永久の牢獄
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■ショートシナリオ
担当:立川司郎
対応レベル:7〜13lv
難易度:やや難
成功報酬:5 G 1 C
参加人数:6人
サポート参加人数:1人
冒険期間:11月19日〜11月25日
リプレイ公開日:2005年11月27日
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●オープニング
そこは、ランタンを掲げてもなお薄暗い、閉鎖空間だった。
彼女がここに来たのは1週間ほど前の事だ。レイモンド卿から依頼され、アブリテという町の近くにあるという砦の調査に向かった。
聞いた所によると、つい最近悪魔崇拝団体フゥの樹の配下とされる騎士隊アルジャンエールとメテオール“騎士団”の戦闘が行われたという。
そのせいか、砦の壁や木々の枝は黒ずんだ染みが残っていた。眉を寄せて彼女は中に進む。
石壁は古びて欠けており、換気窓は開いているものの樹木のせいか光がほとんど射さない。
おまけに中は、それ以前まで住み着いていたというオークや獣の臭いが立ちこめ、たいへんな悪臭だった。
一通り見て回ったが、特に変わったところは無い。
次に、地下の倉庫に降りた。倉庫は空気がこもっており、頭がクラクラしてきた。壁に手をついて、中の探索を続ける。
何故なのだろう。
アルジャンエールはここを占拠していたのに、荒らした形跡もなければ、戦闘時に何かを持ち出していた様子もなかったという。
(ここには何かがある、ってレイモンド様も仰っていたのに‥‥)
ふら、と体から力が抜けた。
ここは‥‥空気が悪いようだ。床に倒れ込んだ彼女は、天井をぼんやりと見つめた。
ここから出なければ‥‥。
影が見下ろしていた。
何だ‥‥この影、神官の服を着ている。神官の服?
彼女は目を見開いた。だが、体が動かない。
神父はそっと彼女に手を触れた。硬直したまま、彼女は神父を見つめる。
「‥‥贄にはならぬか」
「‥‥あ‥‥し、神父‥‥」
かすれた声を出す彼女を、神父はじっと見下ろしていた。
「カレン・マクファ‥‥奴の手の者か」
「あなたは‥‥っ」
神父が、視線を正面に向ける。彼の視線の先には、もう一人‥‥何かがいた。
壁に背を向けて、うずくまっている男が居る。彼の体は、透けていた。痩せた四十代の男だった。
「まだ開ける気はないのか。既に写本は三冊手に入っているというのにか?」
神父は、本を三冊彼に見せた。
エーイーリー、ケムダー、アィーアツブス。
男は、うずくまったままかすれた声を発した。
『おれは‥‥もう裏切らない。裏切らない‥‥』
「お前はもう戻れぬ。我らは戻れぬ所に足を踏み入れた。違うか?」
『嫌だ‥‥おれは‥‥もう裏切らないと決めた。ここは開けない』
「誰を裏切らないと言うのだ?」
薄く、神父が笑った。
『あんたは変わっちまった‥‥俺はもう終わらせたい。もう巫女もあんたも‥‥裏切りたくない‥‥』
影はすう、っと壁の中に消えていった。神父は顔をゆがめ、口を閉ざす。
ちら、とカレンを見下ろした。
「ここは風も通らぬ、閉鎖された地だ。そこでのたれ死ぬがいい」
神父の姿は消えた。
どれくらいたっただろうか。影がまた、見下ろしていた。カレンが目を開けると、そこにはあの、痩せた男が立っていた。
「‥‥あんたは‥‥もしかして、あの方の御子孫の使いか?」
「‥‥ええ。レイモンド様の‥‥」
