【黙示録】ハルファス急襲
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■ショートシナリオ担当：谷山灯夜 対応レベル：11〜ｌｖ 難易度：やや難 成功報酬：7 G 30 C 参加人数：6人 サポート参加人数：-人 冒険期間：02月12日〜02月17日 リプレイ公開日：2009年02月23日 |
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●オープニング
厳寒のロシア。雪に閉ざされ朽ちた森の奥。ここには生命を感じるものは一切ない。そこに天空より一羽の鳥が舞い降りてきた。その姿を敢えて言うなら鳩の形状をした何かである。しかし羽は暗黒に染まり目は血の色に輝いていた。手、というべきなのだろうか。翼の途中には一振りの剣が握られている。まさに見る者全てに不吉な予感を感じさせるその姿。それがゆっくりと地表に降りた瞬間、黒き影たちが森の奥から次々と現れては鳩の姿をもつそれに跪く。
集まった黒い影で森の一角が埋め尽くされた。デビルに精通する者なら影の種が判るかも知れない。インプ、アガチオン、クルード、グレムリン、インキュバス、サキュバス、グルマルキン、アクババ、エフィアルテス、グザフォン、リリス、ネルガル‥‥。
「地表から来た人間達の手に掛かりケルベロスが討たれた訳だが。地表にはそれなりの猛者がいるのか今の我には判らん。或いは貴様らが人間の侵攻を見ているだけの役立たずだった事も懸念される。今更言うのも詮無き事だが地獄の価値観はただ一つだ。強さが全てであり弱さは罪である」
しわがれた声が、まるで誰もいないような静寂に包まれた森の中で不気味に響きたる。はっ、と一斉に口を揃えて返答を行う。
「ハルファスの名において貴様らに命ずる。遠からず進軍を開始する。各々それまでに作戦内容を熟知し一糸乱れぬ作戦行動を行うように」
凍てつくような月の輝きを受けて輝く剣を手にしたハルファスは、唐突に剣を振りたい衝動に駆られた。それは渇きにも似た欲望だった。
「待て。暫く人間の血で喉を潤おす機会が無かった。軽く肩慣らしに出たい。貴様らも付き合え」
直接声を掛けられた数体のデビルが了と答えハルファスの後を追った。
そして。
キエフからほど近い洞窟に、死した聖者や修道士を祀る地下墓地があった。中では修道士が死者の霊を慰めながら日々の研鑽を行っている。
猛吹雪の夜。洞窟の入り口に場違いな格好の女が近寄ってきた。肌が透けて見えそうなほど薄い生地のドレスを纏うも右の太ももが大きく露出している。吹雪だというのに平然と歩く姿に修道士が危険を感じ侵入を阻止すべく前に立ち塞がった。
「奥の皆に伝えよ。見ろ、奴は呼吸をしていない。デビルが来たぞ！」
白い息を吐かずに薄着でやってくる。それは生者ではない証拠である。修道士たちは一斉に神の御名を唱えてから魔法の詠唱に入った。
だが、相手は気にする素振りも見せず前に前にと進んでくる。
中から現れた修道士も加え、全員での攻撃が開始される。しかしそれは全て未完成で終わりを迎える事になった。魔法が完成した瞬間、女が妖しく微笑んだ。
それからは何が起こったのか修道士たちには判らなかった。女に向けて放った魔法が、何故同胞への攻撃になったのか。そして何故、自分が同胞に攻撃を受けたのか。
目の前に立っているのは女ではなく先刻まで隣にいた仲間がこちらを向いて立っていたのである。
「なぜ‥‥」
ふたりが同時に同じ問いを投げた時、それを待ち構えていたようにデビルが次々と襲い掛かって来た。勇敢に闘い続ける修道士もいた。アクババの内数体が倒されて落下する。取り囲むリリスも容易に手が出せず攻めあぐねていた。
