎士が良いのか、それで。
 まあ、良いか。ボールスだし。
 そしてテーブルの脇にはケインが用意した花柄の茣蓙が広げられていた。
 せっかくお茶と和菓子を用意するのだから、道具も和風の物でジャパンの文化を楽しんで貰いたい。
「日よけ傘もありますから、ゆっくりしたい方はどうぞ」
「では、私はそちらに行くであるかな」
 リデトが早速、自分のお茶を持って移動する。
 それに続いてシフール組‥‥メアリーと、そしてルルがそちらに移動して行った。
 ‥‥さすがのルルも、今日はいつもの定位置につく事を遠慮しているようだ。
「林檎のシフォン、食べるであるか?」
 何となく元気がないルルに、リデトがお菓子を勧める。
 彼なりに労っているつもりのようだ。
「緑茶、美味しいであるな。ジャパンの冒険者の酒場ではこれのもっと薄い奴が出るである。出がらしというであるな。あんまり美味しくないであるが懐かしいである」
「ほう、このカップはルル殿の?」
 メアリーがシフールサイズのティーカップを手に取り、ルルに訊ねた。
「そ、あたしのコレクション」
「我々シフールは大抵何でも人間サイズの流用であるからな。専用の物があるのは有難い。ところで‥‥」
 と、メアリーは茣蓙の上にのんびり寝そべっているネコを見て言った。
「ルル殿は猫達に、我々シフールを玩具でも獲物でも無いと教え込んでいただいていると聞いたが、いかのように薫陶することでしっかり理解させたのであろうか?」
「‥‥くんとー‥‥って、何?」
 ルルには難しい言葉はわからない。
 母国語ではないからだと本人は主張しているが‥‥
「‥‥まあ、教え、導く‥‥ような意味だな」
「ふ〜ん? えーとね、くんとーは、実力行使っ!」
 つまり、猫が自分にちょっかいを出す度にヒゲを引っ張ったり上空から急降下して飛び蹴りを見舞ったり‥‥こいつに手を出すと痛い目を見ると学習させた、という事らしい。
「なるほど、目には目を、という事か。ところで‥‥ルル殿もボールス殿と同じく、ノルマンの出身であるのか?」
「そうよ、ボールス様とはここにいる誰よりも、ず〜っとず〜っと付き合いが深くて長いんだからっ」
 ルルは、ぷーっとむくれた。
 何やら触れてはいけない事に触れてしまったような。
「‥‥気が付けば周りにカップルが多いであるな‥‥」
 リデトが見やった視線の先では、クリステル・シャルダン(eb3862)がボールスに手作りのケーキを差し出していた。
「ボールス様、お約束のケーキを焼いてみましたの。他の皆さんほど上手ではありませんけれど‥‥」
 いや、腕はこの際関係ないから。料理は愛情。うん。
 それにこの人は、素朴な手料理の方が喜びます、きっと。
「めでたいではあるが‥‥正直、私には恋愛は良く分からないんである」
 そもそもシフールは同族が少ない。それに、居たとしても‥‥と、リデトはふとルルの方を見る。
「‥‥やっぱり良く分からないんである」

 そして一団から少し離れた所では、もう一組のカップルが二人きりで過ごしていた。
「‥‥二年か。随分待たせちゃったよね」
 ケインがエスナ・ウォルター(eb0752)に江戸の薬種問屋「比良屋」の看板娘、お雪ちゃんから預かった香り袋を手渡しながら言う。
「約束、果たすときだけど‥‥まだ、時間が必要?」
 その言葉に、エスナは頬を染め、下を向いたまま答えた。
「‥‥ごめんね‥‥もう少し、待ってて‥‥」
 人に笑顔を与えられる一人前の冒険者になるというその約束を、自分はまだ果たしていない‥‥エスナはそう感じているようだ。
「そっか。じゃあ、今度は私が待つ番だね」
 ケインの言葉に、エスナは顔を上げた。
「‥‥胸を張って‥‥誇れる自分になるまで‥‥すごく、すごく時間がかかると思うけど‥‥その日まで‥‥‥‥ちゃんと、待っててね」
「うん。二年も待たせちゃったんだから、今度は私が待たないとね。ゆっくり、その時を待つよ」
 そう言って、ケインはエスナの頭を優しく撫でた。
「じゃあ、戻ろうか。答えを急ぐ必要もないんだし‥‥今日はのんびりとお茶を楽しもうよ。ね?」

