筋肉騎士団からの挑戦状
|
■ショートシナリオ
担当:紅茶えす
対応レベル:1〜4lv
難易度:普通
成功報酬:1 G 0 C
参加人数:8人
サポート参加人数:-人
冒険期間:08月24日〜08月29日
リプレイ公開日:2004年08月26日
|
●オープニング
暑い夏。
飛び散る汗、躍動する筋肉。
気合いを込める男達の声が聞こえてくる。
破壊力の有りそうな、巨大な武器に重りを付けて素振りしている。
筋骨隆々の逞しい肉体を露わにしたマッチョダンディ達の姿があった。
「ついに我らのデビューの時が来た! 依頼書をしたためろ!」
リーダー格の男がマッスルポージングをキメながら指令を出す。
「隊長!!」
感涙にむせぶ男達もまたマッスルポージングをキメる。
「我々は、ここに最も強く、男らしく、美しい筋肉騎士団の設立を宣言する!」
その肉体にはオイルが塗られているのか、テカテカと夏の太陽を照り返していた‥‥。
ここは冒険者ギルド。
冒険者達が仕事の斡旋を求めて集う場所である。
「仕事の斡旋か? キミ達ならば、これなんかどうだい?」
いつものように冒険者ギルドのおやっさんが依頼書のひとつを見せる。
『我らは筋肉騎士団!!
これは冒険者諸君への挑戦状である!
挑戦者、または入隊希望者は、添付している地図の場所に来られたし。
命のやりとりをするつもりは無いが、設立間もない我が騎士団の実力を測るためにも我々と闘っていただきたい。勝ち負けは問わず、報酬の支払いは約束する。
依頼期間は五日間。期間中の寝食は心配無用である。
筋肉騎士団一同』
「って、なんだこりゃ? 筋肉騎士団なんて騎士団聞いたことないな。おそらく、勝手に騎士団って名乗ってるだけじゃないかと思うんだが‥‥?」
頭をひねるおやっさん。
「まあ、依頼自体は真っ当な手順を踏んだものだし、案外おいしい依頼かもしれんぞ」
そう笑いながら、おやっさんが依頼書の控えを渡してくれる。
こうして、新たな依頼を受けた冒険者達であった。
●リプレイ本文
「沙耶とリオン以外は初見だな」
簡潔明瞭な自己紹介をする武道家の空魔玲璽(ea0187)。
早速、地図の場所へと向かう冒険者達。
すぐに宿舎らしき所に到着する。
マッチョダンディ達が出迎えてくれた。
「精強そうな騎士団だ。これなら、断腸の思いで親睦会の誘いケって来た甲斐があるというものデスナ」
ファイターのリオン・ラーディナス(ea1458)。真顔だ。
「うむ、冒険者諸君の到来を心より歓迎する!」
ニカッと笑いポージングする隊長であった。
リオンの提案により、数日間は実戦的な打ち込みや組み手、お互いの流派の披露や研究を。
最終日に団体戦形式の試合ということになった。
「筋肉こそが極限の戦闘でもっとも揺るぎ無い自信の源!」
ポージングしつつ語るファイターのズンヴァ・ラリ(ea6134)。
「丹念に鍛え上げた筋肉、流した汗と込められた想いでビルドアップした肉体から繰り出される攻撃は正に『一撃必殺』!」
彼の言葉に共感した筋肉騎士達が感動を筋肉の脈動で表現している。
「拙僧も若い頃は己が身体を鍛えんと無茶をしたものだ‥‥よかろう。筋肉を誇示しようというなら、肉体言語で語りあうまでだ!!」
袈裟を脱ぎ捨て、筋肉で語る僧兵の矛転喪之起(ea3197)。
筋肉騎士達もポージングで答える。何やら会話が成立しているような気がする。
「ああもう良いよ、そんなのは。筋肉なんて見せびらかすような物じゃないでしょ? 暑苦しい。実際に役に立つかどうか、それを確かめさせて貰おうじゃない!?」
そう言って剣を構えるファイターのジェラルディン・ムーア(ea3451)。
「おいらはパラパラ、敵はムキムキ! 筋肉なんかに負けないぞ〜♪」
調子はずれの歌を歌い、筋肉騎士達に挑んでいくファイターのボルジャー・タックワイズ(ea3970)。
乱取り訓練開始である。
「互いに教えあう事は少ないだろうがコンセプトの異なる一撃必殺を勉強する良い機会だ、存分に堪能させてもらう、修練でも試合でもな」
礼をする侍の九条剣(ea3004)。
共に一撃必殺を旨とする示現流とコナン。お互いに得る物は有りそうである。
服を脱ぎ、柔肌を露わにする空魔。
「まぁ、見てろ」
一同に背を向け、気合を入れる。
すると! 全身の筋肉収縮が起こり、背に鬼の顔が現れる!
