おばちゃんの畑を守って!

■ショートシナリオ


担当:龍河流

対応レベル:1〜3lv

難易度:易しい

成功報酬:0 G 52 C

参加人数:9人

サポート参加人数:-人

冒険期間:08月15日〜08月20日

リプレイ公開日:2004年08月22日

●オープニング

 その四人姉妹が冒険者ギルドにたどり着いたのは、冒険者街の端でふらふらしているのを親切な冒険者に保護されたからだった。
「足いたいよー」
「おうち帰れない」
 半泣きで足を抱えているのは、七、八歳の双子。背格好も顔も瓜二つ、服装は二人の姉も似たようなものだが、かなり仕立てがいい。髪と瞳は茶色とありふれた色だが、目はぱっちりしているので、人攫いに連れて行かれても不思議ではなさそうだ。
 その姉達は、上が十二、三歳、下が十歳前後で、顔付きも髪や瞳の色も双子とよく似ている。やはり目がぱっちりしているところも。違うのは、自分達も足をさすりながら、双子を叱咤激励しているところだ。
「お夕飯までに帰らないと、おばちゃんが心配するでしょー」
「帰ったら、はちみつ舐めさせてあげるから」
 どうやら四人は、パリの街の大分離れた通りから、冒険者ギルドまで歩いてきたらしい。挙げ句に道に迷って、ふらふらしていたのだ。
 まあ、依頼に来たとなれば、ギルドだってそれなりの対応はする。そうでなくても、足が痛い子供を見捨てられない子供好きは、けして珍しくないだろう。
 そうして、あちこちから果物やら冷たい水やら貰い、足をさすってもらってご機嫌の双子を横目に、一番上の女の子はこう言った。
「おばちゃんの畑を荒らすモンスターを倒して欲しいの」
 二番目の女の子も、続けて言う。
「土の中にいてね、大きくてね、畑の薬草や野菜をひっくり返しちゃうの。おばちゃんが困ってるの」
 でも、二人の話はまったく要領を得なかった。なんとなれば。
「そのモンスターを見たことは?」
 ギルド係員のこの質問に、ない、と口を揃えたからである。
 これでは『大きい』もどれほどだか、まるでわからない。
「おばちゃんが冒険者の人に来てもらうのは、お礼がいるのよって言ってたから、お小遣い持ってきたの。はい」
 一番上の女の子が、綺麗な布で作った小袋を取り出した。ギルドだって慈善事業ではないので、これはありがたく受け取った。
 しかし。
「あたしたちのお小遣い、それで全部なの。足りる?」
 全部銅貨で小さな山。足りないよと言えば言えるが‥‥世の中には物好きもいるかもしれないし。
「お、おばちゃんの名前を聞かせてもらおうかなぁ」
 最後の手段で保護者の名前を聞き出した係員は、一日ばかり、依頼を出すかを検討していたらしい。

 しかし、その翌日。
「昨日の姉妹の依頼に追加? あなたはお隣の畑の方ですか。あの‥‥依頼には報酬がつきものですが」
 身なりは農夫か庭師といった感じの男性が、ギルドを訪れた。依頼はやっぱり『畑を荒らされて困っているので助けて欲しい』だ。
「隣のお嬢さんたちが、こちらにお願いしたと聞いたので、うちも頼んだらいいとご主人がおっしゃって。報酬は、うちのご主人がお隣の分も払うそうです」
 さすがに報酬が銅貨二十八枚ではどうにもならないと思っていた係員に、この申し出はありがたいことこの上ない話だった。
 それに、モンスターについても、ちゃんとした情報が得られるだろう。さすがに『土の中にいて、大きくて、畑を荒らす』ではなんだか分からない。
 が、男性は『どんなモンスターなんですか』の問い掛けに、しばしきょとんとした後。
「いやぁ、モグラかネズミですよ。数がいるみたいだから、ネズミかな」
「ジャイアントラットとか?」
「とんでもない。あんなのが出たら、隣のお嬢さんたちが最初にかじられちゃいます。せいぜいこのくらいでしょう」
 男性が大きな手を握って示したのが『このくらい』だ。モグラなら小さいが、ネズミだとやや大きい。

