第二回‥‥輝けっ、書初め大会!
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■ショートシナリオ&
コミックリプレイ
担当:蘇芳防斗
対応レベル:フリーlv
難易度:普通
成功報酬:5
参加人数:5人
サポート参加人数:-人
冒険期間:01月18日〜01月23日
リプレイ公開日:2008年01月28日
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●オープニング
●年が明けて‥‥
「明けまして、おめでとう」
『おめでとうございます』
新年を迎え、正月も三が日を終えれば眼前に集う伊勢藩士を前に新年の挨拶を交わし、頭を垂れたのは伊勢藩主、藤堂守也。
「旧年は非常に様々な事があり慌しかったが、それでも一部を除いて伊勢を守り抜けたのは他ならぬ皆のお陰だ。今年もまた、苦しい時が暫く続くだろうが‥‥いずれ日は昇るもの。今、抱えている案件を全て解決すべく昨年以上に力を貸して貰える様、自身も努力する故に宜しく頼む」
次いで響いた皆の礼を前、少しの間をおいて顔を上げれば旧年を振り返った後に新年の抱負を語ると頷く皆へ、一部の者を残して散開を告げると 十河小次郎を初めとする伊勢藩士が十人を前に藩主は改めて頭を垂れ、やがて場に響いた話は既に昨年末に場に介する皆へしていた話。
「それで新年早々、皆に集まって貰ったのは挨拶を交わす事だけではない‥‥此処に残っている者には事前に話しておいたが、今年も書初め大会を行う為にそれを手伝って貰うべく集まって貰ったのだが」
「面倒臭いわねぇ、習字だって」
その始動を今、始めるべく告げるが‥‥果たしてその場にて相応しくない言葉を発したのは殴られ屋の京香で、らしいと言えばらしいその振る舞いに藩主は穏やかな笑みを湛える。
「‥‥やはり前々から気になっていたが、もう少し京香殿は性根を鍛えた方が良いらしいな」
「え?」
だが、新年だからこそ今回ばかりはすぐに咎め瞳すがめる彼へ僅かだが背を震わせる京香、嫌な予感が背筋を奔る。
「とは言え、別の任があったな‥‥残念だ」
「‥‥ほっ」
「但し、来年は確定だな」
「来年までいたらね、じゃ」
しかし次に響いた藩主の言葉には安堵の溜息を漏らし、だが釘だけは刺されるとこれ以上は勘弁と言わんばかりに肩を竦めて彼女、早々にその場を後にすれば京香とは裏腹に嘆息を漏らす藩主だったが、すぐに気を取り直せば
「一先ずは以上だ、後でそれぞれに詳細を言い渡す。小次郎だけはすぐに京都の冒険者ギルドへ向かい、触れ回って来てくれるか」
「あぁ、分かった」
「年の初め故に大事なるからこそ皆、協力を宜しく頼む」
すぐに次なる指示を皆へ下すと笑みを湛え、言うのだった。
●
と言う事で新年を迎えた伊勢でそんなやり取りがあってから大よそ一週間を経た、京都の冒険者ギルド。
「色々と慌しい伊勢藩から、書初め大会への参加要請が来た」
「はぁ、今年もですか」
「とは言え昨年は無事に終わっていた筈だから、今年も粛々と行われるだろう‥‥多分」
伊勢藩から来た、書初め大会開催の旨を相変わらずぶっきら棒な口調で告げるギルド員の青年に伊勢、と聞いてか冒険者の一人が生返事で応じるも青年は確かな口調で問題ない旨を告げる‥‥最後の言葉だけは小さくあったが。
「因みに今年は賞品等と言った物はなく、宴会‥‥と言うか新年会か。それのみが大会終了後に行われるそうだ」
「勿論、その新年会の参加は無料なんだよな?」
「参加者はな、宴会だけの参加も可能らしいがその場合は相応の金銭を払う必要があるだろう」
そして咳払いをした後、改めてその続きを語ると冒険者の疑問には速やかに応じれば青年は新年早々にも拘らず集う冒険者達を見回してその最後、微かな笑みだけ湛えては告げるのだった。
「まぁ新年が明けたばかりのこの時期、何処も慌しいだろうが‥‥もし暇があれば誰でも気兼ねせずに参加して欲しいと伊勢藩主が言っていた様なので、宜しく頼む」
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依頼目的:迎えた新年を良き物にすべく、入魂の一筆を書き記せ!
