死に至る毒

■ショートシナリオ


担当:紅茶えす

対応レベル:1〜4lv

難易度:普通

成功報酬:1 G 20 C

参加人数:8人

サポート参加人数:-人

冒険期間:08月23日〜08月30日

リプレイ公開日:2004年08月25日

●オープニング

 ここは冒険者ギルド。
 冒険者達が仕事の斡旋を求めて集う場所である。
「仕事の斡旋か? キミ達ならば、これなんかどうだい?」
 いつものように冒険者ギルドのおやっさんが依頼書のひとつを見せる。

『村の近くにある沼に、猛毒を持ったカエルが住み着いてしまったようなのです。
 その沼は隣村へと行く近道に面しており、村の者が一人、カエルに襲われて毒液を浴び、助けを求めて村へと戻ってきたのですが、ほどなく死んでしまいました。
 今は、その沼へは近づかないよう村人達に言ってありますが、そこを迂回するのは何かと不便なのです。
 他に被害が出る前に退治して下さい。宜しくお願いします』

「毒液を吐いてくるらしいし、おそらくポイゾン・トードってヤツだな。毒液を浴びてしまったら最後、だいたい一時間以内くらいに解毒できなければ死に至る。‥‥一歩間違えば、冒険者と言えども命を落とす可能性のある危険な依頼だ。
 とは言え、所詮はカエルだ。キミ達ならば後れをとるような事は無いと思うんだが」
 おやっさんが依頼書の控えを渡してくれる。
「村までは片道三日、往復六日の距離だ。食料の準備を忘れるなよ。村で一日分の食事を出してくれるそうだ。頑張ってな」
 こうして、新たな依頼を受けた冒険者達であった。
 無事、ポイゾン・トードを退治することができるだろうか。

●今回の参加者

 ea0403 風霧 健武(31歳・♂・忍者・人間・ジャパン)
 ea1131 シュナイアス・ハーミル(33歳・♂・ナイト・人間・イギリス王国)
 ea1598 秋山 主水(57歳・♂・侍・人間・ジャパン)
 ea2810 アンジェラ・シルバースノー(22歳・♀・ウィザード・エルフ・イギリス王国)
 ea3193 グウェン・アースガイア(29歳・♀・ウィザード・人間・イギリス王国)
 ea4207 メイ・メイト(20歳・♀・クレリック・シフール・イギリス王国)
 ea5210 ケイ・ヴォーン(26歳・♂・バード・シフール・ノルマン王国)
 ea5514 レオン・ガブリエフ(31歳・♂・ファイター・人間・イギリス王国)

●リプレイ本文

「早々に依頼を受けて、当面の生活費を工面せねばな。ジャパンにおる妻や友人達に手紙を書くことすらままならぬ」
 そういう訳でこの依頼に名乗りをあげた侍の秋山主水(ea1598)。
「去る15日、月道を使いジャパンより渡ってきたが、出発前に色々と整理していたら手許不如意となってしまった。申し訳ないが、報酬の一部を現物、帰り道の食料で工面してはくれぬだろうか? いやはや、お恥ずかしい限りの話しでの‥‥」
 そうギルドのおやっさんに交渉する。
 なんと三日分の保存食と銅貨3枚しか持ち合わせがないのだ。
「解毒剤に携帯食ッと‥‥ぁぅ‥‥」
 荷物の重量に、非力なシフールのクレリックのメイ・メイト(ea4207)が飛べずに歩いている。
「ちょうどええどすわ。秋山はん、うちの荷物運んでくれたら食料は面倒見ますえ?」
 そう持ちかけるメイ。
「お安い御用だ。かたじけない」
 馬に荷物を載せる主水。
「すみまへんなぁ〜。うち、体力無いもんで‥‥」
 身軽になって飛び始めるメイ。
「私もお願いできるかしら‥‥?」
 ウィザードのアンジェラ・シルバースノー(ea2810)。彼女も非力なため荷物を運ぶのが辛そうだ。さらに食料も不足している。
「皆様初めまして、深き森所属の楽士ケイと申します。レオンさんはお久しぶりです」
 今回の仲間達に挨拶するバードのケイ・ヴォーン(ea5210)。
「お前それ持ってどうやって飛んでんだ?」
 ファイターのレオン・ガブリエフ(ea5514)。
「飛べるわけ無いです」
 そう笑うケイの荷物を持ってやるレオン。
 同じ依頼を受けた仲間同士、持ちつ持たれつという事である。
「ポイゾン・トードかぁ‥‥死者が出たとなると放って置けないよね」
 そう話しかけるウィザードのグウェン・アースガイア(ea3193)。
「今度の敵は毒蛙か。液体を防ぐのはかなり困難だからな。なかなか面白い戦いになるかも知れないな」
 ナイトのシュナイアス・ハーミル(ea1131)。戦うのが楽しみな様子である。
「亡くなった人の敵討ちの為にも、村の人達の為にも、二度と犠牲者が出ないように一匹残らず退治できるように頑張らないと」
 そう決意するグウェン。
 そうして、依頼の村へと向かう冒険者達。
「ぐーぐーぐー‥‥」
 ぼけーっと、ほとんど寝ながら歩くレオンであった。

