ゴーレム工房 フロートシップ作成計画

■ショートシナリオ


担当:龍河流

対応レベル:8〜14lv

難易度:難しい

成功報酬:3 G 98 C

参加人数:8人

サポート参加人数:-人

冒険期間:09月11日〜09月18日

リプレイ公開日:2009年09月20日

●オープニング

 ウィルのゴーレム工房の片隅で、パラの少年ソージーは薪割をしていた。
 ソージーは工房の雑用係。人それぞれに担当はあるが、例えば資材を運んだり、掃除をしたり、ゴーレムニストや職人、文官達に言いつけられた用事をしたりするのが仕事だ。
 ちなみにソージーは風信器開発室の雑用係。力仕事や掃除専門の人々とは違い、風信器開発室で発生するゴーレムニストや文官、職人でなくてもこなせる仕事をすべて担当するうちの一人だ。幸いなことに、風信器開発室には雑用係が四人もいて、一人であくせく働くことはない。
 そうして彼は今、寒がりというか、血の巡りが悪いゴーレムニスト達のために、暖房用の薪を割っているところだった。ちょっと涼しくなると足がだるい、腕が上がらないと、仕事が進まない原因になるので、他の人々が半袖でも風信器開発室は暖炉に火を入れることがある。ついでに煮炊きも毎日するので、薪はたくさん必要だ。
 なぜだか今日は薪にしてもいい木材がたくさんあったので、ソージーは時間が許す限り薪割りに勤んでいた。ちょうど暇だし、色々な形の木材が山積みで結構場所を塞いでもいる。少し片付けておかないと、自分も不便だ。
 だが。
「この板、なんでこんなべこべこに傷んでるのかなぁ」
 作業には支障はないが、置いてある板や木材のあちこちがただれたように傷んでいるのが、それはもう気になった。火で炙られた木材とも違うし、この傷み方は初めて見る。
 あんまり気になったので、出来上がった薪の束を持ち帰る時に板を一枚抱えていき、ゴーレムニストのユージス・ササイに尋ねたら。
「ああ、地獄で硫黄の雨だったかな。それを浴びたフロートシップを解体した分だろう。傷んだところだけ張り替えて修繕する案もあったが、中がどこまで傷んでいるか分かりにくいんで解体処分になったんだよ」
「あー、工房近くで墜落したあれですか」
「いや‥‥あれは魔物の自爆に巻き込まれたやつで、硫黄の雨はまた別」
 短期間で二隻のフロートシップを失ったわけだが、不幸中の幸いで人的被害は船の被害から考えたら非常に少なかった。精霊界に召された者はともかく、怪我人も大体は仕事に復帰しているし、一時昼夜分かたず喧騒に包まれていた工房も今はかなり静かなものだ。
 あまりに忙しかったゴーレムニスト達は工房長の指示で交代で休暇を取り、ユージスとその上司のナージ・プロメは一年半分の里帰りをしてきていた。
 ただし。
「あ、今日は早上がりしていいから、帰りに冒険者ギルドに寄ってくれ」
 休暇の後はもちろん忙しくなるわけで、ソージーの本日の仕事の仕上げは冒険者ギルドへの使い走りだった。

 ゴーレム工房では、フロートシップの移動速度と防御力向上を目指して、小型の鉄製船舶作成を計画した。
 攻撃力の向上か、移動に主眼を置いたものにするのかは工房内でも意見が分かれており、冒険者にはこれまでの経験を元にした意見も出して欲しいとのこと。