「時間が無い‥‥のだな。会いたいな、その方に‥‥。会いたい‥‥」
うっすらと目を細め、男は呟いた。
「俺は一人でここを守ってきた。‥‥もう終わらせたい。カレン、ここから出してやろう。そのかわり‥‥その方を連れてきてくれぬか?」
「卿を? む、無理です‥‥」
「‥‥頼む。あそこに見えるだろう。壁が。その下に石が転がっている。それを正しく当てはめれば、中に入れてやろう」
何故そんな面倒な事を、と言いたげなカレンを、男は術で浮き上がらせた。そのまま外に運んでいく。
「すべてを正しく、理解しているのかどうか知りたい‥‥それだけだ」
男はカレンを外へと運び出すと、再び砦の中へと戻っていった。
●リプレイ本文
シャンティイ城下。
やや表通りから離れた路地で、六名はカレンと『彼』が到着するのを待っていた。
その中でも一人、特に落ち着かない様子のひとが‥‥。
「‥‥それで結果的にシシリーは逃がしてしまったが、クレルモン方面に向かった事は判明している。クレルモンは聞いての通り‥‥聞いているのか、ヒルダ」
ベイン・ヴァル(ea1987)が、心ここにあらずといった様子のグリュンヒルダ・ウィンダム(ea3677)を呼ぶと、はっと視線をベインに戻した。
「あ、はい。聞いています」
口を閉ざし、ベインは視線をそらす。きまずそうな顔のヒルダを見て、聯柳雅(ea6707)が何を思ったのか、さては何か気づいたのか‥‥ベインに言い返した。
「ベイン殿、話なら私も聞いている。詳しい事情は分からないが、シシリーに関する事などはエグゼ殿から聞いている」
「それならいいが」
ため息をつくと、ベインは話をつづけた。
クレルモンの現状や、シシリーの事。
本当はマリさんが来たがっていたんですが、来られないようですから‥‥と参加表明をしたサラも、クレルモンのセレス護衛などシャンティイとの関わりは深い。
「そういえば結婚したそうだな」
何だか付け加える形になったが、ベインも気の利いた事が言えない質である。
柳雅は表情を和らげて、緊張を解いた。
「ああ‥‥貴殿の事は聞いている。シシリーを共に追っているとか‥‥。あ‥‥お、夫がいつもお世話になっております」
柳雅は、真っ赤な顔で、ようやく一言、言った。
夫という表現が新鮮だったのか、恥ずかしそうにしながらも嬉しさが隠れ見える。
「ああ‥‥あいつは安心して背中を任せられる仲間だ」
「ああ、ノルマン一の料理人で、ノルマン一の夫だ」
嬉しそうに言った柳雅を、ベインも少し笑みを浮かべて見やった。
シャンティイから砦まで、アンジュコートを経由してまる一日がかり。レイモンドを含めてヒルダ、ヴェリタス・ディエクエス(ea4817)など騎馬での護衛が出来る者が彼に付いた。
こうしてレイモンドが旅に加わるのは、想像もしていない事である。はっきり言うと、どんな格好をしていても冒険者には見えない。
その点に関しては、皆一応礼儀作法は心得ており、ヴェリタスやヒルダなどは貴族としての心構えも持ち合わせている為、レイモンドのサポートをする事には特に問題もなかった。
道中で一泊した後、砦に着いたのは翌日の昼であった。
「レイモンド様は、わたくし達が調査を終えるまでお待ち頂いた方がいいかと思います」
「そうだな。‥‥ではヒルダ、残って卿の護衛をしていてくれるか」
サラフィル・ローズィット(ea3776)とベインがヒルダに言うと、頷いて答えた。
「分かりました。皆さん、砦の中は空気がよどんでいると聞きます。お気を付けください」
