暴走野生馬集団を止めろ!

■ショートシナリオ


担当:紅茶えす

対応レベル:1〜3lv

難易度:普通

成功報酬:0 G 65 C

参加人数:9人

サポート参加人数:-人

冒険期間:06月28日〜07月03日

リプレイ公開日:2004年06月30日

●オープニング

「仕事の斡旋か? キミ達ならば、これなんかどうだい?」
 いつものように冒険者ギルドのおやっさんが依頼書のひとつを見せる。

『我が村の付近で、最近、野生馬の暴走集団が出没して困っております。
 畑を踏み荒らされたり、はねられて怪我をする者が出るなどの被害を受けており、早急に退治していただきたいのです。
 もし可能ならば、野生馬を捕獲していただければ、報酬とは別にある程度の金額で引き取らせていただきます。とは言え、とにかく早期解決をしていただきたいので、容赦なく退治していただいて問題有りません。
 宜しくお願いします』

「たかが野生馬だからって油断するなよ!」
 そう言って、村までの地図を渡してくれる。
「村までは片道2日程度だから、往復5日見ておけば、この依頼は大丈夫だ。とにかく、確実に退治する事が肝要だぜ。かなり気性が荒いようだし、無理に捕まえようとして被害が広がったら元も子もないからな。うまくやってくれよ!」
 こうして、新たな依頼を受けた冒険者達。
 無事、退治する事ができるだろうか。

●今回の参加者

 ea0187 空魔 玲璽(34歳・♂・武道家・人間・華仙教大国)
 ea0396 レイナ・フォルスター(32歳・♀・ファイター・人間・イギリス王国)
 ea0445 アリア・バーンスレイ(31歳・♀・ファイター・人間・イギリス王国)
 ea0923 ロット・グレナム(30歳・♂・ウィザード・人間・イギリス王国)
 ea1333 セルフィー・リュシフール(26歳・♀・ウィザード・人間・イギリス王国)
 ea1364 ルーウィン・ルクレール(35歳・♂・ナイト・人間・イギリス王国)
 ea1923 トア・ル(33歳・♀・ジプシー・人間・エジプト)
 ea1980 鬼哭 弾王(31歳・♂・武道家・ジャイアント・華仙教大国)
 ea3888 リ・ル(36歳・♂・ファイター・人間・イギリス王国)

●リプレイ本文

 依頼への村へ向かう準備をする冒険者達。
「リ・ルってんだ。リルでいいぜ」
 まずは自己紹介するファイターのリ・ル(ea3888)。
 全員が名乗り、軽く職業や特技を紹介しあう。
「まさか同姓に出会えるとは思わなかったよ」
「国境を越えてなんて珍しいね☆ なんとかなるかと思ってこの依頼受けたけど、結構難しそう?」
 彼女はジプシーのトア・ル(ea1923)。エジプト出身である。男物の服装をしている。
「さて、今回は暴れ馬をどうにかする依頼、危険だから気合入れないと」
 彼女はファイターのアリア・バーンスレイ(ea0445)。
「捕獲すればボーナスと言う事なので、しっかり行きましょうか」
 同じくファイターのレイナ・フォルスター(ea0396)。
「何が原因で暴走を始めたのか知らねぇが、このまま放っておいたんじゃあ、被害はますます大きくなる。何とかして、止めてやらないとな」
 右目に特徴的な傷がある武道家の鬼哭弾王(ea1980)。
「馬‥‥か。乗らなくてもいいから荷物用に欲しいな」
 同じく武道家の空魔玲璽(ea0187)。左の瞳の色がどす黒い血の色である。
「あ、行き道の食料買い忘れちゃった。帰りは向こうで買えばいいよね? ちょっと行ってくるー☆」
 保存食を切らしていることに気付くウィザードのセルフィー・リュシフール(ea1333)。
「あは、可愛いなぁ☆」
 思わずセルフィーに抱きつくトア。
「スキンシップだよ、スキンシップ♪」
 慌てるセルフィーに、そう言って抱擁を堪能する。
「あ、冒険中の家事や料理はあたしが引き受けるよ。保存食は味気ないから食べたくないし」
 どうせなら食材を買っていこうと提案するアリア。
 村までは片道二日。それほど日持ちする食材に拘る必要もなく、保存食より安上がりになるだろう。
「それいいねぇ♪」
 今度はアリアに抱きつくトア。どうやら女の子に抱きつく癖があるらしい。
 そう勘づいたレイナが微妙に警戒していると、
「ふふっ、レイナにも〜☆」
 抱きつく。
「まあ、お任せするよ」
 面倒くさがりなウィザードのロット・グレナム(ea0923)にとってはラッキーな提案か。
「では、そろそろ行きましょうか」
 彼はナイトのルーウィン・ルクレール(ea1364)。
 こうして、狩猟で食材を補強しつつ、アリアの料理によって安上がりに、無事村へと到着することができた冒険者達であった。

