ゴーレム兵装、新規開発計画〜立案

■ショートシナリオ


担当:龍河流

対応レベル:8〜14lv

難易度:普通

成功報酬:3 G 32 C

参加人数:3人

サポート参加人数:-人

冒険期間:12月20日〜12月25日

リプレイ公開日:2008年12月30日

●オープニング

 メイのゴーレム工房の一室で、ゴーレムニストのエリカが真剣な顔で石板に何か書きつけ、計算を繰り返して二時間ほど。
 本来はゴーレム工房雇用ではなかったが、主君からエリカの護衛という名のお目付け役というか、世話係を命じられている鎧騎士のプロコピウス・アステールは、彼女の新しい仕事に関係する書状を預かって声を掛けた。
「ゴーレム全般の兵装強化計画の許可書が出ましたよ。予算もかなり出たので、計算は不要では?」
「誰がお金の計算してるのよ。聖夜祭とやらと月霊祭の予定よ。どう頑張っても、一日で七人は難しいわ」
「‥‥そんな無謀な逢引きの計画書を作っていないで、仕事に邁進してください。そうすれば断りの理由になりますから」
「あたしは男遊びが好き」
 だからって仕事をしているかと思えば、十人を突破して久しい恋人、愛人、下僕、出資者、その他諸々の関係の男性陣と会うための計画立案に時間を費やされても困るのだ。こんな人でも、ゴーレムニストだからして。
 ゆえにアステールが仕事をしろと身振りで示したところ、エリカは何か思いついたようでぽんと手を打った。
「使い古された手だけど、家庭持ちには祭りの日は家族と過ごせって言うことにするわ。うまく話を進めるためには、泣き顔の練習が必要ね」
 これでスケジュールはなんとかなると、エリカはたいして根拠のない自信に満ち溢れている。ちゃんと仕事をしてくれればアステールはいいのだが、毎日こういう調子で本当にゴーレム兵装の新開発など出来るものなのか。
 そう、今回エリカは長いこと要求していたゴーレムシップ新開発資金の捻出と交換条件で、ゴーレム機器全般の兵装強化を担当することになったのだ。それがうまくいけば、ゴーレムシップ開発資金が回ってくるらしい。
 どういう方策でそんなことを認めさせたかも良く分からないが、ともかくも開発を行わねばならない。エリカにどういう考えがあるかで、集められる人員も異なるのだが、
「冒険者ギルドで、ゴーレム機器の兵装に追加したいものの希望がある人を集めてきて。まずは作れるかどうかは置いといて、兵器や装備で戦局に役立つと思う代物をあげてもらいましょ。でも特定個人にしか使えないとか、無駄に金が掛かるものは駄目よ。あくまで一般兵装か、シップとチャリオットのための武装なんだから」
「ご自分で思案は?」
「小型の精霊砲を作って、人が運べるようにしたいわね」
「‥‥」
「天界には、そういうものがあるそうよ。ま、それはともかくね‥‥ランで内乱が始まったし、ウィルではゴーレム後発の分国も本腰を入れ始めたそうよ。うちもゴーレム以外にカオスの魔物に対抗できる手段を増やすことも考慮しながら、兵力増強に努めなきゃ。十発くらい撃てる精霊砲が出来ればいいのに」
 明らかに開発費用が掛かるものをあげるので、エリカの言うことはとりあえずおくことにして、アステールは冒険者ギルドへ依頼を出しに向かった。


 今回の新規開発目的は、以下のもの。
・主にゴーレムシップ、フロートシップなどで使用出来る武装の開発。限られた搭載量で、多数の効果を上げられる武器が主目的。(精霊砲が一台五発しか砲撃できないため、それを補うものが望ましい)
・人型ゴーレム武装も検討課題。ただしモナルコスが使用可能なものを基本とする。
・チャリオット、グライダーの武装増強も検討課題。チャリオットは搭載人数を減らさないことが目標。
・カオスの魔物の台頭に合わせて、各種シップ船員や人型ゴーレム搭乗の鎧騎士の武装も再検討。