必須道具類:依頼期間中の保存食(日数分)は不要、依頼人負担となります。
屋内での開催なので防寒着は特に不要、但し持参する必要がある場合は各個人で持ち寄る事。
それ以外で必要だと思われる道具は各自で『予め』準備して置いて下さい。
(やるべき事に対し、どの様にしてそれを手配等するかプレイングに記述の事)
対応NPC:藤堂守也、十河小次郎(以上、同行)
日数内訳:目的地まで四日(往復)、依頼実働期間は一日。
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●リプレイ本文
●さぁ、書初めろ!
伊勢藩主邸宅を前にして‥‥近隣に住む人々が書初め大会の見物か、はたまた参加するかでごった返すその中。
「土の志士、東雲八雲だ‥‥見知った者も、そうでない者も今回は宜しく頼む」
「押忍! 自分は『フトシたん』こと太丹っす、よろしくっす!」
「おう。で、皆揃ったか?」
その書初め大会に参加すべく集った冒険者の中、何時も通りに東雲八雲(eb8467)が挨拶を交わせば巨躯の武道家が太丹(eb0334)も応じた所で皆、自身の紹介を一通りに終えれば一行を見回しては彼らの取り仕切りをする役目を担う十河小次郎が誰へともなく尋ねると
「一先ず、冒険者側の参加者はこれだけだな‥‥」
「もう少し多ければ良かったのですが‥‥」
先に挨拶を終えた彼が至って真面目な面持ちにて応じれば名前の通りに赤い髪を持つ茉莉花緋雨(eb3226)も続き、自身が気になっていた事を口にすると小次郎もまた、彼女が言う様に頭数の少なさが気になってか、頭を掻くも
「まぁ一般の参加者も多くいるみたいだし、人数の多少は余り気にせず‥‥宜しく頼むな」
すぐに気を取り直せば皆へ普段と変わらない、明朗な声音にて改めて挨拶を交わすと次には比較的、見知った顔触れが多い事からそれぞれに挨拶を交わし始める。
「一年振りになってしまいましたが‥‥御久し振りですね、アリア殿」
「こちらこそ、お久し振りです。お元気そうで何よりでした」
「今年も宜しくお願いしますね」
「こちらこそ、今年も一年宜しくお願い致します」
そんな中、和泉みなも(eb3834)は視界の中にアリア・レスクードの姿を久しく見止めれば頭を垂れると、アリアもまた彼女の姿を見たからこそ歩み寄っては礼儀正しく応じれば少し遅いながらも新年の挨拶に笑顔を交わす。
「それじゃ‥‥一般の人達もボツボツ来ているから、そろそろ俺達も行こうか。それと一応、藩主には失礼のない様にな」
「それは言われずとも、承知しておる」
だが、その間にも人は増える一方でこの場ではのんびりもしていられないと判断した小次郎が皆を促し、一応に釘だけ刺せばみなもの傍らにいてはアリアへ目礼だけした橘一刀(eb1065)が彼女らの会話の邪魔にならぬ様、離れながら彼へ生真面目に応じると笑みだけ湛えて応じた志士は皆を今日の戦場へ招くべく、歩き出すのだった。
●ただの一文字、たったの一文字、大切な一文字
と言う事で一行が会場に招かれてから暫く後、一般の参加者も集えばやがてその場に現れた伊勢藩主が藤堂守也は粛々と、書初め大会の開始に当たって挨拶を告げる。
「伊勢のみならず、ジャパン全土において今年も色々と慌しいと思うが‥‥それらを払拭出来る様な、素晴らしい作品が出来る事を切に願って止まない」