 まずは村長に挨拶を済ませ、準備開始である。
「村ごと総出で手伝って貰いたい。戦うのではなく、準備を」
 そう村長に提案する空魔。
「総出というのは無理ですが、手の空いている者は出来る限り協力致します」
 冒険者達は聞き込みによる情報収集、そして、罠を張るための資材提供と工作協力を手分けして行う。
「そう言えば、いつも先頭を走っている馬がおります」
 おそらくは、その馬がリーダーなのだろう。
 情報収集の結果、暴走馬は六頭程度。よく出没するルートを聞き出し、罠を張る迎撃場所を工作(戦場)を持つレイナや猟師を持つトア、空魔、鬼哭で決定する。
「馬に関することなら、拙いが騎乗知識もあるから、役に立てると思う。馬の弱点はとにかく足だ。石でも踏んで蹄を割ればもう満足に走れない。足が折れればそのうち死ぬ」
 リルの言も考慮して、罠を仕掛けていく。
「まず馬防柵の設置‥‥ロープや小穴、更に水を撒いて機動力を奪う。そして小石などを撒いて蹄にダメージを与え一気に捕獲ね!」
 レイナやトアの指示の元、準備を進める冒険者達。
「猟師っつーより土建?」
 笑いながら馬防柵を作る空魔。
「お手伝いすることしか出来ないのが歯がゆいけどね」
 罠関係のスキルを持たないセルフィー。
「力仕事は任せて下さい!」
 率先して力仕事に従事するルーウィン。
「手伝うぜ」
 同じく鬼哭。一致団結して、事に当たる冒険者達。
「餌も撒いておこうか」
 最後にロットが罠に人参などの餌を撒いて準備完了だ。
「警戒の為に少し離れるぞ」
 別方向へ、皆が確認できる位置くらいまで離れる空魔。何か考えがあるようだ。
 高い場所で見張りに立つトア。
「‥‥テレスコープ」
 魔法発動の瞬間、金の淡い光に包まれる。
 土煙を上げつつ、暴走馬集団を発見!
「来るよ! 準備はいいかい!?」

 爆音のような蹄の音を響かせる彼らは、さながら暴走族と言った所だろうか。
「まぁこれで捕まればそれで良いんだけど‥‥。ダメだった時は可哀想だけど、斬るしかないわね‥‥」
 身構えるレイナ。
「無理して捕獲しなくてもいいかもしれませんが騎士としては馬は大事ですし‥‥」
 呟くルーウィン。馬をお供にする騎士としては、殺さずに済めばと。依頼は早期解決のため、退治もやむを得ない事は承知している。
「ウオオオオォォォォォォン!!」
 獣のような雄叫びを上げて気合を入れる空魔。
 驚き方向転換する暴走馬達。
 その声で罠方向まで誘導するつもりのようだ。
「‥‥ライトニングサンダーボルト!」
「‥‥アイスブリザード!」
 ロットとセルフィーの詠唱が完成!
 直接当てず、罠へ誘導するのが目的である。
 KAN!KAN!KAN!
 更に鍋を叩いたりして罠の方向へ追い立てていくアリア。