「ネルガルは壁。マレブランケ、前に」
指名されたネルガルが詠唱を行うと周囲に黒い霧が立ち込めて行く。スモークフィールドに包まれた中に全身が真っ黒の、羽を生やしたオーガのようなデビルが飛び込むと次々に修道士を爪で切り裂いていく。
「生きたまま血と肉、そして魂を搾り取るのだ。苦痛に満たされた魂ほど美味なる物はない」
「ハルファス様の仰せである。一人残さず、血の一滴、肉の一片も残さず喰らおうではないか」
おお、と歓声が上がる。血に濡れた饗宴が始まったのだ。魂を抜かれ生きたまま喰らい尽くされた修道士が次々とズゥンビに変えられて行く。愉悦の笑みを浮かべながらその模様を見ていたハルファスが、急に思いついたようにデビルへと指示を加えた。
「もし冒険者とやらが来るのなら貴様らが戦え。ロシアの冒険者が我と戦うに値するのか判らぬ故、今回我は見物させて貰うに留めよう」
荒い息のまま倒れている修道士の胸へと手刀を刺し、ハルファスは血に濡れた心の臓を取り出し血を絞って喉を潤おした。
「尤も。来るなら剣を交えるのも一興だがな」
修道士の地下墓地にデビルが現れたという報がキエフに届く。現状が見えない以上、聖地に軍を送るのも躊躇された経緯の結果、冒険者ギルドに正式な依頼が届く。
曰く、「洞窟に陣取ったと思われるデビルを掃討して欲しい」と。
●今回の参加者
ea2181 ディアルト・ヘレス（31歳・♂・テンプルナイト・人間・ノルマン王国）ea3026 サラサ・フローライト（27歳・♀・ウィザード・エルフ・イギリス王国）
ea3190 真幌葉 京士郎（36歳・♂・ナイト・人間・ジャパン）
ea4202 イグニス・ヴァリアント（21歳・♂・ファイター・エルフ・イギリス王国）
ec0038 イリーナ・ベーラヤ（32歳・♀・ナイト・ハーフエルフ・ロシア王国）
ec3237 馬 若飛（34歳・♂・ファイター・ハーフエルフ・華仙教大国）
●リプレイ本文
「デビルについて教えて欲しい」サラサ・フローライト（ea3026）は洞窟の中を覗き込みながらリヴィールタイムを詠唱するとイグニス・ヴァリアント（ea4202）に問いかける。
ここは修道士達が眠る地下墓地と聞く、いわば聖地である。その聖地にデビルが現れたとの報があり、６人の冒険者が調査に急行した。地下墓地の入り口が見える付近までは慎重に足を進めたが特に不自然な動きは見えなかった。だが、それこそがまさしく不自然である。だれもいないのだ。場所柄的に活気がある所とは言えないにしても、それでも聖地を護衛しているはずの護衛、出入りする修道士、その全ての姿が見えないのは異常である。サラサに問われたイグニスは着込んだ防寒着を脱ぎながらデビルに関する知識を情報として提供する。それはインプから始まり詳細に及んだ。邪魅や縊鬼と言った聞いた事もないようなデビルの名も挙がる。
「アクババはハゲタカのようなデビルでその爪で捕えられ空へとさらう。エフィアルテスは夢に現れ憑依するデビルだがカウンター主体で戦うらしい。グザフォンは炎を噴出す大きなふいごを持ったデビルでリリス、ネルガルは悪魔の魔法と火の魔法を使う‥‥」
「悪魔が占拠する価値がある場所なのか…その行動、どうにも腑に落ちん。何か嫌な予感がするな」
真幌葉京士郎（ea3190）が呟く。その足取りに油断はない。オーラエリベイションとオーラボディ、オーラパワーを詠唱することで不測の事態に備えた。
ディアルト・ヘレス（ea2181）が愛馬であるペガサスのアテナと共にレジストデビルを付与していった。
