真夏の怪談『眠れぬ死者達の宴』

■ショートシナリオ


担当:紅茶えす

対応レベル:1〜4lv

難易度:普通

成功報酬:1 G 20 C

参加人数:8人

サポート参加人数:-人

冒険期間:08月22日〜08月29日

リプレイ公開日:2004年08月24日

●オープニング

 ここは冒険者ギルド。
 冒険者達が仕事の斡旋を求めて集う場所である。
「仕事の斡旋か? キミ達ならば、これなんかどうだい?」
 いつものように冒険者ギルドのおやっさんが依頼書のひとつを見せる。

『ウチの村の墓地にズゥンビが出現したのです!
 夜、墓守が見回りをしていた所、ズゥンビに襲われ、命辛々逃げ出してきました。
 墓守の話では、ズゥンビは複数居たとのことで、とても村の者には手に負えません。
 今では夜になると、ズゥンビ達が呻き声をあげて村を徘徊し、村人達は戸締まりに注意をして、ただ怯えながら夜明けを待つ毎日を送っています。
 何卒、ズゥンビを退治し、村に平穏を取り戻して下さい。宜しくお願いします』

「ズゥンビか。死人返り、動死体、活死体とか呼ばれるアンデッドだな。特に人型生物を見れば、必ず喰い殺そうと襲いかかってくるんだ。この依頼が来た時点では、まだ村人に殺された者は出てないようだが、一刻も早く行ってやってくれ」
 おやっさんが依頼書の控えを渡してくれる。
「村までは片道三日、往復六日の距離だ。食料の準備を忘れるなよ。村で一日分の食事を出してくれるそうだぜ。頑張ってな」
 こうして、新たな依頼を受けた冒険者達であった。
 無事、ズゥンビを退治することができるだろうか。

●今回の参加者

 ea0021 マナウス・ドラッケン(25歳・♂・ナイト・エルフ・イギリス王国)
 ea0333 フォーリス・スタング(26歳・♂・ウィザード・人間・イギリス王国)
 ea0673 ルシフェル・クライム(32歳・♂・神聖騎士・人間・神聖ローマ帝国)
 ea0827 シャルグ・ザーン(52歳・♂・ナイト・ジャイアント・イギリス王国)
 ea2938 ブルー・アンバー(29歳・♂・ナイト・人間・イギリス王国)
 ea3590 チェルシー・カイウェル(27歳・♀・バード・人間・イギリス王国)
 ea3982 レイリー・ロンド(29歳・♂・ナイト・人間・ビザンチン帝国)
 ea5430 ヒックス・シアラー(31歳・♂・ファイター・人間・イギリス王国)

●リプレイ本文

 到着に遅れが生じない程度に、冒険者達は各自のスキルを活かして協力しあい、食料調達しつつ目的の村へと向かう。
「久しぶりの狩りだ」
 ナイトのレイリー・ロンド(ea3982)。乗り気だ。
「冒険者たる者、経費は節約しないとね♪」
 バードのチェルシー・カイウェル(ea3590)は『ムーンアロー』を使って狩りの援護をしている。
 投げてもすぐに引き戻せるよう、ナイフとダガーの柄に釣り糸を結び、狩りをしつつ具合を確かめるファイターのマナウス・ドラッケン(ea0021)。
 追い立てられた獣に、『オーラパワー』付きの『チャージング+スマッシュ』で一気に仕留めるナイトのシャルグ・ザーン(ea0827)。
「これを使うといい」
 野営では女性陣に簡易テントを貸す神聖騎士ルシフェル・クライム(ea0673)。
 『クリエイトファイヤー』を使って火の元を担当するウィザードのフォーリス・スタング(ea0333)。

 そして無事、村に到着する。
 村長に挨拶を済ませ、墓地の場所を聞くと昼の間に向かう。
 日中に、墓を暴いてでもズゥンビを倒しておこうと言う冒険者達に、さすがに村長も嫌な顔をしたが、最小限の被害で退治するためとの事で了承を得ることが出来た。
「ズゥンビ退治‥‥冒険者なら一度は通る道か。経験しておいて損は無いな」
 ナイトのブルー・アンバー(ea2938)が呟く。
「ズゥンビの数が不明ですからね‥‥数十体いる、くらいの覚悟で行きましょうか‥‥」
 仲間達に話しかけるフォーリス。
「やっぱり、策略は意表をついてこそよね」
 そう答えるチェルシー。
「ズゥンビはできるだけ斬りたくないなあ。僕の剣が汚れてしまうじゃないか」
 いざと言う時のため、退路を確保するよう、墓地の入り口で後衛の護衛を担当するファイターのヒックス・シアラー(ea5430)。
 苦笑する仲間達に、
「まあ仕事だから嫌でもしっかり役割はこなすよ。プロだからね」
 そう付け加える。
「不死なる者よ、その生命無き姿を示せ‥‥デティクトアンデッド」
 魔法を掛け、墓地に入るルシフェル。
「やはり墓の中でアンデッドが眠っているようだな‥‥」
 ルシフェルの言に従い、地中のズゥンビを引きずり出し、各個撃破していく冒険者達。
「あのお墓の下にいる、一番上のズゥンビに当たれー♪」
 なんとか個体を特定し、『ムーンアロー』を撃つチェルシー。
「手がわさわさと出て来るんだろうな」
 『オーラパワー』を掛けつつ身構えるレイリー。
 がぼっ。
 墓の下から手が突き出る。そしてズゥンビが這い出してくる。
 冒険者達が一斉に攻撃する!
 シャルグの『オーラパワー』を掛けた『スマッシュEX』により、瞬殺である。
「作戦とは言え、墓を暴くと言うのは気持ちの良いものではないですね‥‥」
 再び穴を埋めつつブルー。
 しかし、時間の掛かる作業だ。全滅に至る前に日が暮れてくる。
 完全に日が暮れる前に冒険者達は引き上げ、仮眠を取って夜に備える。

