【何でもござれ】家探し‥‥?

■ショートシナリオ


担当:蘇芳防斗

対応レベル:4〜8lv

難易度:やや難

成功報酬:2 G 40 C

参加人数:8人

サポート参加人数:4人

冒険期間:02月14日〜02月19日

リプレイ公開日:2006年02月22日

●オープニング

●実家
「‥‥兄さんと父さん、こんな所に住んでいたんですか」
 ジャパンは京都、アリア・レスクードは呆然とジャパン語で呟くその視線の先には一つの大きな屋敷があった。
 過去のとある事からジャパン語を聞くだけで体が勝手に反応しては、携えている木刀をついその相手へ振るってしまう彼女ではあったが喋る分には問題ない様で‥‥それが謎と言えば謎なのだが、一先ずそれは置いておいて。
「二人暮らしだった割、大きな住まいで‥‥」
 その屋敷、少しだけ修行に出ると言って去った小次郎の実家で‥‥彼とまだ見ぬ父親の二人しか住んでいなかった割、大きな屋敷のその佇まいから暫し立ち尽くしたまま。
『ちょっと勘を取り戻して来る、すぐに戻って来る。その間に済まないけれどアリア、悪いが実家の掃除をしておいてくれ。親父が消えた手掛かりがあるかも知れないからな』
『分かりました』
「こんな事なら、私も付いて行けば良かったかも‥‥」
 京都に着いては暫く、案内こそして貰っては最低限の事こそ教わるも今は去った兄の言葉を思い出し、どうにも悔いが残ってアリアは嘆息を漏らしたが
「とりあえずやってみましょう、うん」
 一人残された以上、自身がやるべき事はやらねばと思い立てば一歩、その屋敷へと足を踏み入れた。

●結果
「掃除に物探しが得意な人を! 後、念の為に自衛だけでも出来る方なら尚いいです!」
 数日後、冒険者ギルドで人手を募るアリアの姿が見られたのは言うまでもなく。
「‥‥どんな依頼だ」
「‥‥‥実家の掃除です、どうにも色々な意味で手が付けられなくて」
 相変わらず冷淡な調子で嘆息を漏らしつつもジャパン語で尋ねるギルド員の青年に対し、肩を僅かに震わせながらも駆られる衝動を抑え、アリアは顔を俯け消え入りそうな声で彼へ概要を告げる。
「その家、何処だ?」
「えぇと、十河‥‥」
 すると何か思い当たる節あってか、僅かに表情を変えて青年が再び問えば返って来るその答えから納得すると、彼女の続く話を手で制し遮ると
「あそこは昔からお世辞にも綺麗だとは言えなかったからな。息子が英国へ行ってからは尚更で‥‥気付けば父親もいなくなり、あんな感じだ」
「‥‥はぁ」
 遠くを見つめては嘆息を漏らして小次郎が英国へ旅立つ少し前からの状況を丁寧に説明すると、アリアは眩暈を覚えて生返事を返す‥‥それもそうだろう、ジャパンに来て最初からこの調子では色々とこれから先が思いやられる。
「話は分かった、あそこなら止むを得まい。他にも色々とあるだろうし‥‥それらも踏まえた上で依頼書を書こう、少し待って貰うがいいな」
 その彼女が置かれている状況に対して彼も同情し、またある程度の事情も察している事から珍しく苦笑を浮かべては、静かな声音でそれだけ告げるとアリアが礼を言うより早く彼は筆を手に取るのだった。

――――――――――――――――――――
 ミッション:十河邸を掃除せよ!(ついでに父親失踪の手掛かりも探せ)

 成功条件:父親が失踪したと思われる、何らかの手掛かりを見付けた時。(完全成功)
 達成条件:掃除を無事に果たし終えた時。(成功)
 失敗条件:掃除が完全に終了しなかった時。(失敗〜完全失敗)
 必須道具類:依頼期間中の保存食(日数分)は不要、依頼人が提供します。
 それ以外で必要だと思われる道具は各自で『予め』準備して置いて下さい。

