素敵？なお茶会への招待〜年越し新作披露会
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■ショートシナリオ担当：龍河流 対応レベル：フリーｌｖ 難易度：難しい 成功報酬：5 参加人数：9人 サポート参加人数：-人 冒険期間：12月30日〜01月04日 リプレイ公開日：2009年01月09日 |
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●オープニング
パリの街には、色々な人達がいる。例えば今道を歩いているのは、ちびっ子プランシュ騎士団ことちびブラ団の四人組。本当はもっと人数がいるのだが、中心はこの四人である。
少年アウスト、ベリムート、クヌットと少女コリルの四人は、揃って聖夜祭の街をそぞろ歩いていたのだが‥‥
「あらまあ、面白いお顔」
「悪かっただワン、僕が拾うだワン」
彼らの行く方向で、二十代半ばくらいと思われる女性が、奇妙な生き物と向かい合っている。もちろん本当に奇妙な生き物ではなく、冒険者達が良く持っているまるごと防寒着のようなものを、顔が隠れるほどすっぽりと‥‥正確には、頭をすっぽりと覆う犬の仮面を付けて、身体にまるごと防寒着を着けている様な小柄な人だった。パラかもしれない。
聖夜祭なので、変わった格好をしている人もいるのだろう。四人は、視線でそう会話した。人様のことを変だのおかしいだの、奇妙な生き物だとと言ってはならないと、ちゃんと分かっているのだ。
まあ、その不思議な扮装以外は、二人がぶつかって、女性が持っていた籠からたくさんの軽そうな布包みが落ちて散らばっていたところだから、小さくとも騎士団を名乗る彼らも率先してお手伝いに加わった。
「これ、薬草？」
「お茶ですのよ。お仕事前に飲むと、頭がすっきりしますの」
変わった匂いのする包みに、コリルが問い掛けたら、そう返ってきた。
これがちびブラ団と、冒険者ギルドと他一部で名を知られたお茶会ウィザード、アデラ・ラングドックと、ノルマン江戸村の奇怪な生き物わんドシ君の出会いだった。
それからしばらくして。
「そのころはちょうど、パリにいないのです〜」
「あらまあ残念ですわ。じゃあ、またの機会にいらしてくださいましね」
冒険者ギルドの受付嬢シーナが、常連客のアデラと楽しげに会話している。それはいい。彼女達はエテルネル村というところへ豚飼育を任せている出資仲間だ。それも村の復興のためという大義名分より、『美味しいお肉が食べたい』で意見の一致をみている、食いしん坊仲間。
だがしかし、だからといってアデラが突然思い立った企画に参加されては困る。冒険者ギルドが関与しているなどと思われては困る。本当に困る。
何も気付かない彼女達の背後では、シーナと親しいゾフィーが『止めなさい』と身振り手振りで合図しているのだが、シーナはまったく気付かない。でもちょうど予定が入っていて、企画に協力は出来ないのだった。
少なくとも、アデラの企画に冒険者ギルドの関係者が加わる心配はなくなったといっていいだろう。もちろん他の人々は、誘われたら全力でお断りする。
「でも本当に残念ですわぁ。さっき、わんドシさんとちびブラ団の皆さんとお友達になって、当日はご一緒しましょうねってお約束しましたのよ」
皆さんはきっとご存知ですわよねと微笑んだアデラの言葉に、冒険者ギルドの多数の人々は衝撃のあまり身動きも出来なくなってしまっていた。
年末年始のアデラのお茶会、新作披露パーティー？
いつものようにお茶会参加者を募り、その人々に手伝わせて、なぜか冒険者ギルドや酒場の周りで人々に勧めて回ろうという企画。
なお、当日のお手伝いにはちびブラ団とわんドシ君がすでに決定し、他にも巻き込まれる謎の人々がいるのかもしれない。