 夜。
 焚き火をしつつ、村の広場に陣取る冒険者達。
 広場の周囲にはちょっとした堀を作ってある。少しでも足止めになれば御の字か。
「夜が本番ですからね‥‥どれ程のズゥンビが出てくるのでしょうか‥‥」
 フォーリスが呟く。
 やがて。
「ずぅんびぃ‥‥」
 そんな呻き声が聞こえてくる。
 すかさず、『バーニングソード』を仲間の武器に掛けていくフォーリス。
 同じく『オーラパワー』を仲間の武器に掛けていくレイリー。
 『オーラシールド』『オーラボディ』『オーラパワー』を掛けるシャルグ。

「ずぅんびぃ‥‥」
 呻き声をあげながらズゥンビ達が練り歩く。
 腐敗の進行した肉体を引きずるように練り歩く。
 焚き火に照らし出されるように、その醜悪な姿を冒険者達の前に晒す。
「土は土に、灰は灰に、魂は魂に、ってね。大人しく眠りなよ」
 ダガーを構えるマナウス。
「死後も安らかに眠れぬとは哀れな‥‥」
 ロングソードを構えるシャルグ。
 魔法の範囲を確保した広場にズゥンビ達が差し掛かかった所で、
「‥‥ファイヤーボム!」
 フォーリスの放った爆炎がズゥンビ達に襲いかかる。
「ずぅんびぃ‥‥」
 焼けこげながらも、歩みを止めないズゥンビ達。
 冒険者達の存在に気づき、喰い殺そうと襲いかかってくる!
「お前らの相手はこっちだ」
 ロングソードとダガーを構えるレイリー。
「此処はお前達の居るべき世界では無い」
 後衛を守るように立つルシフェル。
(「悪いけど、同情してあげるつもりはこれっぽっちも無い‥‥」)
 微かに呟くと、『ムーンアロー』の詠唱を始め、銀の淡い光に包まれるチェルシー。
 複数居るズゥンビ達を相手に、指差すなどして個体を特定すると、光の矢がズゥンビに炸裂する。
「この間合いなら‥‥!」
 ロングスピアを構え、
「はぁぁぁっ! 突き!突き!突きぃ!」
 連続で突きを放つブルー!
「俺のすべきことは敵を倒すことじゃない‥‥俺はただやつらに決定的な隙を作らせればいい」
 動きの鈍いズゥンビ相手なら、高度な『シューティングPAEX』でもマナウスの腕ならば外すことは無い。釣り糸を引き戻し、次の投擲に備える。
「適材適所ってやつさ」
 前衛のフォローを心がけるマナウス。
「呪・従、縛・暴、自由を奪い去れ‥‥コアギュレイト!」
 ルシフェルの魔法に動きを止めるズゥンビ。そして、クルスソードで斬りつける。
「後で手入れしなきゃ‥‥」
 ライトシールドで確実にズゥンビの攻撃を防ぎながら、ロングソードでダメージをコツコツ積み重ねるヒックス。
「緋き獅子は狙った獲物は逃がさない」
 『ダブルアタック』を繰り出すレイリー。
 シャルグの『オーラパワー』を乗せた『スマッシュEX』の連撃に崩れ去っていくズゥンビ。
「ずぅんびぃ‥‥」
 次々に倒されていく。しかし、恐れを知らないズゥンビはその爪で襲いかかってくる。
「死者は、大人しく眠れぇぇぇ!!」
 ブルーのロングスピアの前に、ついに最後のズゥンビが崩れ去った。

 大した負傷者もなく、ズゥンビ達を全滅させる事に成功した冒険者達。
「彷徨える亡者よ‥‥安らかに眠れ」
 黙祷するルシフェル。そして、少し負傷した前衛達を『リカバー』で癒す。
「ズゥンビ‥‥か、大人しく次代の樹の糧となってくれ」
 ズゥンビの残骸を埋めるマナウス。
「もう生き返ってくるなよ」
 ヒックスも手伝う。
 そして冒険者達は再び墓地へ赴き、ルシフェルの『デティクトアンデッド』でズゥンビの残党が居ないか確認をしてから村長に報告する。

 もう深夜になっていたが、村長は冒険者達のために起きて待っていてくれた。
 村人達の多くも今日は念のため、村長宅に避難している。
 大喜びで冒険者達達を迎えてくれる村人達。
 ささやかながら食事も用意してくれている。
「折角だから怪談話と洒落こもう‥‥」
 蝋燭に火を灯し、雰囲気を盛り上げるレイリー。
 話術を駆使し、ナンパ全開である。
「ひぃぃっ、もう許して下さいませ、レイリー様〜」
 村娘と怪談話をしながら夏の一夜を楽しむレイリーであった。

 翌朝、冒険者達は作った掘や荒れてしまった墓を埋めるなどのアフターケアをしてから村を後にした。
 彼らがいずれ英雄と呼ばれる日が来ることを願っている。