HEのイゴール君がオオカミに食われた!

■ショートシナリオ


担当:橘宗太郎

対応レベル:2〜6lv

難易度:普通

成功報酬:1 G 69 C

参加人数:8人

サポート参加人数:-人

冒険期間:02月27日〜03月04日

リプレイ公開日:2005年03月08日

●オープニング

●イゴール君、死す‥‥?
 雪積もる森の中。
 ハーフエルフ少年イゴールは、ショートボウを持ち、狩りをしていた。
(「よし、今日こそ獲物をとろう」)
 修行の成果なのか、積極性が出てきたようにも思える。
 防寒具もあるし、雪の中でも何とか平気だ。
 抜き足、差し足。
 木陰に隠れながら、獲物の様子を窺(うかが)っている。
 その獲物とは、キツネだった。狙いを定め‥‥矢をはなった。
 ドスッ!
 見事にしとめた。久しぶりの収穫を喜ぶイゴール。しかし、すぐにキョトンとした顔になる。
「‥‥ん?」
 周囲の様子がおかしい。
 ‥‥何かの視線を感じる。
「ぐるる‥‥!」
 木や葉っぱの隙間から見える鋭い牙(きば)。しかも、その動物の数が半端ではない‥‥十匹は確実にいる。
(「僕の人生‥‥おわった」)
 ぱたっ。
 あまりのプレッシャーに気を失った気の弱いイゴール。
 彼の手から、ぐったりとしたキツネが落ちた。

●イゴール君捜索依頼
 冒険者ギルドにイゴールの捜索の依頼が来たのは、それからすぐの事だった。
 イゴールが狩りをしていた森近くの村長がやって来たのだ。
「パリからやって来たイゴールという少年が狩りに出掛けたまま戻って来なくなりました」
 聞いてみると、どうやらその土地の人達が決して近付かない『オオカミの森』に出掛ける姿を目撃した人がいるらしい。特に、冬場は動物達もお腹が空いているので、危ないのだそうだ。
「オオカミといっても、あの周辺は野犬も多くてですなあ。とにかく危険で、捜索にも出掛けられず、困っておるのです」
 どうやら、その村には『森に人の死骸を残すべからず』というシキタリがあるらしく、どうしてもイゴールを連れかえってほしいのだそうだ。
「おそらく少年はすでに息絶えておるでしょうが‥‥。そうだ、何ならコレをお貸ししましょう。森を探すならコレが一番です」
 そう言って村長が取り出したのは、人数ぶんの『熊の毛皮(全身、頭付き)』だった。
「コレをかぶれば、オオカミだって寄ってきませんよ。なんといっても、熊ですからね。‥‥きっと大丈夫」
 ‥‥笑顔が爽やかすぎる村長であった。

●今回の参加者

 ea0508 ミケイト・ニシーネ(31歳・♀・レンジャー・パラ・イスパニア王国)
 ea4567 サラ・コーウィン(30歳・♀・ファイター・人間・ノルマン王国)
 ea5283 カンター・フスク(25歳・♂・ファイター・エルフ・ロシア王国)
 ea5644 グレタ・ギャブレイ(47歳・♀・ウィザード・シフール・ノルマン王国)
 ea7504 ルーロ・ルロロ(63歳・♂・ウィザード・エルフ・ノルマン王国)
 ea8539 セフィナ・プランティエ(27歳・♀・クレリック・人間・ノルマン王国)
 eb0703 リジェナス・フォーディガール(32歳・♀・レンジャー・ハーフエルフ・インドゥーラ国)
 eb1026 ヴィゼル・カノス(29歳・♂・ファイター・人間・イギリス王国)

