早すぎたハロウィン?
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■ショートシナリオ
担当:紅茶えす
対応レベル:2〜6lv
難易度:普通
成功報酬:2 G 3 C
参加人数:8人
サポート参加人数:-人
冒険期間:10月19日〜10月24日
リプレイ公開日:2004年10月20日
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●オープニング
そこは、とある港町とキャメロットを繋ぐ街道。
街道を急ぐ商隊の前に奇妙な姿をした一団が立ちふさがった。
御者が馬車を止める。
「なんだキミ達は? 港町の子供達か? こんな所に飛び出してきたら危ないじゃないか」
そう叱る御者。
「「「トリックorトリーック!」」」
奇妙な一団は、そう言うと馬車を取り囲む。
「こらこら、ハロウィンにはまだ早いぞ。‥‥え? 両方トリック? トリックorトリートって言うんだぞ。御馳走なんて用意してないし、我々は急いでるんだ。またハロウィンの日に家まで来なさい」
諭すように言う御者。
「「「トリックorトリーック!」」」
しかし、奇妙な一団は、そんな御者の言葉を無視して馬車に取りつくと、さまざまなイタズラを始めた。
「コラ! いい加減にしないと怒るぞ!!」
ついに怒り出す御者。
「なんだいったい!?」
何事かと馬車に乗っていた商隊の面々が顔を出す。
「「「トリックorトリーック!」」」
奇妙な一団は、馬にイタズラをして暴れさせたり、馬車の幌を切り裂いたり、あげく、馬車の車輪を外すという、子供のイタズラとは思えない悪質なレベルに達していた。
怒った商隊の面々が取り押さえようとするが、奇妙な一団は変身したり姿を消して逃げてしまった。
「「「ぎゃははは! バーカバーカ! ぎゃはははっ!!」」」
そんな笑い声を残して、奇妙な一団はいなくなり、後にはボロボロになった馬車と途方に暮れる商隊が残されたのだった。
ここは冒険者ギルド。
冒険者達が仕事の斡旋を求めて集う場所である。
「仕事の斡旋か? 急ぎの依頼があるんだが引き受けてくれないか?」
冒険者ギルドのおやっさんが依頼書のひとつを見せる。
『港町とキャメロットを繋ぐ街道に、ハロウィンを装った悪質な一団が現れるようになり、通行人が迷惑しております。
最初はただの子供かと思い油断してしまったのですが、逃亡の手口などから、どうやらデビルの仕業ではないかと噂されています。
このままでは安心して街道を通行することが出来ません。懲らしめてやって下さい!
被害者一同』
「まったく、デビルってのはどうしてこう傍迷惑な事ばかりするのかねぇ? 程度の低い下級デビルだとは思うが数はそこそこ多いらしいから気をつけてな。‥‥それからもうひとつ依頼があるんだ」
おやっさんは、更に依頼人の男を紹介する。
「行商人のターキーいいますねん。その港町に行くんでっけど、なんや街道が大変な事になっとるらしくて往生しとったんですわ。退治に行かはるんでしたら、ついでにウチの馬車の護衛もして貰えませんやろか? 良かったら道中の食料の面倒見させてもらいまっせ? もちろん報酬も出させてもらいまっさ」
「というわけだ。一石二鳥の依頼でメシもタダ。美味しい依頼だろ?」
こうして、新たな依頼を受けた冒険者達であった。
●リプレイ本文
依頼を受けた冒険者パーティ恒例の挨拶を交わし、信頼を築く冒険者達。
「あたいはミケーラ、細かいことを考えるのは苦手だが精一杯やるぞ、宜しくな♪」
挨拶するファイターのミケーラ・クイン(ea5619)。
「街道になにやら悪戯者が出るのか? 収穫で忙しい時期なのに困ったモノだな‥‥しかし依頼に邪魔な奴は排除するのみだ!!」
意気込みを感じる。
「悪い悪魔たちめ、おいらがやっつけてやる!!」
「しかしそのデビルも運が悪いな‥‥俺らと戦う羽目になるとは‥‥」
ファイターのボルジャー・タックワイズ(ea3970)と、神聖騎士エヴィン・アグリッド(ea3647)が相槌を打つ。
「ハロウィンって何?」
そう尋ねるナイトのクリオ・スパリュダース(ea5678)に、ターキーが説明している。
「なるほど。じゃあ、間抜けな悪魔を引っ掛けた男の扮装を、間抜けな悪魔共がしているわけか」
