●リプレイ本文
到着に遅れが生じない程度に、冒険者達は各自のスキルを活かして協力しあい、食料調達しつつ目的の村へと向かう。
「久しぶりの狩りだ」
ナイトのレイリー・ロンド(ea3982)。乗り気だ。
「冒険者たる者、経費は節約しないとね♪」
バードのチェルシー・カイウェル(ea3590)は『ムーンアロー』を使って狩りの援護をしている。
投げてもすぐに引き戻せるよう、ナイフとダガーの柄に釣り糸を結び、狩りをしつつ具合を確かめるファイターのマナウス・ドラッケン(ea0021)。
追い立てられた獣に、『オーラパワー』付きの『チャージング+スマッシュ』で一気に仕留めるナイトのシャルグ・ザーン(ea0827)。
「これを使うといい」
野営では女性陣に簡易テントを貸す神聖騎士ルシフェル・クライム(ea0673)。
『クリエイトファイヤー』を使って火の元を担当するウィザードのフォーリス・スタング(ea0333)。
そして無事、村に到着する。
村長に挨拶を済ませ、墓地の場所を聞くと昼の間に向かう。
日中に、墓を暴いてでもズゥンビを倒しておこうと言う冒険者達に、さすがに村長も嫌な顔をしたが、最小限の被害で退治するためとの事で了承を得ることが出来た。
「ズゥンビ退治‥‥冒険者なら一度は通る道か。経験しておいて損は無いな」
ナイトのブルー・アンバー(ea2938)が呟く。
「ズゥンビの数が不明ですからね‥‥数十体いる、くらいの覚悟で行きましょうか‥‥」
仲間達に話しかけるフォーリス。
「やっぱり、策略は意表をついてこそよね」
そう答えるチェルシー。
「ズゥンビはできるだけ斬りたくないなあ。僕の剣が汚れてしまうじゃないか」
いざと言う時のため、退路を確保するよう、墓地の入り口で後衛の護衛を担当するファイターのヒックス・シアラー(ea5430)。
苦笑する仲間達に、
「まあ仕事だから嫌でもしっかり役割はこなすよ。プロだからね」
そう付け加える。
「不死なる者よ、その生命無き姿を示せ‥‥デティクトアンデッド」
魔法を掛け、墓地に入るルシフェル。
「やはり墓の中でアンデッドが眠っているようだな‥‥」
ルシフェルの言に従い、地中のズゥンビを引きずり出し、各個撃破していく冒険者達。
「あのお墓の下にいる、一番上のズゥンビに当たれー♪」
なんとか個体を特定し、『ムーンアロー』を撃つチェルシー。
「手がわさわさと出て来るんだろうな」
『オーラパワー』を掛けつつ身構えるレイリー。
がぼっ。
墓の下から手が突き出る。そしてズゥンビが這い出してくる。
冒険者達が一斉に攻撃する!
シャルグの『オーラパワー』を掛けた『スマッシュEX』により、瞬殺である。
「作戦とは言え、墓を暴くと言うのは気持ちの良いものではないですね‥‥」
再び穴を埋めつつブルー。
しかし、時間の掛かる作業だ。全滅に至る前に日が暮れてくる。
完全に日が暮れる前に冒険者達は引き上げ、仮眠を取って夜に備える。
夜。
焚き火をしつつ、村の広場に陣取る冒険者達。
広場の周囲にはちょっとした堀を作ってある。少しでも足止めになれば御の字か。
「夜が本番ですからね‥‥どれ程のズゥンビが出てくるのでしょうか‥‥」
フォーリスが呟く。
やがて。
「ずぅんびぃ‥‥」
そんな呻き声が聞こえてくる。
すかさず、『バーニングソード』を仲間の武器に掛けていくフォーリス。
同じく『オーラパワー』を仲間の武器に掛けていくレイリー。
『オーラシールド』『オーラボディ』『オーラパワー』を掛けるシャルグ。
「ずぅんびぃ‥‥」
呻き声をあげながらズゥンビ達が練り歩く。
腐敗の進行した肉体を引きずるように練り歩く。
焚き火に照らし出されるように、その醜悪な姿を冒険者達の前に晒す。
「土は土に、灰は灰に、魂は魂に、ってね。大人しく眠りなよ」
ダガーを構えるマナウス。
「死後も安らかに眠れぬとは哀れな‥‥」
ロングソードを構えるシャルグ。
魔法の範囲を確保した広場にズゥンビ達が差し掛かかった所で、
「‥‥ファイヤーボム!」
フォーリスの放った爆炎がズゥンビ達に襲いかかる。
「ずぅんびぃ‥‥」
焼けこげながらも、歩みを止めないズゥンビ達。
冒険者達の存在に気づき、喰い殺そうと襲いかかってくる!