 宴もたけなわ‥‥いや、最初から皆がそれぞれ好き勝手に盛り上がっている訳だが、そんな中グランはせっせと動物達に奉仕していた。
「この子達はボーダーコリーのペロくんと鷹のモモくんです」
 と、他のペット達に挨拶をさせている。
「普段、狩のサポートをしてくれる、賢い良い子達なんですよ」
 そして猫用ミルクやおやつを配って歩く。
「動物が無心に食べている様を鑑賞するのは、人間に許された至上の幸福ですよねっ」
 ‥‥後ろ手にインクと羊皮紙を隠しているように見えるのは、気のせい?
 そう言えば彼は、記念に肉球の猫拓を取りたいと言っていた。
「ダメですよ、猫はオモチャじゃないんですから」
 そんなグランに、ボールスが釘を刺す。
 いや、彼も肉球模様の壁紙には秘かに心惹かれていたりするのだが‥‥わざわざ猫を紙の上で歩かせなくても、そんなものは描けば済む事だろう。
「ちぇ〜、ダメですか? じゃあ‥‥何か話題、話題‥‥」
 グランは何かないかと必死に話題を探す。
「ボールス様に恋ばな‥‥は却下か。ネギに乗った経験はありますか? 騎士様のお力でキャメの変態は根絶やしにできませんかっ!? ‥‥う〜ん、全部却下されそうだ‥‥」
 ブツブツと何事かを呟き続けるグランに、ボールスが苦笑する。
「何も無理に話題を探さなくても‥‥良いんですよ、好きに楽しんで貰えれば」
 と、本当に好きなようにお茶会を楽しんでいるルーウィン・ルクレール(ea1364)の方を見る。
 例によってボールスにケルピーを貸して一走りして来た以外、彼はゆっくりのんびりマイペースに過ごしていた。
「う〜ん、一番聞きたい事は‥‥」
 グランは何か言いたそうに、口をモゴモゴさせている。
「何かあるなら遠慮なくどうぞ? 人に聞かれて拙いような事なら、どこかに移動しますか?」
「いや、拙くはないと思いますけどね‥‥なんか、場の空気にそぐわないかな〜って‥‥」
 それでも、一応訊いてみる。
「‥‥ラーンス様の事、今はどう思ってますか?」
 その問いに、ボールスは晴れやかな笑顔で答えた。
「一発殴らせろ、です」
 いや、ちょっと待て。待ちなさい。
 って言うか、それは「どう思うか」ではなく「どうしたいか」では‥‥?
「まあ、それは彼の出方次第‥‥ですね。このまま出て来ない様なら‥‥いや、それはないと思いますが‥‥もしそうなら、私も腹を括らないと」
「‥‥信じて‥‥るんですよね?」
「裏切られない限りは」
 相手が信頼に反するような事をしなければ、自分も疑う事なく信じ続ける。
 いや、この人の場合は裏切られても尚、信じ続けるような気がしないでもないが‥‥。
「‥‥あの‥‥ちょっと、良いでしょうか?」
 その声に振り向くと、ディアナ・シャンティーネ(eb3412)が何やら思い詰めた様子で立っていた。
「‥‥どうかしましたか?」
 今日は何となく様子がおかしいような気がすると気付いてはいたのだが、それがまさか自分のせいだとは。
「あの、もし良かったら、ダンスをご一緒して頂けないかと‥‥」
 そう言われても、パーティーならまだしも、こんな小規模なお茶会では事前に言われない限り楽師など用意してない。
「あ、そ‥‥そう、ですよね。ごめんなさいっ!」
 ディアナはそう言うと、ボールスに背を向けて走り去る。
「え‥‥泣いてた?」
 グランの言葉に、ボールスは慌てて彼女を追いかけ‥‥