「今更、あの人にお茶を止めろとは言わない。人に配ってもいいだろう。ただし、飲んで被害者が出るようなことだけは防いでくれ」
参加者は、切実に頼み込まれている。
でも、『被害者』の概念は人によって違うものだろう。
●今回の参加者
ea0926 紅 天華（20歳・♀・僧侶・エルフ・華仙教大国）ea3776 サラフィル・ローズィット（24歳・♀・クレリック・エルフ・ノルマン王国）
ea3852 マート・セレスティア（46歳・♂・レンジャー・パラ・ノルマン王国）
ea4609 ロチュス・ファン・デルサリ（62歳・♀・ウィザード・エルフ・ノルマン王国）
ea9960 リュヴィア・グラナート（22歳・♀・ウィザード・エルフ・ロシア王国）
eb2949 アニエス・グラン・クリュ（20歳・♀・ナイト・人間・ノルマン王国）
ec3546 ラルフェン・シュスト（36歳・♂・ナイト・人間・ノルマン王国）
ec4491 ラムセス・ミンス（18歳・♂・ジプシー・ジャイアント・エジプト）
ec5385 桃代 龍牙（36歳・♂・天界人・人間・天界（地球））
●リプレイ本文
お茶会ウィザードアデラの新作披露発表会の手伝いに名乗りを上げた冒険者は八名。多少の時間の差はあれ、約束の時間より少し早めには全員揃った彼女達と彼達は、それぞれの理由で感激していた。
いつも真っ先に、それこそ夜が明けるかどうかの頃にやってきて、朝食から食べさせてもらうマート・セレスティア（ea3852）は、美味しいスープがいっぱい出来上がっていたことに。
二番手で、アデラが師匠と仰ぐサラフィル・ローズィット（ea3776）と、三番手でやってきたお茶会のご意見番リュヴィア・グラナート（ea9960）は、新作茶葉にかまけていただろうアデラの代わりに、姪っ子四人が家の中の掃除をおおむね済ませていたことに。
お茶会は何度か来ている紅天華（ea0926）と、今回初めてだがどういうものかは聞き及んでいる様子のロチュス・ファン・デルサリ（ea4609）は、台所に用意された食材の多様さに。
こちらも久し振りで顔を出したラルフェン・シュスト（ec3546）は、よく知っているちびブラ団がお茶会に参加すると聞いて、身内が留守で一人きりかと思っていた年越しが賑やかになりそうなことに。
アデラもたまにしか見た事がないという天界なる世界からアトランティスを経て、パリまで辿り着いた珍しい人物・桃代龍牙（ec5385）は、月道管理塔で心密かにナイスガイ認定していたジョリオがこの家の住人だということに。
ちびブラ団の仲間のラムセス・ミンス（ec4491）は、マーちゃんとスープの取り合いをしている奇天烈な生き物ことわんドシ君がいたことに。
「わんドシ君デス〜。行方不明だって聞いたデス。無事で嬉しいデス！」
「何するだワン。スープが零れるだワン！」
「おいらのご飯を食べるなよ〜！」
多くの感激は長続きしないが、お茶会常連のサラとリュヴィアは慣れている。天華もこんなものだったと思い出し、ロチュスに気にしなくても良いと告げていた。
結果、事情はよく分からないがラルフェンが食べ物を抱えてきいきい騒いでいるお子様達（？）のお守りに入った。あっちとこっちを引き剥がしたり、食べ物を掴んで引っ張り合ったりしているのを叱ったりしているうちに、夏頃にラムセスがパリに来ていたわんドシ君に一目惚れしていたことが判明した。ラムセス当人の記憶は鮮明だが、わんドシ君はよく覚えていないようだ。
そもそも。
「このコスプレは、男女の設定あるのか？」
桃代の言う通りに、性別が判然としないのがわんドシ君である。声からすると、男の子ではなかろうか‥‥まあ、ラムセスは再会を喜んでいるし、桃代はそんなこと気にしないし、その勢いでラルフェンも丸め込まれたのでよし。ついでに桃代がラルフェンの説得中に、肩に手を回してご満悦だったのも当人しか知らないのでいい。