一礼し、ヒルダは見送った。
そして残される、ヒルダとレイモンド。
な、何か言わなくては‥‥何か話さなくては‥‥。ヒルダは動揺で一杯一杯のようである。
「ヒルダ」
「はっ、はい?」
びくっ、と肩を竦めてヒルダはふり返った。
「気を遣わせてしまって、すみません。‥‥聞いたでしょう?」
えっと‥‥。しばし考え込んで、ヒルダはこくりと頷いた。レイモンドを連れてきた際、メテオールの騎士はしつこい位に『レイモンド様は、生まれてこのかた護衛なしで出歩かれた事はない』と言われた。
要するに、生まれ持ってより貴族なのだ。一人では、保存食すら食べられないのである。
別に卿が望んでいるのではないが「必要性がない」為に、野営や保存食の食べ方、一人で料理する事などは覚える事がないのだ。
「少しも苦ではありません。卿はご不便な思いをしておいででしょうが、どうかご辛抱ください」
そう言うと、ようやくヒルダは少しずつ話し始めた。柳雅の結婚の話、フェールの事、そしてクレルモンでの話。
「そうですか‥‥オリオンやセレスティン、そしてガスパーの居るクレイユ。各地の戦力を増強するのも大切ですが、シャンティイの防衛力も強化せねばなりませんね」
フェールとガスパーが居ないのは、やはり戦力的にも寂しいですね。
レイモンドが小さな声で言うと、ヒルダが声をあげた。
「レイモンド様」
「はい」
ヒルダはひとつ、息を呑む。
「‥‥私が‥‥シャンティイに参りますから。今回の騒動がひとまず終息しましたら‥‥」
ぴたりとヒルダの口に、レイモンドが手をかざした。
「ヒルダ、一曲踊って頂けますか? あなたに、私のお相手をして頂きたいのです」
はい、とヒルダが答えると、レイモンドはそっとヒルダの手を取った。
そしてそれを目撃してしまったベインの喉元には、ナイフが突きつけられていた。
声をかけようとしたベインは、その声を制止され‥‥静かに後ろに視線を向ける。
無言の柳雅がそこに居る。
声をかけるな、黙って去れ、と彼女の視線が言っている。その後ろでサラが、にこやかに笑っていた。
「地下室の換気をしたいのですが、風穴が詰まっているようなんです。お手伝いして頂けませんか」
「‥‥」
こくりとベインは頷いた。
「恋の邪魔はしてはならぬのだ」
「あんなヒルダさん、初めて見ますもんね」
柳雅とサラはそう言うと、顔を見合わせて笑った。
ヴェリタスはカレンの護衛をしているし、今回ちょっぴり孤独感を味わっているベインだった。
10の文字。
アクゼリュス、キムラヌート、エーイーリー、アィーアツブス、バチカル、アディシェス、カイツール、ツァーカブ、シェリダー、ケムダー。
石を拾うと、フランシア・ド・フルール(ea3047)はそれを持って一旦外に出た。
「これはラテン語のようですね」
「何と書いてあるのか、読めるかサラ殿?」
柳雅が聞くと、サラがフランシアの持っている石の文字を読み始めた。
「‥‥残酷・物質主義・愚鈍・不安定・無神論・無感動・醜悪・色欲・拒絶・貪欲‥‥という順ですね」
それを聞いてふ、とベインが薄く笑う。
「ケムダーは貪欲‥‥か。シシリーにぴったりだな」
アンジュコートの村人に、シシリーはケムダーと呼ばれていた。それには、こんな所に理由があったようだ。
「この配置、どこかで覚えがある気が致します。フランシアさん、いかがでしょうか」
伝承や宗教的意識に関しては、通り一般のものしか覚えがない。フランシアであれば、学があるので何か記憶にあるかもしれない。
