【願い事?】三匹の小悪魔
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■ショートシナリオ&プロモート
担当:たかおかとしや
対応レベル:1〜5lv
難易度:普通
成功報酬:1 G 35 C
参加人数:3人
サポート参加人数:-人
冒険期間:10月01日〜10月06日
リプレイ公開日:2008年10月10日
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●オープニング
「もう勘弁ならねぇ!」
「そうだ、そうだ、ぶっ殺しちまうだ!」
その日、収穫間近のライ麦畑が悪臭のする泥の山に埋もれてしまっているのを見て、村人達の怒りは遂に爆発する。
数日前から、村では奇妙な悪戯が頻発していた。
少し目を離した隙に、置いてあった農具がなくなってしまうことなどは序の口だ。家畜小屋の扉は壊される、用水路はせき止められる。尻尾に火を付けられた馬が暴れ出した時などは、村の男衆が総出で取り抑えに奔走したものだった。
この、度の過ぎた悪戯の主は判っている。
悪魔だ。
悪戯に右往左往する村人を、離れたところからニタニタと見守る三匹の醜い小鬼のような姿が、多くの村人達によって目撃されている。シフールほどのサイズしかないその憎たらしい悪魔は、村人達からの罵倒と投石の雨を全く平然と受け流し、罵られるほどにより悪戯に励むという、全く持ってどうしようもない存在であった。
「収穫間近のこの時期、これ以上畑を荒らされちゃあ、かなわねぇ」
「しかし、どうする? 悪魔は普通の手段じゃ怪我させることも出来ねぇって話だぞ?」
「‥‥俺がぶん殴っても、ニタニタ笑うだけで痛がりもしなかった‥‥」
村人達は、村の寄り合い所に集まって知恵を絞るが、なかなかいい案が出てこない。
火も駄目、弓も駄目、犬も駄目。村一番の力自慢がぶん殴って掠り傷一つ負わないとなると、正直全くお手上げだった。
「‥‥頼むか、冒険者」
ぽつりと、村の誰かが呟く。
「大丈夫か? 収穫前だし、金もあんまり出せねぇぞ」
「出さなきゃしょうがあるめぇ。このままじゃ、その収穫そのものがなくなっちまうかも知れねぇんだぞ?」
「決まりだな。呼ぶなら、さっさと呼んだ方がいい。誰かキエフまで馬を‥‥」
●
誰が呼びに行くか、報酬はどうするか。
活発に言葉を交わし合う村人達を、寄り合い所の天井裏から、興味深げに見つめる三匹の鼠たち。
鼠たちは互いに頷き合い、こっそりと天井裏から姿を消す。
『依頼内容:村で悪戯を繰り返す悪魔達を退治、もしくは二度と村に近寄らせないようにすること』
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●冒険者ギルドより、初心者冒険者に対する幾つかの助言
・今回の敵は、依頼人の目撃談からデビル「アガチオン」かと思われます
・デビルは変幻自在の変身能力を持ち、魔法と魔法の武器以外は全く効きません
・アガチオンは、ある程度のダメージを受けると、すぐに降伏してしまうと言われています。
降伏の際、相手に対して何か簡単な願い事を一つだけ叶えてくれる事も(その後はすぐに逃げ出してしまいます)
・ただし、アガチオンは願い事をわざと曲解したりするので、まともに相手をせず、さっさとやっつけてしまった方がよいでしょう。
どちらにしろ、本来的には力の弱いデビルなので、大したことは出来ません
・アガチオンはデビルにしては珍しく、昼間以外は出現しません
●リプレイ本文
『お―――』
冒険者達、三人の声が綺麗にハモる。
もう何しろ、感心するしかないだろう。