「「びゅーちほー!」」
筋肉騎士達が歓声を上げる。
「全て打撃で培った筋肉だ。実戦向けだから普段は見せないが」
そして真っ向から筋肉騎士達と殴り合い、躊躇無く『ストライク』や『ストライクEX』を繰り出す空魔。実戦さながらで、お互いボコボコである。筋肉騎士団所属の神聖騎士にリカバーを掛けて貰い、訓練を重ねる。
良い機会とばかりにとことん鍛えている空魔であった。
「さて、忍らしく相手方の調査と行くか♪」
筋肉騎士達を観察する忍者の狂闇沙耶(ea0734)。弱点を探し出そうとしているようだ。
勿論、打ち込みや組み手にも参加している。
その日の訓練も終わって夕刻。
「兄上、一緒に何処かへ行かぬか?」
空魔を誘う沙耶。
街に繰り出した二人は、恋人さながらの雰囲気だったという。
また、冒険者達は羊皮紙に宣伝文句を書いた物を数枚作り、最終日の試合の宣伝をする。紙は貴重品なので街での呼びかけがメインだ。
「筋肉騎士団対冒険者の公開試合だ、興味がある奴は見て来てくれ!」
羊皮紙を見せながら呼びかける空魔。
「女性の方々も来るとイイナー‥‥」
切実な願いを込めるリオンであった。
『筋肉騎士団対冒険者ギルド有志、世紀の決戦!!』
それほど広くはない宿舎前広場を囲むように見物人が集まっている。
一部、熱狂的な女性ファンも居るようだ。
歓声の中、先鋒戦が始まる。
「示現流が門弟、九条剣! 推して参る!」
八双に構える九条。
「この一刀一刃が悉くに己が全てを篭める! チェストォォォォォォォォ!!」
先手必勝『チャージング+スマッシュ』!!
「お見事! それまで!」
深手を負った筋肉騎士を隊長が制止する。
「隊長! 自分はまだ!」
ポージングアピールする筋肉騎士。先鋒としての責任を感じているのか。
「これは試合だ。殺し合いではないぞ」
そう諫めるのだった。
空魔&沙耶タッグマッチ。
「あー、全員に言っておくけどさ。殺しそうになったら止めてくれ。俺、加減が出来ない体質でな」
そう言ってからファイティングポーズをとる空魔。
試合開始の合図。
「狂闇沙耶、推して参る!」
両手に小柄を構える沙耶。
「さて、うどの大木ではない事を証明しておくれ」
急所を狙って『すたんあたっく』を仕掛ける沙耶。
前に出て『ストライク』の連撃を浴びせる空魔。
双方、初撃は盾で防ぐが残りはボディで受ける。
すかさず『カウンターアタック』を空魔に喰らわせる筋肉騎士。
何やらイイ音がして、沙耶の前の筋肉騎士がうずくまる。
「にんにん♪」
余裕の表情の沙耶。
しかし、空魔とその相手はすでに重傷だ。
「それまで!」
なおも闘おうとする二人を制止する隊長。すぐさま、神聖騎士がリカバーで治療したのであった。
すでに筋肉騎士達の共感を得ているズンヴァ。
「Myクレイモア入手こそ筋肉系コナン流戦士のドリーム!」
「その気持ち分かるぞ、ズンヴァ! 我が剣を使うが良い!」
直々に剣を貸す隊長。
ずっしり重いクレイモアの感触に感動するズンヴァ。
「筋肉騎士団の美しき肉体が勝つか、わしのアグレッシヴな筋肉が勝つか、今世紀最大の名勝負!」
外套と皮鎧を脱ぎ捨て、クレイモアを構える。
試合開始の合図。
正に一撃必殺だった。
クレイモアの重量を活かした『スマッシュ』が決まったのだ。
「それまで!」
「隊長、有り難う御座いました!」
感動の涙を流しながら、クレイモアを返すズンヴァであった。
「貴殿らにも壮大な夢があろう‥‥だが、拙僧もジャパンへ帰る旅費を稼がねばならぬ身。ここで一つ名を上げさせてもらう!」
六尺棒を構える矛転。
試合開始の合図。
ぶつかり合う武器と武器! 『パワーチャージ』による力比べ!
