【レギオン】外伝 〜救いの手?〜
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■ショートシナリオ
担当:蘇芳防斗
対応レベル:5〜9lv
難易度:普通
成功報酬:5 G 50 C
参加人数:5人
サポート参加人数:3人
冒険期間:11月03日〜11月18日
リプレイ公開日:2005年11月13日
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●オープニング
「さって、ノッテンガムはどうなったのかしら?」
キャメロット市街の片隅、今日も元気にセルアンさんは自宅の自室にて鼻歌なぞ歌いつつ次の戦場と見定めていた地名を口にして、ロディへ現地の状況を確認する。
「はい、ごたごたはまだ残っていますがとりあえず終息の方向へ向かっている様です。まだはっきりとした事は分かりませんが」
「そ‥‥なら、恩でも売っておきましょうか」
僅かな間も置かず、ノッテンガムに付いて調査をしていた執事の返答へ彼女は笑うとロディは口をへの字にし、不満そうな表情を露わにして反論。
「こう言う時位、無償でも‥‥」
「気持ちは分かるけどね、私達も生きていく以上は無料で商品を気軽にポンポンと出す訳には行かないのよ。リスクもある訳だし‥‥ま、いつもよりお安くするつもりだけどね」
しかし彼の意見を聞く気はないらしく、すっぱりそう言い切るがそれに続いた言葉にロディも少しだけ安堵の表情を浮かべる。
「色々と入用だろうからね。今後の事も考えると大量に買うだろうし存外、いつもより儲けたりして」
「‥‥やっぱり、少しでも感心した私が馬鹿でした」
だが更に続くセルアンが言って少し笑えば執事は即座に呆れ、嘆息を漏らしたが
「さって、そうなると‥‥荷だけはとりあえず先にノッテンガムへ向かっているのよね? じゃあ一応、護衛の手配もしておこうかしら。まだレギオンって奴は残っているんでしょう?」
「あ、はい。どちらにせよまだ当分はシャーウッドの森に蔓延っているかと思います」
そんな事はお構いなく、再び問う彼女にロディはなんだかんだ言いつつも即答。
「なら念の為に連れて行きましょう。向こうでも色々と役に立ってくれるでしょう‥‥それに彼らにとっても今後、大事な話だって聞けるかも知れないし」
その答えを聞いて判断早く、彼女はそう決めると早速外出の為に身支度を始める‥‥向かうは冒険者ギルド。
「あれ、でもそうなると護衛が薄くなるのでは‥‥?」
「私が必要な時にはして貰うけど、現地に着いたら四六時中じゃなくて構わないわ‥‥市街への被害は未だ出ていないんでしょう? それに貴方もいる事だし、ねぇ」
身支度を整える彼女の提案におかしな所がある事に気付いたロディ、遠慮せずに主へ尋ねてみれば冒険者に対して意外にも寛容な答えが返って来ると同時、振り返るセルアンの表情に愉しげな笑みが浮かんでいる事に執事は戦慄を覚えた。
「久々の長旅、人の多い方が何かと楽しいものよ♪」
だがロディが何か言うより早く、セルアンが再び鼻歌交じりでそう言えばコートを羽織って踵を返し、自室を後にするのだった。
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ミッション:セルアンさんの護衛?
必須道具類:依頼期間中の保存食(日数分)は忘れずに。
それ以外で必要だと思われる道具は各自で『予め』準備して置いて下さい。
(販売されていないアイテムに関して、使う場合はプレイングにて根拠の明示を忘れずに)
その他:一先ず落ち着いただろうセルアンさんがノッテンガムへ向かう為、皆さんには彼女らがノッテンガムへ向かい滞在する期間の間、護衛をして頂きます。
とは言っても常にではないそうなので、召集の号令がない限りは現地で自由に動いて貰っても構わないそうです。
と言う事でセルアンさん達の護衛は常に念頭に置きつつ、今後ノッテンガムのためになる行動を取ってみてはどうでしょうか?