麦畑のど真ん中に、これでもかという勢いで、どっさり盛られた泥の山。如何に悪魔といえども、まあよくもここまで手間の掛かる悪戯が出来たものだ。
冒険者達が悪魔の被害状況について村人に尋ねたところ、案内されたのがこの畑である。
ご丁寧に、不快な匂いまで添付されたそのデビルの意欲作の前で、畑の持ち主である村の男は窮状を訴えた。
「見て下さい、この畑の荒らし様を! 初めの方はまだそれ程でもなかったんですが、最近じゃ悪戯はいよいよ悪質さを増すばかり。追っても払っても蛙の面に小便で、もうほとほと手を焼いているんです」
「成る程、嘆かれるのも無理はない」
ヴィタリー・チャイカ(ec5023)が嘆く男の手を取り、理解を示す。被害の惨状については、確かに大変よく理解出来た。
「安心して下さい。私たちが来たからには、このような事、もう二度とさせません」
「そうそう。おじさん、元気出しなよ。自分達が来たからには、デビルなんか軽くフルボッコだ!」
ヴィタリーの背後から、フレム・ヒキタテ(ec5395)とクォル・トーン(ec5651)も言葉を継いだ。
黒のクレリックのヴィタリー、白のクレリックのフレム、そして地のウィザードのクォル。
この三名が、今回の依頼を引き受けた冒険者である。メンバーの全員が魔法を駆使するこのパーティーなら、通常の武器の全く効かぬデビル相手でも、戦力を減らす心配はない。むしろホーリー、ブラックホーリーを主要な攻撃手段とする彼らにとっては、デビル退治こそが本業とも言えるだろう。
勿論多少の不安要素もある。
ピーチクパーチク。それは例えば、立ち木の梢から投げかけられる、これ見よがしなこんな言葉で表される。
「フルボッコだって! 戦士の一人もいないのに! ピーチク」
「何しろ、コレが初陣だから。大きな事も言ってみたくなるものさ! パーチク」
「冒険のイロハも知らないのに。俺達が教えてやろうか? チュンチュンチュン」
ぴくり。
あまりに失礼な物言いに、三人の余裕の笑顔が引きつった。
素早く声のする方向を振り返った三人は、やや離れた木の枝先からこちらを見下ろす、三匹の小鳥を目にする。
いやらしい目つき。
呪文を警戒しているのだろう、決して近くには寄らぬ身の処し方。
なにより人を相手に、流暢に嫌味を言う鳥など自然に居ようはずもない。
デビルである。
慌てて村の男は手にした鍬を構え、ヴィタリーやフレムもホーリーシンボルを掌に握り込んだ。
一方、三匹の小鳥―――デビルは、身構える冒険者達を見ても、涼しい顔で相も変わらずさえずり続ける。
「教えてやろう! イロハのイ!」
「ついてこれるか? イロハのロ」
「逃げ出す逃げ出す、泣いて逃げるね。イロハのハ♪」
チュンチュンチュン♪
高らかに笑う小鳥。
これはかなり腹が立つ。何しろ、半ば以上『ずばり』と当っているだけに。
前衛職がいないのも本当で、三人の内、ヴィタリーを除く他の二人が初陣なのも本当だ。
「ちょっと、貴方たち、待ちなさい! こらーっ!!」
真っ赤な顔をしたフレムがメイス片手に立ち木へ向かうが、一足早く、小鳥たちは枝を揺らして、チュンチュンピーチク、小馬鹿にしたさえずりを残して村の方へと飛び去っていく。
‥‥小鳥を見送りながら、村の男はヴィタリーに心配げに問いかける。
「い、今の悪魔が言っていたこと、本当でしょうか? クレリック様、本当に大丈夫なんですか?」
「ある程度は確かに図星だな。だが‥‥」
「‥‥だが?」
ごくりとつばを飲み込む男を振り返り、ヴィタリーは破顔一笑。
「なぁに、心配しなくても大丈夫! 何しろ、俺達にはこれがあるんだからな!」