ちゃんと伝わっているかは微妙なところである。
「しかし‥‥ハロウィンって普通は夕食をねだるのかあ‥‥うちはお菓子だったけどなあ、まあ、そういうときだけ食べれるから珍しかったけど」
横から聞いていた地方貴族出身のレンジャー、アシュレー・ウォルサム(ea0244)。少し感覚がずれているのか最先端を行っているのか。
「役に立つと思います。使って下さい」
ボルジャーにパラのマントを、クリオにシルバーダガーを貸しておく志士の夜枝月奏(ea4319)。
出発前、被害者などに話を聞いて敵の大体の数、襲われそうな場所を絞り込んでおく武道家の夜桜翠漣(ea1749)とクリオ。
どうやら、港町付近に出没しているようだ。
買ってきた小麦粉を一袋、馬車に積み込んでおくウィザードのリーベ・フェァリーレン(ea3524)。
準備を整え、出発である。
ライディングホースを駆るエヴィンと奏。馬車から少し離れて追走している。
馬車の中で、のんびり鼻歌を歌っているアシュレーとボルジャー。
商人として専門的なスキルを持つクリオが品物を見て感心している。
御者台では、御者を兼ねるターキーの両サイドを翠漣とミケーラが守っている。
「翠漣さんは何で片目瞑ってはりますのん?」
「これは願掛けみたいなものです」
ターキーに尋ねられ、そう答える翠漣。
また野営では、周辺に小枝などを撒き、何かが踏み入れば音でわかるようにしておく翠漣と奏。リーベの持参したテントは女性陣で使い、交代で見張りを行う冒険者達。
ターキーと商売関係の雑談で盛り上がるクリオ。
野営で出た灰を集め、走行に支障がない程度に二つに分けて馬に積んでおく奏であった。
こうして順調に進み、あと半日もすれば港町という所。
冒険者達も警戒を強めている。
「ふっふっふ、おいらは見えないのさ」
奏に借りたパラのマントで身を隠すボルジャー。ついつい歌ってしまいそうになるのを我慢している。
ミケーラもマントでしっかりと身を包んで武装を目立たないようにし、普通の旅人を装う。
そして現れたのは、奇妙な姿をした一団。
「どう、どう〜」
馬車を止めるターキー。
「「「トリックorトリーック!」」」
奇妙な一団は、そう言うと馬車を取り囲む。
馬車に待機している仲間達に声を掛けるミケーラ。
イタズラをしようとする奇妙な一団に、
「さて、初めてデビルと戦う事になったけど‥‥まあ、普段通り頑張るか」
まずは普通の矢で威嚇射撃するアシュレー。
「痛い痛いっ! いたいけな子供にいきなり矢を撃つなんて! 残虐非道なヤツだ!」
痛がっている。でも顔がニヤけている。「そうだそうだ」とはやし立てる奇妙な一団。
そこへ、小麦粉をぶちまけるリーベ。仲間達とは打ち合わせ済みである。
「「「げふっげふっ、なんだこりゃあ!?」」」
むせている奇妙な一団に追い打ちをかけるように、ライディングホースを駆って灰を振りかけていく奏。
このスキに配置に付き、戦闘準備を整える冒険者達。
「焔の牙!」
『バーニングソード』を発動させる奏。
『オーラパワー』を発動させる翠漣。
「ハロウィンにはまだ早いって言うのに‥‥少々悪戯が過ぎたな‥‥」
馬から降りて『ミミクリー』を発動させるエヴィン。
「焔の覚醒!」
さらに『フレイムエリベイション』を発動させる奏。眼光はギラギラと鋭くなり、刀の炎の照り返しで瞳孔が紅く光っているように見える。
すでに馬車でオーラに集中していたクリオは『オーラエリベイション』『オーラパワー』『オーラボディ』を発動させ、
「さて、と。おたくはここから出るな」
「よろしゅう頼んまっせ!」
ターキーを馬車の中へ隠し、アシュレーやリーベを守れる位置に立つ。
「どうやら、ちょっと痛い目見ないとわかんないみたいだな!」
小麦粉と灰まみれになったデビル達が正体を現し、飛び回る。
「さてはおいらがこわいんだな、降りてこーい!!勝負だ!!」
パラのマントから姿を現したボルジャーが、飛び回るデビル達を挑発する。
『シューティングPAEX』を放つアシュレー。
「そんなの効かないもんねー!‥‥はぐっ!?」
安心しきっていたグレムリンにシルバーアローが突き刺さる!
「ああ、なんてヒドイことするんだ! 悪魔かよ!?」
茶化すインプ。デビルに言われる筋合いはない。
「ぎゃはは、オレ達の強さ、見せてやる!」
襲いかかってくるデビル達。戦闘開始だ!