傾向:比較的何でもありの方向
NPC:ノッテンガムに現在在住するNPC全て(オーウェン、ゼスト達、レリア、エドワード、ユーウェイン、イアン)、セルアン、ロディ等
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●リプレイ本文
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「吹き荒れ乱れ、切り裂いて‥‥氷雪の刃っ!」
鬱蒼とした梢の群れを前に、ガブリエル・シヴァレイド(eb0379)の詠唱が響き渡ると次いで空間に数多現れたのは大気中の水分を凝縮、凍結させた刃。
それはすぐに空を切り裂けば一行の前に現れたレギオンの群を貫き、薙ぎ払うと同時
「羽紗の旦那!」
「すまん‥‥行くぞ」
天霧那流(ea8065)が己の刃に闘気を纏えば次いで羽紗司(ea5301)へも与え、氷の嵐が止むと同時に蟲の群れへ突貫を開始する。
「この群れを統べている者を射抜け」
その後方にてガブリエルの隣、アルヴィン・アトウッド(ea5541)がローブを靡かせ懐から巻物を取り出せば、詠唱に続き打ち貫くべき目標を定めるも飛翔する月の矢は暫く飛び交った後、術者本人へと帰って来た。
「っ、はっ‥‥この近くには、いないだと」
魔法の射程を改めて確認し呻く彼は周囲を見回すも特異点は見付けられず、一先ずレギオンの群と接触した前衛を援護すべく風を手繰る。
「んー、中々に爽快ねぇ。久々に血沸き肉躍るって感じ?」
「何を悠長な事、言ってるんですか‥‥」
「セルアンさん、こっちへ」
そして更に彼より後方‥‥のんびり愉しげにその光景を魅入るセルアン・シェザースにロディは呆れるも夜枝月藍那(ea6237)はそれを気にせず、手招きしては更に安全な距離まで二人を下がらせる。
その中でも戦況は淡々と進み、動いていたが
「数が少ないのは幸いだが‥‥困ったな」
初撃の氷嵐が効いており、数の少ないレギオン達の動きは鈍くなっていたがアルヴィンはそれでも先のムーンアローからこの群を統率している個体がいない事を訝り、どうしたものかと逡巡していた。
(「話の通りなら、頭を潰す必要が‥‥」)
「それなら〜、もう逃げましょう♪」
微かに聞いた話を脳内で整理しながらアルヴィンがその答えを導き出すより早く、ガブリエルが判断早く笑顔で彼へ提案すると同時、霧の結界を生み出せば慌て彼も巻物を解いて同じ呪文を展開する。
「引き時の様ですね」
「ふむ‥‥これ以上沸いて来られると確かに、拙いな」
周囲を取り巻く霧の結界に那流が自身より前でレギオンと戦っている司を促すと、自身の力量がレギオンとほぼ同等と判断すれば、目の前にいる『剣』の一匹を何とか切り伏せ踵を返す。
そして霧に惑うレギオンは捨て置き、一行はノッテンガムを目指し再び駆け出すが
(「‥‥攻める気がなかったのは気のせいだろうか?」)
「どうしたの?」
「いや‥‥何でもない」
僅かに感じた違和感に司は駆けながら内心で整理するもそれは表情に出ていたらしく、隣を駆ける那流が尋ねるも、すぐに整理がつく筈なく浪人は言葉を濁し答えれば先行く四人に追いつく為、更に速度を上げるのだった。
●
「色々大変だと話だけでは聞いたが‥‥町の空気からかなり解かるな」
やがて辿り着くノッテンガムの街、その街並を初めて見た司が抱いた感想は的を射ていたが
「私達が少し前に来た時より、これでも活気付いているぞ」
「そうね、まだ何処となく閑散としているけど人の動きがそれなりにあるだけ、良い方向に向かっている様で安心したわ」