 傾向等:掃除&捜索系、リプレイのノリは皆さんのプレイング次第、戦闘は‥‥?
 NPC:アリア(同行)
 日数内訳:丸々実働日数とする
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●今回の参加者

 ea2266 劉 紅鳳(34歳・♀・武道家・ジャイアント・華仙教大国)
 ea9455 カンタータ・ドレッドノート(19歳・♀・バード・ハーフエルフ・イギリス王国)
 ea9960 リュヴィア・グラナート(22歳・♀・ウィザード・エルフ・ロシア王国)
 eb0990 イシュメイル・レクベル(22歳・♂・ファイター・人間・ビザンチン帝国)
 eb1645 将門 雅(34歳・♀・忍者・人間・ジャパン)
 eb1802 法条 靜志郎(31歳・♂・陰陽師・人間・ジャパン)
 eb2257 パラーリア・ゲラー(29歳・♀・レンジャー・パラ・フランク王国)
 eb3601 チサト・ミョウオウイン(21歳・♀・ウィザード・人間・イギリス王国)

●サポート参加者

緋芽 佐祐李(ea7197)/ 隗皇 由真(eb0367)/ 空流馬 ひのき(eb0981)/ 茉莉花 緋雨(eb3226

●リプレイ本文

●混沌
「初めまして♪ あたしは森の妖精パラーリアだよ☆ 今回はよろしくだよ♪」
「初めまして、パラーリアさん。それと皆さんも‥‥今回は宜しくお願いします」
 冒険者ギルドにて、今回の依頼を引き受けてくれた一行と初めて顔を合わせた後に皆を連れ実家へと皆を案内するアリア・レスクードへパラーリア・ゲラー(eb2257)が最初、笑顔で挨拶すれば
「アリアさーん! 久し振りだよ〜」
「イシュメイルさんに‥‥カンタータさんも。お久し振りです」
 浮かぶパラーリアの傍らを駆け、彼女へ飛び付くイシュメイル・レクベル(eb0990)を見ればアリアの視界に英国で知り合った、相変わらずフードを目深に被るカンタータ・ドレッドノート(ea9455)ら、友人達の姿に顔を綻ばせると次いでイシュメイル同様に飛び込んで来た彼女らも抱き止める。
「西洋人とのハーフで欧州帰り、か‥‥」
 その再会を目の当たりにしつつ、ボソリと呟いたのは法条靜志郎(eb1802)。
「どうか、しましたか?」
「いやー、奇遇だねって思って。俺も同じ様な境遇でさ、故郷なのに右も左も分からない、ってのは困るよねぇ。まぁ似た者同士、困った時はお互い様って事でね」
「そうですね」
 それを耳にしたアリア、学友との再会に喜ぶその途中で彼が意識せず口にしたジャパン語を耳にして一瞬だけ身を震わせるが‥‥何とか堪えれば、同じ境遇である事を告げる彼に納得し、微笑み頷いた。
「けど、小次郎先生の実家ってどんな家なんだろ〜」
 そんな二人の様子を見ながらイシュメイル、姿のない元先生を思い出しつつこれから向かう先、二人の実家へ想いを馳せ呟くと今度はアリアの表情に浮かぶ苦笑い‥‥その表情から一行は、概ね想像通りの屋敷なのだろうと察する。
「思ったより引越しにお金が掛かりそうでまだお部屋、借りていないのです‥‥目処は立っているのですけど荷物、玄関に置かせて下さいね〜」
「置ける場所があればいいのですけど‥‥着きました。此処です」
「うげ☆」
 大きな荷を引くカンタータの問いにアリアが答えを返せば同時、彼女が潜った門の先を皆も潜れば、飛び込んで来た屋敷の惨状を目の当たりにしてパラーリアは可愛らしい叫びを一つ上げた。
「‥‥凄い有様だな。庭木も荒れ放題だ」
 その光景、端正な眉根を僅かに顰めたリュヴィア・グラナート(ea9960)が端正な眉根を僅かに顰め、元は立派だったろうが今は荒れ放題の庭の姿に呻いたが屋敷の外観に付いては別段、普通に見える‥‥もきっとその内部はこの庭と同じだろうと彼女は察し、静かに嘆息を漏らすが
「でもまぁ、こんだけ凄いと逆に遣り甲斐もあるってもんさ」
「大掃除‥‥になりそうですね」
「そうだな。だが、女性が困っているのを見過ごす訳にもいくまい」
 それでも挫けず、笑って劉紅鳳(ea2266)が皆を鼓舞すればチサト・ミョウオウイン(eb3601)が彼女へやんわりと笑顔を浮かべると、二人の様子からリュヴィアも彼女らに同意して頷く。
(「お屋敷の掃除ねぇ〜、お宝でも見付けたらちょろまかせたろか‥‥」)
「どうかしたー?」
 だがその一行の中、静かに強き商人根性故に屋敷を見つめながら将門雅(eb1645)はそんな考えを巡らせていたが、パラーリアに呼び掛けられると一瞬だけ時間を要して彼女。
「‥‥あぁ、何でもないねん。気にせんでええよ」
 愛想笑いを浮かべれば先程の考えを一先ず忘れ
「それじゃ‥‥始めよかー!」
『おー!』
 皆へ叫べばそれを合図にアリアと一行、次には屋敷内部の惨状を確認すべく玄関へと向かうのだった。

