【斎宮雑事】整理整頓
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■ショートシナリオ&
コミックリプレイ
担当:蘇芳防斗
対応レベル:フリーlv
難易度:やや難
成功報酬:0 G 84 C
参加人数:6人
サポート参加人数:1人
冒険期間:10月09日〜10月17日
リプレイ公開日:2007年10月18日
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●オープニング
●手詰まり
「むへー‥‥」
伊勢神宮本殿、その中にて仮に拵えられた斎王の間で祥子内親王は何事か、呻いていた。
「やっぱ、多いわねぇ」
「そりゃあね」
その理由は単純に、彼女の周囲を囲う様に積まれている木簡や書類の山の存在故で‥‥それを目前にもう何度目か嘆息を漏らせば直後、響いた声と同時に届けられた資料の山を抱えて斎王の間に入って来た神野珠、更がその山の内の一つを高くすると
「此処に集められているのは関係する寺社から送られてきた資料だし、伊勢神宮に猿田彦神社、伊雑宮はまた別に‥‥」
「あー、もう良い! 言わなくて良いから!!」
「はいはい」
更に絶望的な事実を言えば、知っているからこそ斎王は遂に資料の山へ倒れ込んでは大量の和紙を撒き散らすと、その光景に苦笑を湛えて珠は再び口を開く。
「ともかく、今後の打開策を見付けるなら最低でも先に上げた所だけは押さえないと」
「‥‥でしょうね」
その声音は何時もと比べ酷く真面目に響くと、斎王もまた身を横たわらせたまま応じれば
「今まではその場凌ぎで必要な事をそれなりに知っていれば良かったけど、これからはそうも行かないでしょう。何せ‥‥」
「伊勢の事に付いてまだ、知らない事の方が多過ぎる」
「そうなのよねー」
頷いて珠が呟くとその後に斎王が続けば、再び首を縦に振る巫女の言葉を聞けば漸く身を起こして斎王。
「‥‥でも取り敢えず、此処だけでこれだけの量なのだから今の人手を考えるともう少し、人を集めないと流石に無理じゃない?」
「そうね。それじゃ、手配してくるわ。光、行きましょう」
改めて、この場にあるだけの資料を見回して‥‥達観し、腹を括るが伊勢の今が情勢故に人手不足も間違いなく言うと、相変わらず苦笑を湛えたまま珠は斎王の側近へと声を掛ければ二人は揃い、斎王の間を辞する。
「それにしても天照様は一体何処に。あっさり掌を返して離別した、とはまだ考え難いし‥‥となるとまさか」
そしてポツンと一人残された斎王は眼前にある膨大な紙片の量に渋面を湛えながら、姿を眩ました天照大御神の事を思案し、嫌な予感を巡らせるが‥‥それはすぐ黒き髪を振り乱す程に首を左右に振り、一蹴すれば
「ともかく、天照様の事も含めて色々と調べないとね。案外、探し物って近くにある事が多いって言うから。でも‥‥」
改めて先の事を見据え、息を吐けば一冊の書物を手に取り呟いて‥‥やはり、溜息を漏らすのだった。
「はぁ〜」
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依頼目的:伊勢の各所にある資料の類を整備し、今後の打開策を見出せ!
必須道具類:依頼期間中の保存食(日数分)は必要なので確実に準備しておく事。
それ以外で必要だと思われる道具は各自で『予め』準備して置いて下さい。
(やるべき事に対し、どの様にしてそれを手配等するかプレイングに記述の事)
対応NPC:祥子内親王(伊勢神宮担当)、神野珠(伊勢神宮書物庫担当)、矛村勇(伊雑宮担当)、レリア・ハイダルゼム(猿田彦神社担当)
日数内訳:目的地まで四日(往復)、依頼実働期間は四日。
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●リプレイ本文
此処は伊勢‥‥先日、妖の急襲に遭うと斎宮が陥落すれば見付かったばかりの天照大御神は未だ答えを出さぬ内、姿を眩ませては混迷に惑う地。
いや、今となっては伊勢だけの話ではなくジャパンの各地において状況こそ違えど、混迷の様相を見せている事に変わりはない。
だからこそ、伊勢が置かれている状況を打破すべく伊勢神宮に今は腰を据える斎王は眼前が闇だけに覆われているにも拘らず、動き出す‥‥暗雲を払い得る可能性を持つ、陽光を導くべく。
そして集いし冒険者達は伊勢の各地へと散る、多くある文献やら木簡やらを整理する為に‥‥ってあれ?