「そう、なのか‥‥」
先の依頼で以前の市街の様子を知っているアルヴィンと那流の説明に司は改めて、周囲の状況を確認し納得する。
「はーい、注目ー!」
その彼に倣ってキョロキョロと辺りを見回す一行へ、その時に響いたのはセルアンの声。
「とりあえず、解散でいいわ。夜になったら此処に一度集まってね‥‥ロディ」
「はい」
一行がその声に反応し、一斉に彼女へ視線を注げばロディから滞在先の説明をさせる。
「‥‥後は話の通り、こいつで招集掛けない限りは自由で構わないから。それじゃ、そう言う事でー! あ、因みに今日はノッテンガム城に行っているから宜しくね〜♪」
そして執事が一通りの説明を終われば、呼子笛を翳しざっくばらんにそれだけ言うとセルアンはロディを伴い、早々に踵を返し
「‥‥じゃあ、私達も動きましょうか?」
「はーい! 色々な人からお話沢山聞けると良いな〜♪」
彼女の背中を見送りながら藍那が言えば、ガブリエルの明るい返事が響く中で皆は思い思いの場所へと散っていった。
「で、此処が図書館ですわ。まだ先日遭った襲撃の跡は残っていますけれど」
「ふむ‥‥」
町の様子を知りたいと言う司を案内する那流が図書館へと導けば、掻い摘んで先の依頼で起こった事に付いて説明を行なっていたその時、その図書館から現れる館長。
「これは、先日は色々と」
「いいえ、こちらこそお役に立てず」
那流の姿を見止め、互いに軽く言葉を交わせば館長へ司の事を軽く紹介をした後で彼女は早速本題に入る。
「魔本の事についてお聞きしたいのですが‥‥」
「貴方方も、ですか」
「‥‥と言うと?」
その本題とは『魔本』、先日此処から一冊の魔本が強奪された事から館長ならそれに付いて何かを知っている筈だと踏んでの問いに、しかし彼の口から出た言葉は司に疑問符を浮かべさせ
「いえ、先日アシュド殿が同じ事を尋ねに来られたので」
浪人の口から紡がれる問いに館長はゴーレムを造りし者としてその名を上げている男爵の名を出すと、何故彼の名が出て来るのか詳細を知らない二人は訝るがその沈黙を縫って彼は更に続ける。
「そもそも此処に、魔本がある事は私も知りませんでしたので詳細を教える事は出来ませんでした」
「それじゃあ〜、その魔本について知る人はもういないのかな〜?」
「いつの間に此処に」
その答えが発せられた直後、司の背後からいつの間にかやって来たガブリエルが顔を出して館長へ問えば司が呆れる間、彼は首を横に振り
「が‥‥シャーウッドの森の長老達ならば恐らくはご存知かとだけ、お伝えしました。故に、魔本の事に付いてはアシュド殿が既に動いておられるかと」
「何かあったのかしら?」
改めて答えを紡ぐと質問攻めにも拘らず落ち着いた口調はそのままで那流を見つめ、シャーウッドの森で最近あった戦闘に付いて語るのだった。
「先日は世話になったな」
「その後も大変だったみたいだけど‥‥あ、エドワードも大丈夫だった?」
「‥‥‥」
それから三人‥‥セルアンの元へ警護に戻ると言って立ち去った司を除けば二人か。
新しく出来たと言う自警団の詰所の場所を聞いた後、そちらへ向かえば一行の来訪を知って予め待っていたのだろう、相変わらず仏頂面を浮かべながらも出迎えるレリアに那流が応えれば、エドワードの静かな対応にも顔を綻ばせてその頭を撫でてやる。
「どうしたのかな〜、静かだね〜、元気かな〜?」
「少し事情があってね‥‥って」
それは未だに変わらない反応だったが、彼とは初対面なガブリエルが好奇心に駆られ遠慮なく近付けば那流が嗜めるより早く彼を持ち上げ、振り回す。