 そして、トラップ地帯へと誘い込まれた暴走馬達。
 凄まじい勢いで突っ込んだため、そのダメージは計り知れない。
 それでも暴れようとする暴走馬達を捕獲にかかる冒険者達。
「リーダーを集中攻撃して大人しくさせるぞ!」
 リーダーと思われる先頭を走っていた馬の足にロングソード&ダガーのダブルアタックをかけるリル。
「もし足が折れたりしちゃったらゴメンね」
 ロングソードの腹で馬の足を叩くアリア。
「行きます!」
 ルーウィンも足狙いで攻撃する。
「角天撃!」
 追い込みながら、オーラパワーを掛けておいた空魔が、ストライクのアッパーを放つ!
「十二形意拳・丑の奥義! 牛角拳!」
 本来は鎧ごと相手にダメージを与える技だが、その鬼哭の一撃がトドメとなる。
「さて‥‥お前等、大人しく捕まるのと『馬肉』になるのと、どっちがいい?」
 満面の笑みを浮かべ、殺気やプレッシャーによる『誠意ある説得』を試みるロット。
 罠による絶大な効果もあり、猟師スキルを活かしてロープを使い、次々に馬を押さえ込んでいく冒険者達。
「‥‥アイスコフィン!」
 なおも暴れる馬には、セルフィーの最終手段が飛んだ。

 冒険者達の大勝利である。
「悪ぃな、手加減できなくて」
 罠や打撃によって、再起不能となった馬に空魔が告げる。
「下手に生きながらえさせようとするのは‥‥酷、なのかな、と」
 まだ息のある、しかし再起不能と思われる馬にはトドメを刺してやる鬼哭。
「本で読んだ事あるんだが『馬肉』はジャパンで高熱を伴う病いの治療薬にもなってたみたいだな。殺してしまった以上、有効利用してやらないと‥‥」
 ロットが呟く。
「この際、料理してみようか!」
 アリアが応える。せっかくなのでトドメを刺した馬を回収する。
 イギリスでは移動力でもある馬を食べる風習は無いが、今回ばかりは仕方あるまい。
 それでも、半数の三頭の捕獲に成功したのだから御の字だろう。
「おーい、ちょっと手伝ってくれ。乗ってみる」
 ロープなどで馬と固定して乗ってみる空魔。ちなみに、騎乗スキルは修得していない。
「そんな無茶な乗り方しないでください」
 心配そうな騎士ルーウィン。
「俺も乗ってみよ」
 リルも馬に跨ってみる。
「違う! そうじゃない! 少しは手網通りに動けこの馬鹿馬っ!!」
 怒鳴るだけではなく、後ろから頭を殴る空魔。
 まだ人に馴れていない、しかも先ほどまで暴れていた馬が言うことを聞くはずがない。
「おいおい、殺すなよ?」
 先ほどの手加減できない発言もある。茶化すようにトア。
 一同爆笑。
 そして、言ってるそばから振り落とされる。
「やっぱ無理か」
 多少は騎乗スキルを持つリルも、振り落とされて笑っている。
「そんなので怪我したら馬鹿馬鹿しいわよ?」
 手を貸すレイナ。
「大丈夫ですか? 仕方ないですね」
 気付いたら後始末を任されてしまっている苦労性のルーウィン。
「氷が溶けないうちに運んじゃうよー♪」
 村人に協力してもらい氷の棺の下に丸太を置いて運ぶセルフィーであった。

 そうして、冒険者達は無事、捕獲した馬を村へ引き渡し依頼を達成した。
「うむ、満足満足。良い仕事したな」
 上乗せされた報酬を貰い、満足げな空魔。
 キャメロットへの帰りの食料(馬肉)も調達できたことで、行きに買い込んだ食材料金を差し引いても、一人30Cほど報酬が増えた計算である。
「有り難う御座いました」
 深々と頭を下げる村長。いずれ、彼らが英雄と呼ばれる日が来ることを願って冒険者達を見送るのだった。