「お前らの相手はこっちだ」
ロングソードとダガーを構えるレイリー。
「此処はお前達の居るべき世界では無い」
後衛を守るように立つルシフェル。
(「悪いけど、同情してあげるつもりはこれっぽっちも無い‥‥」)
微かに呟くと、『ムーンアロー』の詠唱を始め、銀の淡い光に包まれるチェルシー。
複数居るズゥンビ達を相手に、指差すなどして個体を特定すると、光の矢がズゥンビに炸裂する。
「この間合いなら‥‥!」
ロングスピアを構え、
「はぁぁぁっ! 突き!突き!突きぃ!」
連続で突きを放つブルー!
「俺のすべきことは敵を倒すことじゃない‥‥俺はただやつらに決定的な隙を作らせればいい」
動きの鈍いズゥンビ相手なら、高度な『シューティングPAEX』でもマナウスの腕ならば外すことは無い。釣り糸を引き戻し、次の投擲に備える。
「適材適所ってやつさ」
前衛のフォローを心がけるマナウス。
「呪・従、縛・暴、自由を奪い去れ‥‥コアギュレイト!」
ルシフェルの魔法に動きを止めるズゥンビ。そして、クルスソードで斬りつける。
「後で手入れしなきゃ‥‥」
ライトシールドで確実にズゥンビの攻撃を防ぎながら、ロングソードでダメージをコツコツ積み重ねるヒックス。
「緋き獅子は狙った獲物は逃がさない」
『ダブルアタック』を繰り出すレイリー。
シャルグの『オーラパワー』を乗せた『スマッシュEX』の連撃に崩れ去っていくズゥンビ。
「ずぅんびぃ‥‥」
次々に倒されていく。しかし、恐れを知らないズゥンビはその爪で襲いかかってくる。
「死者は、大人しく眠れぇぇぇ!!」
ブルーのロングスピアの前に、ついに最後のズゥンビが崩れ去った。
大した負傷者もなく、ズゥンビ達を全滅させる事に成功した冒険者達。
「彷徨える亡者よ‥‥安らかに眠れ」
黙祷するルシフェル。そして、少し負傷した前衛達を『リカバー』で癒す。
「ズゥンビ‥‥か、大人しく次代の樹の糧となってくれ」
ズゥンビの残骸を埋めるマナウス。
「もう生き返ってくるなよ」
ヒックスも手伝う。
そして冒険者達は再び墓地へ赴き、ルシフェルの『デティクトアンデッド』でズゥンビの残党が居ないか確認をしてから村長に報告する。
もう深夜になっていたが、村長は冒険者達のために起きて待っていてくれた。
村人達の多くも今日は念のため、村長宅に避難している。
大喜びで冒険者達達を迎えてくれる村人達。
ささやかながら食事も用意してくれている。
「折角だから怪談話と洒落こもう‥‥」
蝋燭に火を灯し、雰囲気を盛り上げるレイリー。
話術を駆使し、ナンパ全開である。
「ひぃぃっ、もう許して下さいませ、レイリー様〜」
村娘と怪談話をしながら夏の一夜を楽しむレイリーであった。
翌朝、冒険者達は作った掘や荒れてしまった墓を埋めるなどのアフターケアをしてから村を後にした。
彼らがいずれ英雄と呼ばれる日が来ることを願っている。