●掃除
「こっちはOKだよ〜!」
 イシュメイルの声が響く中で一日目、天候は晴れ。
 やはり凄まじい屋敷内部の惨状に一行、まず依頼期間中だけこの屋敷で寝泊りする承諾を得れば、襖や雨戸を開け放つと不審な所がないかざっと確認してはそれが終わり次第、最低限必要になる部屋や水回りの確保を行なっていた。
「力を貸してくれ、木々に宿る精霊達よ」
「助かり、ます‥‥」
 最初の一手は部屋に廊下にと散らばっている大小様々な物を屋外の庭へ運び出す事。
 その効率を上げる為にリュビィアが魔法で庭木を操り、庭に一番近い廊下より荷物を取り出しては置けば、非力なチサトの一礼に彼女は顔を綻ばせるも極端に重い物に関しては皆の力で運び出す他なかった。
「ゴミと思った中に‥‥大切な手掛かりが在るといけませんから一旦保存しておく様に、ですね」
 それでも作業が順調に進めば、外へ出された物を今度は掃除の進捗状況を見つつ、チサトらが中心になり細分化しては目録へ残し、必要な物かそうでないかを切り分ける。
 もしかすればアリアの父、十河士郎に関する情報もあるかも知れない事からすぐに捨てる事こそ出来ないが、最初に見切りさえ付ければ後の作業は捗るだろうと踏んでの一行が考えた作業手順は、内部にある物の多さから一行との根気比べの気がしなくもない。
「アリアさーん、アリアさんのお父さんの事に付いて少し聞きたいなぁ〜」
「ごめんなさい‥‥どんな人かは良く、知らないの」
「あれ、そうなの?」
 だが掃除が始まったばかりの一行にその不安はなく、大きな荷物が出された一つの部屋にて細かく散らばった衣服の類を顰め面で掻き集めつつパラーリア、傍らで同じ表情を浮かべるアリアへ臆面なく尋ねるが、彼女の答えに衣服を抱え飛ぼうとしたシフールは次に意外そうな表情を浮かべると
「詳しい話はまだ、聞いていませんから‥‥いえ、怖くて聞けなかったのかも」
「そっか〜、でも大丈夫。きっといい人だよ☆」
 理由を口にするアリアも自身が掻き集めた衣服を纏め、先行くシフールの後へ続けば大雑把に決められた場所へ衣服を放り投げ、憂う騎士へ向き直ると根拠はないがパラーリアは笑顔で励ました。
「そう言えば小次郎さんとアリアさん、今まで異母兄なんだと思っていましたよ」
「そう、ですか?」
「だって似ていませんし」
 その彼女へアリアが表情を綻ばせた時、次なる部屋の探索に近くの廊下を歩いていたカンタータが二人を見掛ければその背へ、以前より思っていた事を不意に紡ぐと疑問符を浮かべる彼女へ笑顔でカンタータが率直にその理由を述べれば、次いで視線を合わせた二人はパラーリアが首を傾げる中でお互い、苦笑を浮かべた。

