筋肉騎士団と山賊退治!

■ショートシナリオ


担当:紅茶えす

対応レベル:1〜5lv

難易度:普通

成功報酬:1 G 48 C

参加人数:8人

サポート参加人数:-人

冒険期間:10月03日〜10月09日

リプレイ公開日:2004年10月05日

●オープニング

 ここは筋肉騎士団宿舎。なぜか旗持ちの掲げる軍旗にはジャパン語で『天手力男神』と力強く書かれている。
「我が筋肉騎士団の次なる仕事が決まったぞ!」
 隊長がポージングをキメ、
「近頃、巷を騒がせておる山賊団を我ら筋肉騎士団の手で討伐するのだ!」
 そう宣言する。
「「隊長! お供いたします!」」
 ポージングをキメ、肉体を誇示する筋肉騎士達。
 ここ最近、キャメロット南方面の街道では山賊団が出没し、幾つかの商隊が襲われていた。
「今回の作戦はこうだ。我々が商隊に偽装し、山賊団を誘き出す」
「なるほど、さすが隊長!」
「我らは幸いにも鎧を身に着けない者が多い。敵も油断するはずだ」
 そのマッチョバディを見たら、ビビリそうなものだが。
「また、商隊の雰囲気作りも兼ねて、冒険者ギルドに依頼を出し、護衛に偽装してもらう予定だ」
「冒険者と言えば、見所のある筋肉を持つ者も多いですからな!」
「うむ。今度こそ、有望な筋肉騎士となる者を発掘したいものだ!」
 ニカッと笑い、ポーズを変える隊長。テカった汗が滴り落ちる。
 どうなることやら‥‥。

 ここは冒険者ギルド。
 冒険者達が仕事の斡旋を求めて集う場所である。
「仕事の斡旋か? キミ達ならば、これなんかどうだい?」
 いつものように冒険者ギルドのおやっさんが依頼書のひとつを見せる。

『この依頼は筋肉騎士団からの協力要請である。
 近頃、巷を騒がせている山賊団の討伐にあたり、筋肉騎士団が商隊に偽装して山賊団を誘き出すことになった。
 冒険者諸君は護衛に偽装し、共に山賊団討伐に協力してもらいたい。
 活躍した者には筋肉騎士団への登用も考えているので、奮って参加してくれたまえ。
 依頼期間は六日間。道中の食料などは、こちらで用意しておく。
 筋肉騎士団隊長』

「確かに近頃、キャメロット南方面の街道を山賊団が騒がせている。そうか、筋肉騎士団が依頼ほ受けてたんだな。筋肉騎士団も少しずつ名をあげているらしい‥‥。と言っても、正式な騎士団じゃないけどな」
 おやっさんが依頼書の控えを渡してくれる。
「まあ食費が筋肉騎士団持ちってだけでも、ちょっとおいしい依頼かもな」
 こうして、新たな依頼を受けた冒険者達であった。

●今回の参加者

 ea0340 ルーティ・フィルファニア(20歳・♀・ウィザード・エルフ・ロシア王国)
 ea1458 リオン・ラーディナス(31歳・♂・ファイター・人間・ノルマン王国)
 ea2194 アリシア・シャーウッド(31歳・♀・レンジャー・人間・イギリス王国)
 ea3102 アッシュ・クライン(33歳・♂・ナイト・人間・フランク王国)
 ea3451 ジェラルディン・ムーア(31歳・♀・ファイター・ジャイアント・イギリス王国)
 ea3888 リ・ル(36歳・♂・ファイター・人間・イギリス王国)
 ea4290 マナ・クレメンテ(31歳・♀・レンジャー・人間・イギリス王国)
 ea4319 夜枝月 奏(32歳・♂・志士・人間・ジャパン)