 無事、村に到着した冒険者達は村長に挨拶を済ませると、戦闘に不要な荷物を預かって貰い、ポイゾン・トード対策の下準備に取りかかった。
 手分けして材木を集める。村への移動中に集めておいた分も馬に乗せて持ってきている。
「拙い技しか持ち合わせぬが、毒蛙の毒を防ぐだけの実用性は確保できるよう努めよう。見てくれは勘弁してくれの」
 木工のスキルを活かして、集めた木材で壁を作る主水。
 一応、持ち運ぶ際の取っ手、地面に立てる為の脚もつけてみる。
「うちかてあんまいい気はせえへんけどな‥‥夜神家ゆかりの者より勅命受けとりましてな、秋山はんの行動を監視するよういわれとるんどす。被害者が出えへんようにな」
 なぜか常に秋山の動きを監視しているメイ。
 野放しにすると危険なのだろうか?
 今のところ、特に問題は無いようだが。
「まさかここでカエルが出てきたりしないわよね?」
 壁作りの間、大人しく待っていたアンジェラ。
「ヘビィな毒ですよね、まぁ蛙な訳ですが」
 微妙な一人ボケ一人ツッコミをしているケイであった。

「今回は毒が怖いですが、無事に皆で帰れる事を祈りましょう」
 仲間達に呼びかけるケイ。
 そして、二班に別れる冒険者達。
 斥候に出たのは忍者の風霧健武(ea0403)。
「ゲコゲコ‥‥」
 沼の淵に、毒々しい極彩色の皮膚をもつ30cm程度のヒキガエルを二匹ほど発見する。
 ポイゾン・トードだ!
 沼の中にまだ潜んでいる可能性は高い。
 同班の仲間に知らせると沼地を迂回し、配置につく風霧達。弓を持ち、忍者刀はバックパックに入れて置いておく。
「毒死などと、つまらん死に方はするなよ?」
 同班の仲間にそう呼びかけると、合図用に黄色い布を巻きつけ矢を上空に放つ。

「合図が来たどすえ」
 飛行して沼の様子を見ていたメイが知らせる。
 即席の木壁を盾に沼へ接近する冒険者達。
「ゲコゲコ♪」
 ポイゾン・トード達が奇妙な壁の接近に気づき、毒液を噴射する!
 毒液は壁越しの冒険者達には届かない。壁の効果は充分だ。
「私はカエル大キライだから‥‥遠慮なく攻撃させてもらうわね」
 アンジェラが詠唱を始めると青く淡い光に包まれる。
「‥‥アイスブリザード!」
 壁の端から少し顔を出し、扇状の吹雪を放射する!
「‥‥ライトニングサンダーボルト!」
 続いてグウェンの稲妻が炸裂!
 毒蛙の意識がそちらに集中した所で、
「さあ、俺達も戦闘開始だぜ!」
 剣の柄に手を掛けるレオン。
「毒蛙が何匹居るのか不明な以上‥‥油断をするな。周囲に気を配れ」
 木に登り指示を飛ばす風霧。そして、射撃を開始する。
「この毒液が一度でも直撃すれば終わりか。‥‥面白い。こうでなくては仕事を受けた甲斐がない!」
 すでに『オーラエリベイション』『オーラパワー』を掛けたシュナイアスが躍り出る。
「だー!もう、厄介な攻撃だなぁ!」
 走りながら毒液を避けつつ、毒蛙に斬りつけるレオン。
「三時方向、最接近している右目の回りが赤いポイゾン・トードに白銀の矢を!」
 普段のボケツッコミとは打って変わって真面目モードのケイ。
 敵をしっかり観察すると、対象を特定し詠唱を始める。
「‥‥ムーンアロー!」
 彼の手から放たれた光の矢が毒蛙に命中する。
「‥‥ウインドスラッシュ!」
 仲間に当たらないよう注意しつつ真空の刃で援護するグウェン。
「もう一回行くよ?」
 詠唱を始めるアンジェラ。
「蛙と一緒に凍え死にはごめんだぞ」
 そう言って距離をとるレオン。
「‥‥アイスブリザード!」
 壁に寄ってくる毒蛙に吹雪を放つ。
 さらに壁際で毒蛙に日本刀で斬りつける主水。
 攻撃魔法で弱った毒蛙をジャイアントソードで叩き潰すシュナイアス。
 毒液にさえ気をつければ、ただの大きな蛙である。
 冷静に対処する冒険者達の敵ではなかった。
 思ったより数も少ないようで、大量に繁殖してしまう前に退治できたのは幸いか。

 沼にポイゾン・トードが残っていないか確かめようとする冒険者達。
「‥‥うまくいくとええんどすが‥‥デス!」
 沼に向かって『デス』を掛けるメイ。
 何度か『デス』を使用してみるが、浮いてきたのは小さな昆虫などだけだ。
 ポイゾン・トードには効いていないのか、それとももう残っていないのだろうか?
「もう出てこねーかなぁ‥‥?」
 沼に石を投げてみるレオン。
 ポチャーン‥‥
 すると、沼から飛び出しながら毒液を吐き掛けるポイゾン・トード!
「おわっ出てきた!」
 すんでの所で回避すると、直後、冒険者達の集中攻撃に潰れる毒蛙。

 その後も暫く、冒険者達は沼の探索を行う。
「経費削減‥‥」
 放った矢を回収する風霧。
「はぁ‥‥これで世界中のカエルがいなくなっていれればいいのに‥‥」
 余程カエルが嫌いらしいアンジェラ。
「ジャパンで毒蛙料理が話題になったが、あれはその後、どうなったのかのう?」
 故郷を思い出し、呟く主水。
 毒さえなんとかすれば食べられるかも知れないが、この場でそれを試そうという者はいなかった。想像してしまったアンジェラが身震いしている。
「カエルも退治したし、カエルとしましょうか?‥‥うーん、イマイチ!」
 あまり良いボケを思いつけず、首をひねるケイ。
 ポイゾン・トードが全滅した事を確認し、冒険者達は村へと報告に戻った。
 一夜の宿と食事を用意してもらい、翌朝、帰路に着く冒険者達。
 彼らがいずれ英雄と呼ばれる日が来る事を願っている。