「まぁ大丈夫だ、最近になって少しだけ言葉を発する様にもなったから嫌なら嫌と言う」
「ならいいけど‥‥それで自警団の方は」
だがレリアがエドワードの近況に付いて言えば、彼女はそれ以上何も言わず彼女に向き直って市街の雰囲気だけ察してはいながらも自警団の事について尋ねると
「概ね順調だろうか、見て分かったかも知れないが」
「レギオンの襲撃は今の所、ないみたいね」
「あぁ、先の件から特に目立った事は内外において特にはな」
素っ気無い口調で、だがその声音の奥に僅かな安堵を宿し答えれば那流も胸を撫で下ろしてレリアへ労いの言葉を掛けようとした‥‥その時だった。
「だ、大丈夫なの〜?!」
不意に響くガブリエルの叫びに二人が背後を振り返れば、何があったか不明だがぐでんと伸びているエドワードの様子に那流は頭を抱えるも、滅多に笑わないレリアの笑い声が響けば釣られて彼女も笑うのだった。
●
ノッテンガムに入ってから三日目の昼下がりだったか、アルヴィンはやっと探し当てたとある騎士が仮の住まいの扉を叩き、その主に家の中へと招かれていた。
「何だ、藍那も来ていたのか」
「考える事は一緒でしたね‥‥私も今、来たばかりですけど」
そして騎士の案内で一つの部屋に通されれば、藍那の姿を見とめ声を掛け彼女もアルヴィンへ笑って返すが
「ユーウェイン様、完全に立ち直られましたか? 唐突過ぎですね、すみません‥‥どうしても気になっていたもので」
「この前は大変失礼した、ユーウェイン卿。だが再び剣を取って貰い、安堵した‥‥その後は健在だったろうか?」
二人は同時にこの借家の主である円卓の騎士、ユーウェイン・ログレスへ詫びやら何やらごちゃ混ぜにして頭を下げると、彼の温和な表情に苦笑を浮かべさせる。
「お陰様で、ご覧の通りですよ」
「けれどユーウェイン様、ユーウェイン様はこの先も色々な壁にぶつかると思います。でも貴方はそれを乗り越えて先に進める筈‥‥だから先にあるだろう苦難も乗り越えて下さいね」
だがその円卓の騎士へ熱を持って更に語る藍那に彼は暫し、キョトンとするも
「ありがとう」
それを激励と悟ればやがてその表情を綻ばせ、礼を言うと彼女は照れ臭くなってか視線を逸らし、不意に話題を変える。
「‥‥そう言えばこれから、どうするんですか?」
「一度キャメロットに戻ろうと思っています、招集が掛かりましたので」
「招集?」
だがその話題、彼から返って来た答えは当然と言えば当然だが違う意味で考えれば意外なもので、アルヴィンが首を傾げると
「詳細についてはまだ話せませんが、皆さんが発つ頃と同じ辺りに私も此処を一度発とうと思っています。それとこの機会にイアンさんも連れて‥‥色々と丁度いいでしょうし」
頬を掻きながら言葉を濁し、後ろを振り返ってイアン・ヴェルスターを見た円卓の騎士にアルヴィンは弾かれ、ハーフエルフの彼へと歩み寄る。
「久し振りだな‥‥色々と大変だった様だが、元気で何よりだ」
「アルヴィンさんもお元気そうで。まぁ大変と言えば大変だったかも知れませんが、ユーウェイン様にも助けて貰っていましたので、何とか」
久々に顔を知る者との会話に笑顔で応えるイアンに、エルフの魔術師は僅かに顔を緩ませると
「大丈夫そうだな。だがこれが自分の運命だと、何で自分がこの様な事に巻き込まれなければならないのかと受け止めるなよ。敵に不満をぶつける位が丁度いい」
「えぇ、覚えておきますね。わざわざありがとうございます」
「‥‥どう成長したか、気になってな」