●リプレイ本文

 筋肉騎士団の元へと集まった冒険者達。
「や、隊長! 今度は共闘って形だね。頑張ってこう」
「こんにちは〜、お久しぶりです♪ この際、山賊団を改心させて入団させるのはどうですか?」
 挨拶するファイターのリオン・ラーディナス(ea1458)と、ウィザードのルーティ・フィルファニア(ea0340)。
「相変わらず面白いお嬢さんだ。その荷物では大変だろう。一緒に馬車に積もう」
 隊長は、笑いながらバックパックを持つと馬車に積み込む。
「久しぶりっ。どう、元気にやってる?‥‥って、聞くまでも無いか」
 馬車に荷物を預けつつ、ファイターのジェラルディン・ムーア(ea3451)。
「俺は筋肉戦士リ・ル。リルでいいぜ、隊長殿。噂はボルジャーやギルスから聞いている。依頼が成功したら、ぜひお手合わせを願いたい」
 ファイターのリ・ル(ea3888)が名乗る。
「良かろう、期待しているぞ」
 がっちり握手を交わす隊長。
「どうせなら山賊のアジトとか物色して溜め込んだお宝を頂戴‥‥もとい、取り返したいねー」
 そう笑うレンジャーのアリシア・シャーウッド(ea2194)。
「勿論だ。被害にあった商人達に返してやらねばな!」
 生真面目に答える隊長。
 ノルマンでの冒険から祖国イギリスへ帰ってきたレンジャーのマナ・クレメンテ(ea4290)。それを知った筋肉騎士達が、
「イギリスは紳士の国ですからな!」
 何かと親切にしてくれる。ポージングしながら。
(「噂は本当だった‥‥変な人がたくさん!」)
 これが最初の感想だった。

 出発‥‥の前に。
「‥‥って言うか、隊商に扮するなら、服着てよ頼むから! そんなムキムキじゃ、あからさまに怪しいでしょ!」
 マッチョバディを誇示したまま出発しようとする筋肉騎士団にツッコミを入れるマナ。
「それでは警戒される」
 荷物の中に隠れるか、筋肉を隠すようアドバイスするリル。
「幾ら鎧着て無くったって、それじゃあ山賊も引いちゃうでしょ! 普通の商人の振りしなきゃ! 山賊が出て来るまでは我慢! 山賊が出てからなら、幾らでも見せつけてやって構わないんだからさ」
 捲し立てるジェラルディン
「こんなヒトたちが群れになって来たら、流石の山賊もヒくよね〜」
 相槌を打って笑うアリシア。
「そこ嫌そうな顔しない〜!」
 しぶしぶ外套を羽織る筋肉騎士にマナがツッコむ。
「移動中、筋肉を一切出さないように」
 駄目押しする志士の夜枝月奏(ea4319)。
「大丈夫。我に策あり、だ」
 何やら準備しているリオンであった。

 こうして、隊商に偽装した筋肉騎士団と冒険者達は出発した。
 馬車を囲んで警戒に当たる冒険者達。
 前衛担当のマナ。罠や不意打ちを常時警戒。
 前衛左翼担当、ナイトのアッシュ・クライン(ea3102)。
 中衛右翼担当のアリシア。
「筋肉騎士団と山賊退治か〜。なんか、山賊に同情しちゃうかも。‥‥だって、隊商だと思って近づいたら、連中が出て来るんだよ? そりゃ山賊から見たら『詐欺だっ!?』って感じだよね〜、きっと」
 後衛右翼担当のジェラルディン。
「あの人達、全然行商に見えませんね」
 ぼそりと苦笑する後衛左翼担当の奏。
 後衛担当のルーティも顔が笑っている。
「まったく待たせやがって。山賊なら山賊らしく、さっさと思慮なく襲ってきやがれ」
 中衛左翼担当のリル。
(「ノリでしちゃったけど、やっぱ恥ずかしいなぁ、コレ‥‥」)
 前衛右翼担当のリオン。山賊の油断を誘う為に女装し、刀とダガーは隠し持っている。
 冷静を装いつつ、内心赤面するのだった。