「これで精神への攻撃も回避できるはずです」
その前を歩く馬若飛（ec3237）は腕を組みながら思案していた。京士郎も感じていたことだがデビルが襲撃した意図が見えないのだ。
「その地下墓地って特にデビルが狙うようなものは無いんだな？ これ、特に意味無く襲ったとかだと嫌だな」
あるいは、若飛が思う通りなのかも知れないと冒険者たちは少しだけ首をすくめた。目の前に広がる深い闇の中から何か得体の知れないようなプレッシャーが押し寄せて来るのが判るのだ。それは幾多の修羅場を切り抜けて来たからこそ判る見切りとも言えた。戦場で生死を分けるのはこの見切りが出来るか出来ないかにも拠るだろう。
「とにかく、前に進みましょう。デビルが戦隊みたいな感じでくるならそれはそれで」
戦隊というよりヘンタイね、とイリーナ・ベーラヤ（ec0038）は小声でジョークを飛ばすと、ふふ、という苦笑が周囲から漏れる。
「心は緊張を保ちながら体は常にリラックス、ですね」
後方に位置するディアルトが軽く肩を動かす。一歩進むごとに深くなる瘴気を感じながらも冒険者は前へと進んで行った。
交戦は唐突だった。地下墓地に入ってから半刻が過ぎたとサラサが伝えた時、闇の中から巨大なふいごが現れた。それは冒険者に向かい炎の塊を撃って来た。炎はイリーナに命中し音を立てて炸裂する。猿のような顔をしているデビルが声をあげて嘲笑した、その瞬間。
「全っ然相手にならないわね、本体の力を解放しなさいよ」
炎を受けたはずのイリーナが剛剣を振り下ろす。そして返す刀で首を刎ね飛ばした。
「シャドウバイディング！」
上方を警戒し続けていたサラサは、洞窟の天井から冒険者目掛けて襲ってくる影を発見する。イグニスに聞いていたアクババだ。ライトに照らされ伸びるその影に向かい高速で詠唱を行う。二度、詠唱するも回避された。
「俺が隙を作る！ 飛行できてもこの洞窟内じゃヒットアンドアウェイってわけにゃ行かないぜ」
若飛がサラサとアクババとの間に入り込み爪から繰り出される攻撃を巧みにかわしながら攻撃を繰り出していった。逆に若飛の振り下ろす金鎚・ミョルニルの攻撃を受けてアクババは地に落とされる。その着地した僅かな瞬間をサラサが見逃す事は無かった。影を磔にされたアクババはミョルニルに撃たれ、そのまま消えてしまった。
エフィアルテスと思われるデビルは京士郎の足元で転がっていた。京士郎の剣戟をカウンターで返そうと試みたが、オーラパワーで強化された京士郎のそれは反撃できる許容量を超えていたらしい。
展開されたカオスフィールドの内部でネルガルへと向かったイグニスの至近距離からのダブルアタックが炸裂する。魅了の攻撃を試みたリリスはサラサとディアルトが当たっている。最初の数刻で味方を大きく減らされたデビルに、勝機が回ってくる事は無かった。
「どうやら結構な大物がいるようだな‥‥」
戦闘が終わり息を整えていた皆にイグニスが警戒の声をあげる。
のっそりと大きな影が現れる。２ｍほどの巨躯に黒い羽が生えている。顔はまるでオーガのようであり口から鋭い牙が見えている。
「こいつは‥‥。俺にもわからねえ。みんな、気をつけろ。どうも中級クラスのデビルってヤツらしいぜ」
イグニスが皆に警告を送ったその時であった。
「地獄の獄卒、マレブランケに挑む痴れ者よ。『動きを、止めろ』」
体を揺するような声が襲い掛かって来た。だがディアルトが付与したレジストデビルがそれを拒絶させた。
「エヴォられる前に、速攻で決めさせて貰うぞ！」