 上記の目的のいずれか最低一つに対して出来るだけ具体的な提案があることが参加条件。
 そうしたものがない場合、初日に叩き帰される可能性が高い。

●今回の参加者

 eb4155 シュバルツ・バルト(27歳・♀・鎧騎士・人間・アトランティス)
 eb4637 門見 雨霧(35歳・♂・ゴーレムニスト・人間・天界(地球))
 eb8388 白金 銀(48歳・♂・天界人・人間・天界(地球))

●リプレイ本文

 メイディアのゴーレム工房の一室で、冒険者ギルドに『人型ゴーレム他ゴーレム機器の武装強化案』を持ってこいと依頼したゴーレムニスト・エリカは、集まった冒険者三人の意見をざっと聞いて、一人ずつに課題を出した。
 シュバルツ・バルト(eb4155)には、
「モーニングスターを用意させるから、実演して」
 門見雨霧(eb4637)には、
「現物で実例を見せて」
 白金銀(eb8388)には、
「大弩弓は図面を描いてみて。ナースホルンの精霊砲って、量産できる代物だったかしら」
 猶予は一日。エリカは三人をほったらかしにして、何か確かめると称してお出掛けしてしまった。
 三人は、仕方がないのでそれぞれの課題を果たすべく、協力して羊皮紙を広げたりしている。