●今回の参加者

 ea0144 カルナック・イクス(37歳・♂・ゴーレムニスト・人間・ノルマン王国)
 ea0324 ティアイエル・エルトファーム(20歳・♀・ゴーレムニスト・エルフ・ノルマン王国)
 eb4064 信者 福袋(31歳・♂・天界人・人間・天界(地球))
 eb4399 岬 沙羅(28歳・♀・ゴーレムニスト・人間・天界(地球))
 eb4578 越野 春陽(37歳・♀・ゴーレムニスト・人間・天界(地球))
 ec1984 ラマーデ・エムイ(27歳・♀・ゴーレムニスト・エルフ・アトランティス)
 ec4600 ギエーリ・タンデ(31歳・♂・ゴーレムニスト・エルフ・アトランティス)
 ec5004 ミーティア・サラト(29歳・♀・ゴーレムニスト・エルフ・アトランティス)

●リプレイ本文

 ゴーレム工房の中の鍛冶場では、大量の鉄が出番を待っていた。
「船大工は木材の扱いに長けとるが、鉄となるとどうしても船具に偏る。巨大な船が傾かずに浮くようにするのは、知恵の絞りどころだぞ」
「実際に水に浮く形なら、うまく行くものかしら。それなら素体の段階で試せるでしょ」
「無理。どちらも船とはいえ、空を行くには別の適した形があるから、今でも形が違うのだろ」
 ミーティア・サラト(ec5004)が鍛冶工房の人々と話しこんでいる間、ラマーデ・エムイ(ec1984)はウィルゴーレム工房にあるゴーレムシップ、フロートシップの模型を借り出して、持ち主の不興を買っていた。
「傷付けたりしないわよぉ。あ、次に造るのが決まったら、模型作れるように頼むから」
 ちゃんと工房からの指示を出してもらったが、元が趣味の産物なのでご機嫌取りは難しい。適当に言い逃れて走り出したら、傷が付くと背後から悲鳴が聞こえた。