男の肩をぽんと叩き、ヴィタリーは懐から鮮やかな青い鉱石のような物を取り出した。
陽の光を鈍く反射するその鉱石は、その濃い青色とも相まって、遠目からにもよく映える。
「そ、その宝石は‥‥?」
「‥‥これが秘密の元なんだ。そうだな、不安にさせたお詫びに、特別に! おじさんにだけ教えてあげよう。これはだな‥‥」
秘密めかしている割に、ヴィタリーの声は大きい。
先程の不安も忘れてヴィタリーの話に聞き入る男の後ろでは、クォルとフレムが意味ありげにこっそり目配せ。
ヴィタリーの掌からちらちらと覗く青い結晶。
―――それを遠くから見つめている、三匹の小鳥。
●
翌日。
「冒険者は、どうやらスゴイ宝石を持っているらしいな」
「いやいや、俺は悪魔退治の秘密兵器って聞いたぞ?」
「とにかく物凄く貴重な物だそうだ。村長から、宝石箱も借り出したそうだぞ!」
何やら、冒険者達はスゴイ宝石を持っているらしい。
そんな何処からか出回った噂は、真偽も曖昧なままに、一晩であっという間に村中に知れ渡っていた。
村を荒らし回るデビルと冒険者の勝負の行方は、そうでなくても村一番の関心事である。滞在中の宿屋代わりにと冒険者に貸し与えられた一軒家は、宝石の噂と相まって、村中の注目を一身に集める存在と化していた。
「いやぁ、広い部屋がある家がいいとは言ったけど、こんないい家を貸してくれるなんてね。自分、もうこの村に住んじゃおうかな」
「クォルさんたら。あんまり呑気な事言っててはいけませんよ? 村中が私たちに期待してくれているんです。それに、デビルは今でも、きっとこの近くにいるんですから‥‥」
家の中では、居間に置かれたテーブルの椅子に、三人が思い思いに腰をかけていた。
居間の隣には、寝室用の広い部屋と小さな部屋。家の裏には小川が流れ、ちゃんと馬小屋兼用の納屋までついている。『戸締まりが出来て、多少広い部屋のある家を』という冒険者達の希望に、丁度ぴったりのいい物件だ。
そして、その居間のテーブルの上には、錠前のついた頑丈そうな木箱が一つ。村で広まっている噂の通り、冒険者達が昨夜村長の家から借り出した物である。
「‥‥フレム、デビルは今でもこの近くにいるかな?」
テーブル越しのヴィタリーの質問に、フレムはデティクトアンデッドの呪文を唱える。変幻自在に姿を変えるデビルを探知、判別する、数少ない呪文の内の一つだ。呪文はすぐに反応を返す。
「―――います。一匹、家の正面の、多分立ち木の枝の上。噂が効いたのか、昼前から、時々この家を見張ってるみたいですね」
「立ち木の上となると、鳥か猫か‥‥‥‥あまり時間をおいて気が変わられても面倒だな。よし、やろう!」
がたりと席を立つヴィタリー。
ヴィタリーに続いて、クォル、フレムも席を立つ。
作戦決行の時。
●
作戦名称「冒険者達が大事な宝石を持っていると村中に噂を流し、悪戯心から家の中にノコノコ誘われて入ってきたデビルを部屋に閉じ込めて、逃がさないようにした上でやっつけよう」大作戦。
敵の数は複数であり、また、追い詰めるたびに蝿や鳥になって逃げられてはたまらない。
逆に、一度狭いところに追い込んでしまえば、本来さして力のない小悪魔風情。如何に新米揃いとはいえ、冒険者側が後れを取ることもないだろう。‥‥とまあ、そう言う作戦である。
昨日、村の男にヴィタリーが宝石を見せびらかしたのも作戦の内。
実際あの石は多少高価なだけの、ただのフルオライトという宝石なのだが、何せ普段宝石を見慣れぬ村人のこと。三人があちこちに触れ回った噂は、純朴な村人達の間で予想以上の広がりを見せていた。デビルの耳にも、その噂は確実に届いたことだろう。悪戯好きの彼らが、この絶好の対象を見逃すはずがない!
