【何でもござれ】冬山登山
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■ショートシナリオ
担当:蘇芳防斗
対応レベル:1〜5lv
難易度:やや難
成功報酬:1 G 36 C
参加人数:5人
サポート参加人数:6人
冒険期間:02月02日〜02月06日
リプレイ公開日:2008年02月10日
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●オープニング
●とある山にて
「はぁ、はぁ‥‥参ったな。雪崩ですっかり、引き返す道が埋もれちまってる」
風雪が厳しい中、防寒着を厚く着込む男性が息も荒く洞穴へと足を踏み入れる‥‥いや、戻って来たと言った方が正確か。
この酷い風雪と、先に起きた雪崩の影響で下山出来なくなったからこそ。
「父さん‥‥」
「大丈夫だ、暫くすれば天候も回復する。そうすれば下山だって出来るさ。それまではここで凌ごう」
「でも、食料がもう」
「何、探せばこの時期の雪山だって食料は手に入るさ」
その彼を出迎えたのがまだ青年と言うには早い年の頃の彼の息子で、不安げな視線を父へと注ぐが、別段動じずに彼は息子を宥めると一先ず手持ちの食料を確認しながら外に広がる、白き闇を思い出しては息子に聞こえない程度の音量でボソリと呟くのだった。
「‥‥とは言え、楽観は出来ないか。もしかしたら迷惑、掛けているかもなぁ」
●一方、その頃
「‥‥遭難?」
「はい、今の時期にしか採れない薬草を採りに行った主人と、息子一人が‥‥」
京都の冒険者ギルド、彼の妻である女性が足を運んでは未だに山から帰ってこない主人と息子を心配‥‥いや、遭難と確信してその救助を依頼していた。
「この山ならば確かに今の時期、遭難してもおかしくないが‥‥どうしてまた天候が崩れ易い山へ?」
「私達が住む村にとって、数少ない冬の収入源の一つなのです」
その彼女を前、一通りの話を聞いたギルド員の青年は二つの疑問を覚えて先ずはその一つを切り出すと、それに応じる彼女へ青年は二つ目の疑問を切り出す。
「成程。聞かない話ではないが‥‥遭難については確かなのだろうか?」
「家を発ってからもう、一週間近くになります‥‥確かに例年、積雪が多く危険ではあるのですが程近い山なので何時もなら三日程度で帰って来るのですが、これだけ帰って来ないとなると‥‥」
決して疑っていると言う訳ではないのだが、不確かな要素のみで安易に冒険者を動かせないからこそのその疑問にも彼女は確かな回答を持って応じればここでまた、新たな疑問が沸いて青年は改めて口を開く。
「ならば、食料は」
「何時も余計過ぎる程に持っていっていますのでまだもう暫く、余裕はあると思います。ですが‥‥持って後、一週間程度かと思います」
「となると余り予断は許さない状況か‥‥分かった、すぐに手配する」
「あ、ありがとうございますっ」
例年足を運んでいると言うのなら山に関する知識は長けているのだろうと踏むからこそ、活動する為に必要な栄養源の供給元について尋ねれば、三度の詳細な話を聞いて漸く青年は首を縦に振ると彼女は頭を垂れ感謝するが‥‥新たな依頼書の執筆に机上へ向かう青年は単純だが難しいだろうこの依頼、どれだけの力量を持つ冒険者へ任せるべきか考え込んでいた。
「特に何か出る山、と言う話も聞かないしまだ経験の浅い冒険者でも問題はないだろうが‥‥さて、荷は重いだろうか」
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依頼目的:雪山にて遭難した人達を救出せよ!