 新型開発とは危急の事態も改善かと、カルナック・イクス(ea0144)が問いかけた先は、経理担当のダーニャだった。ついでに新型も経費は考慮しないと駄目だよねと続けたら、答えは『今回はかなり融通が利く』だった。鉄製人型ゴーレムを作る何十倍もの鉄と費用と人手が掛かるだろうに、予想外の返答である。
「具体的に、どのくらい使えるのかな?」
 身を乗り出したカルナックに、ダーニャは『作るものも決まらないのに分からない』と素っ気無い。だがその点は、
「まだ協議中ですし、概算はよければ私が行いますよ。皆さんには、高価で小型なものであることを念頭に、掛けた費用に報いる性能を考慮していただければ」
 信者福袋(eb4064)がにこやかに請け負いつつ、結構手厳しい要求を重ねてくれた。今回は冒険者ゴーレムニストの間でも意見の統合は出来ていないので、決定の段階で皆が考えに入れてくれれば、後の作業は順調に進むぞということだろう。
 細かい相談に入る前に、越野春陽(eb4578)が確かめたのがフロートシップの大きさだ。こればかりは今工房で検討されている大枠が予想と違うと、皆の意見とまったく噛み合わなくなるので、ティアイエル・エルトファーム(ea0324)も身を乗り出した。
 しばし後。
「船の大きさね。それで小型だと、河川用のものが参考になるかしら」
「うーん、大きいのなら二十メートルくらいはあるよね。今のフロートシップの半分弱かな」
 素体の膨張具合が不確定だが、最大なら今の小型フロートシップの半分と言われて、春陽とティアイエルがざっと計算している。形状により用いる鉄の量や船体の全長は変化するが、概算二十メートルとしても用途は色々検討できるだろう。
 ただ基本的に戦闘用以外とするティアイエルと能力、費用面から戦闘特化と考える春陽の間で、すでに意見の相違は始まっている。
「量産を目指すなら、壊れにくくて作りやすい形‥‥形は揚力も考えて」
 岬沙羅(eb4399)は大きさなどの制限を書き止めた上で、色々考え込む風だったが‥‥揚力はある程度無視できるだろうと福袋に指摘されていた。揚力に気を取られ過ぎず、作りやすい形と速度を重視したほうがいいだろう。グライダーとは、使用する精霊力や操縦法の違いで出来ることではあるが。
 まだ正規の相談にならないうちから、集まった風信器開発室で話に熱中しているゴーレムニスト達の中で、ギエーリ・タンデ(ec4600)は少々違う方向に盛り上がっていた。
「おお、次は鉄製フロートシップですか。それも先のチャリオットとは違い一からお任せ頂けるとなれば、張り切らずにおられましょうや!」
 との決意表明の後、ソージーなどを相手に海洋英雄譚の新たな歴史を作る一隻をと捲くし立て、『白兵強襲館として、敵船に突撃、騎士が乗り込んで敵船長の首級をあげる』といつものごとく語り続けていたが、流石に突撃は止めた方がと皆に諭されている。
 なにしろその方法で敵フロートシップと連結した場合、敵船が多大な損傷を受けたら一緒に墜落だ。流石にそれでは英雄譚になりにくいので、ギエーリもまた新たなことを、やはりあれこれ並べ立てつつ考えている。いっそ城砦攻め専門などと口走っているが、それはそれで船体損傷があることも含み置かなくてはならない。
 鍛冶師や船大工の意見を聞いたり、既存フロートシップの模型を集めてきたミーティアとラマーデの目標は、第一に速度特化。これは鉄製であることから通常の軍船にある防御を外しても速度を上げて、代わりに少量でも高価か稀少な人、物を運ぶ輸送力を第二の目的とする。軍用限定ではなく、傷病人や貴賓、少数精鋭の兵力に医薬品、薬草師、運べるものは何でも運ぶのが理想だそうだ。こちらも語る時は、やはり熱くなっている。ラマーデ一人だと時間も掛かったろうが、ミーティアが適宜合いの手を入れつつの進行で、さほど時間は掛からずに説明が終わった。
 そうした細かいところを言うなら、春陽は揚陸艦が適切だろうと考えている。人型ゴーレム一機か、少数兵力を速やかに目的地に運び、下ろすことが出来るもの。ディアイエルはせめて偵察艇くらいまでと思っているし、沙羅は通信に特化した船ではどうかと思案中。
 大きさが最大の二十五メートルで、十分な速度が得られればもう少し違うものも載せたくなるかもしれないが、船体が大きいことは離着陸にそれだけ広いところを必要とすることに繋がる。揚陸艦、偵察艇、通信船のいずれも、大型であることが一番とはならない類の船だろう。
 カルナックは用途にこれという明朗な希望はないものの、出来れば『グライダーより早く飛べて、多く人を運べるもの』と考えてはいた。グライダーより早いかは、流石に作ってみないと分からないが、そのために既存の形を大きく変えると今度は鍛冶師や船大工の負担が増えて完成が遅れるので、既存に手を入れる方法で進めるべきだとの意見だ。
 どういった新型フロートシップを開発するかの会議は、翌日に希望者を集めて行われることになっていた。
 なお、提案内容を一番熱心に書き取っていたのは福袋で、
「今回採用されないプランも、今後の戦局如何で必要とされるときがあるかもしれません。その時限りの話のつもりでも、念のために記録しておかなくては」
 それは熱心に記録してくれたが、どうやら早く書くには天界語の方が楽だったらしい。セトタ語に書き直せという視線に、はいはいと頷いていた。

