真夏の怪談『幽霊屋敷!』

■ショートシナリオ


担当:紅茶えす

対応レベル:1〜3lv

難易度:難しい

成功報酬:0 G 78 C

参加人数:8人

サポート参加人数:-人

冒険期間:08月16日〜08月21日

リプレイ公開日:2004年08月17日

●オープニング

 ここは冒険者ギルド。
 冒険者達が仕事の斡旋を求めて集う場所である。
「仕事の斡旋か? キミ達ならば、これなんかどうだい?」
 いつものように冒険者ギルドのおやっさんが依頼書のひとつを見せる。

『我が村の村外れに古くから誰も住んでいない家がありまして、村人達は幽霊屋敷と呼んでいたのですが、どうやら本当に幽霊が住んでいるようなのです。
 先日、村の子供達が肝試しだと、幽霊屋敷に忍び込んだらしく、本物の幽霊に襲われたと言うのです。子供達は幽霊に触られた所が火傷のようになっており、嘘や冗談では無いようです。
 今回は、幸い子供達も大怪我はしていませんが、このまま幽霊を放っておくわけにもいきません。早急に退治して下さい。宜しくお願いします』

「幽霊か。こりゃあ、おそらくレイスってぇヤツだな。なかなかの強敵だぞ。相手は霊体だからな。普通の武器じゃあ、すり抜けちまうって話だ。その辺、気を付けて事に当たってくれ」
 おやっさんが依頼書の控えを渡してくれる。
「村までは片道二日、往復四日の距離だ。食料の準備を忘れるなよ。村で一日分の食事を出してくれるそうだぜ。頑張ってな」
 こうして、新たな依頼を受けた冒険者達であった。
 無事、レイスを退治することができるだろうか。

●今回の参加者

 ea0333 フォーリス・スタング(26歳・♂・ウィザード・人間・イギリス王国)
 ea0827 シャルグ・ザーン(52歳・♂・ナイト・ジャイアント・イギリス王国)
 ea1321 シーモア・レッドハート(20歳・♀・バード・エルフ・ロシア王国)
 ea1390 リース・マナトゥース(28歳・♀・神聖騎士・人間・イギリス王国)
 ea3542 サリュ・エーシア(23歳・♀・クレリック・人間・神聖ローマ帝国)
 ea3827 ウォル・レヴィン(19歳・♂・ナイト・エルフ・イギリス王国)
 ea5883 神宮司 朱雀(29歳・♀・志士・人間・ジャパン)
 ea5934 イレイズ・アーレイノース(70歳・♂・神聖騎士・人間・神聖ローマ帝国)

●リプレイ本文

 幽霊退治の依頼を引き受けた冒険者達。
「こんにちわ、よろしくお願いしますね」
 今回の仲間達に挨拶するバードのシーモア・レッドハート(ea1321)。
 軽く黙礼する志士の神宮司朱雀(ea5883)。
「幽霊関連の依頼はこれが2回目ですが‥‥前のは戦闘はありませんでしたからね。初めてのつもりでいきます」
 続いて、ウィザードのフォーリス・スタング(ea0333)も挨拶する。
「保存食買ってこないと‥‥」
 出発前にエチゴヤに寄るクレリックのサリュ・エーシア(ea3542)。

 村への道中。
「シーモア殿、良ければ我が輩の馬に乗せて進ぜよう」
 馬の手綱を引くナイトのシャルグ・ザーン(ea0827)。
「ありがとう、助かります☆」
 礼を言って馬に乗せて貰うシーモア。それほど荷物が多いわけではないが彼女の体力では、それさえもツライようだ。
 村までは特に障害となる事は無かった。

 馬に乗って先行していたのは神聖騎士のイレイズ・アーレイノース(ea5934)。
 早速、依頼人の村長に挨拶を済ませ、
「屋敷の由来について教えて下さい」
 情報収集を行う。
「何代か前、この地方の領主様の別荘として使われていたそうですが、今では詳しい事を知る者はおりません。私が生まれる前から幽霊屋敷と呼ばれておりましたが、本当に幽霊が住んでいるとは思いもしませんでした。そう言えば、そこの住人の物と思われる墓が屋敷の庭にあります。それも幽霊屋敷と呼ばれる由縁になっておりますな」
 村長に礼を言うと、イレイズは幽霊屋敷へと向かった。

 やがて徒歩組も村に到着。
 村長に子供達のその後を尋ねる冒険者達。
「今では怪我も治っております。怖い目にあったせいか、悪戯が減ったのは不幸中の幸いという所でしょうか」
 笑いながら答える村長。
「とは言え‥‥子供達が怪我したんなら退治するしかないか」
 そう決意するナイトのウォル・レヴィン(ea3827)。
「今日を限りに同じ傷を負う者が出る事はあるまい」
 依頼達成を誓う朱雀。
「宜しくお願いします」
 頭を下げ、冒険者達を送り出す村長であった。