石を見ていたフランシアは、屈んで地面に何かを書き始めた。
円と、それを繋ぐ線。
「我々白、黒の教えの元となった教義があります。その思想の一つに、このような木が存在します。生命の樹といわれるもの‥‥エデンの園の中央に植えられたとされる樹です」
書かれたのは、地下室にあるものと同じ向きの図形であった。
「生命の樹の図に関しては、十ではないものもあるようですから、一概にそれとは言い切れませんが、この文字から推測する事は可能でしょう」
「しかし、それが生命というものなら‥‥異常というのは何なのだ」
シャンティイ会談に出た情報の一つに、フゥの樹という言葉の意味があった。かの報告書を目にしたベインは、その事が気になっていた。
フゥの樹とは、異常な樹という意味。
「異常というのは、おそらく逆しまの樹の事を差しているのでしょう。セフィロトと対照的に逆さまになった樹であり、悪魔がそれぞれ対応するとされています」
「では、この石は悪魔の事なのですね。でも、地下の図盤は逆さまではありませんでしたけれど‥‥」
サラが首をかしげた。
セフィロトの樹。それと対するように下に伸びるのが、逆しまの樹とよばれるものである。
フランシアは石を持って、一つずつ壁にはめ込みながら、呟く。
「逆さまではない、悪魔の樹‥‥それがおそらく、鍵を握っているのでしょう」
全てをはめ込むと、フランシアは一歩引いた。
カレンが、周囲を見まわす。するとサラが一方に目をやった。図研の横の壁に、目をこらす。
「‥‥来ます」
ずるりと壁から、影が這い出た。
痩せた、四十才過ぎほどの、男だ。エルフのようだが‥‥。
カレンが、その影に向かって声を放った。
「約束どおりお連れしました。‥‥レイモンド様を」
影は、カレンとヒルダの後ろに居るレイモンドに目をやった。
しっかりと目を見開き、影がレイモンドに近づく。警戒するヒルダやベインを制すると、レイモンドは影の前に立った。
「あなたですか、私を呼ぶのは」
『おお、たしかに‥‥若い頃のあの方に似ている』
影はよろよろと跪いた。
泣いているのだろうか? 柳雅がそうっと顔をのぞき込んだ。
「何故泣くのだ、貴殿は死霊であろう?」
「そうだな‥‥しかも、カレンの言う言葉によれば、あなたは裏切りたくないと言ったそうではないか? もしや、ルワヨームというのはあなたの事ではないか」
ヴェリタスが問うと、影はしずかに頷いた。
ルワヨーム。ガスパーが裏切り者と呼ぶ、ラスカの祖である。ラスカはいまだ、先祖の犯した罪の贖罪をしていると聞く。また、彼は悪魔化しようと契約を結んだともされる。
「ルワヨーム‥‥あなたはどうやってむこう側に足を踏み入れた。悪魔化を阻止する事は出来るのか」
思わず、ベインが彼にそう聞いていた。悪魔化しようとしているシシリーを阻止する手だてが、彼から聞けるかもしれない。そう思うと、居ても立っても居られなかった。
『悪魔化は、阻止する手だてなどない。しかし、完全に悪魔化するのはとても険しい道のりだ‥‥そう簡単にはゆかない』
「そうか」
ベインは、少し沈んだ声で礼を言った。
ルワヨームは図を一瞥すると、配列を行ったフランシア、そしてサラやカレンといった面々の顔を見回した。
『意味はわかったか?』
「まず、これが逆さまではない理由が何かおありなのだと思いますが。これはそもそも、生命の樹の影たる存在であるはず」
フランシアが聞くと、ルワヨームは頷いた。
その謎がここにあり、そしてルワヨームはそれを守っているのではないか?