●リプレイ本文

●オオカミの森に到着
 冒険者達は、『オオカミの森』の前に到着していた。
「ゴワゴワで、チクチクするなあ」
 ミケイト・ニシーネ(ea0508)は、『熊の毛皮』と格闘していた。
 なんとか『熊』になれた。
「なあ、これ、どうなんやろ?」
 ミケイトは、同じく熊になるセフィナ・プランティエ(ea8539)に、自分の姿を聞いてみた。
「もう、あの子は人様にご迷惑ばかりおかけして‥‥」
 と、成長の無いイゴールの愚痴を言っていたセフィナであったが、振り返って‥‥
「きゃあ〜ッ!」
 『熊の頭』のあまりの怖さに、驚いた。
 セフィナの様子を見たミケイトは、納得のいった様子を見せた。が、他にも気になる事がある。
「ただ、この毛皮、ものすごく獣くさいんや‥‥」
 セフィナも、熊の毛皮のニオイを嗅ぎ、
「‥‥熊さんのニオイがしますわ」
 複雑な表情を見せた。
 リジェナス・フォーディガール(eb0703)は、
「はぁ〜」
 と、深いため息をついていた。
 イゴールの成長の無さに、呆れているのだ。
(「ちゃんと村の人から話を聞いてから狩りをしたのかしら‥‥?」)
 熊の毛皮をかぶり、同じく熊になったミケイトとセフィナを見た。
(「本当に熊みたい」)
 二人は、手足の具合を確かめるために、ぶんぶん振り回していた。
 リジェナスも熊になって、ぶんぶん振り回してみた。
 三人とも‥‥威嚇(いかく)しているようだった。
 サラ・コーウィン(ea4567)は、防寒具を着込んでいた。
(「オオカミの森って‥‥知らなかったのかしら?」)
 横にいるヴィゼル・カノス(eb1026)も、同じく防寒具を着込んでいる。
「オオカミやら野犬が大量にいる森で行方不明ね。‥‥はやいところ見つけないとな」
「はい。頑張りましょう」
 サラは、ヴィゼルの言葉にうなずいた。
「ところで‥‥熊の毛皮って重そうですね」
 サラの視線の先には、やはり熊組三人が。
「頭まで丸ごと付いているからな‥‥動きにくそうだ」
「なんだか楽しそうですけど」
 まだ熊の姿に慣れていないのか、誰かが転がった。
「むぅ‥‥」
 ルーロ・ルロロ(ea7504)は、今回の事件を聞いて、落ち込んでいるように見えた。
(「ワシがショートボウをやったばっかりに‥‥もっと徹底的に鍛えれば良かったのう‥‥」)
「ルーロ、落ち込むなよ」
 その様子を見たカンター・フスク(ea5283)は、ルーロの肩を軽く叩き、
「イゴールなら生きているさ。‥‥あいつが死ぬとは思えないだろ?」
 と言った。あまり愛想を使っているようには見えないが、彼なりの優しさなのだろう。それに、彼だってイゴールの心配はしている。
「そうじゃのう‥‥確かに、その通りじゃ。イゴールが死ぬわけはない」
「ああ、きっと生きてる」
 グレタ・ギャブレイ(ea5644)は、防寒具を着込み、空からイゴールを探すつもりだ。
(「イゴールって子、元気だといいんだけど」)
 グレタは、皆が準備を終えたのを見ると、声をかけた。
「それじゃあ、捜索をはじめるとしようか」
 冒険者達は、『オオカミの森』へと足を踏み入れた。