好勝負だが、押し切ったのは矛転! そして一撃!
体勢を立て直した筋肉騎士の攻撃を喰らいつつ『カウンターアタック』する矛転!
両者共ダメージ大きく、そこで隊長が制止する。
「なかなかの腕前‥‥」
健闘を讃え合う。そしてポージングする筋肉騎士。
「されど、覚えておくがよい。筋肉とは誇示するものではない! 行使するものだぁっ!!」
無意識に褌一丁で誇示している矛転であった。
壮絶なる闘いを見せたのはジェラルディンである。
まず間合いを詰め、攻撃を誘うジェラルディン。
筋肉騎士の『スマッシュ』を『デッドorアライブ+カウンターアタック+スマッシュ』のコンボで反撃!
それを更に『デッドorアライブ』で受ける筋肉騎士!
正に生か死か!
「双方、見事な闘いぶり! それまで!」
二人の限界を見極めた隊長が制止する。
「‥‥やるじゃん。この前言った事は謝るよ。ちゃんと戦えるように鍛えてるんだね。これなら何処でだってやっていける。あたしが保証するよ!」
そして、握手を求めるジェラルディンであった。
「パッラッパパッパ!‥‥さぁ、勝負だ!!」
ショートソードとダガーを構えるボルジャー。
先手を取って軽くダメージを与えると筋肉騎士の『スマッシュ』を避ける。
「おいらを捕まえることができるかい? おいらはそう簡単には当たらせないぞ!」
ひらひらと避けながら、少しずつダメージを与えるボルジャー。
しかし、ついに筋肉騎士の『カウンターアタック』がボルジャーを捉える!
「いたたた‥‥あとチョットだったのに」
悔しがりながらも歌い踊り出すボルジャー。
「パッラッパパッパ!!おいらはパラっさ!!
パラッパパラッパ!!おいらはファイター!!」
へたっぴぃなのは御愛嬌。
大将戦。相手は隊長だ。
「ブラボー!おお‥‥、ブラボー!」
そう言いながら鎧を脱ぐリオン。見物人の女性達に愛想を振りまいている。
そして握手を求める。がっちり握り返す隊長。
「ぎゃー!指折れたー!サスガ、鍛えてるだけあるなー」
わざとらしく痛がって、周囲の笑いを狙う!
「ふむ。筋肉に、重い思い入れがありそうだナ」
適度に緊張のほぐれた見物人達が、オヤジギャグにもついつい笑っている。
そして、試合開始。
ライトシールドと『オフシフト』を巧みに駆使して隊長の攻撃を凌ぐリオン。
(「いい頃合まで闘ったら、バレないように最後はワザと負けるつもりだったけど‥‥」)
少しずつダメージを与え、優勢なのはリオンだが、余裕はない。
「ぬぅぅん!」
ついに一撃を喰らってしまう。
「うーむ、負け〜‥‥」
まだ闘えるが、次を喰らえば命に関わる。
「いやぁマジ強いッスよ彼。面目ないなぁ、情けない大将で。本当に、ゴメン!」
おどけてはいるが、彼の実力は誰もが認めた事だろう。
誰も責める者などいない。
熱い闘いの連続に見物人達の熱気も冷めない。
「よろしい、諸君の入隊を許可する事をここに宣言する!」
ポージングをキメる隊長。
「「賛成であります! 隊長!!」」
隊長に倣う筋肉騎士達。
「感激です隊長! そして同志諸君! 宜しく!」
涙を流しながらポージングするズンヴァ。
「勘弁してくれ。威月に会わせる顔がなくなる」
謹んで辞退する空魔。
「だっておいらは筋肉じゃなくてパラの戦士だからね!」
ボルジャーも辞退。
「諸君の今後の活躍に期待しているぞ!」
ニカッと笑う隊長。
強制的に団員にされそうな勢いだが、個人の意思は尊重される‥‥はず。
「最も強く、男らしく、美しい筋肉騎士団の今後の活躍を刮目して見よ!」
見物人達へポージングアピールする隊長。
「「見よ!!」」
続いてポージングする筋肉騎士達とズンヴァ。
鳴り止まぬ歓声。
冒険者達と筋肉騎士団に栄光あれ!