 幽霊屋敷でイレイズと合流した冒険者達。
「死者の冥福を祈りましょう‥‥」
 彼は墓の前で清めの祈りを捧げていた。
 幽霊屋敷を前にして少し緊張している神聖騎士のリース・マナトゥース(ea1390)。
「ふぅ‥‥落ち着いて、しっかりやらないと‥‥」
 大きく深呼吸して、気分を落ち着かせる。
 屋敷の壁には蔦が絡みつき、いつの間にか空を暗雲が覆っていた。
「レイスって何かの強い未練が原因で現れるって聞いたことがあるの。問題を解決して安らかな眠りにつかせてあげたいわ‥‥」
 聖職者として、そう言うサリュ。
「昼だからと言ってレイスが出ないとは限らないですしね‥‥警戒はしておきましょう」
 そう言って、イレイズのクルスソードに『バーニングソード』を掛けるフォーリス。
 シャルグも屋敷に入る前に『オーラシールド』『オーラボディ』『オーラパワー』の順で魔法をかけておく。
 ウォルも『オーラパワー』を掛ける。
「それにしても‥‥理由がどうあれ、亡くなってもこの世に縛りつけられているのは悲しいですよね‥‥」
 魔法詠唱のため、装備を外して身軽になるシーモア。
「対象、屋敷内のレイス! 穏やかな月の雫よ、我が敵を撃て!‥‥ムーンアロー!」
 魔法発動の瞬間、シーモアが銀の淡い光に包まれる。
 レイスが存在しない場合や複数いた場合、術者に跳ね返ってくる危険な賭けである。
 放たれた光の矢は、屋敷の中へと消えていった。
 直後。
「いィーーたァーーいィィーー‥‥ッ」
 屋敷の中から、おぞましい声が聞こえてくる!
 そして、突如膨れ上がった殺気が冒険者達に突き刺さる。
 次第に大きくなる威圧感。レイスが近づいてきているのか。
「む、来ます! 警戒を!」
 イレイズが仲間達に呼びかける。
「火霊よ。我が刃の上で踊れ」
 刀を抜き『バーニングソード』を掛ける朱雀。
「‥‥ムーンアロー!」
 少しでもダメージを与えておこうと魔法を連射するシーモア。
「‥‥ホーリーライト!」
 メイスを地面に置き、魔法を詠唱するサリュ。
「丁度良い、もう少し屋敷から距離を取りましょう。ファイヤーボムを撃ちます!」
 フォーリスの言葉で、屋敷から距離を取る冒険者達。

「だァーーれェーーだァァーー‥‥ッ!」
 屋敷の壁から、青白い炎を纏ったようなレイスの怒りの形相が浮かび上がる!!
 恐怖で体が震えるリース。何か過去にトラウマがあるようだ。
「うぅ‥‥恐い、けど‥‥大切な人を、守れるようになるために‥‥頑張るって、決めた‥‥だから、逃げちゃ駄目‥‥」
 自らに活を入れてレイスに向き直る。
「あなたを救いたいの。私達に何か出来ることはある?」
 ホーリーライトをかざしながら問いかけるサリュ。
「こォーーろォーーしィーーてェーーやァーーるゥゥーーッ!!」
 どうやらレイスは完全に怨念の塊と化し、会話は成立しそうにない。
「理より外れ、最早戻らぬモノならば、滅するより他はあるまい」
 炎の刀を構える朱雀。
「もう眠りなさい、魂を汚してはなりません」
 詠唱を始めるイレイズが黒く淡い光に包まれる。
「退治するしか道は無いと言うのね‥‥」
 決心したように詠唱を始めるサリュが白く淡い光に包まれる。
 更にリースも詠唱を開始する。
「清めの光よ‥‥ブラックホーリー!」
「‥‥ホーリー!」
 聖なる力はレイスの抵抗を許さない。
「何があったか知らねーがこれも仕事だ。容赦はしないぜ!‥‥オーラショット!」
「‥‥ファイヤーボム!」
 ウォルの気弾とフォーリスの爆炎がレイスに炸裂する!
「いィーーたァーーいィィーー‥‥ッ!」
 悲鳴を上げるレイス。纏っていた青白い炎が弱っている。
 距離を詰めてくるレイスに、シャルグ、朱雀、ウォル、イレイズが前に立ち、後衛を守る。
「くっ、手強いな‥‥」
 レイスに触れられ、ダメージを受ける前衛達。
 オーラシールドのあるシャルグだけはレイスの攻撃を防ぎきっている。
「‥‥リカバー!」
 すかさずリースとサリュが回復魔法で援護する。
「肉を切らせて骨を断つ!」
 避けきれなかったが、炎の斬撃を浴びせる朱雀。
 ダメージが蓄積し、どんどん弱っていくレイスに、
「うおおっ! ウーゼル流シャルグ・ザーンの一撃を受けよ!!」
 シャルグのオーラパワー付きロングソードによる『スマッシュ』が見事にヒット!
「ぎィィーーーやァァァァーーーッ!!」
 断末魔を残して真っ二つになり、消滅していくレイス。

 負傷者も、リカバーによってすぐに完治。冒険者達の勝利である。
「鎮魂の儀を行います‥‥」
 祈りを捧げるイレイズ。
「南無‥‥」
 片手拝みする朱雀。
「なぁ‥‥、何があったんだろうな? この屋敷で」
 墓に花を手向け、冥福を祈るウォル。
「ああなる前に救ってあげられたら良かったのにね‥‥」
 黙祷するサリュ。
「せめて丁重に弔ってあげましょう」
 墓を綺麗にするリース。
 レクイエムを奏でるシーモア。
「とにかく出来る事をやっておかないと‥‥」
 予定通り屋敷の探索を提案するフォーリス。

 その後、屋敷を探索してみたが、荒れ果てた屋敷からは、最近忍び込んだという子供達の痕跡を発見できただけであり、レイスが何者の霊で、いつから居たのかは解らなかった。
 村長にレイスを退治した報告を済ませ、依頼達成である。
「有り難う御座いました。屋敷の方は、安全な内に取り壊しておく事にします」
 村長から報酬を受け取り、帰路に着く冒険者達。
 彼らが、いずれ英雄と呼ばれる日が来ることを願っている。