筋肉騎士団からの協力要請

■ショートシナリオ


担当:紅茶えす

対応レベル:1〜4lv

難易度:普通

成功報酬:1 G 20 C

参加人数:8人

サポート参加人数:-人

冒険期間:09月05日〜09月12日

リプレイ公開日:2004年09月07日

●オープニング

 ここは筋肉騎士団宿舎。
「喜べ! 我が筋肉騎士団の初仕事が決まったぞ!」
 隊長がポージングをキメる。
「ついに我らの筋肉を世のため人のために役立てる日が来たのですな!」
 感動をポージングで表現する筋肉騎士。
「うむ! 敵はオーガ率いるゴブリン集団だ! 近くの村が襲われているとのことである!」
「それは一大事! 一刻も早く向かいましょう!」
「オーガごとき筋肉に、我らの鍛え抜かれた筋肉が後れをとることなどありませぬ!」
 ポージングをキメ、肉体を誇示する筋肉騎士達。
「無論、その通りだ。だが、依頼によると敵の数が多いらしいのだ」
「ゴブリンごとき雑兵、我らにとって物の数ではありませんぞ!」
「我らにとってはな。だが、我らは少数精鋭。村を警護するにもアジトを攻め落とすにも人手が足りぬ。そこで!」
 隊長の言葉の続きを待つ筋肉騎士達。
「冒険者ギルドに依頼を出し、冒険者達と協力して事に当たる!」
「ほほう、冒険者‥‥なかなかの実力者揃いでしたな。見所のある筋肉を持つ者も多い」
「その通り。これは人材発掘も兼ねているのだ!」
 ニカッと笑い、ポーズを変える隊長。テカった汗が滴り落ちる。
 どうなることやら‥‥。

 ここは冒険者ギルド。
 冒険者達が仕事の斡旋を求めて集う場所である。
「仕事の斡旋か? キミ達ならば、これなんかどうだい?」
 いつものように冒険者ギルドのおやっさんが依頼書のひとつを見せる。

『この依頼は筋肉騎士団からの協力要請である。
 キャメロットから二日半ほどに位置する村が、オーガ率いるゴブリンの集団に襲われている。
 我ら筋肉騎士団が討伐の依頼を引き受けたのだが、情報によると敵の数が多いらしく、冒険者諸君にもこの討伐に参加していただきたい。
 我らが敵の本隊を引きつけている間に、冒険者諸君には敵のアジトを探しだし、制圧してもらいたいと考えている。
 活躍した者には筋肉騎士団への登用も考えているので、奮って参加してくれたまえ。
 依頼期間は七日間。道中の食料などは、こちらで用意しておく。
 筋肉騎士団隊長』

「筋肉騎士団か。この前の公開試合で少しは名が売れたらしいな‥‥。
 筋肉騎士団への登用って言っても、正式な騎士団じゃないし、登用されて嬉しいモンなのかねぇ?」
 おやっさんが依頼書の控えを渡してくれる。
「まあ食費が筋肉騎士団持ちってだけでも、ちょっとおいしい依頼かもな」
 こうして、新たな依頼を受けた冒険者達であった。

●今回の参加者

 ea0187 空魔 玲璽(34歳・♂・武道家・人間・華仙教大国)
 ea0263 神薙 理雄(28歳・♀・志士・人間・ジャパン)
 ea0340 ルーティ・フィルファニア(20歳・♀・ウィザード・エルフ・ロシア王国)
 ea0424 カシム・ヴォルフィード(30歳・♂・ウィザード・人間・フランク王国)
 ea1598 秋山 主水(57歳・♂・侍・人間・ジャパン)
 ea3468 エリス・ローエル(24歳・♀・神聖騎士・エルフ・イギリス王国)
 ea3666 エクリュ・シャルトリューズ(30歳・♂・ウィザード・エルフ・ノルマン王国)
 ea5876 ギルス・シャハウ(29歳・♂・クレリック・シフール・イギリス王国)

●リプレイ本文

「僕は小さき者達の伝道師ギルス。僕は筋肉なおじさんが大好きなんだ! バッチリ活躍して、頭をなでてもらうんだ!」
 妙に意気込んでいるクレリックのギルス・シャハウ(ea5876)。銀色の蝶の羽を持つシフールである。
「ギルスさん、秋山さんまたよろしくお願いします。他の方もよろしくお願いします」
 挨拶する神聖騎士エリス・ローエル(ea3468)。