まぁ何事にも情報とは優れた武器であり、それを解するべく一行は主要な寺院へと向かうのだった。
何だかなぁ。
●斎王の間(仮)にて
一先ず視線を向けるは伊勢神宮が中枢である本殿近く‥‥そこに誂えられている仮の斎王の間にて早速、鋼蒼牙(ea3167)は足を踏み入れるなり真剣な表情で呟く。
「さて、今日の戦場は此処か‥‥まぁ、普段の戦場よりは良い」
「‥‥本当に?」
「うそごめきびしい」
が湛えている表情の割、一筋の汗が頬を伝っている事に斎王が気付けば彼へ尋ねるとすぐに掌を返し、呻く侍。
それもその筈、決して広いとは言えない部屋なのだがそれにも拘らずある木簡やら和紙の束が殆どを占めており、人一人も座るスペースがない程なのだから。
「とにかく、何事も整理整頓から始めないと調査するにも収拾がつきませんから‥‥先ずはそこから、始めましょう」
「‥‥あいよ」
それでも普段の明朗さを持って、目の前の光景にも挫けず大宗院鳴(ea1569)が声を発すればその毅然とした態度に蒼牙は期待を抱くと漸く頷き、場の整理に取り掛かかろうとし
「と言う事を家事が得意な義姉が言っていました」
だが最後、彼女がそれだけ付け加えると二人は思い切り足元を滑らせた。
●
それから暫し、一日を費やして大雑把に整理だけを先ず終えれば三人は整理を続けながらもその折々で重要そうな資料へ目を落とす。
「この料理、美味しそうですっ」
「‥‥ちゃんと見てるか?」
「勿論ですよ!」
もマイペースな鳴は全く関係のない料理に関する文献を読んでは嬌声を上げると呆れる蒼牙の問いへは毅然と応じ、胸を張って見せれば
「‥‥まぁ少し、休憩するか」
「まだまだ、山が残っているのに?」
「休憩してこそ仕事が出来るんだし、な‥‥今更細かい事を気にしても」
頭を掻きながらも呼び掛けると生憎と売り切れだった赤福の代わりに携えて来た大福を差し出すと途端、飛びついた鳴を傍目に斎王は数多の文献で築かれている山を見つめ尋ねるが、肩を竦める彼の答えを聞けばやがて納得して大福を摘まむと直後。
「それでも今までで、手掛かりみたいなのは掴めた気がします」
「と言うと?」
「宝具に付いて、記述されている文献や木簡が幾つかありました。恐らくこの宝具と言うのが‥‥」
「天照様が自身で封じた力の欠片、を指すのかもね。うーん‥‥」
響いた鳴の、珍しくも自信に満ちた声音が響けば首を回して尋ねる蒼牙へ彼女、一つの文献を持ちその証拠を二人へ見せ付ければ‥‥しかしその最後、まだ確証が取れていない事からか斎王は慎重に言葉を紡ぎ応じると一つ、呻くが
「なぁ、そう言えば祥子さん‥‥」
「ん、なぁに?」
「‥‥大丈夫か?」
彼女が携える渋面を見て蒼牙、何時もの表情に微かだが影を落とし真名で呼び掛けるとそれを受けて首を傾げる斎王に改めて尋ねる侍だったが
「何よ、急に。ほら、それじゃあ再開再開」
嘆息を漏らし、肩を落とす彼女はやはり微かに笑みだけを浮かべれば早々に大福を食べ終えると二人を促し、眼前の山へ取り掛かった。
●猿田彦神社にて
場所は変わり、伊勢神宮の内宮より程近くにある猿田彦神社‥‥導き手とも称される猿田彦神を奉る、歴史に由緒正しき神社。
「猿田彦神よ。何卒、拙者らを良き解へとお導き下さい‥‥」
その本殿を前に猿田彦神へ祈りを織るのは天城月夜(ea0321)で、深く頭を垂れて後‥‥暫らくして顔を上げれば、その背後にいたレリア・ハイダルゼムより声を掛けられる。
「それで、当てはあるのか?」