 しばらくして、『パリ郊外の畑で、ネズミかモグラ退治をする冒険者求む』の依頼が、張り出された。
 最初に書かれた『モンスター』の文字は、羊皮紙を削って訂正してある。




 

●今回の参加者

 ea1641 ラテリカ・ラートベル(16歳・♀・バード・エルフ・ノルマン王国)
 ea1681 マリウス・ドゥースウィント(31歳・♂・ナイト・人間・ノルマン王国)
 ea3776 サラフィル・ローズィット(24歳・♀・クレリック・エルフ・ノルマン王国)
 ea3852 マート・セレスティア(46歳・♂・レンジャー・パラ・ノルマン王国)
 ea3972 ソフィア・ファーリーフ(24歳・♀・ウィザード・エルフ・ノルマン王国)
 ea4078 サーラ・カトレア(31歳・♀・ジプシー・人間・ノルマン王国)
 ea4381 ドレッド・シャルフ(39歳・♂・ウィザード・人間・ノルマン王国)
 ea5118 ティム・ヒルデブラント(27歳・♂・ナイト・人間・ノルマン王国)
 ea5283 カンター・フスク(25歳・♂・ファイター・エルフ・ロシア王国)

●リプレイ本文

●小さい丘が作れます
 畑のモンスター(ネズミかモグラ)を倒してください。
 この依頼を受けた九人ばかりが初めて顔を合わせて、方策を話し合ったとき、ドレッド・シャルフ(ea4381)はこう口を開いた。
「依頼人からの話によれば、今回の被害は小動物によるものと推定されます。この場合、その小動物がどれほど地下にまで穴を広げる種類かで、対応も異なります」
 と、ここまでは良かったのだが。
 ネズミなら畑の周囲を板で囲えば、ある程度侵入は阻止できる。モグラへ効果を期待するなら、畑の周囲に空堀を作り、中に侵入できないようにすればよい。だがしかし。
「問題はそれだけの板をどう調達するか、また掘り起こした土砂をどこに処分するかです」
「なんだぁ、残念だねぇ」
 言い渋ったドレッドに『言え言え』と散々けしかけていたマート・セレスティア(ea3852)があははと笑う。他の七人は、脱力していた。真面目に聞いていたのに‥‥
 結局は、こうなった。
「まずはネズミかモグラかをよく確認し、巣穴の出入り口を見付けましょうね。それから二つ以外は出入り口を塞いで」
 ソフィア・ファーリーフ(ea3972)が説明するのは、何人かが聞き込んできた害獣駆除の方法だ。二つ残した出入り口の片方から煙を流し込み、もう一方から出てきたところを捕獲する。体力と観察力は必要だが、基本的に魔法や剣が目一杯必要な依頼ではなかった。
 でも念のため、サーラ・カトレア(ea4078)がウェザーコントロールを、雨で作業が停滞しないように使う。他の詳しいことは、現地を確認してからとなった。

●おじちゃんとおばちゃんがいっぱい
 問題の畑は、パリ市街から徒歩だと午前の半分くらいを潰してしまう距離にあった。荷物を背負い、炎天下を行くには、冒険者といえどもなかなか大変な距離である。
 しかしどちらもナイトのティム・ヒルデブラント(ea5118)とマリウス・ドゥースウィント(ea1681)が、それぞれの馬に皆の荷物を乗せてくれたので楽が出来た。当人達は他人の役に立つのが仕事と、当然といった様子で他の者と並んで歩いている。たまに馬に乗ってはしゃいでいるのは、マートとラテリカ・ラートベル(ea1641)の二人。九人の中では最年少のラテリカに目くじらを立てる者はいないし、マートは馬の背にいて幸せ一杯の顔付きなので咎める気にもなれないところだ。
 セーラ神の僕のサラフィル・ローズィット(ea3776)とファイターのカンター・フスク(ea5283)は歩くことを厭わず、ジプシーのサーラもそれは同様。ソフィアとドレッドはウィザードだが、どちらも軽装だし、ソフィアはロバを連れているから荷物もない。
 そうして九人が午前のちょうど中頃に依頼人達の畑に到着すると‥‥
「お待ちしてました。お疲れ様です。お嬢さん達は、夜が明けたころに家を出ていらして」
 畑の管理人の農夫がにこやかに出迎えてくれ、四人姉妹は畑の境界のリンゴの木陰ですやすやと眠っていた。