ヴィタリーは懐からフルオライトを取り出し、それを箱の中へ。錠前をわざと外したままの箱を、居間から隣の寝室へと置いてくる。フレムは寝室内の物入れに身を潜め、ヴィタリーとクォルは家の正面口から外へ出た。冒険者全員が家を留守にしたように見せかけ、デビルの侵入を誘うのである。
「さあ、クォル。また村の巡回だ! 今度こそはデビルらを見つけ出して、捕まえてやろう!」
「そういえば、ヴィタリーさん! フレムさんは一体、何処へ行ったんだろうね?」
「昼前に、村長の家にデビルについて話を聞きに行くとか言ってたなぁ!」
多少わざとらしいのはご愛敬。
二人は家の正面の立ち木からの視線を十分に意識しつつ、声高らかに偽情報を振りまきながら村の通りを歩いていく。他の家の壁に木立からの視線が遮られたと見るや、二人は素早く壁を伝って通りを裏へ。幸い、借りた家は小川の土手沿いに並んでいる。土手の影に身を潜めるようにして家の裏口から戻ってきた二人は、こっそり居間に置かれた物入れへその身を隠すことに成功した。
「‥‥せ、狭いよ、ヴィタリーさん」
「く、これは、誤算だった‥‥」
●
元々その物入れは、多少の衣服を収めるためのただの大きな箱である。
大の男二人が隠れるには些か窮屈すぎる代物だったが、幸い、デビルの方もあまり気長なタイプではなかったらしい。
鍵の掛かってない家の扉を開いて三匹の猫が入ってきたのは、それから僅か数分後のことであった。
「ニャハハ、よしよし、確かに誰もいないぞ」
「ニャー。本当に宝石はあるのかな?」
「ニャアニャア。俺見たぞ。なんか青い石だった。割ってやるのは簡単だが、傷だらけにした上で、馬糞を刷り込んでやるのも悪くないな!」
ケタケタと笑いながら居間に入ってくる三匹の猫。
フレムのデティクトアンデッドに頼るまでもない。猫たちのその物言いだけでも、デビル以外ありえない。冒険者達は窮屈な物入れの中で息を殺し、デビル猫が寝室の中に入ってくるのを待っている。居間では隙間や出入り口が多すぎて、虫にでもなられては逃げられる恐れがあるからだ。
(く、は、はやく部屋に入れ!)
ヴィタリーは長身故に、姿勢がきつい。おかしな姿勢で物入れに収まったせいで、背骨と首が明後日の方向にねじ曲がる。真っ暗闇の物入れの中でも、クォルにはヴィタリーの苦境が感じられた。
(大丈夫? ヴィタリーさん)
(くっくく‥‥苦しい‥‥)
「ん? 今何か音がしたかニャ?」
「ナー。気が付かなかったな」
「いや、そう言われると何か人の気配が‥‥ニャ?」
訝しげなデビル猫の声に、冒険者ら三人はぴたりと息を止める。
そのまま、五秒。十秒。四十秒―――
寝室と居間に置かれた二つの物入れが、内側からぶるぶる震えているのをデビル達に気取られなかったのは幸いだ。一分近くそうしていた猫達もようやく納得したのか、居間を後に、三匹揃って木箱の置いた部屋へと向かっていく。
「もしや何かの罠かもと思ったが、まああいつら馬鹿そうだったし、そんなことないか。ニャハハ♪」
「馬鹿だ馬鹿だ、大馬鹿だ。そら見ろ、あったぞ! 箱がこんな所に置いてある! ニャン」
「ニャーニャー、開けろ開けろ、宝石とやらを見てやろう」
馬鹿だ馬鹿だと大きく連呼。
デビル猫たちが錠前の開いた箱の蓋に手をかけたその瞬間。
謂われのない侮辱に、窮屈な姿勢。息を殺して耐えてきた、三人の我慢が遂に爆発。
冒険者達がそれぞれの物入れから飛び出した!
「貴方たち、もう逃げられませんよ! 神妙になさい!」
●
部屋の物入れから飛び出したフレムの第一声。
それを聞いたデビル猫たちの驚くまいことか!