「んー。国や地域でも違いが出てくるぐらいですし、種族も違いますし、善悪の基準が違うんじゃないかなぁ」
囲まれないよう仲間達との距離に気をつけて立ち回る翠漣。
「最初に死にたいのはてめーか!?」
感情を高ぶらせて過激な発言をする奏。グレムリンを下から上に斬り上げる!
「別に殲滅するほどのものでもないが‥‥またイタズラをするだろうからな」
両手にシルバーダガーを構え、
「逃がさん‥‥」
手を伸ばして攻撃するエヴィン。
(「やばい‥‥久しぶりに『裏』が出てしまうかもな」)
戦いになると人格変わる人が多いのか‥‥?
「来るのか? シルバーダガーは痛いぞ〜? ふははは〜♪」
攻撃させておいて『カウンターアタック』を仕掛けるミケーラ。
「子供の姿形をしているからって、手加減すると思ったら大間違いよ。あなた達が本当の子供であっても、個人の財産に多大な損害を与えている以上、野盗と一緒なのよ!」
『アイスコフィン』と『ウォーターボム』を使い分けて援護射撃するリーベ。
「うわ、面倒くさい」
空を飛んだり、変身したり、悪魔系魔法を使ってくるデビル達を相手に攻防バランスよく戦うクリオ。
「悪魔なんかに、おいらがやられると思うなよ!!」
飛び掛ってきた所をひらりとかわしてシルバーダガーで切りつけるボルジャー。
「わたしは貴方たちを否定する気はありません。だから、わたしの我侭で貴方たちを殺します」
手近な敵を殴り倒していく翠漣。
次々に数を減らしていくデビル達。
「もしかしてピンチ!?‥‥ぎゃふっ!」
最後のシルバーナイフを投擲し、インプを撃ち落としたアシュレーは、
「‥‥うう接近戦は自信ないんだよなあ」
ダガー+1を構える。達人級の射撃の腕を持つ彼も格闘は素人同然である。
「逃げんなよ‥‥まだ潰し足りない‥‥」
「俺から逃げられると思ってるのかよ!」
逃亡しようとするインプを『ブラックホーリー』で撃墜するエヴィン。さらに容赦なく背後から突き刺す奏。
「ひっ、人殺し!?」
野次るグレムリン。デビルは人じゃない。
「楽しませろよ‥‥俺を!」
皆殺しの勢いで戦い続けるエヴィンと奏。
ある意味、デビルより怖ろしい冒険者達に、ついに降参するデビル達。
「えっと、もうこのようなことをしないというなら殺さなくてもよらしいのですがどうしますか?」
翠漣が尋ねる。
「「ひいぃっ! もうしませんもうしません! 許して下さい〜っ!!」」
本気かどうかは分からないが、土下座して許しを請うデビル達。戦闘中『デスハートン』で奪った白い玉も返上する。
「悪戯する子にはお仕置きしないとねぇ〜」
意味深に言うミケーラ。
しこたま説教をしてから解放してやる冒険者達。
「あ、コレも持っていってねー☆」
『アイスコフィン』で冷凍されたインプを示すリーベ。溶けきるにはもう少しかかりそうだ。
「『強さを追求する者』夜桜翠漣です。覚えていてくださいね。まぁ、次に会った時は覚悟してもらいますが」
「「そっちこそ、おぼえてろ〜」」
月並みな文句を残して逃げていくデビル達。少なくとも、ここで同じ様な事を繰り返す事は無いだろう。
「パッラッパパッパ!!おいらはパラっさ!!
パラッパパラッパ!!おいらはファイター!!」
いつものように歌って踊るボルジャー。へたっぴぃなのも相変わらずか。
「‥‥高価な物だから失うわけにはいかないんだよね」
シルバーアローとシルバーナイフを全部回収するアシュレー。
「やりすぎたか‥‥俺もまだまだかな」
武器を納め、赤髪を揺らすエヴィン。
「いやぁお見事。まさに『赤髪の黒騎士』てな戦いぶりでしたなぁ」
拍手しながら冒険者達に労いの声を掛けていくターキー。
そして港町に無事到着。
『ターキーの護衛』と『ハロウィンを装ったデビル達を懲らしめる』という二つの依頼を見事に完遂した冒険者達。
「ほんま助かりましたわぁ」
冒険者達に礼を言うターキー。
「やはり、善良な市民として教会には事後報告しよう」
デビル絡みの一件を報告に行くクリオ。
「何かお土産でも買って帰ろうかなあ」
港町を見て回るアシュレー。
それぞれの帰路に着く冒険者達。
いずれ彼らが英雄と呼ばれる日が来ることを願っている。