「天照様のお力の在り処か、その解放方法があるかも知れぬ故に先ずはその事と‥‥斎王様が気にしていた、猿田彦神の事に付いてでござろうか」
すっかり巫女装束を着こなしている剣士からの質問に対し、月夜は惑わず言葉を紡げばレリアは一つ頷くも、そのすぐ後に微かだが逡巡を表情に宿せばやがて口を開く。
「そう言えば最近、辺りが騒々しいと先日戻って来た優が言っていたな」
「騒がしい‥‥とは?」
「さて、私には良く分からないのだが‥‥彼女が言うには『騒がしい』らしい」
するとそれを受けて首を傾げる月夜ではあったが、どうやらレリアにも分からない事らしく肩を竦められれば暫し考え込みこそするもやがて、踵を返しながら銀髪の巫女へ声を掛けては力強く歩き出すのだった。
「取り敢えず、文献の整理をするとしよう‥‥焔摩天とアドラメレク、ルルイエ殿を返して貰った上で何れ必ず、倒す為にも!」
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「思っていたより、整理されていて助かったでござる」
そして翌日、離れにある蔵の中で眠る文献の整理に一通りの目処が立てばその内部を入口より眺め、月夜は安堵の溜息を漏らしていた。
「足を運んだ際に優が時折、整理しているのは見掛けた」
「ふむ、成程な‥‥とは言え」
「蔵書量は多い、歴史ある神社だけあって」
すればその理由を背後から響かせたレリアに向き直っては頷くも‥‥想像以上の量を前にしては呻く月夜へ銀髪の剣士、尤もたる理由こそ付け足すがやはり多くあるそれを前に彼女も厳しい表情を浮かべれば
「しかしそれでも‥‥猿田彦神に付いて、特に変わった文献は見受けられないな」
「天照様の様に伝承が真実でなければ、他の伝承が必ずしも嘘ではないのだろう」
「面倒な‥‥とは言え、導き手たる猿田彦神の事に付いて調べるなら此処が一番に最適なのだろうな」
昨日、多少だが見る事が出来た文献の内容を思い出して月夜は始まったばかりではあるが芳しくない進捗に首を捻るも、レリアに諭されこそするが尚更に表情を厳しくして‥‥その後、唐突にむせ返る剣士の様子を垣間見る。
「レリア殿、体の方は大丈夫か?」
「問題ない、とは言え以前程に無理は出来なくなっている気もするが‥‥まぁ、その程度だ」
「それでは暫し、休んでいると良いでござる。今日は天気も良いしまだ日も長い、それに他の様子も見なければならない故」
彼女を気遣い、声を掛けると複雑な笑みを湛え答えるレリアに月夜はそれだけ言えばすぐに踵を返し、翼の生えている自身の愛馬の元へ向かう。
ざわ‥‥ざわ、ざわ。
「‥‥まさか、な」
だが、さざめく木立と場を包む異様な雰囲気を蔵書庫より出てすぐに感じれば‥‥レリアが最初の話を思い出し、一つの推測こそ立てるがすぐにそれを打ち消すべく自嘲の笑みを湛えた。
●伊勢神宮、書物庫にて
一方、敷地で言えば斎王の間と同じく伊勢神宮だが‥‥離れの方にある書物庫を開け放ち、その光景を前にしていたのは巨人の騎士がミラ・ダイモス(eb2064)とエルフの僧侶がガイエル・サンドゥーラ(ea8088)に、伊勢神宮ではかなり位の高い(らしい)巫女が神野珠。
「神野殿も久しい限りだ、相変わらず健在の様で」
「まぁね。で、お二人さんは一体何を探すつもりかなー?」
果たして眼前に堆く積まれている山を見ても平然として、珠へ視線を向けては久々の再会に頭を垂れるガイエルに彼女は頷き応じれば、次いで山の方へ視線を移しながら二人へ相変わらずの明るい口調で尋ねると