 翌日。
「あらぁ、眼鏡ねぇ。とぉっても頭が良さそうに見えるわよぅ」
 前日は休みだったナージとユージスが合流して、早朝から皆の提案を確かめている。そのはずだが、ナージは沙羅の眼鏡に気を取られて、あまり仕事に熱心ではなかった。髪型も変わっているので、弄り回している。女性陣は今までとの違いに一言二言感想を述べていたが、男性陣はギエーリの長々しい賛美の後では言葉がなかったようで、ギエーリ以外は特に発言もなかった。
 ナージが繰り広げる騒ぎを他所に、一通り提案内容を確かめて、後はちゃんと説明が出来ればいいのではないかとユージスが言ったところで、春陽が問い掛けた。ゴーレム魔法を掛けた鉄が錆びるのかどうか。今までは鉄はグラシュテ等限られた物にしか使われてこなかったので気に掛けた者は少ないが、ミーティアが『錆びる』と即答した。普通の鉄よりは錆びにくいが、手入れが悪ければやはり傷んでくるのだそうだ。金属ゴーレムで錆びるものは、時々鍛冶師達が点検している。
「それだと設計から、手入れの事を考えなくてはいけませんね」
「船大工さん達のお知恵を借りたほうがいいかも」
 なんにしても、どういう船体を作るかは使用目的で異なるから、まだ具体的にどうこうするところまではいかない。
「名前は『早くて沢山』じゃ駄目?」
「公式書類に載せて不自然でない名前にしてくれ」
 王宮の文官も記録を見るのに、その名前は困ると注意されたのはラマーデだ。目的とするところはよく分かるが、流石に提案名としては今ひとつ。そう言われて生真面目に考えるかと思えば、ラマーデとミーティアは正式決定になったら考えようとお気楽思考に走っていた。
 そうこうしている内に時間になったが、会議に指定された部屋には冒険者とはあまり面識がない面々もいた。工房長のオーブルは、自分の意見に追従されるのは嫌だと別の仕事に掛かっている。
 新型フロートシップの用途として上がったのは、主に軍用でゴーレム運搬特化型と兵力輸送型、偵察、索敵はグライダーでよかろうとの意見が工房では強いらしい。通信強化はナージとユージスが沙羅を前面に出しつつ強力に推してくれたが、それだけで一隻使うのはどうかとの反論も。
 大抵が予想していて、ティアイエルが残念なところで、民間も使用出来るような用途は、やはり出てこない。かろうじて、必要があればなんにでも使うという『早くて沢山』案がそれに近いが、そもそも高価な船体を民間用にするくらいなら旧型を払い下げるといった話になるだろう。
 よって、軍用ならどこに主眼を置くかに話題は集中した。軍船であれば重要な武装もちらほらと意見が出る。
「地獄に限らず、戦場が広範囲になれば連絡を確保するのは重要だと思うのですが」
「どういう種類の戦場に投入するかで違ってくるのでは。地獄ほど広大な戦場は、滅多にあるものではないのだし」
「速度も大事ながら、多少重くとも鎧騎士様方が使うなら装甲板も必要でしょう。ぜひ精霊砲を一門」
 他にレールガンだのステルスだの制御胞の操舵だのと意見が出たが、天界の地球用語はどうにも他の人に馴染みが薄くてなかなか理解が得られず。特にレールガンは磁力、雷の力を長時間砲身に留めて置く方策が考え付かない。ゴーレムニストが多数顔を揃えている中ですぐに方法が出てこないと実現は遠いだろう。また制御胞ではフロートシップの稼働時間が得られないと反論を受けた。
「グライダーと差別化するためにも搭載量の重視をしたらいかがでしょう。もちろん速度を犠牲にしないために、武装は排して、装甲は鉄製であることに期待して。単純に考えて、木製よりは強いはずですし」
と主張したのはミーティアだった。これを聞いているうちに、福袋が発言の機会を求めた。もちろん最初にゴーレムニストでないのに失礼ながらと言うのは忘れない。
「思い付きで恐縮ですが、動力部とそれ以外を別仕立てにしてはどうですか。例えば動力部のみ‥‥こう平型のシップの上に、その時々の任務に応じた外装と内部施設を備えたコンテナを搭載する形にする。これで高速移動の利点を活かし、様々な用途に汎用的に使えるシップが出来ると愚考する次第です」