「ディアナさん!?」
 その声に立ち止まったディアナは振り向き‥‥爆発した。
「ただ、ボールスさんとエルくんの幸せを‥‥って、だから‥‥ルルさんや‥‥クリステルさんの邪魔を‥‥するつもりも‥‥、なくって‥‥。それで‥‥も、私もボールスさんのこと‥‥が‥‥好きに‥‥なっちゃって‥‥。どうしようも‥‥なくて‥‥この、気持ち‥‥を‥‥。でも、こういう場合‥‥に‥‥感情‥‥を、どう処理すればいい‥‥のか、全然‥‥分からなくって‥‥」
 泣きじゃくりながらゲルマン語で想いを吐き出し続ける相手に、ボールスは‥‥ひたすら困惑していた。
 先日の報告書では、確か眼中にないと断言していなかったか‥‥?
「それは‥‥誤解されて、邪魔したくなかった、から‥‥」
 よくわからないが、とにかく彼女が泣いているのは自分のせいであるらしい。
「とにかく‥‥落ち着いて下さい、ね?」
 こんな時に魔法を使うのも失礼かと思いながらも、ボールスは相手にメンタルリカバーをかけた。
 その効果か、暫く後、漸く落ち着きを取り戻したディアナは、ひとつ大きく息をつく。
「‥‥すみません。ご迷惑でしたよね、急にこんなことを言われても‥‥」
 いや、迷惑と言うより‥‥ただひたすら困ってるんですが。
「でも安心して下さい。ご迷惑でしたら金輪際邪魔者の私は姿を消しますから」
 せめて同じスタートラインには立ちたかった、と、ディアナは思う。
 だが実のところ‥‥初めての出会いである前回のお茶会をスタートラインとすれば、アドバンテージは彼女の方にあったのだ。
 同じ種族であるというだけでも、どれほど有利だった事か。
 だが、一度勢いの付いた流れは止められない。
「すみません、私には先約がありますので‥‥」
 先着順、という訳でもないのだろうが、そちらの返事をしないうちには、誰にも、何も言う事は出来ない。
 そして、その返事は‥‥何年先になるかわからないのだ。
「それに、もし待って頂いても‥‥良い返事は出来ないと思います」
 ボールスは少し距離を置き、相手の目を真っ直ぐに見つめて言った。
「友人としてなら、私に出来る事であれば何でも力になります。勝手な事を言うようですが、仕事も今まで通りにご一緒して頂けると助かります。ですが、それ以上の事は‥‥」
 相手が落ち着いたと見て、ボールスは丁寧に頭を下げ‥‥背を向けた。
 何事が起きたのかと静かに見守る仲間達の元へ戻っていく彼と入れ替わるように、ルルが飛んで来る。
「ねえ、あっちでヤケ酒でもどう? お酒がダメならヤケ茶でもさっ」
 ルルは許可も取らずにディアナの肩に舞い降りると、溜め息混じりに呟いた。
「‥‥まあ、あっちはあっちで手放しでオメデトーって訳にもいかないトコが、ボールス様の幸せを第一に考えるあたしとしては辛いトコなんだけどね」
 そう、あっちはあっちで前途多難、なのだ。

 その前途多難な組み合わせは、庭の花で花冠を作っていた。
 先程の余韻か、何事かを考え込むようにぼんやりとしているボールスに、手を動かしながらクリスがぽつりと呟いた。
「‥‥先日は申し訳ありませんでした」
「‥‥何が、ですか?」
「私があの依頼に入るのをボールス様が歓迎されないとはわかっていたのですが、どうしてもボールス様お一人が危険な場所に向かうのを見ていられなくて‥‥」
 先日の、マレアガンス城攻略の折の事だ。
「ボールス様のお邪魔をするつもりはありません。本当にご迷惑な時は大人しく待っています。ですから‥‥それ以外の時は、ご一緒してもかまいませんか‥‥?」
 手を止め、不安げに見上げるクリスに、ボールスは微笑みかける。
「あなたがいてくれるお陰で、私がどれ程助かっているか‥‥この間も、あなたのお守りがなければ危ない所でした。いや‥‥あなた自身が、私のお守りなんです」
 まだ返事は出来ないと言った、その状況は今も変わらない。
 だが、その間にも自分の時間はどんどん減っていく‥‥迷い、躊躇う時間などない。
「今はこうして、一緒にいる時間を作る事くらいしか出来ませんが‥‥それでも良ければ、傍にいて下さい。どんな時も、どんな危険からも、この手が届く限りは全力であなたを守りますから‥‥」
 例え相手が異種族でも、誰かを大切に思いその幸せを願う‥‥それさえ許さない程、神も狭量ではなかろう。
 クリスは出来上がった花冠をボールスの頭に載せ、返事の代わりにふわりと微笑んだ。

 二人の傍では、犬達‥‥そして狼が寝そべり、少し離れた所ではエスナが作った大きな水たまりでペンギンが遊び、ケルピーが気持ちよさそうに水浴びをしている。
「こういう、のんびりすごせる時というのは良いものだな」
 猫の背に乗ったメアリーが、そんな平和な光景を目を細めて眺めながら呟く。
 だが、また新たな試練がこの王国に訪れるのであろうか。
 人々が平和に暮らせればいいとは思うが、難しいことも間違いない。
「改めて、人々の為に冒険をすることを決意いたそう‥‥」