●野犬との戦い
 サラ、ヴィゼル、カンターの三人は、防寒具を着込んで、イゴールの捜索をしている。
(「まったく‥‥イゴールのやつ、世話のやける」)
 カンターがそんな事を思っていると、何かが動く音が聞こえた。
 ‥‥野犬だ。
 十匹ほどに見えるが、まだ奥にもいる。
「またウジャウジャと出てきたな、おい。まあいっか」
 ヴィゼルは、ミドルシールドを前に出し、ノーマルソードを構えた。
「蹴散らしてやる!」
 彼がはなった一撃は、見事に野犬を捉え、鮮血が舞った。
「きゃんッ!」
 という悲鳴をあげて、野犬が逃げる。
「大した事ないな」
 ヴィゼルは、一撃でその事を確信した。
「せいやッ!」
 カンターも、レイピアで野犬の身体を突き刺し、逃走させた。
「たあッ!」
 サラの日本刀も正確に野犬を捉え、これまた逃げていく。
 野犬達も反撃を見せる。
「ぐるる‥‥ッ!」
 前に出ていたカンターの左右から、野犬の牙が迫る。バックアタックで受け止めるが、二度三度と攻撃は続き、三度めは受け止められない。
「くッ!」
 足を噛まれ、軽く出血したが、『カスリ傷』程度だった。
「ヴィゼルの言う通り大した奴等じゃない。‥‥耐えられるか?」
 ヴィゼルはカンター同様に大した傷は負っていなかったし、サラはほとんどの攻撃を避けていた。
「はい。さっさと片付けてしまいましょう」
「すぐに黙らせてやるさ!」
 サラの言葉に応じて、ヴィゼルが攻勢に出る。
「‥‥ッ!」
 ミドルシールドで飛びかかってきた野犬の顔を弾いた瞬間、ヴィゼルの刃が光った。
「くらえッ!」
 狙いすました一撃が、正確に野犬を捉える。
「きゃうんッ!」
 ヴィゼルのカウンターアタックを受けた野犬は、怯えた様子で、その場を離れていった。
 冒険者達の攻勢は続き、野犬達は逃げていった。

●熊三人
 ミケイト、セフィナ、リジェナスの三人は、イゴールを捜索していた。
 ゴチンッ!
 ボタボタボタ‥‥。
 木の上から落ちてきた雪に埋もれる熊三人。
「‥‥だあッ!」
 がばっ!
 雪を振り払い、起きあがる熊達。
 外見が幸いしてか、動物達には襲われない。
「つ〜ッ!」
 ミケイトは、足下を見ながらイゴールの痕跡がないか探している。熊の毛皮の中で、おでこを撫でた。
 動物の足跡はいっぱいあるが、人間の足跡が見つからない。
(「猟師の勘ってやつに頼りたかったんやけど‥‥なかなか、うまくいかへんなあ」)
「リジェナスはん、何か見つかった?」
 問いかけられたリジェナスも、猟師としての才覚を活かしてイゴールの痕跡を探そうとしているのだが、見つけられなかった。また、彼等の行動は危険をあらかじめ避けるという点でも役に立っている。
「さっぱりね。もう何日も経っているから、足跡自体は消えてしまってるかもしれないわ」
 リジェナスはきょろきょろと辺りを見回した。
「それでも、雪の積もり具合には違いがあるはずだから、気を抜かずにね」
 セフィナはというと、今までは強気を言っていたのだが、イゴールが心配になってきたのか、口数が少なくなってきていた。突然、泣きっ面になり、
「イゴールさぁぁーん、お返事なさってくださーいっ!」
 と言い出す。
「こら、あかんやろ」
 べしっ!
 動物達に気付かれそうなので、ミケイトに『熊の手チョップ』を入れられた。
「あぅ‥‥すみません」
 ぺこん、と謝る熊。
「さあ、急ぐわよ。確かに、あの子の事は心配だし」
 リジェナスにうながされ、熊三人は捜索を続けた。

●上空からの捜索
 グレタとフライングブルームに乗ったルーロは、上空からイゴールの捜索をしていた。
 ルーロは熊の毛皮をかぶってるので、『空飛ぶ熊』に見えた。
「ん? ‥‥あそこに、何かあるよ」
 インフラヴィジョンで『熱源探査』をしていたグレタが、突然声をあげた。
「なんじゃ、イゴールを見つけたのかの?」
「‥‥いや、そうじゃないんだ。何か、大きなものがあるんだよ」
 彼女の目には、赤い大きな塊が見えた。
「とんでもなく大きな化物かもしれないけど、オオカミの森って名前からして、そんなものがいる気もしないし」
「ふむ‥‥とりあえず、空から確認してみるかのう」
 二人でそこに向かい、下を見ると‥‥。
「‥‥!」
 ルーロの目には『死体』の周りを、たくさんの野犬達が取り囲んで、『食べている』ように見えた。一瞬、最悪の事態が浮かぶが‥‥
(「いや、待て‥‥あきらめてはいかん」)
 と思って、ブレスセンサーを使ってみる。
「む? おかしいのぅ‥‥、まだ息をしておるようじゃが‥‥?」
 数が多すぎて、よくわからないが、グレタも熱の量から
「生きているように思えるけど」
 と言った。
 二人は焚き火をする事とし、皆が集まるのを待った。

