狩るか、狩られるか
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■ショートシナリオ
担当:蘇芳防斗
対応レベル:1〜3lv
難易度:やや難
成功報酬:0 G 84 C
参加人数:8人
サポート参加人数:-人
冒険期間:08月16日〜08月24日
リプレイ公開日:2004年08月20日
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●オープニング
森で狩りに勤しむ壮年の男性、今もまた一匹の狐を仕留め今日の結果に満足そうな笑みを浮かべた。
もう日が沈み、月と星が辺りを照らす。
彼は夜空を見上げ、村に戻ろうと横たわる狐の元に近づいた。
その時、その向こうに爛々と光るいくつもの瞳を彼は見た。
直後、森に一つの叫び声が響き渡った。
「以前あった依頼で、とある村に行った冒険者が頼まれた依頼があるんですが、受けてもらえませんか?」
受付のお姉さんはそこまで言うと、一枚の紙をその場にいる君達の前に掲げた。
『最近村の近くに野犬の群れが現れて困っています。
それなりに数もいる様で村にいる狩人も皆、その野犬の群れにやられてしまいました。
村の中まで入って来る事はありませんが、今では迂闊に村の外に出る事も出来ず先々の事を考えると不安で仕方ありません。
どうか、野犬の群れを退治してもらえませんか?』
「て事なんだけど」
「野犬か、楽勝じゃないか」
「‥甘いわね、群れともなるとその統率は恐らく完璧なはずよ。しかもその村の狩人も一人だったとは言えそれなりに場数を踏んでいるって言う話よ。それにも拘らず、皆やられているって事は‥結構な数の野犬がいるんじゃないかな?」
ある冒険者の一言に、彼女はチッチッチッと指を振り一つの知識と推理を披露する。
確かに、と頷く者もいれば感嘆の声を上げる者もおり、反応は様々。
「下手踏むと狩られる側になっちゃうかもしれないけど、どうする?」
彼女はそんな君達の反応に一つ咳払いをすると、改めて尋ねてきた。
●リプレイ本文
「あたいの名はミケーラ。依頼を受けるのは今回で2回目の新米だが、全力を尽くすので宜しくな。少々ガサツな面が目立つだろうが、その辺りは愛嬌だ♪ がはは〜」
村長に挨拶をする一同の最後、ミケーラ・クイン(ea5619)は豪快に言い両手で握手する。
「よ、よろしくお願いしますね」
そんな彼女に村長は苦笑を浮かべながらも彼女と挨拶を交わすと、ウォルフガング・シュナイダー(ea0433)は早速本題を切り出す。
「・・どの辺りで、どれ位、どんなサイズの野犬を見たか教えて貰いたいのだが」
「あぁ、それならゼルエスに聞けば教えてくれますよ。こちらへ」
「では、私達は先に罠の準備をしていますね」
彼の問いに村長が村の者を紹介する為歩き出すと、サラ・ディアーナ(ea0285)が音頭を取って村の外へと一同を伴って歩き出した。
「穴の深さはこんなものか?」
「十分だと思うよ」
女性達に力仕事はさせてなるまいと、自らの騎士道により率先して村の周辺に穴を掘るクロノ・ストール(ea2634)にトラップの提案をしたレテ・ルーヴェンス(ea5838)は頷いた。
クロノは真面目に頑張りロイ・シュナイダー(ea4449)は黙々と掘り続ける中、アリエス・アリア(ea0210)は
「もう疲れましたー、少し休みませんかー?」
と穴の中から言ったが
「まだ掘らなきゃダメだから、取り敢えずもう少し頑張っとくれー」
出来た穴を上手く枝等で隠し、その上に今はまだ油紙と布に包まれた生肉を置きながら言うミケーラの言葉にしょんぼりしながら再び掘り始める中
「・・戻った」
ウォルフガングが言葉短く告げるとアリエスの顔が明るくなった、が
「今度は辺りを少し見てくる・・」