「ラスカ様は、贖罪を続けておいででした。あなたも何か贖罪を行っているのではありませんか? 例えるならば、正本を守り続けるなど‥‥。これが悪魔の樹であるのは、すなわち使徒が悪魔に心を奪われたという証、あなただけでなく使徒達が悪魔の配下となった事を表していると考えます」
サラがフランシアに続いて言うと、ルワヨームは図をじっと見つめた。
『‥‥遙か昔‥‥おれ達はカーティスの為に、そして人々の為、悪魔を倒す為に彼と共に戦った。だが‥‥君たちも見てきたかもしれないが、悪魔の奸計は我々の仲間や家族、人々にも及び‥‥皆、絶望の淵に立たされた』
ヴォラスは疑心暗鬼に陥った村の者に家族を殺され、おれは妻の魂を悪魔に奪われ‥‥皆はそれでも巫女とカーティスを信じた。だがおれは仲間を裏切り、悪魔と契約した。
この計画をどうしても完成させたかった。その為に、悪魔の力が必要だったのだ。
『巫女が死んだ事を聞いたのは、それからまもなくの事だった』
その頃仲間達は、悪魔との戦いに疲れ果てていた。仲間も家族の心も引き裂かれ、巫女は悪魔に誘惑された人々によって傷つけられ、乱暴されて死んでいたから‥‥。
そんな時に悪魔に声を掛けられて‥‥異常な行動に走っても、仕方ない事だ。
“巫女の魂は奪われど、肉体は一欠片たりとて渡しはしない!”
ヴォラスやルー達はそう言って、巫女の体を分断し、皆で食い尽くした。
『‥‥そうして皆が悪しき心に染まり、カーティス一人になった。おれはそれを見て、初めて後悔した。死んだ者は帰りはしない。おれの研究は間違いだった‥‥』
「あなたは何をしようとしたのですか。‥‥それは、この正位置の逆しまの樹と関係があるのですね」
『おれは、ヒトを創り出す術を研究していたんだ。悪魔と戦える、純粋に美しい意志と強い肉体をもったモノを。研究は最終段階に入り、おれはそれまでの成果を七つの写本と正本に分断して記して残した。カーティスの所に戻ったとはいえ、おれはあの研究を捨てる事が出来ず‥‥カーティスにも、万が一研究が悪用された場合必要になるからと言われたから』
ルワヨームはサラへ答えると、図が書かれていた壁を差した。
今まで支えられていた壁が、がらがらと崩れていく。
『持っていくがいい。‥‥知恵たるコクマー、正本を』
おれは‥‥救われるだろうか?
ルワヨームは悲しげな表情で呟いた。
ゆっくりと、レイモンドが正本を開く。
そこには、ラテン語で複雑な魔法の術式が書かれている。それを横からサラとヴェリタス、フランシアが流し見する。
ヴェリタスはそれを読んで、感嘆の声をあげた。
「未完成というが‥‥これほどの研究を行うには、相当魔法に通じていなければなるまい」
「しかし、悪魔の力をもって為さねばならぬ研究など、主がお許しになりません」
フランシアはきっぱりとした口調で言った。
死んだ者は、帰りはしない。
レイモンドはルワヨームの言葉を呟くと、目を細めた。
ふ、とヴェリタスが顔をあげる。
「そう言えば‥‥カレン、時間がないと言ったルワヨームの言葉‥‥あればどういう意味だったんだ。それに、破滅の魔法陣との関係‥‥神父が君に言った『贄』、危険はないのか」
「‥‥それは‥‥」
とカレンがレイモンドをちらりと見る。
「破滅の魔法陣の計画は、既にパリなどでも情報が流れているでしょう? シャンティイでもシシリーの件やメイの事など、乙女を狙う事件が発生しています」
結局乙女ではないカレンは、神父に連れ去られなかった訳だが。
「‥‥あの、私は生け贄にはされませんので‥‥」
顔を赤くして、カレンが小声で答えた。
さすがにヴェリタスも意味に気づいたのか、なんだか気まずそうにしている。
二人の様子を見て、話を戻すべく柳雅がレイモンドに聞き返した。
「では、シャンティイでも悪魔が魔法陣を計画していると仰るのですか」
「恐らく、報告書を読むかぎり‥‥シシリーともう一名、アッシュの住居の近くに潜むバンパイアが、生け贄拉致に関わっていると思われます」
魔法陣の為の生け贄がどの程度どこに集められているのか‥‥。
早急に調べねばなりません。レイモンドは、やや厳しい顔つきで言った。
(担当:立川司郎)