何か居る!?

■ショートシナリオ


担当:紅茶えす

対応レベル:1〜3lv

難易度:難しい

成功報酬:0 G 93 C

参加人数:8人

サポート参加人数:-人

冒険期間:08月01日〜08月08日

リプレイ公開日:2004年08月02日

●オープニング

 そこは、とある村近辺の山道。
 その山道を行く一人の旅人。
 GuCHu‥‥
「なんだ?」
 旅人が異物を踏んだ瞬間!
 響きわたる悲鳴。
 突如地面が生き物のように旅人を襲った。
 その後、彼を見た者はいない‥‥。

 ここは冒険者ギルド。
 冒険者達が仕事の斡旋を求めて集う場所である。
「仕事の斡旋か? キミ達ならば、これなんかどうだい?」
 いつものように冒険者ギルドのおやっさんが依頼書のひとつを見せる。

『最近、村の近くに化け物か何かが居るようなのです。
 村の猟師や旅人が数人行方不明になっているので、早急に調査をお願いします。
 もし、本当に化け物がいるならば、退治していただきたい
 何卒宜しくお願いします』

「いったい何が居るのかは不明だが、とりあえず調査に行ってみてくれ。もしも手に負えないようなモンスターだったら無理はするなよ? 命あっての物種だからな」
 おやっさんが依頼書の控えを渡してくれる。
「村までは片道二日。調査に三日見ておくとして、計七日。村での三日間は、食事と寝床を提供してくれるそうだから、往復四日分の食料は用意しておけよ」
 こうして、新たな依頼を受けた冒険者達であった。
 無事、依頼を遂行することができるだろうか。

●今回の参加者

 ea0144 カルナック・イクス(37歳・♂・ゴーレムニスト・人間・ノルマン王国)
 ea0244 アシュレー・ウォルサム(33歳・♂・レンジャー・人間・イギリス王国)
 ea0261 ラグファス・レフォード(33歳・♂・レンジャー・人間・エジプト)
 ea2128 ミルク・カルーア(31歳・♀・ナイト・人間・イギリス王国)
 ea3590 チェルシー・カイウェル(27歳・♀・バード・人間・イギリス王国)
 ea3647 エヴィン・アグリッド(31歳・♂・神聖騎士・人間・イギリス王国)
 ea4089 鳳 瑞樹(31歳・♂・侍・人間・ジャパン)
 ea5386 来生 十四郎(39歳・♂・浪人・人間・ジャパン)

●リプレイ本文

 ギルドで依頼を受けた冒険者達。
「俺のことはラグって呼んでくれ」
 自己紹介するレンジャーのラグファス・レフォード(ea0261)。他のメンバーも続いて挨拶を済ませる。
「今回の化け物は、姿が見えない化け物なのかな?‥‥出会ってみなきゃ分からないか」
 少し不安げなレンジャーのカルナック・イクス(ea0144)。
「四日分の食料だったな。少し待っていてくれ。調達してくる」
 エチゴヤで買い物を済ませる侍の鳳瑞樹(ea4089)。
 そして、キャメロットを出発する。
「‥‥暑い暑い暑い」
 浪人の来生十四郎(ea5386)がぼやいていたが、道中さしたる危険もなく村へ到着する。

 冒険者達は村長に挨拶すると、早速、情報収集を開始する。
「山向こうの街へ抜ける山道を通る旅人や、その近辺を狩り場にしていた猟師ばかり行方不明になっております」
 そう話す村長。
「山に詳しい猟師まで姿を消してるのか‥‥」
(「やはり獣か怪物の仕業か?」)
 そう推測する十四郎。
「うーん、何か分からないかなあ?」
 モンスター知識万能を持つレンジャーのアシュレー・ウォルサム(ea0244)だが、これだけの僅かな情報ではモンスターの特定はできそうにない。
(「モンスターを片づけて、行方不明者も見つかれば最高のハッピーエンド‥‥、なんだけど、そう上手くはいかねぇかな? だが‥‥」)
「これ以上犠牲者を出すわけにはいかない、それだけは決まってるだろ」
 不安をかき消すように、そう皆に話しかけるラグ。
「安心しなさい。私達が必ず解決するわ」
 イギリス騎士のミルク・カルーア(ea2128)。ナイトの務めとして不安になっている村人達を励ましている。
 化け物の居そうな場所の範囲は絞れたが、それ以外は大した情報は得られなかった。
 直接出向いて調査する以外無さそうだ。

 村に一晩泊めてもらい、翌朝。
「化け物か何かが居る、か。随分と曖昧な情報ねぇ。つまり、それだけ危険がいっぱい、って事か。不安はあるけど、気合入れて行きましょうか」
 バードのチェルシー・カイウェル(ea3590)が促し、調査に出発する。
 冒険者達は、いつでも松明が使えるよう常に準備し、さらに化け物の不意打ちを用心して、2mくらいの木の棒で前方の地面をつつきながら探索を試みる。また、棒に保存食をくくりつけて囮にしたりしてみる。
「まあ、気休め程度かもしれないけど、何も対策を講じないよりはマシでしょ」
 前方だけでなく、上や周囲にも気を配るカルナック。
「これで化け物が反応してくれるといいのだけど‥‥」
 樽を進行方向に転がしながらミルク。樽には村で貰った油が入っている。
「いやな予感がするな‥‥」
 神聖騎士エヴィン・アグリッド(ea3647)が呟く。
「さて、鬼が出るか蛇が出るか‥‥」
 緊張するアシュレー。
 隠密行動万能のスキルを始め、持てるスキルをフル稼働で警戒する冒険者達。