京士郎のオーラマックスが発動し薄桃色の光が洞窟内に充満する。マレブランケが如何なる攻撃手段を持っているか分からない以上、一度受けた攻撃の無効化をするエヴォリューションへの警戒は当然だった。旋風のような京士郎の攻撃を受けきれずマレブランケはその傷を大きくして行く。
「双撃の刃、その身に刻め！」
イグニスが放つソニックブームは肌を覆っている鎧の隙間を抜けて傷を切り裂く。満身創痍となりながら冒険者めがけて爪を振り下ろそうとするマレブランケの攻撃をかわし、若飛がミョルニルを撃つ。
「意外と、もろいヤツなのかも知れんな」
達人レベルの格闘能力を持つ者から見れば、マレブランケの攻撃は一直線すぎるように見えた。
「術士のタイプなのかも知れないな」
後ろから援護のムーンアローを放ち続けていたサラサが推測する。
「もう一息で倒せそうですが‥‥。油断は禁物ですね」
ディアルトとアテネが再びレジストデビルを付与する。
「それにしても『本体の力』？ あれをなんで使わないの」
イリーナがマレブランケの前に無造作とも思える構えで体を曝した。
「愚弄するか、人間の小娘が」
だが、マレブランケの体から黒い煙が上がる事はなかった。激情に任せてイリーナの首筋目掛けて噛み付いて来る。
だがマレブランケの牙は宙を切りそのまま体勢を大きく崩してしまう。その頭上目掛けてイリーナのカオススレイヤーが叩き落された。薄いドレスの左がはだけ美しい脚が露出していたので男達は思わず目を逸らしつつも賞賛の声を上げる。
「ちょっと待て」
サラサが歓喜の声を上げる皆を制した。洞窟の更に奥の方からこちらを見つめる視線を感じたのだ。こつこつと歩み寄ってくる靴音が次第に響いてくる。
「中々良い物を見させて貰った。まずは礼を言おうか」
右足を大きく露出させるドレスはギリシア風の装いにも見える。こちらを見据える目は紅く、その姿は美しい女性であった。地下墓地である洞窟にいるにはあまりに場違いなその姿かたちであるが、容姿とは裏腹に発せられる声は不気味にしわがれており、まるで地獄の底から湧き上がる怨嗟の声のようにも感じられた。冒険者たちは皆、ごくりと唾を飲み手に汗を感じる。先刻戦ったマレブランケが中級クラスではないかとイグニスは言ったが、ならばこの圧倒的な威圧感を出す存在は何者になるのか。
「客人に名を名乗らないでは諸侯の名を汚す、というものだな。我が名はハルファスと言う。地獄では伯の位を冠している」
「服装面だけなら私とキャラ、被っているなぁ‥‥」
イリーナは嫌な汗を背中に感じながら、それでも強きにジョークを飛ばしてみた。
「面白いことを言うものだが、確かに汝の着ている服は嫌いではない。動きやすく実用的ではないか。戦場において機動力は重要だ」
どうも話が噛み合わないがハルファスは無類の戦好きなデビルらしかった。
「我は汝らが少し気に入った。我が姿を現してもいきなり襲ってくる事は自制している。強敵の前で引く勇気と決断を持てる者は強い」
聞く方には不快でしかないざらざらとした声でハルファスは話を続けた。
「『本体の力』とは何だ？ 何故使うデビルと使わないデビルがいる？」
イグニスとサラサが問いかける。返答は期待していなかった。だがハルファスは少し思案した後に答を返して来た。
「『本体の力』を知っているとはな。呼び寄せるのに僅かではあるが時間が掛かるのは判っているのだろう？」
それが答だ、とハルファスは言い放つ。真偽は分からないが相手が強くなることを寧ろこのデビルは悦ぶような気配を感じ取った。
「他に用がなければ我は去ろう。今度会う時は戦場になるだろうがそれまで壮健にな」
ハルファスが冒険者に向けて何かを放った。各人がそれを手で受け止める。レミエラの欠片がその手に握られていた。
