素体回収 〜砂浜のゴーレム運用
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■ショートシナリオ
担当:龍河流
対応レベル:8〜14lv
難易度:難しい
成功報酬:4 G 31 C
参加人数:10人
サポート参加人数:1人
冒険期間:05月12日〜05月20日
リプレイ公開日:2008年05月23日
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●オープニング
先のバの侵攻で、国内の多くの地域からゴーレム配備の希望が殺到している。実際に鎧騎士がいて運用でき、維持、管理も可能なところはまだ少数だが、そこだけ選んで配置しても結構な数が必要だ。挙げ句にカオスの魔物が局地的に出てくるところもあり、そこには鎧騎士も合わせて配備。
その昔はゴーレムもなしに恐獣とも戦ったではないかと言う者もいなくはなかろうが、ゴーレムがいれば死人がてきめんに減るのだから、脅威を感じるところはどこでも欲しがって不思議はない。少なくとも恐獣に、人だけで立ち向かう必要は、なくなったのだ。
ゴーレムさえあれば。
今現在、バの軍勢が捨てていったとしか思えない恐獣の脅威にさらされている地域では、なおのことその思いが強い。
依頼内容は、難破した船の荷物の回収。
難破場所は沿岸部で、遠浅の砂浜に大きな岩が転々と転がる光景が続く海岸だ。強風を避けようとして、浅瀬に入り込み、船底を岩に砕かれた。船は今も、その場に鎮座している。
そんな状態なので、潮の流れを読み違えなければ、積荷を別の船に積み替えることは本来は難しくない。だが今回の荷物は大型だった。
「ゴーレム素体用の石ですか。そうすると、大きさはええと」
「三メートル四方くらいか。途中でちょっと欠けても使えるように、大きめに切ってるから」
「それが三つ‥‥大型船ですね?」
「積み替えは中型帆船三つ。甲板に上げるのは多分無理だから、筏に石を括って浮くようにして、それを引っ張る予定だ。積み替えられれば、それに越したことはない」
石材運搬用の喫水の浅い船から、ゴーレム素体用の石材が零れて、砂地に三つとも落ちた。不幸中の幸いで、石材そのものは多少傷が付いたが使用に耐えうる状態だ。新たな船を出して、回収することになった。
もちろん三メートル四方の石材など、人の力で積み替えは難しい。用意された船は中型帆船だし、甲板上に上げようにも適した地形がない。砂地に転がる石材を動かして、甲板に上げるなど人が何人集まっても厳しかろう。船に積み込むのは、それ用に港が作られているから出来るのだ。
だから、石材の位置を直して、適切な位置に浮き代わりに筏を括りつけ、中型船が一隻で一つの石材を引っ張って帰ることになった。問題は、この作業をどうやって行うかだ。
「この間は砂漠でやったが、悪環境でのゴーレムの作業状況を確認して、新しい装備作りに活かそうって計画があってな。それに乗っ取って、モナルコスが借りられることになった。三機から六機」
機数に幅があるのは、鎧騎士の人数がどれだけ集まるか分からないからだ。最大六機まで、鎧騎士の人数に応じて貸し出しが認められることになっている。
そのモナルコスを船に積み込み、現地近くの岩場では船から降ろし、遠浅の岩が転がる砂浜で石材を筏に括りつける作業をする。
「なんか難しくないですか」
「難しいさ。こういうことは冒険者のほうが得意そうだから、人を集めに来たんじゃないか」
「船に積むのはメイディアの港だから、まあ足場の心配はないとして‥‥現地の岩場って桟橋みたいになっている場所ですか? ただの岩場だと、ゴーレムを下ろせない可能性もありますが」
「現地は見てきたが、ちょうど崖が切れたところに船が着けられる。手早く下りてくれれば、段差は一メートル位だから大丈夫だろう。そこから崖っぷちに沿って下ると、件の砂浜だ。腕前がよければ大丈夫」
