オリエンタルメロディー♪
|
■ショートシナリオ
担当:紅茶えす
対応レベル:2〜6lv
難易度:やや難
成功報酬:2 G 24 C
参加人数:8人
サポート参加人数:-人
冒険期間:10月17日〜10月23日
リプレイ公開日:2004年10月19日
|
●オープニング
ここは冒険者ギルド。
冒険者達が仕事の斡旋を求めて集う場所である。
「仕事の斡旋か? 彼の依頼を引き受けてくれないか?」
冒険者ギルドのおやっさんが、依頼人の青年を紹介する。
「私は吟遊詩人のファラといいます。先日、旅先で父が亡くなったと手紙で知りました。
私は父の手紙に従って、形見の竪琴を受け取りに行ったのですが、その竪琴に何か取り憑いているらしく、怪現象を起こすので近づくことが出来ませんでした。
そこで冒険者に御助力頂こうと冒険者ギルドを訪れました」
一礼する依頼人ファラ。
「どうやら、その取り憑いているのはポルターガイストってヤツじゃないかと思うんだ。魔法か銀の武器でないと倒せない厄介なヤツだ」
おやっさんが付け加える。
「皆様には、そのポルターガイストを退治して欲しいのです。それから‥‥」
冒険者達に手紙を見せる。
『我が最愛の息子ファラへ
私は旅先の村で病にかかり、もう助からないそうだ。
いつか私の墓を訪れることがあれば、形見の竪琴を受け取ってくれ。
我が生涯最高の曲を残す。
♪空色兵士は西に井戸掘れファラと見ろ‥‥♪』
「手紙の最後によく分からないフレーズが書いてありまして、良かったら、これが何か一緒に考えて頂けませんか?
父はジャパンに渡って音楽を勉強し、いつかジャパンの文化を取り入れた曲を作りたいと言っていたので、それに関係あるのでは無いかと思うのですが、私はジャパンには行ったことがないので皆目見当が付きません。
父は仕掛けを作るのが好きな人だったので、これも何かの仕掛けを残したのかもしれません。
勿論、こちらはついでで構いません。依頼は、そのポルターガイストというのを倒して形見の竪琴が受け取れれば良いので。
父の滞在していた村まではキャメロットから三日ほど行ったところにあります。往復六日分の食料はこちらで用意しますので宜しくお願いします」
こうして、新たな依頼を受けた冒険者達であった。
●リプレイ本文
依頼を受けた冒険者パーティ恒例の挨拶を交わし、信頼を築く冒険者達。
「僕は小さき者達の伝道師ギルス。悪霊退治はクレリックの使命! 必ず神様の御元に送ってやる」
張り切っているクレリックのギルス・シャハウ(ea5876)。
「今回はポルターガイストが相手か。詳しくは知らないモンスターだが、楽しませてくれると良いんだがな‥‥」
常に強敵を求めるナイトのシュナイアス・ハーミル(ea1131)。
「ポルターがイストか‥‥相性が悪いな」
ファイターのレオンロート・バルツァー(ea0043)が呟く。彼個人ではポルターガイストへの有効な攻撃手段が無い。
「シルバーダガー、シルバーナイフが1本づつあるから貸してもいい。が、壊したら弁償だ‥‥」
笑みを浮かべるファイターのトール・ウッド(ea1919)。目が笑っていない。
