逆さダンジョンの謎を解け!

■ショートシナリオ


担当:紅茶えす

対応レベル:1〜3lv

難易度:普通

成功報酬:5

参加人数:8人

サポート参加人数:-人

冒険期間:06月14日〜06月24日

リプレイ公開日:2004年06月22日

●オープニング

「面白いダンジョンの話があるんだが行ってみないか?」
 そう切り出してきたのは冒険者ギルドのおやっさん。
「なんでも、そのダンジョンは天地の構造が逆転してるらしくてな。なにせ、床と天井が反対なモンだから、部屋の出入りをするにも扉までよじ登らなけりゃならないんだとよ」
 興味を引かれた冒険者達におやっさんは続ける。
「場所は、このキャメロットから片道4、5日。往復10日も見ておけば充分だろう。コイツがその地図さ」
 地図をヒラヒラさせつつ、
「まあ、すでに何組かの冒険者パーティが調べたそうだから、危険は少ない分、実入りも期待できないかもしれねぇが‥‥」
 落胆を隠せない冒険者達に、おやっさんはこう続けた。
「どうやらな、謎のメッセージの付いた開かずの扉があるらしいぜ! 地図にメモってあるんだが‥‥『エカリホヤリボテアタトアマサカスラニアディ』だとさ」
 謎のメッセージと開かずの扉。冒険の予感に心躍らせる冒険者達。
 それを解読し、扉を開くことが出来るのだろうか?

●今回の参加者

 ea0127 ルカ・レッドロウ(36歳・♂・レンジャー・人間・フランク王国)
 ea0285 サラ・ディアーナ(28歳・♀・クレリック・人間・イギリス王国)
 ea0403 風霧 健武(31歳・♂・忍者・人間・ジャパン)
 ea0418 クリフ・バーンスレイ(31歳・♂・ウィザード・人間・イギリス王国)
 ea0923 ロット・グレナム(30歳・♂・ウィザード・人間・イギリス王国)
 ea2194 アリシア・シャーウッド(31歳・♀・レンジャー・人間・イギリス王国)
 ea2804 アルヴィス・スヴィバル(21歳・♂・クレリック・エルフ・イギリス王国)
 ea3130 ザキ・キルキリング(31歳・♂・ウィザード・エルフ・イギリス王国)

●リプレイ本文

 野を越え山を越え、地図を頼りにダンジョンを目指す一行。
「さて、何か面白そうな事は‥‥」
 旅の途中の食料を釣りで補っているウィザードのロット・グレナム(ea0923)とザキ・キルキリング(ea3130)。
「今日もいい天気ですねぇ」
 ウィザードのクリフ・バーンスレイ(ea0418)は空を見上げ、
「初めての冒険ですし、それなりに気合を入れつつ力を抜いて行きましょうか」
「トレジャーハンターとして、何かしら持ち帰りたいよね」
 レンジャーのアリシア・シャーウッド(ea2194)と共に猟師スキルを活かして、食料調達。
「ケチなんで保存食は置いておきたいんですよ」
 まだ駆け出しの彼らに、贅沢は許されないのだ。
 クレリックのサラ・ディアーナ(ea0285)も植物知識を活かして薬草や食料の調達に協力している。
 レンジャーのルカ・レッドロウ(ea0127)も猟師と漁師のスキルを活かして食料調達に協力。彼は通訳を必要としているが、現代語全般を修得しているウィザードのアルヴィス・スヴィバル(ea2804)とロットによって言葉は通じている。
 今のところ、少々無愛想な忍者の風霧健武(ea0403)だけは黙々と保存食をかじったりしていた訳だが、協力すべき所はしっかり協力している。
 野営では、各々マントや毛布などで寝床を確保し、交代で見張りだ。
「コイツだけは我慢できねェんだよ」
 ルカは川で冷やした酒をやりつつ、本を読みふけっていたアルヴィスに話しかける。
「早くこちらの言葉を覚えた方がいいね。あ、一杯貰えるかな?」

 なかなかのチームワークを見せつつ、無事ダンジョンに到着。
 中は暗い。明かりを灯してみると、なるほど、確かに構造がおかしい。
 天井に固定された棚、床の中央には奇妙な金具。元はシャンデリアか何かが付いていたのだろうか。
「おやおや、逆さまダンジョンとはね。中々面白そうだ」
 中を覗き込むアルヴィス。
 入り口から、その床までは数メートル。そして、奥に見える扉も天井付近にあり、噂通り、よじ登らなければ次の部屋に進むこともできないようだった。
「ダンジョン内を探検して、お宝をゲットですね♪」
 楽しそうにクリフ。
 前衛はルカと風霧。中衛はクレリックのサラを囲むように前ロット、左ザキ、右アルヴィス、後クリフで固める。後衛のアリシアが背後を警戒することで、前後どちらから、何があっても対応できる隊列である。
 罠を警戒しつつ、ルカと風霧が交代で扉へよじ登って安全を確認しては、ロープなどを使って全員を引き上げる。
 マッピング担当はザキである。
「二階に下りて、一階に上がる。生者が死に絶え、死者が彷徨う。死から始まり、生へと閉じる‥‥か。ふふ、作った人に是非とも会って見たいものだね」
 アルヴィスが呟く。
 調査済みとはいえ、警戒は怠ることなく進む。

