●リプレイ本文
まず指定の宿屋へとやってきた冒険者達。
「僕はギルス。小さき者達の伝道師、ギルスです」
いつのもように挨拶するクレリックのギルス・シャハウ(ea5876)。
「殴ってどつかれ蹴り倒すファイター、ユーディスです。よろしくね☆」
まず初対面の仲間にぺこりと会釈するファイターのユーディス・レクベル(ea0425)。
「また、お世話になりますね」
そして、共に依頼をこなした事のある仲間にも会釈するユーディスであった。
冒険者達は情報収集を開始するが、
(「‥‥情報収集?‥‥無駄だ。どうせ何も得られまい‥‥。なんせ犯人を見た者は皆霧の中へ消え失せてしまったと言うではないか‥‥?」)
宿の自室で待機しているナイトのゼシュト・ユラファス(ea4554)。
(「しかし‥‥この一件が本当に魔物の仕業なら‥‥」)
何か思いついたように窓を開け放つのだった。
「ふむ‥‥人の仕業かそれとも魔物か‥‥行方不明者は無事でおると良いのだが」
祈るようなナイトのソルティナ・スッラ(ea0368)。
「こんな町中で行方不明事件だなんて、子供達に何かあったら大変だ。早く解決しなきゃ」
拳を握りしめるギルス。
「‥‥情報が少ないな。しらみつぶしにやってくしかないか」
出来ることからやっていこうとユーディス。
まず、町内会長に会って話を聞く。
「事件はこの町内だけで起こるのか? 我々が警備するのはこの町内だけでよいのか」
そう確認するナイトのシャルグ・ザーン(ea0827)に、
「ええ、この町内だけで起こっているようです。一刻も早い解決をお願いします」
町内会長が答える。
その他、行方不明者の身元の確認をし、行方不明になったと思われる場所を町内地図を参考に考えてみたが、コレと言った共通点は無かった。だが範囲はそれほど広くはないようである。
冒険者達は連絡用の呼び子を借り、調査を開始した。
霧の出ない間に町内をまわっておくギルス。
「町内のみなさん、ちょっとうるさいけど、解決するまでの辛抱ですからね〜」
ついでに呼び子を使う事を住民には了承をとっておく。
「早く解決しないと‥‥あせっても仕方ないですけど」
バードのケンイチ・ヤマモト(ea0760)とソルティナは、礼節に注意しつつ、行方不明者の親族や知り合いを当たった。
「協力ありがとねー!」
ユーディスは、悲鳴を聞かなかったかどうかを尋ねてまわり、霧が出たとき出かけないように呼びかける。
「最近、物騒だよな。何が起こってるのか‥‥あんたなら、知ってるんじゃないか?」
泥棒を生業とするレンジャーのジョーイ・ジョルディーノ(ea2856)は、犯罪や自警団の動きを知らせる情報通がいるだろうと推測し、犯罪の類か確認する。
「少なくとも人間の仕業じゃないな。誘拐の類じゃないぜ‥‥」
そう言って手を出す情報通に金を握らせるのだった。
何時霧が発生しても対応できるよう、晴れている間に睡眠を確保するシャルグ。
宿屋で料理のレシピを聞きだしているウィザードのアルス・マグナ(ea1736)。様々な地方の料理のレシピ集めが趣味らしい。
やがて日が暮れる。
宿屋に集合した冒険者達は得られた情報をまとめる。
モンスター知識を持つシャルグは二つの可能性を考えた。
痕跡が残っていないという事は、霧の中でも自由に動ける者が被害者を誘拐したか、被害者と身につけた物全てを残さず食べてしまったか。
前者なら、感知魔法を使える人間かデビル。
後者なら、ジェル系のモンスターであろう。
それほど深い知識ではないため、最低限のことではあるが簡潔に説明する。
同じく知識を持つユーディスやジョーイが頷き、
「誘拐の類じゃないようだから、何かモンスターが入り込んでるんだろうな」
そう付け加える。
「なるほど‥‥そのような‥‥」
(「それだと被害者の安否は絶望的じゃないか‥‥?」)
そう思うも、望みは捨てないソルティナであった。
翌朝。
早速、霧が発生していた。
「フッ‥‥フハハハハッ!! 全く馬鹿げた話だ‥‥やはりこちらから出向くしか無いようだな!」
支度を整え、部屋を出るゼシュト。
「まったく、かったるい仕事だよな〜」
寝起きが悪くダレきっているアルス。
しかし、霧が出ていると知り、真面目モードになって仲間達と共に巡回に出る。
霧の中。班分けして町内を巡回する冒険者達。
A班アルス、ユーディス、ゼシュト。
ランタンを片手に持つユーディス。霧が濃く、視界は悪い。
自分とユーディスの武器に『オーラパワー』を掛けておくゼシュト。
(「今回の最悪は不測の事態がおき霧の中で個々に分断され敵が複数いる場合、最良はこちらの予想が当たっていた場合‥‥」)