道中、謎解きに取り組む冒険者達。
「しかし良い曲を残したはいいが、わざわざ謎掛けにしなくともなぁ」
考えつつ、浪人の陸奥勇人(ea3329)。
「空色兵士は西に井戸掘れファラと見ろ‥‥???」
ハテナマークが飛んでいるトール。
(「井戸掘れ‥‥イ、ドを放れ?‥‥ファ、ラと見る? 透かし? あぶり出し? ジャパンと関係ねぇ〜」)
「‥‥ダ、ダメだ、分からん」
煮詰まってしまったように、頭を振るトール。
そこへ、
「保存食、少しの工夫で、この美味さ」
ファラの用意した食料を見事に料理し、配膳していくメイド忍者の大隈えれーな(ea2929)。
依頼人のファラの護衛も兼ねつつ、野営する冒険者達。
寝袋から星を眺めて鼻歌を歌っているウィザードのルーティ・フィルファニア(ea0340)。
特に危険も無く、無事村へと到着したが、まだ謎の答えは出ていなかった。
ともかく村長宅へと向かう冒険者達。
「大丈夫、僕達にお任せ下さい」
ギルスが村長に挨拶し、了承を得てから離れへと向かう。
そして、離れに入る前に戦闘準備をする冒険者達。
「いる、いる、いるよ〜」
『デティクトアンデッド』を発動させたギルスが、感知したアンデッドの存在を仲間達に知らせる。
「黄金の剣よ、我が誓いに応じ吼えよ」
剣などを置いて身軽になったナイトのアルアルア・マイセン(ea3073)が『オーラソード』を発動させる。
『疾走の術』を発動させるえれーな。
『オーラパワー』『オーラエリベイション』を発動させるシュナイアス。
お守り気分で銀のネックレスに手を当てるルーティ。
準備を整え、離れの扉を開く。
割と広い部屋の真ん中に竪琴が置かれている。
「あなたに掛けられた謎を解きに来ましたよ〜☆」
ギルスの呼びかけに呼応するように、部屋の中の物がガタガタと音を立て始める。
囮役を買って出た勇人がポルターガイストを挑発する。
「悪いが、これでも目は良い方でな‥‥死角を突いたからと言っても、そう簡単には行かねぇぜ」
死角からの飛来物に『バックアタック』で対応する勇人。
「皆さん、後はよろしく〜」
後衛へと下がるギルス。
「思考より行動だぜ。‥‥その程度でやらせるかよ!」
ヘビーシールドを構えて防御姿勢になり仲間達を守るトール。ようやく本領発揮か。
「ここは後ろに引いて守りに‥‥」
借り物のシルバーダガーを確かめつつレオンロート。
「あなたの気持ちが分からない訳ではありません。でも、それ以上に大切な『想い』を、私たちは任されているのです!」
『ストーンウォール』を発動させ、飛来物を防ぐルーティ。
やがて霧のような姿を見せるポルターガイスト。竪琴にまとわりついている。
「守る‥‥何を馬鹿な事を。俺もヤキが回ったものだ! 答えは一つ、突撃あるのみ!」
革鎧を脱ぎ捨て上半身裸(仮面は着けたまま)になるレオンロート。
パリーイングダガーを構え、防御姿勢のえれーな。じりじりと竪琴へと近づくアルアルアを守るように動く。
そして、
「騒霊よ、我が剣の前に散れ」
アルアルアが『オーラソード』で竪琴ごと斬りつける!