 問題点はそれでゴーレム魔法との齟齬が出ないかと、船体強度となる。ゴーレム魔法については、精霊力集積機能をその度ごとに掛け直すことで解決するのかどうか、一度何かで試してみる必要があるのではないかとなにやら興味の方向性がずれてきた。
 だが速度を活かして汎用性が高いものと言うのは、ラマーデやミーティアとも意見が一致する。他の人々だって、激しい戦時以外は使い道がない船を造る無為さは承知しているし、なにより。
「陛下の御座船に史上初の鉄製フロートシップというのは、悪くないな。ランのプラチナゴーレムやら、メイのゴーレムシップやらに度々先んじられるのもつまらんし」
 冒険者以外のゴーレムニスト達は、やはり当初目的と違うところで盛り上がり始めた。
 ラマーデが何か叫びそうになったのは、流石にギエーリとミーティア、それにカルナックまで加わって止め、また話の軌道を戻して話し合うことしばし。
「揚陸艦も、偵察艇も、まずは速度が重要だな。前者は更に人なり物、ゴーレムが運べる必要がある。それを素早く下ろすことも考えねばならないが‥‥ただ作っただけでは文官達も納得してはくれんし、ここはサラト殿の案が後々更に任務に特化した物を作るのにも有利だと思うが」
 採用の最大の理由は、理路整然とした説明にあったと思われるが、集まった先輩格のゴーレムニスト達が頷けば、冒険者達も強硬に反対する必然性はない。『早くて沢山』案が通ると、船体設計は彼ら、彼女らに回ってくるから、そこに自分の希望を入れ込むことが可能だからだ。早くも沙羅は船体重心位置と速度上昇のための既存船体からの変更点を悩みだし、春陽は人型ゴーレムを載せた揚陸艦ならどう下ろすかが重要だったかとラマーデが持ち込んでいた模型を眺めている。
 ミーティアとギエーリは方向性の決定を誰がどこに知らせに行くかを相談し、ティアイエルは福袋案なら旅行用の設備も作れると気合が入る。カルナックは福袋と、白兵戦力輸送なら低空静止したフロートシップから白兵戦力を下ろす方法を並べて、実効性を考慮中。
 そして、提案者の一人であるはずのラマーデは、まだ解散の声も掛からないうちからユージスにしがみついていた。
「後で記録を渡すが、ランのご禁制ゴーレムのアザレアはプラチナ製だと作成したカーガンが話していたらしい。現在のアザレアも、飛行能力があるからおそらくプラチナだろうな」
「じゃあ、ゴールドだとぉ」
 他国のことで正確な情報ではないものの、ラマーデが作りたいゴールドゴーレムの上を行く機体があるかもしれない。と聞いて平常心を失いかけた彼女に、また周りは取り押さえるかと身構えたが。
「向こうはぁ、飛ぶのよねぇ。じゃあぁ、こっちは別のぉ特技があればいいのよぅ。材質よりぃ、性能よねぇ」
 うふふふとナージが口を挟んで、ラマーデは『そうかしら』としょぼくれつつ、自分のゴーレムだけの性能と呟きだした。自分のというところに引っかかる者がいたようだが、あえて突付く者はいない。
 ついでに、常日頃ナージが風信器の性能上昇には大型化か高価金属の使用が有効だとのたまっていることなど、この時はダーニャとユージス、福袋くらいしか知らなかったので、話はそこで一旦区切りとなった。

 だが、その五日後にはラマーデが、
「もう描けるかー!」
 と、あちらこちらから伝言や直接、細かい字でちまちま書かれた書面などで回ってくる要望を図面起こしするのに疲れて、叫んでいる姿があった。
 叫ばなくても、同じ気持ちでいる春陽や沙羅、ティアイエルに、予算計算で似た状況の福袋、その補助で目が回りそうなミーティアとギエーリがいた。皆、好き勝手言うのだ。
 カルナックの作ってくれたご飯が、とても美味しいと泣けてしまうくらいに、彼女ら、彼らは疲れていた。
 でも、まだ始まったばかりである。