とは言えそれは酷く簡単で、命題こそ確かに圧縮した形で端的に場の隅々へと響く様に朗々と告げれば、僅かな間も置かずすぐに守也は書初め大会の開始を告げた。
「それでは‥‥始めてくれ」
「う〜ん、一文字だけっすか〜‥‥」
さて、一般での参加者が多くいる書初め大会のその場の中で数少ない冒険者代表の一人が太はと言えば、珍しく頭を悩ませていた。
「去年は別の所で、超越を超えるって意味で『超出超越』と書初めしたっすよね。さて今年は超がいいっすかね、それとも越がいいっすかねぇ‥‥」
意外にこう言った場面では考え込む口か、昨年に別な場にて行った書初めを思い出してはその軌跡を宙に描きながらブツブツと独り言を紡ぎながら悩むその傍ら。
「そうだな‥‥」
八雲は普段通り、真剣な面持ちにて思考を巡らせるも‥‥傍らにいる巨人とは裏腹に思い切り良く筆を持てば、墨を含ませると和紙の上に筆を走らせてサラリと早々に一枚を仕上げ、作品を掲げ眺めてみる。
「ふむ‥‥」
だが一言だけ呟くなり、微かに呻くと彼は書き上げたばかりの半紙を脇に置けば
「違う、これでは‥‥ないな」
脳内にて閃いた、幾つかある候補の文字を次いで真新しい半紙に書き認め始める‥‥どうやら彼も行動こそ早いが太同様、書くべき文字を考えあぐねている様子だったが
「とにかく今年も頑張って技を磨くっすよ! と、磨く‥‥?」
「‥‥俺的には、十分満足の行く出来だな」
それでも二人、太は自身の呟きをヒントにして、八雲は思い浮かんだ文字を次々に書き上げては出来栄え如何よりも今の伊勢や強いてはジャパンに相応しいだろう一文字を定めればそれぞれに作品を書き上げたのは然程、時間を要さなかった。
かたや、婚姻こそ結んでいるが進展のない一刀にみなもはと言えば‥‥。
「大丈夫であろうか?」
「はい、襷に前掛けも掛けましたし」
「折角の振袖姿だ。汚さぬ様にな」
「あ‥‥はい」
互いに並んで書初めを前、先ずは初々しくもお互いを気遣いながらその形から入っていたが不必要に接する事は無く、その距離は微妙に空いたまま。
『‥‥‥』
そしてそのまま、その場にて座する二人‥‥周囲もそれなりに静かなのだが、それよりも更に深い沈黙に包まれればどちらもに口を開かず半紙へ筆を走らせると、ほぼ同時に先ず一枚を書き上げてはそれをやはり互いに見比べ合う事暫し。
「未だ修行中の身であるが故とは言え、待たせてばかりで心苦しいのだが‥‥」
「何時までも‥‥待ちますから」
「‥‥済まん」
不意に一刀がその最中で口を開き、みなもへと真摯な眼差しだけ向けて詫びる。
何もこんな場で言わずとも、と思う彼女ではあったが‥‥それでもその言葉を嬉しく思ったからこそ微笑めば、彼の耳元に一瞬だけ近付いては囁くと彼女の想いに頭を垂れる彼。
「だから今はこの時だけを、大事にしましょう?」
だがすぐにみなもは身を離すと一刀を宥める様、静かに優しく声を掛ければそれに応じて彼が顔を上げると互いに微笑を返せば、再び揃って新たな半紙へ向き合うのだった‥‥二人にとって今はこの距離感こそ、一番に心地良く思うからこそ。
その頃、緋雨はと言えばアリアと揃って半紙へ向き合っていたのだが
「‥‥はぁ、はぁ」
何時からだったか、様子を見に来た小次郎が傍らに居座るとその頬を自身の髪の色と同じくすれば筆の進みも遅々とし、ギクシャク走らせれば吐く息も意識しないながらに荒くしていた。
「な、何もそんなに疲れる事か?」