代わりにそんな地形なので、フロートシップの降りる場所がなく、帆船が出ることになったそうだ。
「せめてゴーレムシップならよかったですね」
「でもその崖っぷち、帆船乗りの一部しか船を着けたことがないから無理だったんだよ」
ちなみにその場所、船は二隻までしか寄せられない。
難条件満載だが、モナルコスでどこまで動けるものか試す意味でも、腕前に自信がある者に期待しているとのこと。
●リプレイ本文
ゴーレムを船に乗せたり、岸に下ろしたりするのには、高度な技術が必要だろうか。
クーフス・クディグレフ(eb7992)のこの疑問には、鎧騎士スレイン・イルーザ(eb7880)、カーラ・アショーリカ(eb8306)、シファ・ジェンマ(ec4322)と、それと天界人の伊藤登志樹(eb4077)、龍堂光太(eb4257)が一機ずつモナルコスを乗船させて判明した。
「度胸だな」
技術的にはモナルコスを操るに必要な技量を満たして余りある腕前の者が集まっていたが、揺れる船に乗り移るのに少しでも躊躇うと時間が掛かって仕方がない。安全確認に気を取られていると、最初に確かめた船までの距離が少し変わっていたりして、思い切りよくえいやと乗り込んだほうがよほど姿勢が安定したなんてこともあった。
誰が今ひとつだったかは、この際どうでもよい。こつが分かれば、下船の時には問題がないだろうからだ。ただしゴーレムニストのイリア・アドミナル(ea2564)とラマーデ・エムイ(ec1984)は、そうした動作の片端から記録にとっている。
モナルコスを甲板に乗せ、船尾には石材を括りつけるための専用の筏と、浮き材としての丸太を多数積み込んで、喫水線が相当低くなっている中型船では、ハルナック・キシュディア(eb4189)と音無響(eb4482)が出航前に各船の船長達と細々とした相談、確認を行っていた。この二人は、ゴーレムと船の動きをあわせたりする行動に専門で従事する予定だ。
この段階で判明したこと。
石材を筏に積み込む前段階で、筏を作らねばならないかと考えていた人々の心配は杞憂だった。急造の筏で石材を積める強靭さを出せるか、ラマーデは設計図まで引く準備をしていたが、とりあえず最低限は大丈夫らしい。けれども河川用の筏を波がある海で使うので、補助に丸太が多数用意されていた。これの使い道は、行きの道中で再検討である。
それと、現地での活動用に色々と準備したほうがよかろうと思うものが上がったのだが。
「ゴーレム用の工作道具なんか積んでないぞ。工作兵じゃあるまいし、作ってどうする」
クーフスが要請したゴーレム用の手斧やナイフ、石材移動に使用する棒は、依頼人であるアストールが『細い丸太で我慢しろ』と返してくれた。アストールはゴーレムの装備は騎士と基本装備と同じで十分だという考えの人物のようだ。
スレインが四月に砂漠での実験に参加した際の経験から、水分の補給に幾つか注文を出したが、それらは船に載せた品物で大抵が賄えた。さすがに凍らせた水は船員にはいかんともしがたく、天候によりイリアのアイスコフィンを使うことにした。
出発日の海は凪いでいたが、風向きはよく、風も十分だったが‥‥
「なるほど、近い海域の割に時間が掛かるのは荷物のせいか」
船に詳しい音無が示された海路と往復の時間の差に悩んでいたが、ここで謎は解けていた。ゴーレム二機に丸太を載せた筏を括りつけた中型船は、風の具合がよくても船足は遅い。
帰路の天気を気にする者もいたが、そちらは大丈夫だろうと船長達も請け負ったので、今度はそうした天気や風、波の読み方を習っている者が数名出ていた。
往路は何事もなく、現地での手順など相談したりしているうちに到着した。