しかし、意外に素早い動きでそれを避け、竪琴から離れるポルターガイスト。
「ああっ、なんてことを!」
目を伏せるファラ。
「案ずるな」
そう声を掛けるアルアルア。竪琴は全くの無傷だった。
『オーラソード』は普通の品物を透過する特性を持っているのだ。
そう。ポルターガイストを竪琴から引き離すのが目的だったのである。
「見るが良い、この肉体美を肉体を! 持たぬ貴様に到底理解出来まい! そんな貴様からの攻撃なのど、恐れるに足りぬわ〜!!」
飛来物をものともせず突撃するレオンロート。
「貰った、俺の勝ちだ〜!」
竪琴の確保に成功する。鎧を脱ぎ捨てたのは装備品で竪琴に傷を付けないための配慮だったのである。
これで、竪琴の破壊を心配することなくポルターガイストと戦える。
攻勢に出る冒険者達。
「‥‥奇妙な感じだぜ、霧を斬るなんて」
ヘビーシールドで身を守りながら『スマッシュ』で斬りつけるトール。
シルバーナイフに持ち替えて攻撃するえれーな。
「Ruーッ!」
霧のような姿で飛び回り、接触しただけでダメージを与える。これがポルターガイストの恐るべきメイン攻撃である。
「神様がじ〜っと見ています。がんばってくださいね」
ダメージを受けた仲間に、すぐさま『リカバー』を掛けていくギルス。
「この野郎、駄々こねてねぇでさっさと成仏しやがれ!」
シルバーナイフでポルターガイストに斬りつける勇人。
無理はせず、仲間達の身の安全を最優先した戦い方を常に意識しているアルアルア。
「消滅‥‥そんな苦しい道を選びたいのですか!? まだ遅くはありません。成仏して、後生に想いを馳せようとは思わないんですか!?」
そんなルーティの言葉に耳を傾けることも無く、飛び回るポルターガイスト。
離れを壊さないよう、仲間を巻き込まないよう細心の注意を払いつつ、意を決したように『グラビティーキャノン』で攻撃する。
「貧弱、貧弱、そんな攻撃いくらやっても無駄なんだよ。無駄、無駄、無駄!!」
盾を捨て、まるで狂戦士の如く捨て身の攻撃を仕掛けるトール。
「‥‥何をそうまでして、この竪琴に執着しているのか知らんが、いい加減目障りだ。さっさとあの世とやらへ行くがいい!」
「ジ、ゴ、クに堕ちろぉぉぉ〜」
シュナイアスの『オーラパワー』を帯びたジャイアントソードと、トールのシルバーダガーによる二人同時の『スマッシュ』がポルターガイストを捉える!
「Ru〜‥‥」
消滅していくポルターガイスト。
その気配は完全に消え去ったようだ。
ポルターガイストを倒し、竪琴を取り戻すことに成功した冒険者達。
再び、フレーズの謎を解き明かせないものかと頭をひねる。
「ドレミに関係無い文字を抜くと『ソラシシドレファラミ』になるんだよね。でも、ちょっと捻りが無いかなぁ。外した『イロヘイハニニイホトロ』がジャパンと関係あるのかな?」
フレーズを分解して考えているギルス。
「いろはにほへとちりぬるを‥‥どんな感じの歌だったっけか。あー‥‥すまねぇが、歌はあんまり得意じゃなくてな」
苦笑する勇人。
戦闘とポルターガイストの引き起こした怪現象で散らかった離れを片付け、持参した箒で掃除をしていたえれーなが、それを聞いてピンと来たようだ。彼女はジャパン出身で、さらに楽器演奏のスキルもある。
「ジャパンでの音階は『ハニホヘトイロハ』‥‥。それをドレミに置き換えると『ソララシファラシドレシレラドミレファラソミシ』ですネ♪」
「なるほど! きっとそうですね!」
パッと表情を明るくするファラ。
形見の竪琴で弾いてみるようギルスに勧められ、恐る恐る竪琴を鳴らしていく。
すると‥‥。
ガチャリと音がして、床板が一枚外れる。
そこから出てきたのは楽譜だった。
「これが‥‥父の残した曲‥‥」
楽譜に目を通していくファラ。
「不思議な雰囲気‥‥」
そのメロディーを頭に思い浮かべる。
「お父様と神様は、いつでもファラさんをじ〜っと見守っていますからね、じ〜っと」
ファラにニッコリ笑いかけるギルス。
「さて、それじゃ一つ試しに奏でてみちゃあどうだ。俺も親父さんの作った曲がどんな感じなるのか興味があるし、丁度良い手向けになるだろうぜ」
腰を下ろして聴く体勢になる勇人。冒険者達が半円を描くように座る。
「何かしてあげられるといいんですけどね。‥‥うん、でも、ファラさんの調べを聴いて安眠して下さいね」
ルーティのその言葉はポルターガイストに手向けられたのだろうか。
「ありがとう、みなさん‥‥」
形見の楽譜と竪琴を手に父の残した『オリエンタルメロディー』を奏でるファラ。
いずれ彼らが英雄と呼ばれる日が来ることを願い、心を込めて‥‥♪