 そして翌日。
「エリカ様、何の御用って‥‥何の集まりですか、これ?」
 白衣の裾をなびかせて、軽い足取りに何の荷物も持たずに部屋に入ってきたリカード・ヴァレッティが、室内に集まった人数の多さに慌てて居住まいを正している。その姿は最初は来る人ごとに軽い挨拶を向けていた門見が、次第に黙りこくってしまったのと似ている。
「リカード、会議の場にはふさわしい態度があるだろう」
 年下の同僚を嗜めたのはメリエル・マーロック、やはりゴーレムニストだと紹介を受けた。女性だが硬い声色が、なんとなくだが性格を表している。それでも天界人の白金と門見に、鎧騎士のシュバルツには幾らか丁寧だ。
「随分集めたわね」
「人徳よ」
 一応白衣仲間というか、ゴーレムニストの門見とその卵の白金には師であるユリディス・ジルベール(ez1146)も、その場にいた。他にシュバルツと面識があるロッド・アルファーノ、昨日もエリカの傍らで色々言っていたプロコピウス・アステール(ez1167)の鎧騎士二人に、鍛冶師、船大工、経理、商業関係それぞれの文官、空か海か不明の船乗りなどが複数名ずつ。総勢で二十名を超える団体である。
「依頼は、アイデアを持って来い、だったよな?」
 大掛かりだとやや引き攣った笑顔で口にした門見に、エリカは『吟味しなきゃ意味がない』と返してくれた。そのための専門家だ。
「三人とも色々提案があるから、一つずつ説明させるわ。忌憚のない意見をよろしく」
「手短に、的確に。我々とて暇ではない」
 誰かの言い分に多くが頷いた。その様子に、自身が携わる開発では少人数で和やかに話を進めるユリディスが苦笑しているが、助け舟はない。
 最初に指名されたのは、シュバルツだった。
 彼女の提案は人型ゴーレム、チャリオット、グライダーそれぞれの武装について。
「ゴーレムではモーニングスターの活用が図られていないのですが、その増産は利益があることだと考えます」
 ゴーレムニストの半数と文官達が『誰も使わないじゃない』と言う顔になったので、ロッドがシュバルツに合図して口を挟んだ。
 いわく、鎧騎士の大半は馴染んだ剣や槍を使うのでモーニングスターの需要は少ない。よってあまり作成されてはいないが、多彩な戦い方を身につけた冒険者達には需要がある武器だ。特徴は、その武器の効果が剣や槍とは違うところに現れること。
「このように、鎖があることで、障害物の向こう側に攻撃が掛けられる。これは恐獣の背中にいる乗り手を直接叩くことが出来ます」
 誰もが使う武器ではないが、使い手は少なくない。鎧騎士も訓練すれば短期間で使いこなすことが出来る者も出るだろうから、対恐獣を考慮して、各地に配備したらいい。
「どう?」
 いずれも各部署での最終決定権は持たないが、中堅どころの発言力はある者を掻き集めたとエリカが豪語した人々は、アステールがどこかから掘り出してきた作成予算と必要材料の記録を確認して、頷いた。
「工房が空くのは‥‥三日後だな」
「材料は、なんとか捻出しましょう」
「鉄の増産は掛けてるが、本来はゴーレム用だ。使いすぎないでくれ」
 冒険者ギルドの三人の意見は求めず、あっさりと話がまとまっていた。
 だが、次の二つの提案は、ここまでの好感触とはいかなかった。
 チャリオットの前面に軍船のような衝角か、突撃槍帯をつけることは、敵の恐獣でもカオスの魔物でも一撃で仕留められなかった時の反撃を乗員が直に受けることと、チャリオットそのものの作成手順から組み込むか後付かで強度が異なることなど、幾つかの問題点が指摘された。
 合間に装置の意味がうまく伝わらなかった白金と門見に、エリカが『天界だとバンパーって言うのが近いんじゃないの』と首を傾げつつ補足してくれたが、バンパーは衝撃緩衝目的だから形が似ているだけで目的は逆。まあ、伝わったのでよし。
 このチャリオット案はシュバルツも敵の反撃に対する対応策がすぐには出てこず、検討してみることで終了。
 続くグライダー向けの金属製の投網は、絡ませることで相手の行動を束縛し、行動不能にすることは理解されたが、誰が投擲するのか、どういう位置から投げるのか、そもそもグライダー相手に当たるのかなど、疑問点がゴーレムニスト達から続出した。エリカとメリエルはいささか詰問調、ユリディスも『投げた人が持っていかれるのでは』と懸念を示したので、リカードが『まあまあ、そのあたりも考えてみれば』と取り成している。
「投げて絡ませれば、後は千切れない材質なら、網を保持している必要はありませんが」
「じゃあ使い捨てね。それなら確実に絡ませること前提で、金属でなくてもいいんじゃないかしらね」