 筋肉騎士団の用意したタンパク質たっぷりの献立の食事をし、四班編成で野営にあたる冒険者達。各自のスキルを活かして夜襲を警戒する。
 第一班アッシュ&アリシア。
「こいつを扱うのは初めてだが‥‥絶対に上手く扱ってみせる」
 日本刀を手入れしながら呟くアッシュ。

 第二班リオン&マナ。
「‥‥ねぇ、ぶっちゃけ皆、引いてなかった?」
 小声で尋ねるリオン。
「そんな事ナイナイ。リオンさん頑張れ〜♪」
 何だか喜んでいるようなマナであった。

 第三班ジェラルディン&ルーティ。
 そして、第四班リル&奏。
 事が起こったのは出発して三日目の事だった。
 多数の気配や殺気を察知したリルと奏が皆を起こす。
 突如、複数の矢が飛来する!
 避けきれず、何人かが矢を受けたようだ。
「今のは警告だ! 大人しく荷物を置いていけば、命は助けてやるぜ!」
 馬車を包囲する山賊団。
 戦闘体勢になる冒険者達。
 そして、外套を脱ぎ捨て、マッチョバディを露わにする筋肉騎士団!
「我らを筋肉騎士団と知らずに襲ってきたのが運の尽きだ! 全員引っ捕らえろ!」
 ポージングをキメ、号令を発する隊長。
「なっ、騎士団だと!? だが数ではこっちが上だ! ブッ殺して武器も奪っちまえ!」
 怯みそうになる山賊団をリーダー風の男が鼓舞する。
 戦闘開始だ!
「ふぅ本当に襲ってくるとは‥‥阿呆ですね山賊も。‥‥焔の覚醒!」
 『フレイムエリベイション』を発動させる奏。
 眼光が鋭くなり、みなぎる殺気で瞳孔が紅く光っているように見える。
「我は『烈空の騎士』アッシュ・クライン。命が惜しいやつは今のうちに退くがいい!」
 名乗りをあげ、刀を抜くアッシュ。
「蒼天二刀流リ・ル、いくぜ」
 シールドソードとダガーを構えるリル。
「‥‥ストーンウォール!」
 壁を作って身を隠すルーティ。

 戦いの中、座りこみ、俯き怯えたフリをするリオン。
「お、イイ女がいるぜ?」
 不用意に近づく山賊達。
 何やら卑猥な話に盛り上がる。
「山『賊団』の『俗談』には興味ないな」
 オヤジギャグを飛ばしつつ、上着を投げつけるリオン!
「うわっぷ!?」
「でもオレ、男ですから! 残念っ!」
 慌てて服を引き剥がす山賊に、ダガーで斬りかかりつつ、刀を抜くリオン。
 マナの援護射撃と連携し、パリーイングダガーと回避術を駆使して翻弄し、峰打ちで殺さないよう戦うリオン。

「さて、てめーらの運命呪いな! 俺に会ったんだからなぁ‥‥焔の牙!」
 『バーニングソード』を発動させ、刀を抜き放つ奏。
「こりゃ便利だ。蒼天二刀流の幅がまた拡がったな」
 シールドソードで受け、『ダブルアタック』で斬りつけるリル。
 距離を置きつつ、ミドルボウで狙撃するアリシア。
 対峙した山賊を盾にするように射手の射線を殺しつつ戦う奏。
 山賊の射手を『ダブルシューティング+シューティングPA』の高度な射撃で倒していくマナ。
「筋肉さん達を見なさい! 防具さえ着けず、身一つで戦っているのです。数の力などでは無く、己の力を振るいなさいっ!」
 指を突きつけるルーティ。
「オレ達だって、あれだけ体格に恵まれてりゃ‥‥」
 愚痴る山賊達。筋肉騎士団と冒険者達に圧倒されていく。
「まず、ヤツらの射手と魔法使いを潰さねぇか!」
 山賊リーダーの指令で彼女達に群がろうとする山賊だが、
「レディに手を出すなんて、男のするこっちゃないぜ。って、ルカやジョーイの真似しても似合わんな、俺には」
 リルを始め、冒険者達や筋肉騎士によって阻まれる。
 峰打ちで山賊を叩き伏せていくアッシュ。
 隙を見せて攻撃を誘い『デッドorアライブ+カウンターアタック+スマッシュ』の高度なコンボで、ダメージを最小限にしつつ強烈な反撃で山賊を打ち倒していくジェラルディン。
「‥‥グラビティーキャノン!」
 重力波を放つルーティ。何とか、二連射できないものかと試みるが詠唱が追いつかないようだ。