必須道具類:依頼期間中の保存食(日数分)は必要なので確実に準備しておく事。
また、屋外での行動になるので防寒着も必要な時期なので忘れずに持参して下さい。
それ以外で必要だと思われる道具は各自で『予め』準備して置いて下さい。
(やるべき事に対し、どの様にしてそれを手配等するかプレイングに記述の事)
日数内訳:目的地まで二日(往復)、依頼実働期間は二日。
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●リプレイ本文
●自然と言う名の牙
京都の冒険者ギルドを前、近くの山にて吹雪か雪崩に見舞われてだろう戻るべき家に未だ戻っていないと言う夫とその息子を救い出すべく、冒険者達が集っていた。
「これで全員、でしょうか」
「あぁ、人数的には心許ないが‥‥それでも今回の依頼、皆が無事に戻って来られる様に宜しく頼む」
その数は五人、お世辞にも多くない人数に何処か不安‥‥と言う訳ではなく、ただ確認の為に香月三葉(ec2942)が問えば、わざわざ見送りに来たのだろう冒険者ギルドのギルド員が青年は果たして頷くと、その最後に皆へ声を掛ければすぐにギルドの中へと戻って行くが
「今の時期、積雪の厳しい山中で帰路を見失うとは‥‥一刻も早くお助けしなければ」
それは決して冷たいと言う訳でなく、多忙を極めるからこその対応と理解してレラ(ec3983)が皆の方へ向き直り、改めて遭難した人らの心配をすれば暗に時間が限られている事も密かに織り交ぜつつ皆を見回し告げると
「相手を侮らず、怖れずですよ」
「周りを良く見て、ちゃんと安全だと確信出来る方へ、注意しつつ少しだけ動くんです‥‥分かりましたか?」
「えぇ、分かりましたわ。ありがとうございます」
その視界の中、唯一ジャパン語を解さないリマ・ミューシア(eb3746)は見送りに来た友人らからしっかりとアドバイスを受けている風景が目に入り、故にレラの話は耳に入っていなかったが
「リマさん、準備にも時間を要しますので早く現地に皆で向かいましょう」
「えぇ、そうですわね」
しかしそれは今、使える言語の全てをそれなりに解しているトウカ・アルブレヒト(eb6967)が促す事で彼女を話の輪に引き戻すと二人はレラを確かに見て、頷けば
「奥さん」
「はい‥‥何でしょうか」
「必ず、連れて帰りますので温かい料理を準備して待っていて下さいな」
動き出そうとする一行の中、最後にやるべき事を思い出した三葉はわざわざここまで足を運んだ依頼人で、行方不明となっている夫と息子の妻であり母である女性へ笑顔でそれだけを告げるといよいよ目的の山へ向け、一行は歩き出す。
「うむ、この様な依頼に斯様な女性達が名乗りを上げるとは‥‥無理をされねば良いが」
「ご心配は有難いのですが、変な気遣いは無用ですよ。ご自身の事も十分に、気を付けて下さいね?」
「‥‥それもそうだ」
だがその中、まだ年若くも何処となく固い雰囲気を纏わせる侍が百瀬勝也(ec4175)は唯一の男性であるからこそ表情には出さないながら、女性陣を気遣う囁きを漏らすが‥‥それは一行の殿を歩いていた三葉に聞き止められれば言葉を返されると、彼は表情に僅かな苦笑を浮かべ応じれば山がある方を見つめ、呟くのだった。
「必ず救う故、もう少しだけ‥‥持ってくれ」
●
やがて京都を発って一行、依頼人らが住む村にバラバラでこそあったが辿り着けば必要な情報‥‥周囲の地理や件の薬草が自生する場所、雪崩が起きた場所等についての情報を集めれば一刻たりとも惜しい時間からそれを精査しながら現場へと向かう、その中。
「レラ殿、何もこの様な危険な依頼に参加されずとも‥‥」