「何を不思議そうな顔をする。汝らはそれを誰が作ったかも知らないで使っているのか？ 確かに今は我らでなくとも生産が可能だから詮無き事でもあるがな」
それ以降冒険者に興味を無くしたようにハルファスは洞窟の奥へと戻ろうとしていた。背後から襲撃される事を警戒しながらも冒険者たちは洞窟を後にしようとした。
「一手、お相手願えますか？」
一番後ろに位置していたディアルトが前に進む。後衛にいた彼は見てしまったのだ。魂を奪われ悶絶しながら死んで行ったとしか思えない修道士達の亡骸の一部を。友好的な雰囲気を持っていたとしても相手はデビルである。
「やる気か。口に出した以上『止めます』とは言えぬぞ」
足を止めたハルファスは振り返りもしないままディアルトに言葉を投げ返した。無言でそれを受け止めるディアルトに「面白い」とハルファスは正対する。腰から剣を抜く。不思議な剣だった。両刃の剣に見えるが一方の刃が潰されているように見える。
「来い」
ディアルトは貴族の慣わしに従い嵐の霊威を持つ剣・テンペストを顔の前で掲げる。ハルファスもそれに応じた。一撃、まずは当ててそのダメージを見たかった。魔力を持つ剣がハルファスに通じるか否か。その情報を得るためなら多少の傷は仕方がないとディアルトは飛び込む。
「意気は買う。汝のような男、決して嫌いではない」
だが、ディアルトの剣は虚空を斬るだけだった。
「オフシフトを使っていやがる‥‥」
イグニスが戦いの成り行きを見守りながらハルファスの繰り出す技を分析していた。ディアルトの攻撃は当たらない。そしてハルファスの攻撃は辛うじて盾で防げている状況が続いていた。このままではハルファスの攻撃がディアルトを切り刻むのが時間の問題と見えた。
「駄賃だ。取っておけ」
ハルファスがにやりと笑った。大きく振りかざした剣を反転させると潰している刃の側でディアルトのテンペストを叩きつけた。
「ディザーム！？」
戦いの趨勢を見守っていた冒険者が驚愕する。デビルと対峙する時に拠り所になる魔法武器を叩き落す素振りをこのデビルは見せたのだ。
「‥‥そうそう、あなたの思い通りにはなりませんよ」
だが、ディアルトの手にテンペストは残っていた。
「ふん。闘気では負けないとでも言いたそうだな」
格好をつけようとして失敗したようにハルファスが白けた感情を隠す事無く見せた。
「だが、駄賃をやるといった以上ただでは帰さぬ。次こそ剣を思う存分に交えようではないか。汝らの顔、覚えておくぞ」
ディアルトに向けていた剣を地面に突き刺すと、ハルファスは何かを念じる素振りを見せた。瞬間、全員の体が何かに引っ張られるような衝撃を受ける。抵抗が出来なかった。全ては一瞬で終わった。冒険者は自分のいた位置が洞窟の中から空へと変わってしまったことに気付けたのは空から落ちて地面へと叩きつけられた後だった。
「ここは、キエフの街‥‥？」
気付けばそこはキエフの街の郊外だった。あの一瞬で移動に一日分かかる距離を運ばれたらしい。
「どうせ運ぶなら、空に放り投げなくともいいだろううよ」
若飛が軽傷を負った腕を擦りながらぶつぶつと文句を言う。
「大体の力は、分かった訳だけどな」
京士郎はしゃがみこみながら考えた。ハルファスの最大の能力。それは一瞬で軍を自由自在に動かす力であることが見て取れた。しかも殺す気は無かったから軽傷で済む高さに放った、としか思えなかった。これが人の軍相手に発揮されるとどうなるのか‥‥。
後日、冒険者の報告を受けて軍が地下墓地へと向かった。対悪魔用の装備を整え向かったが洞窟の中にハルファスの姿は無かった。しかし遠からずハルファスは襲ってくるだろう。自らの戦いへの欲求を満たすために。