それより問題なのは、一連の騒ぎの間にお茶会の食欲魔人マーちゃんが、騒ぎの間に皆が摘むようにと用意されていたはずの食べ物を全部隠してしまったことだろう。わんドシ君とラムセス連合とマーちゃんで熾烈な戦いが始まったが、
「あらまあ、子供は元気ねぇ」
また美味しいものを作ってあげますからねと、ロチュスに屋外に叩き出されていた。手際のよさを皆に讃えられたが、『動物は皆一緒』と余裕の笑みである。
その間に、この家の事なら家主より知っているかもしれないサラが、隠されていた食べ物を見つけ出し、一部を籠に詰めて窓から外の三人に渡している。声の遠ざかり具合から、身体の大きいラムセスが籠を受け取って、他の二人がそれを追い掛け回しているようだ。
「さて、アデラ様。幾らジョリオ様のご実家で年越しとはいえ、手土産もなしではいけませんのよ」
一応つい先程までいたジョリオが、姪のマリアとアンナ、シルヴィは材料を持っていき、彼の実家で料理の手伝いをしていると言い置いていったが、それとこれとは話が別だ。案の定、後は行くだけのつもりだったらしいアデラへの説教は後程として、サラとロチュス、天華の三人がお茶会用のお茶請けや軽食も含めて、料理をすることになった。
「足りないものがあれば市場に行ってくるが」
「材料は大丈夫そうだ」
華国の調理道具を持ち込んで、すっかりとやる気の天華が台所の食材を確認して、ラルフェンに答えている。彼から食材の提供もあったので、作る時間が足りなくなりそうな様子だ。お菓子も貰ったのだが、たくさんあるに越したことはない。
ただ薪が台所になかったので、桃代と二人で庭からそれを運ぶ。
「直火で毎日料理するなんて、故郷にいた頃は考えもしなかったよ」
見た感じジャパンか華国から来たと言われれば信じてしまいそうな桃代だが、言うことは時々面白い。ラルフェンに負けない体格なので、そのまま二人して姪っ子達が届かなかった棚の上を拭いたり、力仕事をしたりし始めた。刃物研ぎや持ち手の皮細工の修理まで出来る。
たまに、外の鶏小屋前で何を目的か戦っているラムセス・わんドシ君連合とマーちゃんを止めたりする仕事も。
その間、台所は戦場だった。
まず、何をおいても最優先なのは、アデラの新作茶の確認だ。相変わらず何を枯らして掻き集め、どんな目的でお茶を作っているものやら分からない。
「アデラ殿、今回のお茶はどういう目的で配合したのかな？」
「目覚めに頭がすっきりするお茶ですわ。他に身体が温まるお茶も作りたいのですけれど、なかなかうまくいかなくて」
「目的がはっきりしているか、身体によいものなら飲んでくださる人もいるでしょうけれど‥‥」
リュヴィアに目的を尋ねられたアデラの返答に、ロチュスが少し途惑いつつも、目的があって作ったお茶ならと納得しかけた。でも普通、香草茶なら疲労回復や美容のほうがほしい人はいるだろうにと、そう思うのは普通の人。
お茶会に出ているうちに、『これはこれ』と思うようになってしまった人々は、
「アデラ様、何ですの、この生姜の山は」
「あ、それは身体を温めるお茶の途中ですわ」
「うむ、この葉は謎だ」
「これは庭に生えておりましたの」
「この配合は、ちびブラ団やわんドシ君には必要あるまい」
「そうですかしら〜」
毒草は入っていないか、まずそこを気にする。そんなものが入っていたらお茶ではないとは、不思議と言わない。あったら取り除けばいいのだ。
味についてはお師匠とご意見番で意見の相違があったが、『ムーンロード』なる茶葉が売れていることを鑑みて、調整しないことになった。今回の配合には、奇天烈な組み合わせはあれど量を過ぎるとおなかが下るとか、そういう害があるモノはほとんど入っていなかったからだ。少量なら、気付けで済む。