「雪山の厳しさは身に染みて分かっています。一面の銀世界は美しく‥‥だからこそそれが容赦なく牙を剥いた時の恐ろしさを私は知っているからこそ、この依頼に参加すると決めたのです」
「‥‥そこまで言われては、叶わないか。だがくれぐれも気を付けてくれよ」
「はい、ありがとうございます」
勝也は既に見知った顔であるレラへ気遣いを見せるのだが‥‥その内心を何となくではあったが悟ったからこそ、穏やかな声音ながらも自身を曲げずに確かな決意を告げれば折れて勝也、頭を掻きながらもそれだけは最後に添えると微笑み応じる彼女だったがそんなやり取りの中で、徐々に寒さが厳しくなっている事に気付くと彼女。
「どうやら、目的の山が近付いて来た様ですね」
「はい、それでは一先ず拠点を‥‥そうですね、この辺りに設営してそれから後に彼らが大よそいそうな地点を重点的に探しましょう」
目的の山が近い事から皆へそれだけは告げると個々に防寒着を羽織り出す中、最後の段取りを合わせるべくトウカが声を響かせれば首を縦に振って皆が皆、応じれば防寒着を着込んだ事を確認して後に再び風雪に荒れる山を目指し、揃って一行は歩き出すのだった。
「‥‥大事が起きなければ良いのですが」
まだ目的の山を視界のほんの片隅にしか捉えていないからこそ、故郷の凍て付く空気に遠く及ばないとは言え僅かな不安を抱いたレラが囁く中で。
●いざ、白き闇へ
「何処もかしこも、一面の白ばかり」
そして一行は遂に目的の山へ辿り着き‥‥リマが言う様に視界をただ、白だけに塗り潰される最中で佇んではこれより踏み入る白き闇を前、暫しその光景を眺めていた。
「これだけ積もるのも‥‥珍しいのかしら?」
「そうかも、知れませんね」
目前のそれを前、未だ知らぬ事が多いジャパンの気候について疑問を響かせたリマへ三葉は首を傾げてはのんびりと応じるが
「しかし話の通りとは言え、これは酷い‥‥」
「皆さん、気を付けて下さい。もう暫く、この天候は‥‥」
「わぷっ」
直後、吹き荒れる風に舞う粉雪より顔を庇いながら瞳をすがめては勝也が眼前に広がる自然の驚異の前に呻くとレラの警告が紡がれるより早く、盛大に舞った雪に襲われ白に塗れる三葉。
「‥‥酷い地吹雪ですわね」
「それに加えてこの雪、村の方が仰っていた様に所々で緩いです‥‥大声だけは出さない様、皆さん気を付けて下さい」
その、眼前を荒れ狂う吹雪を前にトウカは勝也と同じ感慨を抱き穏やかな表情こそ湛えたままではあったが声音こそ厳しくして呟くと頷きながらレラもまた、村人から遭った話を思い出せばその脅威も語ると
「それでは、薬草を採りに行く際、何時も行っておられると言う場目指して見ましょう。雪山登山の経験もあるなら、下手には動いていない筈です」
僅かでも時間が惜しい事から次には皆へ迅速な行動を促すが‥‥その中で一人、憮然とした面持ちを携える者あり。
「しかし‥‥最初に俺が留守番とはな」
その者とは今いる面子の中、唯一の男性である勝也で先からの反応と変わらず、決して他の皆を軽んじている訳ではない気遣いを見せると、その反応を前。
「いざと言う時、頼りにしているからこそですよ」
「‥‥くじ引きで決まった事でも、か?」
「はい」
レラは穏やかな笑みを湛え、彼を宥めるべく声を響かせるが‥‥それを決めるきっかけとなった行為について勝也は改めて口にしては問うが、彼女は一切の惑いも見せずに表情を変えぬまま頷けば彼に残された答えは唯の一つしかなかった。
「‥‥気を付けて、行って来られよ」
●