次いで彼に助言して肩を叩けば、屈託のない返事に何故か顔を顰めるアルヴィンだったが、そんな彼の肩をも不意に叩く者あり。
「積もる話もあるだろうから、ユーウェイン様が紅茶でも飲みながら話しませんか? だって」
その主は藍那で、今いる部屋の片隅にある小さな卓を指差せば愉しげに紅茶を入れている円卓の騎士の姿が目に入り唖然とするも
「滅多にないだろう機会だ‥‥丁重にお受けしよう」
真面目に彼女へそう返し、イアンを伴って卓へと足を向ければ暫しの間、話に興じる四人だったがそれは書き残すと長くなるのでまた、別の機会にでも。
アルヴィンと藍那が円卓の騎士らと語らっていた頃、セルアンの元では何やらお祭り騒ぎになっていた。
「わ〜、素敵ですっ!」
心の底からの感想を紡いで放つガブリエルの拍手の中、ノッテンガム特産のレースであしらわれたドレスに身を包み登場するロディ。
実の所、セルアンはそれなりに仕事に追われていたが一行は護衛こそするも特に襲撃もなく平和で、暇を持て余していた事から彼女の命令で『ロディ君女装大会』が起きた。
尤も最初は司もその対象に入ってはいたのだが流石に初対面ではさせない辺り、まだ鬼ではない様子だったが
「うぅ‥‥まさかノッテンガムに来てまで、こんな格好をさせられるとは」
「まだ甘いわね、ロディ。そんな調子では当家の執事は務まらない事よっ!」
犠牲者であるロディは表情を曇らせ呻くも、その主はちちちと指を振って叱咤する。
「‥‥むぅ」
その光景を見て女装している執事同様に呻く司はこの期にセルアンの暇潰しを知る事となり今後、彼女からの依頼には十分に気を付けようと思うのだった。
「明日は我が身、か‥‥」
「その時が楽しみですね〜♪」
それでも冷静な表情は保ちつつ、だがその背に冷汗を流しながらガブリエルの他人事発言には苦笑だけ返した。
●
そしてノッテンガムに入ってからは結局、何事もなくセルアンが予定していた滞在の期間を過ごした一行は未だ様々な思惑が蠢いているだろうかの地を去る日を迎える。
「とりあえず状況は分かったわ、ノッテンガムを支援する必要性が高い事もね‥‥儲からない仕事、まだ当分の間は続けないと駄目な様ね」
少なくとも自身でノッテンガムの状況を見て判断し、行うべき事を言いながらも顔を顰め艶やかな長い黒髪を掻き毟るセルアンに
「あたし達も協力は惜しまないから、もしまた何かあったらその時は遠慮なく言ってね」
「‥‥えぇ、そうさせて貰うわ」
皆が笑えば、その中で紡がれた那流の提案へはセルアンも笑って頷くとやがてキャメロットへと向け、歩き出した。
「ふむ‥‥こんな所か。済まないな、卿の手を煩わせてしまって」
「‥‥何かしていないと落ち着かなかったから、気にしなくても」
ノッテンガム城にて、一行の友人達が短期間で纏めた物を元に現状を整理したアシュド・フォレクシーが更に手を加え完成させた資料に目を通し、オーウェン・シュドゥルクは彼へ労いの言葉を掛けるも憔悴し切った彼の表情は変わらなかった。
「‥‥それで、これからどうするつもりだ?」
「ゴーレムについての支援は続行する‥‥が、それは優秀な者に任せる。此処の防衛に専念する様、告げてもおく。私は‥‥」
だがそれでも領主は彼の心情を知りつつ‥‥だからこそか、いつもの様に振舞い尋ねればアシュドはその答えの途中で詰まるも
「私は、誓いを守る為に魔本を‥‥抑える」
顔を上げて領主を見据え、決意を持った表情で改めて答えてから踵を返した。
自身が成すべき事を成す為に、力はなくとも何かが出来ると信じて一歩‥‥踏み出した。