 彼らが到着したので起き出した寝惚け眼の四人姉妹はさておき、冒険者達は早速仕事に取りかかった。双子の髪の毛に『目印』と色の違う葉っぱを挿そうとしたマートはカンターに引き摺られていく。他人がさぼるのは、確かに許しておけないものだ。
 そうしてサーラはウェザーコントロールで雨除けをしている。双子が興味津々で見ているのでちょっと緊張したが、無事終了。
 だが双子には、サーラが何をしているのかよく分からなかったらしい。
「ねえ、おばちゃん。今の魔法?」
 サーラは種族は双子と同じく人間、二十歳。気持ちも体型にも張りのある若々しい女性のはずだが‥‥
「おばちゃーん」
 御年七歳の双子は無邪気で始末が悪かった。

 サラとマリウス、カンターの三人は、まず畑の世話をしている農夫に案内と事情の説明を願っていた。ぐるりと畑の周囲を歩きながら、時々見られる縦横の微かな土の盛り上がりと陥没跡も確認する。
 途中、マリウスとカンターが農夫の許可を得て、畑の隅の陥没跡を掘り返してみた。穴の広さは彼らの握り拳二つ分くらい。となると『モンスター』はそれより小さいから、やはり小動物の可能性が高いだろう。モンスターの場合、ジャイアントラットだって小さくても中型犬程度の大きさはある。
「ネズミの可能性が高いでしょう。モグラは掘って余った土を地上に押し上げるので、時々土の大きな盛り上がりがあるはずです」
 今回はそれがないので、きっとネズミ。そうマリウスが指摘すると、農夫もモグラだと確かにそうだと頷いた。
 噛られた跡のある作物を見たカンターも、マリウスの指摘に同意した。歯形がどう見てもネズミだ。ちょっと大きいのと小さいのが入り乱れているので、複数いると見て間違いない。巣穴で繁殖していることも考えられた。
「そうなると厄介だ。今のうちに手を打っておくべきだな」
 ネズミは増えるぞと、サラも大きく頷いてしまうことをカンターが告げていると、ひょっこり顔出したのは四人の真中、十歳の女の子だ。マリナスの腕にいきなりぶら下がる。
「ねえねえ、おじちゃん。モンスターがなんだかわかった? エルフのおじちゃんとおばちゃんはどう?」
「お兄さんとお姉さんでしょう」
 人間を基準にしたら、三人ともに二十歳からほんの一つ、二つ上回ったばかり。苦笑した農夫が注意するのだが、女の子は負けていない。おかしくないと言い張っていた。
「お嬢さんがたの叔母様は、二十一なんです。そのせいか、お若い方にも呼びかけがなにで」
 自分の娘が粗相したように恐縮している農夫を責めるつもりは誰にもないが、少しだけやる気を削がれた呼ばれ方だった。
 ともかくも、次はネズミの巣穴の出入り口を見付ける作業が待っている。