そして白き山へ挑む初日‥‥行われた捜索は出身が蝦夷であり雪上に対しても土地勘を持つレラを先導に据え、一本の綱で皆の体を結び付けては白き闇の中でもはぐれぬ様に対処を施すと進み出す女性陣だったが、氷の刃と言っても過言ではない風雪の中を進めば必然と体力を消耗する他になく、それでも交代を繰り返しながら幾度と休憩を挟みつつも白に覆われた山へ臨むが
「こうまで視界の殆どを遮るまでに風雪が酷いと‥‥無闇に捜索の範囲を広げられませんね」
その初日はレラが言う様に山独特の厳しい環境に阻まれ、遭難者がいるだろう場が絞られているも広く捜索が出来なければ、探し出さなければならない者らが見付からないままに二日目を迎える事となる。
「昨日に比べればまだ、天候は良い様だな」
「はい。それに積雪もこの程度なら踏み出して早々に埋まらないでしょうし」
「‥‥流石にそれ程には積もってはいないと思うぞ」
限られた時間の半分を消費する事を自覚する皆ではあったが‥‥しかし勝也と三葉からの会話を聞く限り、気負いは感じられず一行は捜索を開始する。
二日目は一行の中でも一番に白き闇へ挑んだレラを拠点にて残し、彼女と同じく雪上に土地勘を持つ勝也が先導に据えてもう何度目か、冬山へ挑む。
「急がないと行けませんが、焦ってあたし達まで迷ってしまっては何もなりませんからね」
降り積もる雪を文字通りに掻き分けながら進む侍を風雪の盾に進む女性陣の中でリマ、密かではあったが焦りを覚えているだろう彼の内心を宥める様に声響かせるが、それはすぐに吹き荒れた風の音によって掻き消される。
「‥‥火の霊よ、その灯火にて私達が進むべき道を指し示し給え」
今は雪こそ降らず、しかしそれ程に強い風が吹き荒ぶ中でしかし風が一時だろう収まった刹那‥‥巻物を紐解いては詠唱を織るトウカが果たして完成させた魔法はバーニングマップ。
「どう、ですか?」
地図を燃やす事で出来る灰によって記されている情報から目的地までの最短路を幾通り、幾十通りと指し示してくれるその魔法、一行が昨日の内に纏めた情報はそれなりにあるからこそ燃え尽きた地図より出でた灰が幾筋かだけの道を描くと、尋ねる三葉へトウカがその方々を指差せば‥‥その内の一つにリマが反応する。
「‥‥見えたわ」
「何がだ?」
「洞穴の様ね」
「ならば、行って見ましょう。時間も余り‥‥」
風こそ収まっているとは言え、穏やかに流れる気流によって雪が多くなくとも舞い視界を阻む中で瞳を細めつつ勝也が問うと、彼女の解に対してそれを漸くそれを自身の瞳に捉えたトウカが皆を促すも
「そうなんだけど‥‥洞窟の程近くに何かいるわね、数は三匹と多くないけど白猿、かしら?」
「撒き餌で一時だけ追い払ってもこれだけ近いと、すぐこの辺りへ戻って来そうですね」
「‥‥ここまで来て時間をこれ以上に浪費する訳には行かぬし、もしあの中に救わねばならぬ者達がいれば」
白き世界の中で動く白き影を見止めたからこそ、動き出そうとした彼女をリマは手で制してはそれを告げると、紡がれた言葉の割には普段と変わらないのんびりとした口調で呻きながら首を捻る三葉だったが‥‥すぐにでも消え去るかも知れない命を目前に、考える暇は惜しいと勝也が暗に言えば
「済まぬ、援護を頼む。猿なれば力量の差を見せてやる事で引くかも知れん」
「‥‥それしか、ありませんね」
次に彼が告げた案にはトウカも置かれている状況、残されている時間を踏まえた上で頷くと‥‥それより暫く後、雪上での戦いが始まる。
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その戦い、勝也の言う通りに力量こそ一行の方が上回るも周囲の環境と言うハンデキャップを背負いながらの戦いは苦戦を強いられ、それでも白猿達を追い払うと今の所は唯一の希望である洞穴へと足を向ければ‥‥やがてその最奥に件の人物らを発見するとすぐさまに拠点へ踵を返す。