 やがて冒険者達は、犠牲者の遺品らしき物を発見する。
 それは、何かが溶けかけて残ったような‥‥。
「これ以上犠牲者を出さないためにも‥‥早く見つけなくては‥‥ミミクリー」
 エヴィンが魔法を発動させ、黒く淡い光に包まれると、狼に変身する。
 遺品のにおいを嗅いで周囲を探索する。
 モンスター知識万能を持つカルナック、アシュレー、ラグらが、そのようなモンスターがいなかったかと頭をひねっている。
 そこへ接近する謎の見えない影‥‥。
(「いるぞ‥‥何かが‥‥」)
 そう感知したエヴィンが吠えて知らせる。
「そこに何か居るよ!」
 直感的にチェルシーが察知する。
「気を付けろ‥‥なにか嫌な気配を感じる」
 瑞樹も反応する。
「ど、どこ!?」
 警戒するアシュレー。
 突如地面が生き物のようにアシュレーに襲いかかった!
「あつっ‥‥」
 完全に不意を突かれたアシュレーに、茶色い不定形の何かがまとわりつく。
 酸によって獲物を溶かそうとしているのだ。
「不意打ちされた時の基本、それは動じない事っ!」
 チェルシーの言葉で、冷静にアシュレーと化け物を引き剥がす冒険者達。
 負傷したものの、何とか距離を取ったアシュレー。
「ふうっ‥‥援護するから間違って当たらないようにね!」
 体勢を立て直し、短弓に矢をつがえる。
「コイツはクレイジェルだ!」
「大丈夫。姿さえ確認すれば、普通の武器でも倒せるハズだよ!」
 カルナックとラグも距離を取って短弓に矢をつがえる。
「逃がしはしないわ!」
 ミルクが樽の油をクレイジェルにかける。
「そら、燃えちまえ!」
 準備していた松明で火をかける十四郎。
「これは犠牲者のための弔いの炎だ‥‥」
 狼の姿を解き、クルスソードを構えるエヴィン。
 燃えながらも襲いかかろうと近寄ってくるクレイジェル。
「臨!兵!闘!者!皆!陣!列!在!前!‥‥破!」
 瑞樹は独特の印と掛け声で闘気を練り、オーラショットを撃ち、
「大丈夫か!? もっとお互いの背を重ねろ! 死角を作るなよ!!」
 そう叫んで陣形を整える。
「腕っ節はからっきしだけどな、‥‥こいつには自信があるぜ!」
 ダブルシューティングで射撃するラグ。
 カルナックとアシュレーも続いて射撃する。
「そこのクレイジェルに当たれー!‥‥ムーンアロー!」
 魔法発動の瞬間、チェルシーが銀の淡い光に包まれ、指さして目標を特定すると光の矢が仲間をすり抜けてクレイジェルに炸裂する。
「ウーゼル流ミルク・カルーア行くわよ!」
 チャージングを仕掛けるミルク。
「二天一流鳳瑞樹参る!」
 ダブルアタックを仕掛ける瑞樹。
 それだけの攻撃を受けてなお、襲いかかってくるクレイジェルだが、
「‥‥危ない危ない」
 それなりにダメージはあるのか、鈍った動きの攻撃を辛うじて避ける十四郎。
「効いてるみたいだ、撃ちまくれ!」
 レンジャー達の一斉射撃、そして、攻撃魔法と前衛達の武器攻撃が次々にクレイジェルに命中していく。

 そして、冒険者達の連続攻撃に、ついに動かなくなり燃え尽きるクレイジェル。
「‥‥不浄なる命はない‥‥次の世では心安らかに過ごせよ」
 命への慈しみを忘れない瑞樹。
「危惧してた程じゃ、無かったかな?」
 仲間を見渡すチェルシー。
 だが、最初に不意打ちを受けたアシュレーのダメージが大きい。
「これを使って。貧乏だから一本しかないのだけどね」
 リカバーポーションを差し出すカルナック。
「ありがと、恩に着るよ」
 それを飲んで全快するアシュレー。
 他の負傷者は、燃えるクレイジェルと接近戦をした前衛達が多少の火傷をした程度だ。それらは暫くすれば完治するだろう。
「今回も回収、回収。はあ、お金がないって大変だよね」
 矢を回収するアシュレー。しかし、クレイジェルに命中した矢は、ほとんど使い物にならない状態になっていた。
「まあ、仕方ないな」
 カルナックとラグも矢を回収しながら互いに顔を見合わせ苦笑する。
「こりゃ刀の手入れが大変だな‥‥」
 日本刀を拭いてから鞘に収める十四郎。
 火とクレイジェルの酸で、多少傷んではいるようだが、しっかり手入れすれば問題はなさそうだ。
「これでひとまず安心だな‥‥しかしまた同じような奴が出てくるかもしれない‥‥村人には注意するように言っておこう」
 引き上げる準備をするエヴィン。
「この遺品は、一応届けておいた方がいいわね‥‥」
 現場に落ちていた溶けかけの遺品を回収するミルク。

 村への報告に戻る頃には、日も落ちていた。
 謎の化け物を退治したとの報告を受け、喜ぶ村人達。しかし、行方不明となっていた者達はクレイジェルの餌食になっていたのだ。その悲しみは拭いようがない。
「今日はもう日も落ちましたし、ゆっくり休んでいって下さい」
 村長の厚意を素直に受け、翌朝、冒険者達は村人達に見送られながら村を後にした。
「さて、明日はどっちに行こうかな?」
 微笑む瑞樹。
 彼らがいずれ英雄と呼ばれる日が来ることを祈っている。