重いメイスを物入れの中に置いたまま、身軽になったフレムはホーリーの術をデビル猫の一匹へ。完全に不意を突かれたデビル猫は、聖なる白い光に包まれて抵抗も出来ずに叫び声を上げる。
驚き、逃げ出そうとしたもう二匹のデビル猫も、居間から突入して来たヴィタリー、クォルらと鉢合わせ。
唯一の脱出口である部屋の扉は、クォルの手によって完全に閉じられた。これで、例え蝿に変身したとしてもこの部屋からは逃げ出せない。
「わ、罠か! ずるい、卑怯だぞ!」
進退窮まったデビル達が、冒険者達にその本性を現した。
猫の姿がみるみる内に、シフール並みの小柄な醜い小鬼へと変わっていく。冒険者ギルドで聞いた通りの姿。これが下級デビル、アガチオンの真の姿なのだろう。だが、これでは猫か鳥の姿の方がなんぼかマシだ。
可愛くない本性を現したアガチオン達は破れかぶれの反攻を試みるが、レミエラを埋め込んだヴィタリーの防具の前に、悪魔の小さな牙は文字通りに歯が立たない。ホーリーやブラックホーリーに追い回され、逃げた先ではこれまた重い杖と盾を捨て、クリスタルソードを握ったクォルに剣を向けられる。間違って斬られでもしたら、運がよくても重傷だ。
冒険者側に多少のひっかき傷と噛み傷を残し、アガチオンらが全面降伏をしたのは、それからたった三分後のことであった。
「さあ、どうしてやろうかな?」
三匹まとめてロープで縛られたアガチオン達に、クォルは残忍な笑顔でクリスタルソードを向ける。
「どうしてやりましょうか。貴方たち、反省しています?」
にっこり笑顔のフレムの手の上で、白く輝くホーリーの光。
「俺は信用できないな。父なる神に徒なす悪魔め‥‥せめてもの神の慈悲。永遠に眠らせてやろう」
アゴを突き出し、悪魔に食い付かんばかりの勢いでヴィタリーは歯をガチガチと鳴らす。
冒険者達、三者三葉の魔力の痛さは、既に骨身に染みている。
ロープに縛られた三匹は、窮屈な姿勢のまま必死に頭を下げた。
「た、助けてくれ! 俺たちゃ悪戯するのがせいぜいの可愛らしい小悪魔なんだ。な、そうだ、お前達の願い事を一つ叶えてやるからさ!」
「そ、そうだそうだ。叶えてやるぞ、願い事! 金か、女か? 何でも言ってくれ」
「反省した反省した。だから願い事の代わりに、俺達を逃がしてくれよ、な? な?」
どうにも余程お灸が効いたらしい。心底の恐怖に震え、必死に命乞いをするアガチオンらに、ヴィタリーはしかめっ面を崩さぬまま、こう宣言した。
曰く「他の二匹が二度と悪さをしないよう、お前達は永遠に互いを見張るんだ」と。
「そんな殺生な!」
「横暴だ!」
「勝手な事言うんじゃねーぞ!」
一斉に反抗の声を上げるアガチオンらの首に、クォルは水晶剣をヒタリと当てる。
途端に押し黙ったデビル達に、フレムの最後通牒が告げられた。
「もう一度伺います。貴方たち三匹はそれぞれ、自分以外の他の二匹が悪さをしないよう、永遠に互いを見張り合いなさい。悪さをした者がいたら、それを必ず止めること。いいですね?」
事ここに至り、もはや是非もなし。
アガチオンら三匹は、長い長い煩悶の後、ついに冒険者達の『願い事』を聞き入れた。
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村人の歓呼の声の中、冒険者達が去っていく。
忘れっぽいアガチオン達の我慢が、いつまで続くのかは判らない。
それでも、村は何とかまた、実りと収穫の秋を迎えることが出来たのだった。
今年の収穫祭は、きっと大きく盛り上がることだろう。