 探索は順調で、残っていた罠などに引っかかることもなかった。
 しかし、やはり実入りになりそうな物も発見できなかったわけだが。
 ザキが予備の地図に呪文を唱える。
「バーニングマップ」
 発動の瞬間、ザキが赤く淡い光に包まれ、地図が燃えると灰の中に道筋が浮かび上がる。
「こっちですね」
 灰を回収し、道を示すザキ。
 そして、ついに一際豪華な扉を発見する。
 これが噂の開かずの扉だろうか?
 扉のプレートには文字らしきものが刻まれている。
 見たことのある文字だと思ったら、上下逆だった。
『エカリホヤリボテアタトアマサカスラニアディ』
 冒険者ギルドのおやっさんの言っていたヤツだ。
 扉はビクともしない。
 道中、意見を出し合って暗号の答えを考えていたが、ここへ来て確信していた。
 合い言葉を唱える前に、まず魔法の準備だ。
「アッシュエージェンシー」
 ザキが一瞬、赤い淡い光に包まれると、灰から分身が出来上がる。
「ブレスセンサー」
 ロットとクリフが一瞬、緑の淡い光に包まれる。
「小柄なのが数匹、中に居るみたいだな」
「そのようです」
「何かしら罠があるようだな。解除する方法は無さそうだ」
 風霧の言葉に、扉から距離をとり適当な物に掴まってトラップを警戒する。
「偉大なる逆さまを称え、扉よ開け!」
 音もなく、扉が開き始める。
 すると、
 ふわり‥‥
 突然、天地逆転するかのような重力が部屋中に働く。
 何かに掴まっていなかったら、天井に叩きつけられる所である。
 足場にしていた手裏剣を掴んで反転し、音もなく着地した風霧。
「しかしこれが暗号とはね。もう少し捻るべきだと思うよ」
 体勢を整えて着地するアルヴィス。
「さて、開かずの扉の先に在る秘密の花園はどんな所かな?」
 扉の向こうには、
「KiKeyッ」
 背中にコウモリの羽、矢尻のような形をした長い尻尾を持つ醜い小悪魔‥‥インプだ!
 鉛色の皮膚、耳まで口が裂け、鋭い牙が並んでいる。
「全力で戦いましょう! 私も頑張りますね」
 インプの殺気を察知したサラがいち早く注意を促す。
 バックパックを置き、身軽な体勢になる冒険者達。
「扉のところで奇声を上げろ」
 ザキの命令でアッシュエージェンシーが奇声を上げ、囮になる。
 群がるインプ。
「そこっ!」
 アリシアのショートボウから放たれた矢がインプに命中する。
 そして、ウィザード達の魔法が一斉に完成する!
「ウインドスラッシュ!」
 クリフが一瞬、緑の淡い光に包まれると、手から真空の刃を放つ!
「ライトニングサンダーボルト!」
 ロットが一瞬、緑の淡い光に包まれると、手から雷光を放つ!
「ウォーターボム!」
 アルヴィスが一瞬、青く淡い光に包まれると、手から水の固まりを放つ!
「フッ‥‥マグナブロー!」
 ザキが一瞬、赤く淡い光に包まれると、マグマの柱が吹き上がる!
 囮になっていたアッシュエージェンシーごと丸焼きである。
「PiGYAッ!」
 ダメージを受けるインプ達だが、簡単には倒れてくれないようだ。
「俺の名は『風斬り』の健武‥‥推して参る」
 前に出て回避専念し、インプを後衛に近づかせない風霧。
「オラオラッ!」
 ナックル連打による接近戦に持ち込むルカ。

 冒険者達も無傷というわけにはいかなかった。しかし、
「リカバーします☆」
 サラが一瞬、白く淡い光に包まれると、白くやさしい光がつつみ、自然回復同様に傷口がふさがっていく。
 混戦になり、味方の前衛に魔法があたる危険が出てくると、味方の魔法詠唱を邪魔されないようにカバーに入るロット。
 冷静に状況を見つつ皆のサポートに徹するアルヴィス。
「行かせるか!」
 後衛に飛びかかろうとするインプにナイフを投擲するルカ。
 アリシアがダガーに持ち替えて応戦する。
 そうした連係プレーにより、状況を有利に、そして確実にインプを倒していく。

「運命はなァ、勇気ある者に味方するんだよ」
 全てのインプを倒したことを確認し、そう呟くルカ。
 死者重傷者無し。大勝利である。
 部屋は研究室のようになっていた。
 クリフがクレバスセンサーで調べてみたが、目の前にある宝箱以外には、特に仕掛けは無さそうだ。
「これはまだ使えそうね」
 放った矢からまだ使えそうなのを回収しているアリシア。ビンボーな間は仕方がない。
「ふふ、是非逆様の創設者の考えが知りたいね」
 罠が無いことを確認し、書棚にあった手記らしき物を手に取るアルヴィス。
「いよいよだな」
 ルカ、風霧、アリシアの三人掛かりで宝箱を調べ、無事罠を解除することに成功した。
 固唾を呑んで、宝箱を開けるのを見守る。
 中には‥‥
「よくわからない物ばかりだけど、売れるかな?」
 とりあえず、中身を回収する一行。
「フッ‥‥到達記念です」
 グランドクロスの旗を宝箱に立てるザキ。
「‥‥どうやら、天地を逆転することで、天に近づこうとしてたようだね」
 手記を読んでいたアルヴィスが呟く。
 宝箱の中身は大半ガラクタだったが、そういった物を欲しがる人というのも居るもので、結果的に一人一枚ずつの金貨が行き渡った。駆け出しにしては大成功の報酬と言えるだろう。
 いずれ、彼らが英雄と呼ばれる日が来ることを願って。