 みるみる数を減らしていく山賊団の中でもリーダー風の男が暴れ回る。
 その相手をするリオン。フットワークで攪乱し、誘き寄せる。
「今だ! 隊長!」
「おう!」
 山賊リーダーをクレイモアで叩き伏せる隊長。
「「討ち取ったり!」」
 隊長とリオンが雄叫びをあげると、山賊団の統制は完全に瓦解した。
 射撃COを駆使して山賊の逃亡を阻止しているアリシアとマナ。
「俺は人殺しはしない主義でな。これに懲りたら二度とこんな事はするな」
 降伏した山賊を捕縛するアッシュ。
「ところでリオンよ‥‥」
 頭を指差す隊長。頭に手をやるリオン。
「‥‥え? ああ! 外し忘れ!?」
 赤面しつつ慌ててティアラを外すのだった。

 山賊団の大半を捕縛、武装解除。
 矢などの回収や怪我人の治療。筋肉騎士団と冒険者達には死者重傷者も無く、大勝利に終わった。
 そして、山賊のアジトから奪われた品物などを取り戻す事に成功する。
 キャメロットへ帰還し、祝勝会へと突入。
 余興に奏やリルと手合わせする隊長。冒険者達に入団を勧める。
「悪いが、俺は入団するつもりはない。俺にはまだやらなければならない事があるんでな」
「申し訳ない。私も『深き森』の隊長をしていますゆえ、その誘いを受けることはできません」
 誘いを断るアッシュと奏。
「惜しい筋肉だ。冒険者としての活動を拘束するつもりは無いのだが仕方ないな」
 残念そうに隊長。
「俺には大事な弟子がいる。騎士団と行動を共にすることはできないが、筋肉戦士は呼ばれればいつでも駆けつけるぜ」
「では今後『筋肉騎士団名誉戦士』として、その名に恥じぬ活躍をしてくれ!」
 がっちり握手する隊長とリル。
「姐さんも祝杯をどうぞ!」
 ジェラルディンに祝杯を勧める筋肉騎士。男女問わず、立派な筋肉の持ち主に敬意を払うのだ。
「筋肉でも貧弱でも、みんなのために活動してるなら別にイイんじゃないかな」
 アリシアも祝勝会を楽しんでいる。
 リオンもボケをカマしまくって祝勝会を盛り上げている。
「勝利の祝杯ですよ? そんな小さなコップで飲んでいては将来の大成は無いのでは? ささ、こっちでどうぞ♪」
 『禁断の壺』に酒を注ぐルーティ。
「これはかたじけない!」
 美味そうに飲み干す筋肉騎士。いつの間にか避難しているルーティ。
「気分が良いな。さあ、我が肉体を見るがいい!」
 早速、服を脱ぎ捨てると、ポージングする筋肉騎士。「負けるモノか!」と次々に脱ぎ始める筋肉騎士達。『禁断の壺』の効果かどうかは不明である。
「だからその決めポーズは嫌〜! 体が妙にテカって見えるのも怖すぎる〜」
 泣きそうなマナ。
 リルも混ざって、筋肉騎士達と筋トレを始めてしまう。
(「あうぅ‥‥私はきっと一生この依頼を忘れない‥‥」)
 心に深く刻み込まれるマナであった。トラウマにならない事を祈る。
 筋肉騎士団と冒険者達に栄光あれ!