常に最悪の場合と最良の場合を考えつつ行動しているアルス。
B班ソルティナ、ケンイチ、シャルグ。
有効距離は長くはないが連絡用に『テレパシー』を発動させるケンイチ。
身軽になって『オーラエリベイション』を発動させ思考能力を高めるソルティナ。
不意打ちに対処できるよう『オーラボディ』『オーラシールド』を掛けておくシャルグ。
C班ジョーイ、ギルス。
飛べるギルスと身軽さを活かしたジョーイのコンビで屋根の上など高い所から巡回する。
「無闇に物騒な雰囲気ばら撒いてくれちゃって‥‥気に入らないな、こういうのは」
視界が悪い中、屋根の間を飛び移るジョーイ。
魔法やオーラを掛け直しつつ巡回する冒険者達。
男の悲鳴が響く。
続いて冒険者達の呼び子が木霊する。
高速詠唱で『バイブレーションセンサー』を唱えるアルス。
現場に冒険者達が駆けつける。
倒れている男、そして何かが居るようだ。
「出歩かないように言っておいたのに!」
その男を助け起こし、襲撃者から引き離すユーディス。
とは言え、霧が出る度に完全に出歩かない、という訳にも行かなかったのだろう。
「神様がじ〜っと見ています。がんばってくださいね☆」
襲われた男に『リカバー』を掛けるギルス。
「た、助かりました‥‥」
だが、そこへ襲撃者が迫ってくる。
果敢にも立ちはだかろうとするギルスだが、
「うわわ、僕は食べてもおいしくないよ〜」
目を瞑った所で、間に割り込んだユーディスによって救われる。
「三体居るから気を付けろ〜」
『バイブレーションセンサー』によって感知した敵の位置や数を仲間に知らせるアルス。
「どうやらクラウドジェルのようだな‥‥」
『オーラエリベイション』を発動させるシャルグ。
「それ以上の非道はこの私が許しません‥‥!」
ロングソードを捨て、『オーラソード』を発動させるソルティナ。
「正体が判っちゃえば怖くないのよ。‥‥さぁーて、やっちゃいましょうか?」
ハンマーを構えるユーディス。
ナイフを投擲するジョーイ。そして屋根から飛び降り、
「泥棒J.J.上空から颯爽と登場、ってね!」
クラウドジェルに跳び蹴りを喰らわせ、酸を喰らう前にそれをステップにして着地する。
「何でこんなことを‥‥モンスターの本能なんでょうか‥‥?」
敵は三体居るため『ムーンアロー』が使えず、石を投げつけるなどして注意を引きつけて援護するケンイチ。
「フッ! その程度か!!」
『スマッシュ』の連撃を叩き込んでいくゼシュト。
視界は悪いが、クラウドジェルの動き自体は大したものでは無かった。
ロングソードに『オーラパワー』を掛け、攻撃を開始するシャルグ。
「俺が出来るのは戦う事くらいだしな〜」
仲間を巻き込まないよう注意しつつ『グラビティーキャノン』で攻撃するアルス。
「だらっしゃぁ!」
ユーディスがクラウドジェルをどつくっ!
「当たらない自信だけはあるんでね!」
『オフシフト』を駆使して回避しつつ、両手のナイフで斬りつけていくジョーイ。
ミドルシールドをうまく使いつつ、オーラソードで斬りつけていくソルティナ。
「いっ‥‥たいなー! お返しだよ! 受けとれっ!」
ダメージを受けつつも攻撃の手を休めないユーディス。
すかさずギルスが『リカバー』する。
シャルグはカウンター狙いの体勢から『オーラシールド』で受け、『カウンターアタック+スマッシュEX』の大技を叩き込む!
まず一体が動かなくなる。
「神と子と精霊の御名において、汝を束縛するよ‥‥コアギュレイト!」
漂うように浮いていたクラウドジェルが、ギルスの魔法でぼとりと落ちる。
そのままトドメを刺す冒険者達。これで二体目。
「‥‥ムーンアロー!」
敵が一体になった所で、ケンイチも『ムーンアロー』で援護する。
そしてゼシュトがトドメの『スマッシュEX』を叩き込み、
「所詮は虫ケラよ‥‥他愛もない」
動かなくなった三体目クラウドジェルを見下ろす。
こうして、町内を騒がせた霧の行方不明事件の真相が判明した。
「やはり行方不明者は‥‥」
目を伏せるソルティナ。
残念ながら、行方不明者はクラウドジェルに喰われたと考えるしか無いが、それは冒険者達にもどうすることもできない事である。
依頼人である町内会長に報告をする冒険者達。
依頼期間内に新たな被害者を出すこともなく、犯人のクラウドジェルを退治できただけでも、この依頼は成功と言えるだろう。
「神様はいつでも、みなさんとキャメロットの町をじ〜っと見守っていますからね、じ〜っと」
町内会長にニッコリ笑いかけるギルスであった。
彼らがいずれ英雄と呼ばれる日が来る事を願っている。