 おじちゃんと呼ばれても、にこやかな笑顔を崩さなかったのはドレッドだ。二十八歳の彼は、十代前半の女の子におじさんと言われても達観していられるのかもしれない。一緒にネズミの巣穴捜しをしていたソフィアには、まだ到達できない領域だ。人間換算二十歳で到達していたら、それはそれでなんだが。
 それでも四人姉妹の長女は、二人について歩くことにしたらしい。誰かから彼らがウィザードだと聞いて、興味を持ったようだ。冒険者には珍しくなくても、パリの街中では石を投げれば当たるとまではいかないから、物珍しいのだろうとソフィアは思った。彼女は子供好きなので、巣穴捜しで倒されて作物にグリーンワードを使うところを見せてやろうと思い立つ。
「お姉ちゃんはねぇ、野菜さんとお話ができるんですよー」
 ここで『お姉さん』を自称したのは、何も他意のあることではない。相互の年齢差七歳を考えたら、それが普通だから思わず口にしたまでだ。ところが。
「グリーンワードでしょ。じゃあ、地の精霊魔法だね」
「‥‥随分、詳しいですね?」
 ドレッドが反応するまで一呼吸あったが、それも当然。普通は精霊魔法の細かい分類など気にせず暮らしているのが、魔法を使わない人々だ。職業的な事情で詳しい場合もあるが、相手は十三歳の女の子。
「お母さんがその魔法使えたの。お父さんは水だったし、おじいちゃんはうーんと、火だったかなぁ。あたしはお針子さんになるけど」
 人物表現が全部過去型なので詳細を尋ねるのも気が引けたが、ソフィアとドレッドはだいたいを了解した。この四人姉妹は周囲に魔法の使い手が山程いる状況で育っているのだ。それが分かったからといって、今回の依頼に何の役にも立ちはしないが。
 でも、そうなると『おばちゃん』はどんな人なのか、ソフィアには少々気になった。
「代書屋さん」
 姪っ子の説明は簡潔を極めたが、後で農夫にも尋ねたら『おっとりしてますけど、読み書きがとても達者ですよ』と説明された。
 とりあえず、グリーンワードの効果もあって、巣穴の出入り口はどんどん見付かったのである。

●中には例外もいる
 マートとティムとラテリカは、四人姉妹の『おじちゃんおばちゃん攻撃』からは逃れていた。いかにも子供っぽいマートとラテリカは当然だし、さしもの四人も十六歳のティムを捕まえておじちゃんとは言えないだろう。
 代わりに、この三人は呼び捨てだ。お互い様だが、例えばラテリカはエルフだとか、ティムはナイトだなんてことは四人の頭にはない。言われている側にも、そうしたことが浮かぶ暇はなかった。なんとなれば。
「マートさん、またですかっ」
「はわ、埋まっちゃってますよ」
 双子も一緒の巣穴捜しの最中、見付かった出入り口にマートが頭を突っ込んで抜けなくなること二回、穴が崩れて頭だけ生き埋めになること三回、中に何か見えたと掘り返し始めること一回で、その後始末におおわらわだったのである。今も三回目の救出作業を、双子にも手伝ってもらって進めているところだ。
「あー、びっくりした」
 このマートの反応、相手がティムとラテリカと双子が相手でなかったら、今頃蹴り飛ばされていただろう。いくら見付けた巣穴の数が一番多くても、間違いなく怒られている。
 ちなみに見付けた巣穴は、マートが率先して埋めてしまっていた。どんどんと踏んで固めるのは、双子のお仕事だ。その後をラテリカとティムがやり直さないと、ふかふかだとしても。