「やはり天照様、天岩戸、黒き箱の中身と岩戸に封じられたジャパンの悪魔王の力が欠片と‥‥後は器と言う単語から、何らかの憑依する霊や魔物の類の伝承と言った所か」
「それともし復活を警告するなら、太陽を飲む魔物の記述が有るかも知れません」
「目星が付いているのなら、宜しい。それじゃあ早速、始めましょうか!」
それにガイエル、確かに答えればミラもまた先に書物庫の中へ身を滑らせて高さを確認しながらはっきりとした声音で応じると二人の答えに彼女は顔を綻ばせて、巫女装束の袖を捲くり巨人の後に次いで書物庫の中へと足を踏み入れた。
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「特に隠し部屋等と言ったものはないみたいですね」
「そう言ったものが存在すれば、流石に文献に残されているか‥‥」
「口伝として残り、斎王様が知っているかと言った所かね」
依頼が始まってより二日が経過し‥‥丹念に書物庫の周辺を調べていたミラが根を上げれば、その結果に対して納得するガイエルと珠。
「一先ず‥‥整理も粗方終わった故、これからが本番だな」
「そうですね‥‥ですが」
「絞り込んだとは言え、流石に量が多いわねぇ」
一通り、整理しきったとは言え他所と大差ない光景を前にガイエルは尚も意気込むと頷くミラではあったが、珠が直後に発した言葉に気勢を殺がれる。
「月夜さんの話も踏まえるとある程度進んでいる、天照様に関する事は後回しでしょうか?」
「そうだな、となると‥‥ジャパンの悪魔王に関する事か」
かと思いきや、それを受けてもミラは尚もやるべき事を見失わずに意を発すれば頷いてガイエルもその明確な指針を提示するが
「うんうん。でもそう言った手の話ってあたしもそうだけど、古参の者でも結構に知らないのよねぇ」
「既に歴史上から抹消されている‥‥とでも?」
「可能性としてはあるわね。天照様に関する事だって私達が知っていた事とは多少、食い違っているし‥‥此処に残されている文献が全て、そのまま信じるに値するかは」
悪気がある訳ではないのだがまたしても珠、彼女らの出鼻を挫くかの様に呟くと‥‥以前にも彼女が独自に調査をしていた事を思い出し、言わんとしている事を改めてガイエルが口にすれば渋面を浮かべる巫女ではあったが
「とにかく、やってみる他にありません‥‥頑張りましょう」
それでもとミラが前向きに、穏やかながらも発奮すれば動き出すと残された二人は笑みを浮かべ、彼女に遅れては高い山を築く資料へ向き直るのだった。
●伊雑宮にて
伊勢において、天岩戸と言う要所を抱えながらも伊勢神宮より遠く離れている伊雑宮を訪れていたのはルクス・シュラウヴェル(ea5001)であった。
「矛村殿、今回も宜しく頼む」
「あぁ」
「‥‥全く、相変わらずだな」
その彼女の堅苦しくも礼儀正しい挨拶を前、伊雑宮の宮司となりながら彼女と同じく『五節御神楽』に属する矛村勇は果たして憮然とした面持ちのまま応じれば、変わらない彼の調子に苦笑を湛えるルクス。
「まぁ、それよりも‥‥人手も余り多くない、早速始めるとしようか。案内をお願いする」
「分かっている‥‥が、目立ったものは何もないぞ」
「そうなのか、それは何故?」
すぐに気を取り直してはこれよりやるべき事を見据え、呟くも次に彼の口から返って来た答えを聞くと尋ねる彼女へ勇はやはり、素っ気無く応じる。
「此処は既に、整理が成されている。昔から‥‥な」
「ならば矛村殿は口伝で何か、聞いてないか。例えば‥‥その刀の事や、竜宮の事等で」