「いや、今回ばかりは‥‥本気で、助かった‥‥」
「通い慣れた山道でも、油断は大敵ですよ?」
「いや全く‥‥その、通りだ‥‥」
そこで皆の帰りを待ち侘びていたレラが二人へ一時の処置だけ施す中、呻く様に父親が声を漏らせばそれには穏やかな笑みで三葉が応じると、彼は初めての笑顔を一行に見せるが‥‥そのすぐ後、不意に瞳を閉じてしまう。
「父さん?」
「‥‥恐らく寝ているだけです、がこのまま体温が下がれば危険かも知れません」
「ならば、急ごう」
その光景を前、父親の分の食料を多少とは言え貰っていた息子は静かに父親へ声を掛けるが反応はなく‥‥しかしその状態を大よそながら見抜いたレラが息子を宥め、余り猶予がない事を厳しい声音にて皆へ告げれば、次に勝也が響かせた言葉には全員が頷き応じると僅か二日だけとは言え苦労を強いられた白き闇に覆われる山を後にするのだった。
●帰路、そして
依頼の期限はギリギリ、今回救助した男性が二人の体力もギリギリではあったが‥‥果たして彼らを見付けた事で依頼を遂行した一行はすぐに来た道を引き返せば一路、彼らの妻であり母である女性が待つ村へと急ぐと、そろそろ夜に差し掛かろうとした頃になって漸く村へ辿り着く。
「貴方‥‥」
するとその村が門前にてどれだけの時間、外で待っていたのだろうか依頼人の女性が皆と、夫に息子を出迎えれば久々の再会に声を詰まらせるも
「いやぁ、済まんな。とんだ迷惑を掛けてしまって」
「‥‥お礼なら、私よりも‥‥皆さんに、言って下さい」
山を降りてから暫くして持ち直した夫は笑みを湛えて妻に応じるも、彼女は零れ掛けた涙故に視線を皆より外し夫へ言えば、苦笑を湛えながらも彼。
「いや、本当に助かった。村を支える為にもこの家業を止める訳には行かないが‥‥今後はもう少し、気を付けるよ」
「ありがとうございました」
「そんなに気になさらないで下さい、出来る事をしただけですから」
「でも、冬の厳しさだけは今回の事を教訓に覚えて置いて下さいね」
改めて皆の方へ向き直り頭を垂れれば、彼の息子もまた父に倣って頭を下げると笑顔を湛えながらも三葉が彼らへ応じるが、今回の様な事故を故郷で多くあったからこそレラが最後にそれだけを告げると
「‥‥それでは皆さん、仰られた通りに温かい料理を準備しておきましたので是非、それを召し上がってから京都へお帰り下さい」
「それは忝い、遠慮なくご相伴に預かるとします」
「それなら私からはこれを‥‥」
漸く落ち着いてか、彼らの妻が三葉の言った通りのものを準備していたからこそ皆へ呼び掛ければ、その好意には素直に甘えるべく頭を垂れて勝也は礼を言えば皆もまたそれぞれに彼女へ感謝するも‥‥リマだけは新巻鮭やら今回の依頼で余った保存食を村の為にもと思い、差し出す。
「あぁ、そんな‥‥悪いです!」
「遠慮なさらずに。冬はまだ、これからですから」
「それ位の甲斐性はありますよ、大丈夫です」
「‥‥そこまで言われるのでしたら」
しかし村を代表する形で今回、遭難した男性がその申し出を丁重に断わればそれでも折角携えて来た物を託そうと引き下がらない彼女だったは、次には笑顔で彼に断言されるとそれ以上に返す言葉がなくなれば彼女は止むを得ず、それを背嚢へ戻すが
「それでは、無事に帰り着く事が出来たからこそ盛り上がりましょう」
「まだ報告こそ済ませていませんが‥‥そうですね」
婦人からの申し出には改めて笑顔で応じると、冒険者ギルドへ報告しなければならない期限も間近だからこそトウカは最初こそは渋りつつ、しかし最後には笑みを湛えて頷くと一行は僅かな時間だけではあったがその村に住む人達と一時を共にするのだった。
〜終幕〜