●では、燻してみよう
 巣穴捜しで午前は終わり、真昼の日差しは非常きつい。本当はここで燻し出しに使う薪を集めなくてはならないのだが、この周辺は管理する貴族の所有林で、畑の所有者やその代理人が生活に最低限の量を得る以外は薪一本拾うのでも許可がいる。世の中は色々と細かい規則で動いていた。
 そんなわけで、これから肥料になるはずだった刈り取ったばかりの雑草を農夫から貰い受け、九人と四人と一人は休憩していた。共有井戸から汲んだ水に、用水路で冷やしたワインをちょっぴり入れて、がぶ飲みする。そうしながら、九人の冒険者はすでに決めてあった役割分担の再確認をしている。つまりは燻し出しの担当と、駆除の担当の振り分けだ。
 四人姉妹は駆除担当に立ち会わせるのはなんなので、燻し出し担当が近くにいることにしたのだが‥‥当人達がこう言った。
「やることがあるから、あっちにいる」
 ならば話は簡単で、一休みした後は燻し出し担当が五人、駆除担当が四人で早速働き始めた。燻し出しのほうが多いのは、見付け漏らした穴から煙が上がったら、そこに駆け付けなくてはならないからだ。
 ところで、駆除担当だが。
「キミ、今度はなにしてたんだ?」
「罠。この袋にみんな入ったら、後始末が簡単だろ?」
 ネズミは捕まえたら水に落とすんだよと、あっけらかんと言ったマートが、出入り口を大きな袋で覆っていた。逃げてきたところを一網打尽というわけだ。
 これには、マリウスもカンターもドレッドも異論はない。ネズミとやり合って、不潔な牙が掠めでもしたら、後が大変だ。そもそも小さいネズミを剣や魔法で相手するものでもないし。
 水に落とすかどうかは別として、だが。
 そうして、燻し出し担当が猛烈な勢いで煙を上げ始めたのを遠目に、彼らは一応身構えてみたりしたのだ。マート以外。

 さて、燻し出し担当もラテリカが湿らせた雑草をせっせと燃やし、サーラがその手伝いをしていた。もう一つの出入り口からは、最初の一匹のネズミが袋に飛び込んで混乱しているところだ。
 と、二つの穴の中間地点をちょっとずれたあたりから、もう一本煙が上がり始めた。こともあろうに四人姉妹が『あっち』と言ったあたりである。
 大慌てで走り出したのはソフィアとティム、サラの三人、一番早いのはやはりティムだ。見逃した出入り口があったら、そこから飛び出したネズミに四人姉妹が食いつかれるかも知れない。と、心配していたが。
「お茶、いれておいてあげるからね」
 煙は四人がお湯を沸かそうとしていた焚火のものだった。
 結局害獣駆除は十二匹のネズミを捕まえて、これといった問題も困難もなく、あっさりと終わったのである。ネズミは‥‥農夫が受け取ると、何のためらいもなく用水路の深いところに落としていた。こんな目にあえば、ネズミも岸まで泳ぎきっても遠くに逃げていくだろう。
 人によってはびっくりするような終わり方だが、依頼は無事完了である。

●そうして食べ物の恨みは恐い
 リンゴの蜂蜜漬け。夏にこんなものが食べられるのは、かなり贅沢だ。それが一人に付き二口程度の小さいのでも、これ以上を望んではいけない。あくまで依頼人のご厚意である。薄く焼いたパン付きだし。いれてもらったお茶が渋いくらい、我慢である。通常は。
 ラテリカは食前の祈りの前に即興で歌ってみせるほどに感激したし、マリウスはそれに手拍子を合わせる意外な才能を見せ、サラのお祈りの声にも張りがあった。ドレッドやサーラは柔和な笑みで渋いお茶にも文句一つ言わず、食べ盛りのティムも純粋に嬉しそう。
 そしてソフィアは四人姉妹とラテリカに、自分の分の蜂蜜漬けを譲ると気前のいいことを言っていた。
「はわわ、でも悪いんじゃないでしょか」
 食べたいけど、それも申し訳ないなあとラテリカが口にした途端。
「いらないなら、おいらが貰うねっ」
 カンターのとっさの拳もひょいと避けて、マートが蜂蜜漬けを摘んで口に入れた。他の誰が止める隙もない、一瞬の出来事だ。
 この後マートは四人姉妹と他何人かに追い回されたが、楽しそうに逃げていた。
「マートのばぁかーっ」
 七歳に呼び捨てにされた彼が、実は冒険者九人の最年長なのだが‥‥そんなことは関係なく、今度出会ったら何かが起きるだろう。