●リプレイ本文
依頼を受けた冒険者パーティ恒例の挨拶を交わし、信頼を築く冒険者達。
「白の神聖騎士のクウェル・グッドウェザーです。宜しくお願いします」
礼儀正しく神聖騎士クウェル・グッドウェザー(ea0447)。
「殴ってどつかれ蹴り倒すファイター、ユーディスです。よろしくね。――アルスさん今回もよろしくー!」
今日も元気なファイターのユーディス・レクベル(ea0425)。
「今回は楽な依頼になりそうだな〜」
仲間達を見渡しつつウィザードのアルス・マグナ(ea1736)。
「今回はオーク戦士との戦いです。オーク達にも彼らの生活があるのでしょうが、そのせいで人々の生活を脅かすことを容認するわけにはいきません」
決意を固めるようにクウェル。
こうしてキャメロットを出発した冒険者達。
無事、依頼の村へと到着。
「こっちですこっちです。よろしくお願いします!」
出迎えた農夫が、早速倉庫へと案内する。倉庫の扉にはバリケードが築かれている。
『バイブレーションセンサー』を発動させ、中にいるというオーク戦士を確認する。振動を探知する魔法なので、倉庫の壁に蹴りを入れて中の反応を探るアルス。
「どうやら一匹だけだな〜」
安心したように仲間に伝える。
事前準備に余念のない忍者の風霧健武(ea0403)。まず、バリケードを挟むように扉の正面にスコップで落とし穴を掘る。
「かったりぃ〜、また穴掘るのかよ〜」
以前、落とし穴を散々掘った経験のあるアルスがぼやく。
その時は結局無駄骨で、その掘った穴を再び埋めさせられたというオチ付きらしい。はてさて、今回の落とし穴は役に立つだろうか。
「凶悪な固さだな、この地面」
スコップでザクザクと掘りながらユーディス。踏み固められている部分だけに仕方ない事である。
「倉庫の前に穴掘るのは良いが適当なとこで切り上げろよ?」
手伝いつつ、浪人の陸奥勇人(ea3329)。
実際、穴掘りにばかり興じているわけにも行かず、手頃な所でスキルを持つ風霧やユーディスが落とし穴を隠蔽し、その落とし穴の先にアルスのベルモット、クウェルと勇人の発泡酒を置いておく。
オーク戦士を誘き出して、落とし穴にハマッた所を叩くのが基本作戦だが、誘いに乗ってこなかった時は突入することも考えてある。
仕上げに、倉庫の屋根の上に登り、ロープと縄はしごを垂らしておく風霧。
「中に入って暴れた結果、倉庫が使い物にならねぇなんてのは勘弁だ」
苦笑しつつ、風霧に続いて屋根に登る勇人。
他六名の配置は以下の通り。
正面前衛ファイターのレオンロート・バルツァー(ea0043)、後衛アルス。
左翼前衛ユーディス、後衛クウェル。
右翼前衛ファイターのトール・ウッド(ea1919)、後衛ジプシーのハイエラ・ジベルニル(ea0705)。
そして、前衛の三人がバリケードを解体していく。
(「想定している最悪の場合はオーク戦士が倉庫の壁をブチ破って村へ逃げる‥‥。最良の場合は落とし穴にハマる」)
予定外の事が起きた場合に焦らないための心積もりをしつつ、『バイブレーションセンサー』で感知したオーク戦士の動きを逐一伝えるアルス。
「神のご加護があらんことを‥‥」
祈りを捧げるクウェル。
「俺は獅子だ!! 百獣の王が豚如きに負ける道理が無い!!」
あたかも獅子が咆哮するかのようにテンションを高めるレオンロート。
やがて、バリケードが無くなり、倉庫の扉が開かれる。
「ブヒッ、ブヒーッ!」
血走った目で扉の前に立つ冒険者達を睨み付けるオーク戦士。
かかってこいとばかりに、戦槌を構える。
「引き篭もったか‥‥勇気一つ持たぬ臆病者め。その恥かしき貴様の行為、許す事は到底出来ぬ!!」
「御託はいらねぇ!突入!!」
突入しようとするレオンロートとトール。
「慌てるな」
はやる二人を制するハイエラ。オーク戦士に石を投げつける。
ユーディスもナイフを投擲し、挑発する。
「ブヒヒヒッ!」
それらを避けていたオーク戦士だが、
「ブヒーッ!」
焦れてきたのか、ついに突進を始めるオーク戦士を後目に、配置につく冒険者達。
「恐れよ。何人も我を視る事かなわず。我こそは傍若無人の太陽の使者」
『インビジブル』を発動させ、姿を消すハイエラ。
外へ飛び出してきたオーク戦士の目に飛び込んできたのは、美味そうな酒。
「ブヒ?」
しかし、オーク戦士は戦槌を構えて警戒を解かない。