「それでは私もお付き合いしましょうか?」
「・・頼む」
続く言葉に穴の中で泣きそうな表情を浮かべるも、それを知らないウォルフガングはサラを連れて森へと歩き出した。
「あたいも手伝ってやるから、たまの力仕事位がんばろ」
そんな彼を不憫に感じ、ミケーラがそう言うとセルフィー・リュシフール(ea1333)に穴の隠蔽を任せ、一緒になって穴を掘り始めた。
「村人の話を聞いて、怪しいと思うのはこの三箇所だ・・」
「それを考えると、この辺が戦う場所にちょうどいいですかね?」
辺りに生える蔦を切りつつウォルフガングは、僅かな時間で村で聞いた情報を地図に纏め野犬達の群れが現れそうな場所とリーダーが潜んでいそうな所の目星を付けていた。
彼女の言葉にウォルフガングは頷くと
「よし・・戻ろう。まだ罠を作っているはずだから手伝いをしないとな・・」
切り立った崖を前に彼は言い、来た道を足早に引き返し始めた。
そして日が沈み、狩りの時間が始まる。
準備万端の一同は灯りを頼りに作戦で決めた場所へ向かうもその途中、野犬が襲い掛かって来た。
次々に現れて彼らを囲む野犬達はその時、奇襲に成功したと思っただろうがその殺気をロイが何とか事前に察知しており、既に冒険者達も布陣を終えていた。
真っ先に来る野犬をウォルフガングは闘気を宿した剣から放つソニックブームで数匹まとめて捻じ伏せ
「目的の場所に・・」
響く声で言い、再度向かって来る野犬目掛けて事前に準備していた投擲袋、貝殻を粉末にして袋に詰めた物、を投げ付ける。
それが野犬の鼻柱に当たると周囲に白い粉が舞い散り、野犬が怯んだその隙に切り伏せるとロイと先陣を切って駆け始める。
それと同時、追い縋る野犬達にセルフィーのアイスコフィンが飛んだ。
「そんなに慌てて追って来ないでっ」
それは一匹の野犬を氷漬けにすると他の野犬達に一瞬の逡巡を与えた、その隙にと一同は野犬との距離を離す。
「まだ遠いようね」
レテは一定の間隔で聞こえる遠吠えから、その主との距離がまだ離れている事を感じ呟いた。
日中に仕掛けた罠を灯りを元に掻い潜る一同、追う野犬の群れは少しずつその罠に落ちて行く。
しかし罠の絶対数は余り多くない為、追撃して来る野犬の数は減った感じがせずミケーラは舌打ちしながらも飛び掛って来た野犬の一匹を盾で叩き落とし
「ここではないか?」
「そうですね、じゃあこの辺りに・・」
目的地に着いた事を言うと一同は目の前に立つ岸壁を背にし、サラは準備してた家畜の血糊を皮袋ごとばら撒いた。
それはすぐ様辺りに匂いを振り撒き、周囲から野犬を誘い出す。
「・・まだいるか」
匂いに釣られ飛び出す野犬に肉薄し、ロイは左手に掲げたロングソードを一閃し胴を薙ぐと後方から迫る野犬を返す刃で地に縫い付ける。
ウォルフガングも血の匂いに釣られて出て来た三匹の野犬をサラのフォローを貰い沈黙させた時、一同を追い掛けて来た野犬の群れが正面に現れた。
「吹けよ氷雪っ、アイスブリザード!」
がそれは待ち構えていたセルフィーの氷雪の嵐を前に崩れ落ちたが、残る野犬達は一つの遠吠えを聞いて後退する。
その瞬間、遠吠えに反応して一斉にある方向を向いたのをレテは見逃さず
「北にいるようね」
冷静な判断に一同は頷くと
「取り敢えず、少し休憩しようか」
「ふー、さっさと終らせておいしいご飯が食べたいね」
クロノの提案に、ぺたんと地に腰を下ろして言うセルフィーに皆苦笑するのだった。
彼らが一時の休憩をしていた頃、一人で動くアリエスは一同がいる場所の灯りを見失わない様に野犬の頭が潜んでいそうな所を、頭に叩き込んだ地図を頼りに静かに回っていた。
自前に体を洗い、匂いのきつい草を磨り潰して身に擦りつけた効果は間違いなく出ている様で、彼女に近付いてくる野犬はここまで一匹もいなかった。
