冒険者ハンター

■ショートシナリオ


担当:紅茶えす

対応レベル:1〜5lv

難易度:やや難

成功報酬:1 G 78 C

参加人数:8人

サポート参加人数:-人

冒険期間:10月11日〜10月17日

リプレイ公開日:2004年10月13日

●オープニング

 ここは冒険者ギルド。
 冒険者達が仕事の斡旋を求めて集う場所である。
「仕事の斡旋か? この依頼を引き受けてくれないか?」
 いつものように冒険者ギルドのおやっさんが依頼書のひとつを見せる。

『近頃、キャメロット東方面の街道にバグベアが出没し、旅の冒険者ばかりが襲われている。
 冒険者から奪った装備を身に着け、更に冒険者を襲っているのだ。
 冒険者ギルドのメンツにかけて、このバグベアを討伐してもらいたい。
 依頼期間は六日間。食料は用意しておこう。
 また、この依頼の報酬は、襲われた冒険者の関係者からの出資で成り立っている。
 出来るならば、奪われた装備品を取り戻してやってほしい。
 冒険者ギルド』

「同じ冒険者として放っておけない依頼だろ? 知ってるかもしれないが、バグベアってのは熊の体に猪の頭を持つオ−ガだ。情報では二匹居るらしいな。襲われた冒険者の多くは一人か二人の時でな。依頼の前に現地の下見に行った者とかだったのかもしれない‥‥」
 少し遠い目をした後、依頼書の控えと六日分の食料を渡してくれる。
「しっかり頼むぞ」
 こうして、新たな依頼を受けた冒険者達であった。
 見事、バグベアを討伐することができるだろうか。

●今回の参加者

 ea1131 シュナイアス・ハーミル(33歳・♂・ナイト・人間・イギリス王国)
 ea4471 セレス・ブリッジ(37歳・♀・ゴーレムニスト・人間・イギリス王国)
 ea4554 ゼシュト・ユラファス(39歳・♂・ナイト・人間・神聖ローマ帝国)
 ea5444 ギリアム・フォレス(42歳・♂・ファイター・ドワーフ・イギリス王国)
 ea5876 ギルス・シャハウ(29歳・♂・クレリック・シフール・イギリス王国)
 ea5929 スニア・ロランド(35歳・♀・ナイト・人間・イギリス王国)
 ea6237 夜枝月 藍那(29歳・♀・僧侶・人間・ジャパン)
 ea6426 黒畑 緑朗(31歳・♂・浪人・人間・ジャパン)

●リプレイ本文

 冒険者ギルドで荷車を借り、傷ついた冒険者パーティを装ってバグベアを誘き出す作戦を立てた冒険者達。
「『深き森』の藍那です。よろしくお願いします」
 一礼する僧侶の夜枝月藍那(ea6237)。
「スニアさん、いつも情報ありがとうございます。色々貰った情報を書物に纏めているので自由に読んでって下さいね」
「この依頼が終わったら読ませてもらうわね」
 ナイトのスニア・ロランド(ea5929)が答える。
「僕はギルス。小さき者達の伝道師、ギルスです」
 いつものように仲間達に名乗るクレリックのギルス・シャハウ(ea5876)。
「ギルドの仲間が襲われただって。仲間とギルドのメンツにかけて、絶対に事件を解決するぞ」
「冒険者を襲うバグベアの強盗団を討伐じゃ。そして襲われた冒険者の無念を晴らすのじゃ」
 相槌を打つファイターのギリアム・フォレス(ea5444)。
「拙者が囮に志願いたす。拙者はここらでは珍しい日本刀を帯びておるから、バグベアへの囮としては十分でござろう」
 腕に包帯を巻き、怪我をしているように見せかける浪人の黒畑緑朗(ea6426)。。
「何故私がこの様な真似を‥‥」
 ぶつぶつ文句を言いながら荷車を引くナイトのゼシュト・ユラファス(ea4554)。
 二ヶ月程前にもバグベア強奪団と戦った経験があり、両腕に刻まれた無残な爪痕は、強奪団が飼い慣らしていた灰色熊に刻まれたものらしい。
 ギリアムやギルスの提案を元に、二人が荷車を引き、他は荷車に隠れるなり怪我人の振りをする事になった。ギリアム、ゼシュト、緑朗が交代で荷車を引く。
(「わざわざ冒険者を狙うバグベアか。相手にとって不足はないという所か。‥‥いい仕事だ、実に面白い」)
 家畜の血や泥で適当に汚したボロ布を被り、重傷者を装っているナイトのシュナイアス・ハーミル(ea1131)。
「暑い〜、苦し〜。前にもやった記憶が〜」
 荷台の前の方に隠れて、周囲を警戒するギルス。
 そして、仲間達と距離を適当に保ちながらのんびりぶらぶら歩いていくスニアをオトリとした二段構えである。

 道中の野営では、バグベアを誘き出すことよりも、夜襲を警戒する。
 藍那は仲間達と木の実や山菜を取り、調理して食事に出すなど、冒険者達は仲間として親睦を深めていくのだった。
 そうして、街道を行くこと数日。

 前を行くスニアの前に、二匹の武装したバグベアが立ちはだかった。
「「バグググッ‥‥」」
 襲う気満々で、くぐもった笑いを浮かべるバグベア達。
「バグベアか‥‥。全ての装備が使えて一対一なら負ける気はしないけど、それは机上の空論よね」
 苦笑して肩をすくめるスニア。
 バックパックを捨てると、迷わず逃亡を開始し、仲間達との合流をはかる。
 声を上げてバグベア出現を仲間達に知らせつつ、距離を一定に保ちながら逃亡する。
「「バグググ‥‥ッ!」」
 それを追うバグベア達。