 ユリディスが渋い顔の同輩達を振り返るが、メリエルは『当たるか分からん』と、エリカは『石か砂でも投げなさいよ』と賛同しかねている。
シュバルツが投網を自在に投げるだけの技量があればよかったが、そういうのは漁師の得意分野だ。もう一押しする決め手がなく、職人と文官からも賛同が得られなくて、すぐに実行とは話がまとまらなかった。
 もう一つ、これは白金からの提案でもあるが、すでにウィルで実用化されたと言われる人型ゴーレム武器の銀鍍金だ。これならば銀無垢で剣を作って強度の心配をすることもなく、少ない材料で効果的な武器を作ることが出来るだろう。
 これは鍛冶師達が認めたがらないが、どうも技術的に後れを取っているのか、彼らが可能だとは言わない。鍛冶師が出来るといわなければ、当然作れない。
「ウィルは天界人が作ったのかしら。それが難しいなら、ブランで作ればいいじゃない。ドラグーン用だって言えば、奥に籠もってる僕僕君もうんと言うわよ」
「無茶言うな。幾ら掛かると思っている。そりゃドラグーン用なら工房長は作るというだろうが」
「そうね。オモチャのためなら、費用も捻出してくれると思うけど、ブランはね」
「あのさ、エリカ様、メリエル先輩、ユリディスせんせ、そこに二人もいるよ、天界人」
 話し合い始めると提案者の白金とシュバルツそっちのけのゴーレムニスト達を引き戻したのは、リカードの一言だ。白金と門見は天界人でゴーレムニストとその卵。シュバルツも含めた人々から期待に満ちた目で見詰められたが、白金はその方面には詳しくない。
 けれど。
「理屈は多少分かるんだけど、ここの工房で実行できるかって言われると‥‥厳しいんだよな」
「一度休憩しましょうか。なんだか準備があるようだし」
 ちょっと場の空気も煮詰まってきたので、ユリディスがぱんぱんと手を打って、休憩を宣言した。飲み物が提供されている間に、部屋の隅に水を張った桶も準備される。
 しばらくしてから再開した会議で、次の提案者は白金だ。彼の提案は多数あったが、まずは与えられていた課題の提示を求められる。
「大弩弓を連射出来るように、弦を引ければいいわけだが」
 元が大きい大弩弓に速射をさせるとしたら、今より少ない力で弦を引けることが必要だ。それが人力で行われることを考慮して、白金が何枚か図面を描いたが実際に目的の速度で撃てるかどうかはわからない。
 ゴーレムシップやフロートシップの船縁に銃眼を作るは、『銃眼って?』と話が少し手間取ったが、船大工達が作れると快諾した。後はどの船から作るかだが、手をつけられるものからとなるらしい。
 代わりに爆弾槽は、
「船底を開くようにして、そこから石を投下すれば、下の建築物を破壊したりも出来る。グライダーにも応用できるだろう」
「下に向けて扉を開けるようなものか。で、どうやって閉める? グライダーはその開け閉めを操縦者が操って、投下物の重量が加わる。速度に響くぞ」
 メリエルが問い掛けると、白金は少し考えてグライダーなら内部に投下物を入れるより、後部に積み、簡単に落とせる仕掛けで十分だろうと答えた。高度と搭載物、相手にするものによっては、エリカがさっき言った目潰しの砂も使用できるだろう。
「それならグライダーは下手に凝らないで、砂袋を積んだほうが楽かもな。フロートシップは‥‥棟梁達の意見は?」
「その仕掛けをした船は、積めるものが減る。だがそういう戦い方が有効なら、仕掛けは考えよう」
 船大工達は白金の意見に頭を悩ませつつ、色々考えていたが、続いた『コンテナ輸送船』はきっぱり無駄だと言われた。ゴーレムニストも同意見だ。
「ゴーレムや人馬輸送と目的別に使用可能なユニットを作って、それを詰める船の設計をすることが無駄か? 輸送船は必要だと思うが」
「それなら目的別に、船倉に直接入れて、固定できる造りの船がいいだろうということよ。箱に入れたら、そこから出入りするのと、船に積むための時間が必要だもの」
「馬輸送用の船は元々あるから、応用すれば造船可能でしょうよ」
 ユリディスの説明に、エリカが追加したが、これをすぐに実現しようとなるとゴーレムシップが先になる。フロートシップの現在の主流は、離着陸が容易なように、普通の船とは形が大分異なってくるから、同じ形のものを流用するには限度があるのだ。
「叶うなら、ゴーレムを五機くらいは一度に輸送できるといいのだが」
「‥‥その分速度が落ちるかな」
 どこから入れるかで、色々変わってくるとはリカードの弁。船倉に入れれば出す手間があるから、本来は甲板上が便利だし、船の造りにも無理がない。確かに箱に入れば積み重ねも出来て多数運べそうだが、出し入れする手間が掛かる。白金自身もすぐには難しかろうと考えていたことなので、検討してみるという返答だけで引き下がった。