「それでアリア殿、何か出ると言うが‥‥一体何が出るのだ?」
「鼠とか、虫とかが大量に‥‥後はそれ以外、特に見ていないですが‥‥数が、多くて」
(「勘弁してくれよ‥‥」)
 それより暫く、台所‥‥その入口にて僅か緊張感に包まれている女性陣を背に、内心呻き頭を掻く靜志郎の姿があった。
「あうあう‥‥バタバタとかカリカリは、嫌です‥‥」
 極端に嫌がっている者は一行の中にいなかったが、リュビィアの問いに対して答えるアリアは言動からして既に混乱しており、靜志郎は次に嘆息を漏らすも
「ま、役回り的にはまず此処に入るのは俺らだわな。んじゃとっとと追い払うか」
「はーい!」
 多くの女性を前に格好を付けたくなる男の性には逆らえず、好奇心からだろう張り切るイシュメイルを伴って武器を手に台所へと足を一歩、踏み入れば
「うわ‥‥っぷ」
「待て待て待て〜っ!」
 侵入者の来訪により即座にざわめく台所‥‥二人を歓迎すべく鼠が一斉に足元を駆け抜ければ、それに呼応して羽虫の群れも一斉に飛び出すと陰陽師は顔に集る虫へ呻く中、幼き戦士は動じず羽虫の群れを追い立てる。
「うっきゃーーー!」
 出口目掛け殺到するそれらを前に響いた絶叫は誰か、イシュメイルには分からなかったが背後の混乱を気にする事無く魔法の靴を振り回せば、彼は台所に滞在していた者達を全て外へ追いやろうと励むも‥‥その時、悲劇は起きる。
『あ゛‥‥』
 呻き、固まる女性陣が見たその光景‥‥それはイシュメイルが振るう魔法の靴が見事、数匹の羽虫を捉え叩き潰した光景。
「どうしよー?!?!」
「あぁ、これしきで泣くな。洗えば大丈夫だから、な」
 ひとしきり静かになった台所の中、その靴を抱え狼狽するイシュメイルへ紅鳳が荒っぽくも彼を宥めれば、遅れて飛び出した羽虫の一匹を普通に叩き落しつつまだぐずるイシュメイルへ微笑んだ。

「今日はお疲れ様でしたー」
「‥‥あぁ、済まない。何とかならないでもないけど結構、厳しいかもねぇ」
 そんな事で初日を終えた一行‥‥皆を労うべくカンタータが淹れた茶を受け取り一行の中で一番に家事を得意とする紅鳳が心底疲れた調子でジャパン語を響かせると突如、場に響く風切音。
「あんたねぇ‥‥此処で暮らすんだったらその癖、直しなよ。あたしら相手ならまだいいけど、町人にケガでもさせたら大変だろ?」
「‥‥そう、ですよね」
「何があったかは聞かないけど、頑張りな」
 その発生源はアリア、掃除の疲れもあったのだろうが流石に一日所々で聞いていたジャパン語に対し、遂に堪え切れなくなって彼女が木刀を紅鳳へ振るった音だったが、武闘家は真正面からそれを受けると肩で息をするアリアへ厳しい口調で静かに言えば‥‥少し落ち着き、うな垂れれば詫びる彼女へ紅鳳は苦笑だけ浮かべると
「‥‥ジャパン語をひたすらに聞いて耐える訓練でも‥‥しましょうか」
 次に紡がれるアリアの決意に『何とかしなければいけない』と言う強い気持ちこそ感じたが、その決意へどう返したものかと困った一行はアリアへ静かに微苦笑だけ返した。

●捜索
 二日目からはひたすらに掃除と、その合間を縫ってアリアの父親が残しているかも知れない手掛かりの捜索にも追われる一行。
「シロも‥‥御手伝いしてくれるんですね‥‥っし」
 今日も晴れ渡る空の下、少しずつ片付いて行く内部の代わり混沌に包まれる庭の片隅‥‥一時の休みを利用して、愛犬と共に十河士郎の手掛かりを探すチサトが舞う埃に小さくくしゃみをした時。
「意外に、無駄なまでにあるなぁ」
 彼女が見える位置に陣取り、靜志郎もやはり休憩時に続々見付かる半紙へ目を落としていたが
「鶏肉、卵、羽毛‥‥ってちょっと待て、最後の羽毛って‥‥ま、いいか」
 良く分からない内容ばかりが記された紙片を遠慮せず、潰していた。
「何か面白いもの、見付かったかい?」
「いや、今の所は別段何も。雅の方も余り芳しくなかっただろ?」
 その彼の近くを小さな葛篭を抱え通る雅が声を掛ければ、彼は両手を上げて答えると先の休みにこの作業をやっていた彼女へ問い掛けると、やはり呻く雅。
「そうやね‥‥と言うか紙切ればかり無駄にあり過ぎるきに、どーにもあかん」
「内容も中身がないものばかりだしなぁ」
 それに靜志郎は賛同するも、日の高さから少々休み過ぎた事を察すれば手に持つ紙片をその内容から難しく考えず握り潰し、掃除を再開すべく立ち上がった。