●オオカミとの戦い
 遠眼から、焚き火の煙を見つけたサラ、ヴィゼル、カンター三人組は、その途中で『オオカミ』に遭遇した。数は四匹。
(「‥‥しまったッ!」)
 二人の前に出ていたカンターは、二匹の挟撃を受け、バックアタックで攻撃を受けとめていた。が、連続する攻撃を耐えきれず、左の肩と太もも、右の腕から出血した。『カスリ傷』ではない。
 ヴィゼルは、野犬の時と同様にミドルシールドを前に出し、オオカミの動きに合わせた。‥‥何とかオオカミの動きを制すると、カウンターアタックを仕掛ける。
 彼の一撃は、オオカミの身体をやすやすと傷つけたが、オオカミに怯む様子はない。
「がるるッ!」
 更に攻撃を仕掛けてくる。ヴィゼルは左の脇腹の辺りに痛みを感じたが、それを堪えて再びカウンターアタックに出た。
「今度こそッ!」
 大量の鮮血と共に、オオカミは崩れ落ち、森の奥へと後退していった。
(「これぐらいなら‥‥」)
 サラは、オオカミの攻撃を上手く避けていたので、唯一攻勢に出る事が出来た。
「カンターさん、私が前に出ます」
「すまない」
 サラが、傷ついたカンターに代わり、日本刀を振るって前に出る。
 三匹の相手の引き受ける事になったが、回避能力に優れる彼女は、ほとんど攻撃を避ける事に成功し、一撃をくらうのみだった。
(「このまま終われるか!」)
 不覚をとったカンターは、ヒーリングポーションで傷を回復すると、再び前線に立ち、ヴィゼルと共にサラの日本刀で傷ついていたオオカミを攻撃した。
「くらえ!」
 ヴィゼルの一刀が、オオカミの身体に食い込む。激痛に耐えきれず、そのオオカミも後退する。
 その後も回避能力の高いサラが前に立つ事によって優位を保ち、見事オオカミ達を撃退した。
「たすかったよ」
 カンターにお礼を言われたサラは、ニコッと微笑んで、
「お役に立てて光栄です」
 と返した。
「ちょっとだけ、動かないでくれ」
 ヴィゼルが、傷の手当をしてくれた。

●イゴール君がいた?
 焚き火の煙をたどって、一同はイゴールがいると思われる箇所の近くに集合していた。
「わぁ!」
 と、熊を見てサラが驚いたのはお約束。
「ワシがブレスセンサーで調べたところ、どうやら息はしておるようなんじゃが‥‥状況がよくわからん」
 ルーロは、真面目な顔で、皆に現状を話しはじめた。
 まだ生きている事はわかったものの、たくさんの野犬が近くにいるので、下手に近付いていいものか分からないらしい。
 リジェナスは、周辺に積もった雪を見て、ある事に気付いた。
「‥‥何日か前に通った跡があるわ」
 少し離れた位置にいるミケイトも、足下を見て同じ事を言った。
「こっちにも続いてるで、どうやら、うち等が来た方向から歩いてきたみたいやけど」
 見てみると、確かにリジェナスとミケイトの近くに軽い凹みがあるように見えた。
「‥‥という事は、あそこにイゴールがいるという事かのう?」
「オオカミの森に入る時期を考えたら、その通りだね」
 ルーロの問いに、グレタの答えが答えた。
(「な〜んじゃ、深刻ぶって損したわい」)
 気が抜けたのか、少し気を楽にするルーロ。しかし、まだまだイゴールが安全とは限らない。
 同じく無事だとわかって喜んでいる熊‥‥ではなく、セフィナが提案をする。
「熊さんのまま近付けば、野犬も逃げていくと思いますし、様子もわかると思います」
 というわけで、熊組三人とルーロが近付いていく事に。