現地の潮の具合は、午前と午後に一度ずつ潮の道引きがある。時間としては、明朗な時間を計る時計が無いアストールは『午前と午後のどっちも真ん中』と不明朗な説明をしてくれた。干潮で石の周囲が砂地になるのは、どちらも一時間程度。作業時間はたいしてない。
そして到着日はすでに干潮時間を過ぎていたので、ラマーデと音無、ハルナックと伊藤が小船で石の周囲を確認することにした。ラマーデと伊藤は石を筏に括る位置の検討、音無とハルナックは砂浜のどこまで動かせば船に引かせるのにいいのかと指示がきちんと伝わるかの確認だ。
「あの筏、変わった形よね。どう考えても、この石を括ると少し前が持ち上がるけど、あんまり持ち上がったら波でひっくり返りそうだから」
「前は船が引くから、大丈夫だと思うけど?」
凹型の筏の図をざっくりと石板に描き付けているラマーデの後ろから、音無が中型船で筏を引く時の間合いなどを助言している。時に小船を操る船員と潮の流れを見て、どの石から運ぶのが容易いかも考えていた。
こちらは石板を囲むので、船尾で座り込んでの会話である。かたや、ハルナックと伊藤は。
「午後四時二十分。水深がこの位置で二メートル半‥‥くらいだな」
伊藤が時計を見ながら、アストールが貸してくれた重り付きのロープで水深を測っている。クーフスがモナルコスが水に浮き始める時は足が取られる感じか、何メートルくらいから浮くのかと気にしていたが、アストールは川に落ちて溺れかけた経験はあっても、海岸で満ち潮に巻き込まれたことは無い。
「波の具合では、足がとられるかもしれません。濡れた砂地であの重量ですから、転倒すると大変な勢いになるでしょうね」
ハルナックは風信器で中型船に報告を送っている。送受信具合、特に波の音が邪魔にならないかを確かめておかないと、明日からの作業に差し障るからだ。感度は地上と変わらず、波の音も報告が聞き取れないことはない。波が荒れて、声が届かなくなったら、その時は作業も危険と言うことだろう。
ハルナックと音無はゴーレムに搭乗せずに、外から動きの指示を出すつもりなので、点在する岩の距離なども確かめている。正確な距離の測り方はラマーデにも知恵を借り、技術は伊藤の助力も得て、宵闇が来るまでに大体の調査は終えていた。
その間、船に残った人々ものんびりしていたわけではない。
「それは無理。僕はそりゃゴーレムニストだけれど、鎧鍛冶師ではありませんから。それに外装をはがすと、強度が落ちるので」
ゴーレムの鎧を外すのは技術的に難しいし、危険でもあるから勧められないと、イリアに言われているのは龍堂だ。軽量化を測れば作業も円滑に進むのではないかと思ったが、停泊中の船の上で、専門家がいない状態では実行そのものが難しかった。イリアも様々な稼動状態の確認には興味があるが、不用意にゴーレムに手を出すことは出来かねる。またどの水深で浮き上がるか分からないのでは、軽くするのも行動阻害になるかもしれなかった。
「そっかー、浮いたときのことまでは考えなかったな。じゃあ、紐の掛け方でもおさらいしておくか」
龍堂は提案を断られたが、格別気にした様子もなく、次の作業に取り掛かっていた。筏に石を括りつけるのに、どう結んだら解けないかと相談していたら、船乗り達があれこれと教えてくれたのだ。問題はたいして器用ではないゴーレムの手で、覚えたばかりの結び方を実行できるかどうか。龍堂はせっせと練習に勤しんでいる。その様子はまた記録された。
そしてクーフスとスレインは、沖に停泊した中型船の上から、ゴーレムが石材を筏に括りつけた後に船を動かす手順の確認を、小船のハルナック達と行っている。目が良くて、ゴーレムを操る技術に長けた二人なら、沖からでもゴーレムと石材、筏の間隔がかなり正確に掴めるからだ。
「帰路はモナルコスをどうやって載せるかも考えないといけないな。筏を引いた状態では、岸には寄れないだろう」