もちろん子供には飲ませられないから、ちびブラ団用には天華が持ってきた差し入れのタンポポの根やリュヴィアの配合した香草茶、ロチュスが用意した蜂蜜漬け果物のお湯割りを用意した。
でも、この後にやってきたちびブラ団ご一行は『正式な茶会でのお茶の淹れ方』にも興味津々だったので、これはリュヴィアが教えることになった。まずは基本のお茶の淹れ方だ。使うのは、乾燥させたカモミール。色々配合したものよりは、まず単純に一種類で淹れ方を修得させることにしたようだ。
茶器は本格的に、アデラの家の棚から来客用を選ぶ。人の家だが、気にしないのがこのお茶会の特徴だろう。リュヴィアもまるで自分の家のように振る舞っているし。
かたや台所では、天華が持ち込んだ調理道具で故郷の料理を次々とこしらえていた。主にお茶会のお茶請けだ。甘いものが多いのは、苦いお茶の後には甘いものが欲しくなるに違いないと言う読み。
ちなみに誰一人、この段階では新作茶を飲んでいない。料理の手伝いに駆り出されたアデラも勧めることを忘れていたが、勧めたところで誰も飲まないだろう。
だってこの場の人々は全員、茶葉を見ればそれが『不味いかどうかくらい分かる』のだ。あえて自分の味覚を犠牲にすることはない。代わりに美味しいものを用意するのだから。
よって天華は蒸し器でノルマンでは珍しい食べ物を次々と作り出し、ロチュスは口直しに摘んだり飲んだり出来るように、蜂蜜漬けの果物を刻んでいる。合間にロチュスは天華に料理の作り方を習ったり、道具を見せてもらったりしていた。専門の職人のようには作れないが、料理が好きなので気になるところだ。
アデラも気になっていたようだが、こちらは不器用ゆえに余所見をすると流血沙汰なのでお師匠様のサラに厳しく見張られていた。
サラはアデラが夫の実家に持っていくためのお土産にするお菓子を作っていたが、最初はアデラが作る手伝いのはずだった。嫁姑関係は良好そうだが、やはり細やかな気遣いは必要である。なんたって、赤の他人の自分達もぞろぞろと連れてお邪魔するのだからして。行かないつもりなど、彼女達にはまったくない。
故にアデラに発奮してもらいたいところだったが、相変わらずなんだかこう手付きが危ない、視線が違うところに向いている、何か変なものを入れそうになったなど、心配事に事欠かないので、アデラは助手に降格だ。いつものことと言えば言える。
天華の料理も、ロチュスの用意した飲み物も、サラの手土産もよく出来たし、リュヴィアも短時間でちびブラ団に基本の上流階級のお茶の淹れ方を教え込んだ。
桃代とラルフェンの掃除もきちんと済み、お茶会のために持っていく荷物もきちんとまとまって‥‥
「ひどいや、ねーちゃん達。おいら達のこと、外に出しっぱなしでさ」
「僕もお茶の淹れ方、習いたかったデス」
ぷりぷり怒っているマーちゃんと、ちびブラ団と一緒に習い事が出来なくて膨れてしまったラムセスが、表情の読みにくいわんドシ君と共に屋内に戻ってきて、ぶーぶー文句垂れていた。締め出されていたのは事実なので、言われても致し方ない。
でもそれで『お菓子くれ』と始まって、どうせこうなるのを見越していた『ねーちゃん達』が多めに作っておいたお菓子をちびブラ団共々差し上げた。力仕事をしていた桃代とラルフェンにもだ。
ついでに桃代がお茶にふれたので、試飲用でアデラが桃代とラルフェンとマーちゃん、わんドシ君の分も淹れている。ラムセスもちょっと飲みたい素振りだったが、ちびブラ団にもあげないといけなくなるので別のお茶。こちらは普通に美味しい。
で。
「これ、味見してるのか」
「もちろんですわ〜」
子供達の前なので無言を通したラルフェンと、桃代は耐え切れずに一口で残りを放棄し、ついでにアデラに華国の仙人のところに修行に行けと言い募っている。マーちゃんは一言。
「相変わらずすごくまずいね」