 そして筋肉騎士団と合流する冒険者達。
「筋肉騎士団初陣の門出を祝し、わしから軍旗を贈らせてもらおう。使ってもらえると嬉しい」
 書道を嗜んでいる侍の秋山主水(ea1598)。白地の旗に筋肉の躍動感を連想させる力強い筆使いで『天手力男神』と書かれている。なかなかの達筆ぶりで、ジャパン語をかじった程度では読めない。
「これは卓越した筋肉を象徴する神の名でな‥‥」
 ジャパンに伝わる神話を語る主水。
「筋肉騎士団の軍旗に相応しかろう? 神皇様との縁も深く、仕官を目指すなら志士を目指すのも面白かろうな」
「有り難く頂戴する」
 受け取り、早速かかげてみせる隊長。
 遠き異国、ジャパンに思いを馳せる筋肉騎士達。
「また会ったなぁ、隊長含む騎士団の皆。背中に鬼のある男再来だ」
 筋肉騎士達と握手を交わし、握力比べに花を咲かせる武道家の空魔玲璽(ea0187)。
「ウチは体力も腕力も足りないので、ちょっと羨ましいですのね」
 志士の神薙理雄(ea0263)がそう言うと、筋肉騎士達が嬉しそうにポージングを披露する。
「お、お噂はかねがね‥‥さすが素晴らしい筋肉をしてらっしゃいますね〜」
 筋肉騎士に『うっとりさわさわ』しているウィザードのエクリュ・シャルトリューズ(ea3666)。
「筋力の強さの差が、戦力の決定的な差でないことを教えてあげますよ♪」
 ウィザードのルーティ・フィルファニア(ea0340)の言葉に気色ばむ筋肉騎士達。
「筋力に溺れたら、それこそオーガと同じですよ」
 そう付け加える。
「面白いお嬢さんだ。我らの鍛え抜いた筋肉の真価を今回の作戦でお見せしよう」
 不敵に笑い、ポージングする隊長。
「「その通り!」」
 筋肉騎士が頭を冷やしたようにポージングで倣う。
「それにしても皆さん素敵な筋肉揃いで‥‥」
 憧憬の眼差しのエクリュ。
「冒険者には美しいお嬢さんが多いようだ」
 ニカッと笑う筋肉騎士。
「‥‥男だよ。僕は」
 平然を装って言うウィザードのカシム・ヴォルフィード(ea0424)。
「これは失礼を。しかし、男子たる者、もっと鍛えた方が良いのでは無いか?」
 ポージングして見せる筋肉騎士。
(「女に間違われるのもイヤだけど、あんな風になるのもちょっと‥‥」)
 そう思うカシムであった。

 そして依頼の村へと向かう。
「おらおら! 加減してっからって甘く見ると潰すぞ!」
 移動中から野営中まで、喜色満面で筋肉騎士達と打ち合っている空魔。
「約束通り、食料は用意しておいた。さあ、食事にしよう!」
 筋肉騎士団の食料はタンパク質たっぷりの献立だった。

 無事、村に到着。
「大丈夫、神様と筋肉さん達がじ〜っと見守ってくれていますから」
 話術(説法)で村人を落ち着かせるギルス。
「とにかく潰しに行くんだろ。手伝うからとっとと終わらして村の活気の為に遊ぼうぜ」
 まだまだ闘い足りないとばかりに空魔。
 敵の襲撃はすぐにやってきた。
「来た来た、き〜た〜!」
 空高くから見張っていたギルスが知らせる。

 村には一歩も近づかせまいと立ちはだかる筋肉騎士団!
「持って生まれたその筋肉を悪事に使う愚か者め! ぬぅん!」
 オーガの筋肉さえもポージングで圧倒する筋肉騎士達。
「ここは我らに任せて、行けぃっ!」
「がんばってくださいね。すぐにアジトを見つけてきますから」
 手を振るカシム。
「わ、私はオーガに関する知識がそれなりにありますので、せ、斥候の際は役立てていただけると、あ、有り難いかと‥‥(にこ)」
 周囲の地形を考慮して作戦を立てるエクリュ。
「よろしくですの☆」
 主水に荷物を預ける理雄。身軽になり、斥候にに出る。
「彼らの筋肉が羨ましいの」
 限界重量近い装備にそう苦笑する主水。

 『ブレスセンサー』で敵を探知したカシム。敵のアジトらしき洞窟を発見する。
 気付かれないよう接近する。
「中の数も確かめないとね」
 体格の差も分かるため、正確にアジトに残っているオーガとゴブリンの数を割り出す。
「みなさん、行きますよ」
 小声で合図するエリス。
 『ライトニングソード』『ライトニングアーマー』を掛け、いつでも前衛と交代できる体勢になる理雄。
 『レビテーション』で浮遊するルーティ。
 荷物を降ろし、刀と盾を置いて『オーラボディ』『オーラエリベイション』を掛ける主水。そして、刀と盾を構え直す。
「せ、接近戦は向きませんし。その‥‥よく転ぶので」
 言いつつ余所見をした瞬間転んでいるエクリュ。気を取り直して魔法を詠唱。
「こ、こっちです」
 『ヴェントリラキュイ』を使って敵を誘き出す。
「「ゴブ?」」
 数匹のゴブリンが固まって、様子を見に来る。そこへ!
「‥‥せーの!」
 理雄、カシム、エクリュの『ウインドスラッシュ』三連射が炸裂する!
「‥‥グラビティーキャノン!」
 さらにルーティの放った重力波に巻き込まれたゴブリンが次々に吹っ飛ぶ。
「‥‥ゴブリンにはいろんな意味でコンプレックスがありますからね」
 容赦するつもりは無いらしい。
「筋肉がない者には無いなりの戦い方があります」
 ショートボウで矢を射掛けるエリス。
 そして、前衛組が接敵!
 うずうずしていた空魔が華国語で『突撃!』と言って、ゴブリンに『ストライク』で殴りかかる。
「落ち着いて対処すれば、恐れる敵ではない」
 盾受けを巧みに使いつつ、ゴブリンを斬り捨てる主水。
「‥‥ストーンウォール!」
 ルーティの詠唱が完成すると、洞窟の入り口を塞ぐように小さな石の壁が出現し、後から出てこようとしていたゴブリンの行く手を阻む。
「あなた達は、コボルトと縄張り争いしている方が賢明というものです!」
 そう言うと『ストーンウォール』を倒す!
「ゴブ〜!?」
 下敷きになるゴブリン。
 それを踏み越えてオーガが姿を現す!
 アジトのボスと思われるオーガと対峙する主水。
「山鬼との戦いは三度目! 此度もその首頂く!」
 軽く斬りつけ、攻撃を誘う。
「ガアァァッ!」
 ギリギリまで突っ込んだ体勢でオーガの棍棒を盾で受け『カウンターアタック』を決める主水!