細かいところまで気の回るクーフスが、途中で気付いた。確かに明日は船を岸に寄せて、それぞれに積み込んだゴーレムを下ろすのだが、あいにくと帰りはその方法は取り難い。筏をその辺に放置しておくことは出来ないからだ。
さて、どうしたものかと悩んでいると、多少は船のことも学んだスレインが手早く船長まで話を持っていった。こういう時は、専門家の意見を聞くのが一番だ。ただし、すぐにいい知恵が浮かぶとは限らない。
「先に載せないと、ゴーレムは置き去りだぜ。船から船へ乗り移るなんて真似は出来ねえだろ?」
「さすがにそれを、ここで試すのは無理があるだろう。ちょっと検討してみる」
彼らはゴーレムの素体材料の回収に来ているが、ゴーレムそのものを使用不可にしてしまっては意味がない。
小船が戻ってくる頃合になってもいい知恵が出ずにいたら、船内を駆け巡って、細々した仕事を片付けていたカーラとシファもやってきて、首を傾げた。シファが石板を持ってきたので、思いつくままに色々並べてみたが、すぐには使えそうな案にならない。
しかし、冒険者全員にアストールも加わって頭を悩ませているのに、カーラはまったくめげていなかった。色々と実現不可能なことまで、ともかく口にしている。
「なにしろ天界では丸太を使って船が陸地を移動したと聞くのらね。何かいい方法があるに違いないのら」
彼女がどこでそんなことを耳にしたかは不明ながら、丸太を使用して石材を運ぶことはすでに決まっている。それで労力が軽減できると皆が考えたからで、方法がないと諦めることは出来ない。
「これが書き終わったら、部屋に戻りますから」
「海に落ちるなよ」
ほとんど書記に徹していたシファが出た意見を一通り書き留めて、明日の作業があるのと灯り用の油が勿体無いので、この日は解散になった。
翌日、ゴーレム回収作業のことは順次相談することとして、まずはゴーレム六体を上陸させる。担当はハルナックと音無の二人だ。この二人は本日は指示要員だから、上陸作業は全て行った。ついでに海岸で、ゴーレムの腿の位置まで海に入り、浮かないことは確かめている。
実際の作業で搭乗するのは、スレイン、シファ、クーフス、伊藤、カーラ、龍堂、アストールの七人。搭乗する順に、イリアにウォーターダイヴの魔法を掛けてもらう。
そして六体全部が海に入ると緊急時に助けに行く機体がなくなるから、最初は四体で位置を変えると決めた石材を押してみた。まったく歯が立たないので、予定通りに砂を掘ったり、丸太を使ったりしてロープを掛け、丸太を下に入れ込んで、干潮になったら進行方向にも丸太を敷いて、引っ張った。ここまでの作業は、綿密に確認したので、行き違いもなく、位置や移動距離の指示も的確でなんら問題はなかったが。
「丸太が砂に埋まった。船の進水式あたりで、こういうときの対策はないか」
堅い地面なら転がる丸太が、湿った砂に埋もれて回らない。ロープをかけたので多少は石材も引っ張ると動くが、これで目的箇所まで動かしていたら予定日数では作業が終わらないだろう。
「砂、砂でしょう‥‥ピラミッドだって、砂の上のはず」
一時的に作業は止まったが、難破した船から板を取って、丸太の下に敷くことにした。船の解体は、手空きの船員も動員して、潮が満ちている間に行う。午後からは、再挑戦である。
「大丈夫、動いてます。まだ後ろ半分が砂浜なので、あと三歩は全力で引いてください」
ゴーレム側は、全力でロープを引くので、姿勢により視線が石材に向かない。砂と丸太の上ではかける力も異なるはずだから、指示は分かりやすくないといけない。
「そこでロープ掛けをしてもらって。筏に番号書いたとおりに結んでいけばいいようにしてあるから」
作業の手順も楽なように、準備はきちんと行われていた。問題は筏が波を被ると書いた番号が消えることがあること。これは次の日から、目立つ色の布も結びつけ、番号が消えたら色を伝えることにした。