「それだけ見ていれば、誰でも意識して自然と緊張しますよ‥‥」
「あぁ、そうか。済まんな」
その光景を前、小次郎は唐突な彼女の変調を気遣ったからこそ声を掛けるのだが‥‥アリアからそう言われると漸く彼は自身の座る位置に気付き、緋雨へ詫びてはその眼前から後退するのだが
(「‥‥うぅっ」)
当の緋雨本人はと言えば、ちょっと残念で内心密かに落胆するも気を取り直せば改めて眼前の半紙へ、決めていた字を一筆の元で書き上げては外を見て下がりつつある太陽の位置に気付きガバリ、立ち上がる。
「はっ、こうしちゃいられない‥‥!」
「何だ何だ?」
「後で、教えますね。それではアリアさん、行きましょう!」
すればそれを前に疑問を響かせる小次郎ではあったが、緋雨はそれだけを言うと既に作品が仕上がっているアリアを促しては眼前にいる彼へ出来上がった作品を押し付ければ
「新年会までには、必ず戻りますから」
一言だけ約束を交わすとその場をそそくさと辞するのだった。
そしてそれから一刻程度の時間を経てだろうか、参加者の一通りが作品の完成を告げるとそれぞれに伊勢藩士達が散れば評価へと移行し、仕上げた作品のその理由を聞いて回ればやがてそれも終えると多少遅まきながらもその場は宴会場へと変わり始めるのだった。
●墨だらけ後の大宴会
「それでは今年が良き年になる様、祈念して‥‥乾杯」
遂に宴席の場の準備が整うと、居並ぶ書初め大会参加者達が前に伊勢藩主が立てば固い挨拶を抜いて、簡潔に挨拶を済ませては乾杯の音頭を取ると‥‥今まで伊勢藩主が邸宅を包んでいた沈黙とは裏腹、一気に賑やかな声で包まれる。
「食べていいっすよね? すよね? すよね?」
「あぁ、遠慮なく食べてくれ」
「それでは‥‥いっただきま〜っす! 片っ端から頂くっすよ!!」
その中、太は自身が持つ大食い技能故に気を遣ってか遠慮を見せて何度となく守也へ眼前の膳へ箸を伸ばす許可を求めれば藩主が首を縦に振るとほぼ同時、素早い勢いで箸を握り膳に並ぶ料理の数々を一気に貪り始める。
「‥‥後、十人前‥‥いや、二十人前を追加しておいてくれ」
「‥‥足りますかね」
「さて?」
「お代わりっすー!」
すればその光景を前、傍らに来た部下へ藩主は密かに耳打ちするも‥‥部下の疑問へは首を傾げるのと同じタイミングで太、膳をそのまま掲げては空になった全ての器を見せつければ声高らかに次を告げると、藩主は部下へ再び静かに耳打ちをした。
「戦で用いる分以外の備蓄も回せ‥‥」
一方で他の面々はと言えば、アリアや小次郎と席を共にしては目の前にある膳をのんびりと突き、酒を酌み交わしていた。
「何だ、一刀は飲まないのか」
「酒は感覚を鈍らせるので飲まない様にしている」
「真面目だなぁ、八雲はそうでもなかったんだが‥‥」
「こう言う場で、悪いとは思うが」
がその中で一人、一刀は頑として飲酒を断わっていれば眉根を下げては残念そうな面持ちを浮かべる小次郎、辺りへ視線を配しつつ先まで一緒に酒を飲んでいた八雲の姿がない事に気付き更に意気も消沈と肩を落とせば、一刀は周囲の喧騒とは裏腹に厳かな声音を響かせ詫びるが
「‥‥まぁ酒は無理強いさせてまで飲ませる物でもないし、変に気にする必要はないさ」
「その分、食べれば問題ありませんよね?」
小次郎も一応、大人としての自覚があるらしくそれ以上彼に無理強いをしなければまたしても詫びようとする一刀の代わり、彼の隣にいるみなもが膳にある料理を丁寧に小皿へ取っては差し出すと