「頭上不注意だぜ。これでも喰らって寝てな!」
屋根の上から『スタンアタック』の跳び蹴りを喰らわせる勇人。
「ブヒーッ!」
気絶はしなかったが、持ちこたえるため一歩踏みだし、
ズボッ
見事に落とし穴にハマッた。
「単純なヤツだ‥‥所詮は豚か」
屋根の上から矢を射る風霧。
「出てきたか、自ら死期を早めるとは愚かな奴。その愚かしさに免じて、この俺が一撃で貴様の命脈を断つ!!」
ロングソードを構え直すレオンロート。
「まぁ、悪い〜、共存できないのだから排除させて貰うな〜」
間延びした台詞を吐きつつも、魔法の射線を確保するよう立ち回るアルス。
「七面鳥打ちだぜ、オラオラオラ〜」
ヘビーシールドを構えつつ、ノーマルソードで斬りかかるトール。
「おりゃぁ!」
ダガーとパリーイングダガーの『ダブルアタック』でゴンゴンどつき回すユーディス。
「ち‥‥やはり私の力では、あまりダメージは当たらないか‥‥」
姿を消したまま、ヒット&アウェイで斬りつけていくハイエラだが、あまり効いていないようだ。
ヘビーシールドを構えて防御に専念しつつ、負傷した仲間へ『リカバー』、そしてスキを見て『コアギュレイト』を試みるクウェル。
「ブヒッブヒッ!」
戦槌を振り回し、落とし穴から脱出するオーク戦士。なかなかの抵抗力を発揮し、奮闘している。
やがて戦いの中、エサに置いておいた酒類の入れ物が割れ、酒臭い中で戦い続ける。
「ウィザードは焦り心乱したら終わりだからな〜」
射線が通った瞬間を逃さず、高速詠唱の『グラビティーキャノン』で援護するアルス。
「高みの見物‥‥というワケにもいくまい」
敵は一匹。乱戦での誤射を避けるため、シルバーダガーに持ち替えるとスルリと梯子から降りて格闘戦に移行する風霧。
「急所に当たりさえすれば‥‥喰らえ!」
『ポイントアタック』を試みようとするハイエラだが、『インビジブル』中は、自らの周囲も見辛くなるため、彼女の格闘術では高度なCOを併用するのは難しいようだ。
「鬼さんこちら、手の鳴る方へってな。その程度じゃ俺は捉えられないぜ?」
「南無三ッ!‥‥そんな大振りの一撃を受けるほど、ノロマではない」
囮の如くオーク戦士の攻撃を引きつけてかわし、仲間が戦いやすいよう動く勇人と風霧。
「ブヒーッ!」
「敵はころす‥‥敵、ころす‥‥コロス、コロス、コロス、コロス、コロス」
奮闘を続けるオーク戦士に、盾を投げ捨てて狂戦士の如く攻撃に専念するトール。『スマッシュ』と『スマッシュEX』を織り交ぜた三連撃を放つ!
「貴様と言う存在に引導を渡してやる。一撃必殺!! 俺の魂を込めた、この一撃!!」
大きく振りかぶるレオンロート!
「我が敵よ神の意に従え‥‥コアギュレイト!」
ついにクウェルの魔法に動きを止めるオーク戦士。
「受け止められる物なら、受け止めてみよ!!」
レオンロートの『スマッシュEX』がトドメとなって、オーク戦士はついに倒れ伏すのだった。
避難しつつ、遠巻きに見守っていた村人達から歓声があがる。
矢やナイフなどを回収し、落とし穴を埋めるついでにオーク戦士を埋葬する冒険者達。
ついでに倉庫の掃除をしているユーディス。
仲間達に『リカバー』を掛けていき、さらに倉庫の食料に『ピュアリファイ』を掛けるクウェル。
「これでちゃんと食べられますよ」
「何から何まで有り難いこってす」
感謝の言葉を述べる農夫。
「しかし、何であんな図体のが倉庫に住み着いて気付かなかったんだ? まさかどこかに穴でも開いてるんじゃねぇだろうな」
倉庫を調べつつ勇人。
「はあ、そう頻繁に使う倉庫じゃ無かったもんで‥‥」
頭を掻く農夫。
「今回は無理だったな‥‥」
何故か悲しそうなレオンロート。やはり、アレだろうか?
「おやまあ、みなさんドロドロに汚れちまって。少し肌寒い季節ですし、お湯でも沸かしましょう。夕食も用意しますんで食べてってくだせぇ」
気を利かせる農夫。
「全裸こそ我が本懐!!」
喜々として脱ぎ始めるレオンロートを止めようと、さらに一騒動あったり、
「郷土料理のレシピ教えて〜」
などと、農夫にレシピをねだるアルスがいたり、
「私の美しき舞に酔いな‥‥」
『月光の舞姫』ハイエラが民族舞踊を披露したりと、賑やかに一晩を過ごし、冒険者達はキャメロットへと帰還したのだった。
いずれ彼らが英雄と呼ばれる日が来ることを願っている。