 スニアの声を聞いた冒険者達が戦闘準備を開始する。
「待ちわびたぞ‥‥蹴散らしてくれる!」
 口元に引き攣った笑みを浮かべ、ジャイアントソードに『オーラパワー』を付与するゼシュト。
 まだ荷車に隠れつつ、仲間達に『グッドラック』を掛けていく藍那。
 ボロ布を被ったまま『オーラエリベイション』『オーラパワー』を発動させておくシュナイアス。
 すぐにスニアと、それを追うバグベア達が姿を現す。
「「バグッ!?」」
 一瞬、冒険者達の存在に怯みかけるバグベアだが、彼らのボロボロな様子を見て、喜々として襲いかかってきた。
「腕に覚えのある冒険者のみを狙うとは、相手にとって不足無し。いざ尋常に勝負!」
 刀と短刀を構える緑朗。
「ふん、分不相応に装備を固めたようだが、それを使いこなせるのか?」
 ボロ布を捨て、ジャイアントソードを構えるシュナイアス。
「あなた達に傷付けられるのはまっぴら御免だわ」
 荷車から出て、バグベアから距離を取る藍那。
 怪我人とは思えない動きで(勿論、怪我人を装っているだけだが)、陣形を整えるとバグベアを迎え撃つ!
 戦闘開始だ!
 『スマッシュ』から『スマッシュEX』に繋ぐ二連撃で先手必勝をはかるゼシュト。
「バグッ!」
 しかし、バグベアも盾を使ってうまく凌ぎ、攻撃してくる。
 援護できるように戦況を見渡すギリアム。身を挺してでも仲間を護る覚悟である。
 打撃を浴びせながらじりじりと位置を変え、バグベアを仲間と挟み込めるように動くシュナイアス。
 『ダブルアタック』に『スマッシュ』を織り交ぜて攻撃していく緑朗。
「オーガ族と人間は生存競争の相手同士。正直恨みはないけど、死んで貰うわ」
 受けは使わず、回避術を駆使して、斬撃を浴びせていくスニア。
「みなさん気を付けて下さい見かけ以上に装備を使いこなしているみたいです」
 バグベアを観察し、仲間達に注意を促す藍那。
 『バーストアタック』を使わず、『スマッシュEX』を叩き込むスキを窺うギリアム。
 受けからの『パワーチャージ』、受けきれない攻撃にはダメージを受ける覚悟で『カウンターアタック』を仕掛ける緑朗。
 武装度の高いバグベアに苦戦する冒険者達だが、
「のぼせ上りおって‥‥。この、下種がぁあッ!!」
 業を煮やしたゼシュトが『バーストアタックEX+スマッシュEX』で盾ごとバグベアを真っ二つにする!
「バ、バ、バグ〜ッ」
 真っ二つになった仲間を見て、勝てないと悟ったのか逃亡しようとするバグベア。

 すんなり冒険者達の包囲を破って逃亡に成功したバグベア。
 しかし、逃亡を許したのはわざとであった。ギルスやスニア達が巣穴まで追跡する。
「装備の回収も仕事の内じゃ。破壊してどうする」
 叩き割られた盾を拾いつつギリアム。
「回収に拘るあまり、あのような下種どもに圧されるなど馬鹿らしいわ‥‥経験上言わせて貰うが極端な話、戦闘が終わるまでに防具が使い物にならなくなっている事も多い」
 傷を負ったゼシュトが『リカバーポーション』を飲み干して答える。
「武具は使えば傷つくものだし、この状況では仕方が無いさ」
 それに同意するシュナイアス。

 暫くしてバグベアの巣穴を発見した追跡組が見張りを残して戻ってくる。
「こっち、こっち、こっち〜」
 冒険者達を誘導するギルス。
 バグベアの巣穴へと乗り込む。
 すでにダメージを受けているバグベアが最後の力を振り絞って冒険者達との戦いに望む。
「神と子と精霊の御名において、汝を束縛するよ」
 スキをついて接近したギルスの『コアギュレイト』で動きを止めるバグベア。
「剣を使いこなすって言うのがどういうことか、少しは分かったか? ‥‥今更学んでも遅いがな!」
「さよなら。地獄で会いましょう」
「極めれば、この世に切れぬ物なし」
 トドメの『スマッシュEX』を叩き込むシュナイアスと同時に、三連斬りを見舞うスニアと『ダブルアタック』を見舞う緑朗。
「バグーッ!!」
 バグベアの断末魔が巣穴に響く。
「フッ‥‥他愛もない。獣風情が戦士気取りで装備などに頼るからだ。無様なものよ‥‥」
 そう吐き捨てるゼシュト。

「神様がじ〜っと見ています。がんばってくださいね」
 負傷した仲間達に『リカバー』を掛けていくギルスと藍那。
 冒険者達は巣穴を捜索し、奪われていた品物を取り戻すことに成功。それらを荷車に積み込む。
「バグベアが良い装備を持つなど、なんと勿体無いことか。我が輩だって欲しいぞ。じゃが、バグベアから取り戻した物は持ち主の遺族にお返しせねばな‥‥」
 呟くギリアム。戦士の装備には金がかかるものである。
 そして無事、キャメロットへと帰還した冒険者達。
 依頼を出した関係者達へ回収した品物を返し、多くの感謝の言葉を受ける。
「神様はいつでも、ギルドと冒険者のみんなをじ〜っと見守っていますからね、じ〜っと」
 いつものようにニッコリ笑うギルス。
 いずれ彼らが英雄と呼ばれる日が来ることを願っている。