「屈むと制御胞が水に浸かるだろう。風信器の通話が途切れたら、無理にでも起こすからな」
石にロープを掛けるのに、丸太にロープを結んで、石の下の砂地を掘る様に反対側に通したりもする。潮が干上がらないうちの作業だから、姿勢により水面より下に鎧騎士が入ることが予想された。これも実験のうちだが、溺れないように細心の注意が必要だ。
「頑張るのらよ。‥‥うわおぅっ」
幸いにして、魔法付与で溺れる者は出なかったが、制御胞に水が入ってくると風信器の音が良く聞き取れない。通話相手も搭乗者が何を言っているのか、よく分からなかった。それでも作業はきちんと進めているし、とっさの知恵で風信器の送信口を指で叩いて、溺れていないことを伝えてもいた。乱れのない音がすれば、無事は伝わってくる。
だが、問題は音のことばかりではなく。
「水の中って、景色が滲んで、ここは何処だって感じだな」
制御胞内に水が満ちた場合、視界があまり利きにくいのは普通に水中と変わらないことも分かった。緊急時には、もちろん対応が難しい。
「うわあっ、沈んだっ。後ろから引き上げるからな」
姿勢を崩して倒れこんだゴーレムを助けようとしたら、不意に浮き上がったので、二体転倒しかける騒ぎはあった。浮いてしまうとどう動いていいのか乗っている側も分からなくなるが、呼吸は確保されているから、慌てずに他の機体が助け起こす。
この後はどの方向から引き上げるのかを申し合わせておき、転倒した機体も動きを合わせられるようにしてみたが、あいにくか幸いか、浮いた機体は出なかった。
「わざと転ばせたりしたら、ユリディスせんせーに怒られるし」
報告書にするには事例不足だと悩む声もあったが、確かにわざわざ転倒させたくはない。また時間もなかった。
「現場の水深は計っておきましょう。波の具合は誰か分かるでしょうか」
それでも、その時々で叶う限りの状況の記録は書き留めておき、そのために船乗りの何人かはひたすらに波の様子を観察する仕事を手伝ってくれたりしている。もちろんゴーレムは石材を筏に結び付けるまで行うから、合間には搭乗した者が服を着替えて、ついでに干してと違うことでも忙しい。
「よし、これからその二機の回収に行く。筏の見張りもよろしく」
最後の石材を筏に結び付け、中型船が浜に回ってモナルコスを回収する。ここは筏も、沖に引かれたロープの先端も、ある限りの小船を出して位置を保持していた。モナルコスを載せ、筏のロープをきっちりと船尾に巻きつけて、ようやく依頼は終了だ。
「風向きよし、潮よし、時間よし。帰り着くまで、のんびりしてろよ。船長、頼む」
モナルコスも戻ったらよく洗ってやらなくてはと、アストールがのんびりと皆に言ったが‥‥もちろん、皆にたいして暇などない。
報告書を書くために細かいところを再確認したり、水中での動き具合の感覚を皆で突き合わせてみたり、仮に敵地に上陸するとしたら偵察で必要な事柄は何かと検討してみたり、普段の稼働時間との差を申告したり、風信器とテレパシーの併用や外装甲の目的地別変更を願ったり。一人では記録しきれないから、皆で手分けして書くことになる。
その中に入っていた要望に目を通したアストールが、
「別に防衛団なんぞと言わなくても、冒険者ギルドにゴーレム配備してくれでいいんじゃないか?」
新しく開発している機体があれば高価だろうが、その分働けば大丈夫と、実現性の不確かな発言をしてくれた。
やがて。
天界人三人、鎧騎士六人、ゴーレムニスト二人にゴーレム六体を載せ、これからゴーレムになる石材三つを引いた船団は、
「それで本当にいいのでしょうか、旦那様」
などと始めて、砕けた様子であれもこれもやって欲しいと皆が言い出せるくらいに、揺れも少なく、安全に帰路を辿っていった。