 ついでに銀の武器作成が無理ならと出したのが、武器に魔力付与する魔法使いか騎士をゴーレム小隊ごとに配備する計画だが。
「それなら、すぐに出来るでしょ。魔法使いは沢山いるんだもの」
「効果時間が過ぎたら、結局ただの武器ですよ。前線で再度魔力付与する余裕はないでしょう」
「そのたびに後ろの魔法使いまで戻ってくるのは無理か。じゃあチャリオットで魔法使いが近付くか、武器を複数用意して交換させれば?」
「斬れなくなったら捨てる。使い捨て理論だな」
 エリカとアステールが椅子の背越しに言いあっているのを、疲れてきたのか机に両肘ついた門見が眺めて苦笑している。休憩を挟んでも長時間掛かっている話し合いにも姿勢を正したままのシュバルツや白金とはたいそうな違いで、シュバルツに背筋を伸ばすように促されているのだが、元々の猫背がすっかり丸まっていた。
「こんな企画会議みたいなの、俺、苦手だよ。実物作って、失敗したら次って方が楽」
「そりゃ自分の手に負えるものなら、模型を作って見せるほうが分かりやすいな」
 天界人二人のぼやきに、工房の職人達が数名笑ったが、思わぬ同類を見付けた故のことらしい。図面より実際に作ることに慣れた人達だから、こんな会議形式はやはり楽しくはないようだ。それでも来たのは、多分に期待の表れだろう。
 ようやく順番が回ってきて、『よいしょ』と立ち上がった門見は、でもやはり図面を取り出した。
「時間がなくて、現物が作れなくてさ」
 彼の提案の一つは、ゴーレム用の具足。砂地や泥地でゴーレムの自重を広い面積に散らして、安定を図るものだ。
「元は俺の国で、雪の上を歩くのに使ってるんだけど」
 降雪があまりないメイディアの人々には『かんじき』はまったく馴染みがなかったので、最初はさほど共感を得られなかった。メリエルは『ゴーレムの自重を支えられるのか』と渋面を作り、エリカは『人用を作ってみてからね』と効果確認を念押し、ユリディスとリカードは材質はどうだとか言っていたものの、案外と好感触だ。
「砂漠なら、重さで足が砂に埋もれるだろ。それを、靴を履くことで沈みにくくするってことなんだ」
 この説明だと砂浜に置き換えて分かった者もいたようだが、ともかく人用を作ってみようということになった。材質は金属かと問われて、人用なら木製で十分と門見も慌てている。金属製のかんじきなど、きっと重くて歩けない。
 次は『金属製のゴーレムシップ』提案だったが、これを聞いた途端に場の空気が確実に冷えた。やはりアトランティス人は『鉄の船なんか沈む』と思っているようで、門見から色々説明を聞いたシュバルツもまだちょっと不安そうだ。
 けれども、工房内で門見は銀の果物盆を探し当てていた。お椀というには平べったく、皿よりは底が深いが、円形なので船の形とはまったく違う。
「同じ材質・重量でも形が変われば、浮く力を得られるんだよ。それは金属でも変わらないし、ゴーレムシップは魔法で膨張するから、金属製での浮力は得やすいと思うよ」
 浮力という言葉に馴染みがない人々は、門見の動きを見守っていたが、
「それ、銀だから浮くの?」
「形と重さの問題。鉄でも大丈夫のはずだよ。どういう船体がいいのか、そこまでは分からないけど」
 水を張った桶に、かろうじてだが浮いている銀盆を見て、リカードが面白そうに突付き回している。それでも移動するだけで浮いているから、エリカの『図面を描け』が始まった。メリエルが落ち着けと宥めているが、実際に船体が出来たら協力してくれるらしい。ユリディスは沈まないと分かるまで乗りたくないと言うものの、無理だとは言わなかった。
「失敗したら嫌だから、はしけでやってみましょ」
 そんな大きな鉄の船なんて造れないだろうしと、問われた先は船大工ではなく鍛冶師達だ。どちらも非常に困った顔をしているが、それは実現出来るかどうかということらしい。
「板金加工なら、知識だけはちょっと協力できる」
 アトランティス技術で実行出来るかに不安はあるが、門見が口にしたので、翌日からは彼と白金は持てる技術と知識をもとに、延々と説明をさせられ、図面を描かせられた。設計図はどちらも描けるが、普通の絵は心得がないのでシュバルツが手伝う。彼女はゴーレムで無理やり作った泥池に置いた板を踏めなんて事にも駆り出され、あちこち走り回っていた。
 冒険者達がそうしている間に、ゴーレムニスト達は何をしていたかといえば『僕僕君に交渉してくる』と連れ立って工房の奥に向かっている。
 それがうまく行くと、今度は実際に作ることになるのだろうか。