「‥‥そう、だな」
その、『此処だけは別』と遠回しに答えは紡がれるが‥‥次の疑問にはすぐに応じる事が出来ず、一言だけ呟けば本殿へと向けて歩き出しながら暫し考え込んだ後、一度だけ密やかに呟くのだった。
「二振りの霊刀は鍵、揃いて岩戸を開く鍵‥‥」
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「天照様に関する記述があるものは?」
「‥‥この辺り、だな」
やがて伊雑宮にある書物が一手に保管、管理されている部屋に辿り着くと確かに他とは違う整然とした部屋を前、先ずは天照大御神の事に付いて調べるべく勇へ尋ねるルクスに彼は該当する一角を指し示すと
「天照様の住まいか、秘された力の事に付いて‥‥何でも構わない、何かあれば良いが」
「住まい‥‥寝所の事か?」
「寝所?」
そちらへ歩を進めながらボソリ、呟く彼女の言葉を聞き止めた勇がその中の一つの単語に付いて問い返せば、頭を巡らし首を捻ってルクスは彼が次に紡がんとする言葉に耳を傾ける。
「即ち、天岩戸の事だ」
「‥‥だからそれは、世間一般に知られている話で」
「もう一つ、ある‥‥真実かは知らぬが」
だが返って来た答えを聞くと微かにだが溜息を漏らすが‥‥次に彼の口から発せられた言葉を聞けば彼女、眉こそ顰めるがその答えが何か聞かざるを得ず‥‥静かに、勇を見つめては問い掛けた。
「それは、一体‥‥?」
●得られた解
やがて依頼期間を終え、伊勢神宮に再び集った一行は得られた情報をそれぞれに交わす。
「‥‥五つあると言う宝具の事に付いては以上だ、但し確証はこの文献以外に何もない」
その最後、一冊の文献の該当する箇所を開いては蒼牙が得られた情報を明示すれば話が終わると
「天照様の真なる寝所‥‥伊勢神宮にあると言う事らしいのですが、それに付いて斎王様は何かご存知では?」
「真なる天岩戸、の事ね」
「では‥‥!」
次いでルクスが勇より聞いた件に付いて尋ねれば‥‥果たして首を縦に振り応じる斎王の反応を前、皆は視線を一斉に彼女へ注ぐも
「所が、先日から件の場へ赴いてみたのだけど‥‥開かないのよね。試してみたい事はあるけれど、暫くは出来そうにないからまた近い内にね。で、それ以外に何か分かった事はある?」
しかし、その存在を感知しながらも斎王は得られた事実に肩を竦めれば一先ずその話はそこまでとし、皆を見回す斎王に応じたのは月夜。
「斎王様が気にしていらした猿田彦神の事に付いてだが‥‥話として世間に知られている以上の事は特に」
「‥‥そう」
「だが、猿田彦神社の周辺が‥‥少々、可笑しな雰囲気でござった」
猿田彦神の事に付いて、得られた事実だけ確かに告げればあっさりした答えのみ返す主にしかし彼女は自身、気付いた事を言い掛けて途中、止める‥‥猿田彦神が自身を奉っているその袂にいるかも知れない、と言う事を。
だがそれこそ確証を得ないまま、安易に言える事ではないと判断して月夜は場の状況だけ告げれば一頻りの報告が済んで沈黙する場の、その中。
「一先ず、今回の依頼を通して食べたい料理が増えました」
「‥‥それは明らかに違うな」
明朗な声音にて高らかに断言する鳴に、同僚のガイエルが嘆息を漏らしながらも突っ込むと最後は何時もの様に、笑い声が場に木霊した。
得られた解、それは降り注ぐ陽光程に明るくはなく‥‥しかし蜘蛛の糸程にも細くなければ一行はそれを手掛かりに突き進む他なかった。
果たしてその先に何が待っていようとも。
〜一時、終幕〜