「此処が取りあえず、書斎っぽいね?」
「はっきりとは言えませんが、趣からして多分そうだと」
 屋敷の最深部、開け放ったパラーリアが意外に綺麗なままで保存されている部屋にそう判断し、アリアへ尋ねれば同意する彼女へ一頻り部屋を見回してはやがて、掛け軸を見付けるなりそちらへ飛翔するパラーリア。
「真実を‥‥見せてよ、水鏡」
 そして書斎の探索を始めるその二人の後、可愛らしい足音を立て付いて来たチサトが静かに詠唱を紡げばその次、部屋を対象に展開された水鏡を一人覗き込み、目を凝らせばやがて視界の端に映る白い燐光。
「脇差‥‥そう言えば、刀だけがありませんね」
 その光は二人が捲る掛け軸の丁度真反対の位置にあり、それを悟れば彼女は脇差が置かれている台の上にあるだろう刀がない事を次に気付くと、今は畳を捲くろうとする二人を呼んでそれを指し示せばアリアから僅か、小次郎より聞いた父の話を思い出すパラーリア。
「侍さん、って話だったよね?」
「小次郎の話から、そうだと聞きました」
「‥‥脇差だけ、何故置いていったのでしょうか‥‥」
 頷くアリアが口にした言葉へチサトは首を傾げるも、その疑問に二人は答えられず‥‥魔力が宿る脇差だけあった事を頭の片隅に留めれば、書斎の探索を再開するもその後は結局、何も見付かる事はなかった。

「アリア殿の父殿‥‥士郎殿が最後に出て行った時、様子はどうだったろうか?」
『普通』
「‥‥ふむ、普通だったのか」
『普通』
 門の前、佇む一本の松の樹へ魔法を用い問い掛けるリュビィアは同じ答えばかり返す松の樹へそれでも何度か確認するも‥‥やがて埒が明かないと悟れば一人と一本、同時に押し黙るが
「すいませーん、手が足りないのでもしお暇なら手伝って下さーい!」
 その事に察しの付かなかったカンタータが彼女へ呼び掛ければ、何か引っ掛かりを覚え何度か松の樹を振り返りつつも、フードを被る彼女の元へ駆け出した。

●結果
「皆さん、ありがとうございました」
「お気になさらず‥‥です」
 最終日に至り、十河士郎の行方に関する重要な手掛かりは見付からなかったが、十河邸の掃除に関しては一先ず人が住める程度にまで終え、整頓されてはその屋敷の門を背に今‥‥一行へ感謝してアリアが頭を下げるもチサトが笑顔を浮かべれば釣られ、彼女も幼き魔術師へ微笑み掛けると
「早く父親が帰って来るといいな」
「無事だといいね」
「‥‥ありがとうございます」
 次いで紅鳳とイシュメイルが兄妹の探し人が無事見付かる事を願い、言葉にしてアリアへ贈ると僅かな沈黙の後に再び頭を下げる彼女。
「一先ず一仕事終えた事だし、皆で湯浴みにでも行かないか?」
「それ、いいですねー」
「勿論、アリア殿もな」
「えぇ、折角なのでそうさせて貰いますね」
 アリアが紡ぐ感謝の言葉に僅か含まれ響く哀愁の声音に、だがその次に一行の中から響いたのは別れの挨拶ではなく労いの提案。
 紡いだ主はリュビィア、その彼女の提案に終始フードを被りっ放しだったカンタータが笑顔で賛同すれば誘いを受けたアリアもまた、彼の提案に頷くと
「わーい、それじゃあ早速いこー!」
「行くのだー☆」
 夜の帳が落ちる前、イシュメイルとパラーリアに手を引かれたアリアと一行は先日まで混沌としていた屋敷を一時、後にするのだった‥‥眠っているかも知れない手掛かりを一先ず、置いたまま。

 〜終幕〜