と言いながら菓子を流し込み、わんドシ君はなんだか胸のあたりに変な染みが‥‥
「美味しいワン。皆さんにお勧めするワン」
子供達の表情がなんともいえないものになっていたが、彼らが飲んでいるのは美味しいので、皆の言葉に実感が湧かないようだ。
ともかくも、新作披露お茶会に出発である。
そうして、数時間の後。
「ああ、面白かった」
ちびブラ団とは、ラムセス達が次の日あたりに開催される雪合戦で再会を約束してお別れしたので、誰はばかることなくマーちゃんが嬉しそうにしている。子供達の前だと色々厳しいご意見番とお師匠、更に年長のステキなお姉様も、ラムセスは冒険者だから子ども扱いしないので、マーちゃん言いたい放題だ。
別にラムセス達の悪口を言っているわけではなく、本日のお茶会で被害にあった面々のこと。当人達が聞いたら、おそらくマーちゃんには一撃、二撃と食らわせてくれるだろう。
「あれ、楽しいお茶会だったんデスよね？ よね？」
サラとロチュスに尋ねているのは、もちろんラムセスだ。傍らで、『皆アデラのお茶のことは知っている思っていた』と思い違いしていたラルフェンが、そこはかとなく責任感を感じているらしい。
胸に変な染みをつけたまま、また家までついてきたわんドシ君はラムセスを慰めているが、実は被害者拡大にマーちゃんと尽力していた奴である。
「信じられん。これを売っているって、誰が買うんだ、誰が」
桃代がもっともなことを述べつつ、帰宅したジョリオを捕まえてやいのやいのと言っていた。そのうちにお茶のことではなく、世間話に突入しているが、当人が幸せそうなのでいいのだろう。マーちゃんに飲んでいたお茶を入れ替えられて、再びひどい目にもあったのだし。
サラとリュヴィア、天華は相手が冒険者の時は『まあ、これも一種冒険だから』と主にリュヴィアの開き直りに引き摺られていたが、ロチュスは戻ってきてから一口新作を味見して、
「次があれば、我慢大会として盛り上げて、皆で笑い飛ばしてもいいかもしれませんね」
結構とんでもないことを口走った。もちろんアデラはそういうことを聞き逃さないが、どうして自分のお茶が我慢大会なのかは理解していない様子。
「アデラ様、ジョリオ様のご実家に持っていくお茶の様子は出来ましたの？」
「年配の女性には、タンポポの根がお勧めだな」
サラがこの後のことにも配慮して、天華は変なものを持ち出さないように見ていたが、お土産用のお茶はリュヴィアがただ今検分中。紅茶に乾燥したオレンジの皮を入れてある、至極真っ当なものなので一安心だ。合わせて、ロチュスお勧めの蜂蜜漬け果物をお茶請けに追加する。
そうして家の中の火の始末をして、ぞろぞろとジョリオの家に向かったら、家の中ではすでに宴会中だった。ジョリオは五人兄弟、両親健在、兄弟全員既婚で子持ち、彼とアデラの間に子供はいないが姪が四人加わって、更に冒険者一行である。場所により、押すな押すなの大激戦地域だった。主に食べ物周辺。
たまに小さい子供は、ラルフェンが掬い上げて、代わりに激戦区で戦ってやっている。強敵はマーちゃん、味方はラムセスだ。後者は時々敵に回る。わんドシ君は遊軍で、ラムセスに貰ったリボンをつけていたが、これが女の子達に狙われるので一時返還したら、お互いにそのまま騒ぎの中で忘れてしまった。汚されるより、別の機会を狙ったほうがいいということなのだろう。
そんなこんなの子供陣営、一部大人と、酒飲み宴会に入った大人陣営と、世間話に花が咲く女性陣営年齢問わずが存在して、しばらく後。
「それを言わないでよねーッ！」
いつの間にか、お茶会初参加のロチュスまで知っていた、姪のルイザのお見合い話をサラが持ち出して、当人に叱られている。
多分うまくいっていて、来年はまた色々なことがあるのだろう。
「またおいしいものよろしくね」
マーちゃんが期待する以外のことが、色々と。