●イゴール君の視点
 ガサガサ‥‥。
 何かが近付いてくる音が聞こえ、イゴールは目を開けた。
「‥‥!」
 音がする方を、じ〜っと見ている。
 ドス、ドス、ドス。
 雪を踏みしめ、直立歩行の熊四人がやってくる。
(「く、熊だあ!」)
 驚いて‥‥矢をはなった。
 なぜだか女の子走りをしている熊の眉間に突き刺さり、熊が倒れた。
 すると、
「ちょ、ちょい待ち!」
「助けに来たのよ!」
「やめんか!」
 他の三匹の熊が『待て!』といういかにも人間くさい動作をしだす。
「‥‥?」
 倒した熊が、なんだかモゾモゾしている。‥‥中から人が出てきた。
「ふぇぇん」
 見覚えのある姿‥‥セフィナだ。
 イゴールの足下には、野犬達がなぜだか擦り寄っている。

●お叱りの時間
 キョトンとするイゴールに話しかける。聞いてみると、気絶して、気付いたら野犬に『懐かれていた』という事らしい。もっとよく聞いてみると、気絶したときにキツネをほうり出したらしく、『食べ物をわけてくれた』と思われたらしい。また、オオカミの姿を見つけて戻るに戻れなくなり、寒いので、野犬達と一緒に集まって寝ていたとも語った。
 まず、狩りの先生であるリジェナスに叱られた。
「現地の人の話をよく聞いてから狩りをするのは、基本じゃないの。結構心配したのよ?」
「‥‥うん。ありがと」
「そうやで、しっかり気張って、お互いに大物獲り目指そな〜!」
 ミケイトは、同じ狩人として、イゴールを応援してあげた。
「うん。でっかいの獲る」
 イゴールは、両手をいっぱいにひろげて、その事を約束した。
 セフィナは、殺されかけた事もあって少し頬を膨らませていたが、
「よくご無事で」
 と言って、彼の頭を撫でてあげた。
 イゴールは、恥ずかしそうだった。
「バカモンが! 心配かけおって」
 ルーロに叱られるイゴール。シュンとしていると、
「まあ‥‥良かったわい」
 と声をかけられ、なんだか気が楽になった。
 ポカッ!
「馬鹿者」
 カンターは、イゴールを小突いた。
 う〜、と唸るイゴールに、カンターはダガーをあげた。格闘も少しは出来るようになれば、との気持ちらしい。
 イゴールは、お礼のつもりなのか、頭を下げた。
 サラは、イゴールに傷がないか確認していた。
「傷はないみたいです」
「そうか、怪我がなくて何よりだ」
 ヴィゼルも応急手当の用意をしていた。が、心配ないようで、ホッとした。
「何事もなくて良かったですね」
「うん」
 二人にうなずくイゴール。
「そういえば、この犬達は、どうするんだ?」
 グレタは、ヴィゼルの言葉を聞いて、
「犬達は、ここに置いていくしかないかな。それに、そろそろ戻らないと」
 と言った。
 セフィナがエサを置いて、犬達が食べている内に戻る事にした。
「連れてくー」
 イゴールは残念がったが、飼える能力が無さそうだったので、首ねっこを掴まれて連れていかれた。
 村で、イゴールが、
「お腹減った」
 と言い出したので、カンターが美味しいスープを作ってくれた。
 懲らしめた事もあって、村ではオオカミや野犬の被害が減ったらしい。
 冒険者達には、ちょっとだけ多くの謝礼が送られた。
 イゴールは、また狩りに出掛けている。
 ‥‥叱られたからか、人の話を聞いてから狩りをするようになったらしい。