「あぁ、尤も早く食べちまわないと‥‥」
「うめーっす!」
「‥‥あれに根こそぎ、食われるぞ」
「‥‥その時は、その時だ」
次いで小次郎が彼方にて舌鼓を打つ太の方を見ては嘆息を漏らせば、漸く微笑を湛えた一刀は達観しつつもみなもが差し出してくれた小皿へ手を伸ばし、箸をつけると一先ず頷いた小次郎はアリアと杯を交わす緋雨に視線を配し‥‥緋雨の思ってもいなかった状態から思わず声を掛ける。
「‥‥大丈夫か?」
それもその筈で彼女、顔はおろか首の根っこまで酒精の力で朱に染まっていたのだから。
そりゃ好きな人が傍らにいれば緊張して喉も渇いて酒を煽る訳で(?)、そんな彼女は小次郎の問い掛けに対しうろんな眼差しを向ければ、遂にその口から衝撃的な告白を紡ぐのだった。
「すっ、好きです小次郎先生!」
「‥‥あ?」
直後にどっと沸く場を背に八雲は一人、飲んだ酒精を覚ますべく縁側に出ては肌寒い夜気に晒されつつも見事な月夜を見上げていた。
「‥‥想いを乗せた以上、頑張らなければ‥‥」
白い吐息と共に紡がれた言の葉は、自身への新年に対する誓いで‥‥伊勢にて自身の行動を戒める二つ名こそ抱えたままだが、それをも払拭せんと意気を吐けば
「八雲もそうだが、今年も冒険者が皆の働きには期待している‥‥と藩主自らが言うのは可笑しいかも知れないが、宜しく頼むぞ」
「言われずとも。まだ目指すべき先は遠い故‥‥こちらこそ、お願い致します」
太の対応に大わらわだった守也が何時の間にか彼の背後へと立ち、声を掛けると苦笑を返しながらもしかし八雲は藩主へ向き直っては頭を垂れるのだった。
と様々な光景が見られる中でも刻は自然と過ぎて夜は更ける。
因みに余談だが緋雨の告白は酒の席と言う事に加えて本人も直後、寝入ってしまったので小次郎からの回答はないままに終わる‥‥まぁ元より朴念仁でもあるし、緋雨は中々に大変な道を選んでしまったのかも知れない。
だがそれでも、想い続けていれば何時かはきっと叶う‥‥と思いたい。
●宴も終わり、結果発表
と言う事で賑々しく宴会を過ごしたその翌日‥‥結構な量の酒を飲んだにも拘らず伊勢藩主は平然と、二日酔いで顔面を蒼白にしている者達が多い参加者達を前に先日の結果を告げる。
「今の世に、相応しい字だろう」
そう言った守也の手によって掲げられた半紙の一枚には、八雲が認めた『支』の字があった。
「書いた当人は自身の事に対し置き換えていた様だが、それ以外にも意識せず人と人が支え合い助けられる世になって欲しいと私は願いたいからこそ、これを選定した」
先までに掲げた作品と同様、評価した理由を丁寧に藩主が告げれば‥‥場に介する全員をゆるり、見回して後に口を開く。
「‥‥これよりまだ、混乱は続くと思う。だがそれでも、皆が互いの事を想い助け合えるのならきっと、眩しくも優しき陽光が私達を導いてくれる筈。故に皆には今暫し苦労を掛けるかも知れないが、この文字を胸の内に宿し共に協力して貰えればと思う故に何卒宜しく頼む」
伊勢の現状が決して予断の許さない事態であるとも告げるがしかし、八雲が認めた作品を掲げて希望の一端が冒険者以外の民衆にもある事を言うと頭を下げては願い出れば‥‥果たして場に介する一同、伊勢藩主の申し出に応じるからこそ歓声を上げれば伊勢藩として意気も上がる中、二回目の書初め大会もまた無事にその幕を閉じるのだった。
〜終幕〜