そしてここまで来た、彼女は目的の場所へと辿り着いた事を小さな洞の奥から微かに殺気が漂って来ている事で感じると、静かに洞の中へ石を投げ入れる。
それから暫く、一匹の野犬が飛び出してくると彼女はベルトに収められているダーツを静かに引き抜いて投げ付け、野犬に当てると洞へと引っ込ませるとアリエスは次の行動を想定して木の上へと登る。
程無くして、洞から今度は野犬の群れが姿を現す。
数からして恐らく洞に潜む全ての野犬だろう、その中に他の野犬よりも一回り体躯の大きく、右目の辺りにある刀傷を見てウォルフガングの言っていた野犬のリーダーだと察すると、彼女は木上でナイフを抜き放ち狙いを付けてそれの背後から投げ放った。
遠吠えが一つ、先程より大きく聞こえた。
少しの休憩の後、時折聞こえた遠吠えのする方向へと歩く一同に再び襲い掛かる野犬の群れと対峙していた時だった。
「・・様子がおかしい」
ロイが襲いくる一匹の野犬の攻撃を周囲の地形を使って巧みに避け、確実にその数を減らしながら野犬達のその様子に気付く。
「先の遠吠えから察するに、もう野犬達のリーダーは目の前だろう!」
先程より明らかに連携が乱れている野犬からサラ達を守りつつミケーラは叫んだ。
遠吠えが聞こえて来た方向にサラが静かにランタンを翳すと、僅かに距離はあるものの他の野犬より一回り大きな体躯の野犬を遠目ながら確認出来た。
「これだけ近くにくれば、多分ここにいる奴でほぼ全部なはず。行けっ!」
迫る野犬の牙を受け流しつつもそれを見て取ったクロノが、大振りする事なく振るう剣で野犬を切り伏せると、彼の言葉に反応してレテは静かに駆け出した。
そのレテを追う様に何匹かの野犬が後を追い駆けようとしたが
「主より預かりし聖なる力よ、我が意に従い悪を貫く光となれ!<ホーリー>」
背後から飛来するサラの神聖魔法に一匹の野犬が派手に吹き飛び、それに怯んだ野犬達に続け様、ウォルフガングのソニックブームが襲った。
「邪魔はさせませんっ!」
サラの言葉に野犬達は先を駆けるレテを追走は諦め、その場に残る六人と対峙した。
「あの一撃だけじゃダメでしたかっ」
叫び駆けるアリエスと、それを追い掛ける野犬のリーダーにその側近。
ナイフは確かにリーダーの腹部に刺さったが、それだけでは完全に仕留める事は出来なかった。
静かに駆ける彼女の目に何かが飛び込んでくると、即座に体は反応し茂みへと身を隠す。
野犬達は彼女が隠れたと思しき場所を探り始めたその時、リーダーの背後にレテが現れた。
それは次の瞬間に気付くも、その時には既に多大なダメージを受けて動けなくなっていた。
「冥府の女神の名は伊達じゃないの」
ミントの匂いを纏わせて艶ある笑みを浮かべる彼女は、アリエスと合流するとその場に残る野犬達と対峙するのだった。
「うおおおっ!」
クロノのチャージングに野犬が吹き飛ばされる。
ロイにウォルフガングも野犬達を追い立て一箇所に集めると、逃がす暇を与えずにセルフィーが唱える氷雪の嵐に大部分の野犬が打ち倒された。
その時だった。
「遠吠えが・・止んだか?」
一息ついて、剣を杖代わりにしながらクロノは耳をすませると確かにあの遠吠えはもう聞こえなかった。
「・・すまんな、こちらも生活があるのでな」
戦いが収まりつつある中、ミケーラは誰にともなく静かに呟いた。
それから暫く野犬達は何度か攻撃をして来るも、程無くして冒険者達に駆逐された。
夜も明け、一同は僅かだが時間的に余裕がある事から初めての依頼で少々無理をし過ぎたレテ以外で交替しながら、依頼とは言え森荒らした罪滅ぼしを込めて巡回を行うも野犬の影を見掛ける事はほとんどなく、依頼の成功を改めて実感した。
そして最後の巡回になったアリエスは森の最深部、野犬のリーダーを倒した場所まで来ると静かに神へと願う。
「Kyrie eleison・・猟師と獣達の魂を御身が御許へ・・」