 冒険者達は連携して戦い、次々にゴブリンを倒し、ついにオーガをも倒す。
 襲撃に戦力を割いていたためか、洞窟にいた敵はそれほど多くはなかった。
 しかし冒険者達も無傷ではない。
「いつも手当をしていますから、わたくしもすっかり癒し手としての役割が板についてきましたね」
 怪我人を『リカバー』で治療をするエリス。
「入り口ぶっ壊すから離れてろ‥‥十二形意拳奥義!」
 空魔は仲間達が離れたのを確認すると『牛角拳』で入り口を崩れさせる!
 これで、ここにまたモンスターが住み着くようなこともないだろう。

 アジトを制圧し、全力飛行で伝令をするギルス。
「カクカクシカジカだよ。これ、一度言ってみたかったんだ」
「よくやった!」
 ギルスの頭を撫でる隊長。
「ふふふ、筋肉筋肉、早くよくな〜れ」
 うっとりしながら『リカバー』で筋肉騎士達に接触治療していくギルス。
「これより、敵を追い立て、挟撃するぞ!」
「「おーっ!」」
 隊長の号令に鬨の声を上げる筋肉騎士達。

 そして、筋肉騎士団に追われ、アジトへと逃げてきた敵。
「えいっ、ですの」
 理雄がロープを引っ張ると前を走っていたゴブリンがスッ転ぶ。
「ゴブ〜!?」
 べしゃり。
 そこには油が撒いてある。
 冒険者達は罠を張って待ちかまえていたのだ。
 すかさず油に火をつける!
「ゴブゴブ!?」
 アッチッチと踊っているかのようなゴブリン達を筋肉騎士団と挟撃する冒険者達。

 ほどなくして、敵は全滅した。
 無傷ではないが、筋肉騎士団、冒険者とも死者重傷者ゼロ。
 エリス、ギルス、筋肉騎士団神聖騎士によって、その傷も癒された。
 完全勝利である!
「さて‥‥隊長。加減いらないだろ。マジでやるぞ」
 隊長の前に立ち、ナックルを着けたまま構える空魔。
「良かろう」
 クレイモアを構える隊長。
 こちらがメインイベントだと言わんばかりに拳で語り合う!
 激しい闘いを堪能すると、
「あー、楽しかった」
 大の字になって寝転がる空魔。
「惜しい、実に惜しい人材だ。気が変わったらいつでも入団してくれ」
 隊長の顔にも痣が出来ていた。
「うふふふ、筋肉さん、早くよくな〜れ」
 やはり、うっとりしながら接触治療するギルス。
「キミも筋肉騎士団に入って、イチから鍛え直してみてはどうだ? 男らしくなれるぞ!」
 治療を受けつつポージングする隊長。
「‥‥お断りします」
 丁重に断るカシム。
「筋肉騎士団登用の件、わたくしは不合格ですね‥‥よかった」
 矢を回収しつつ誰にも聞こえないように呟き、内心ほっとするエリス。
「ど、どうしたらこんな立派な筋肉になれるんでしょう‥‥?」
 エルフのエクリュには肉体構造的に、どんなに鍛えても筋肉騎士になる事は不可能かもしれない。
「筋肉騎士団への登用は夢のまた夢です」
「入りたかったの? 同じエルフのウィザードとして驚きです‥‥」
 苦笑しているルーティ。
「さあ凱旋といこうかの。わしの贈った軍旗も立派にはためいておるわ」
 胸を張る主水。
「村の人達にお知らせするですの☆」
 微笑む理雄。

 こうして村は救われた。しかし。
「何と言うことだ! 今回の筋肉騎士団登用者ゼロ!」
 まだまだ筋肉騎士団の人材不足は続きそうである。
「神様はいつでも、あなた達をじ〜っと見守っていますからね、じ〜っと」
 筋肉騎士達にニッコリ笑って言うギルス。
 筋肉騎士団と冒険者達に栄光あれ!