筋肉騎士団と鴨狩りに行こう!

■ショートシナリオ


担当:紅茶えす

対応レベル:2〜6lv

難易度:やや易

成功報酬:1 G 63 C

参加人数:8人

サポート参加人数:-人

冒険期間:11月07日〜11月14日

リプレイ公開日:2004年11月09日

●オープニング

 ここは筋肉騎士団宿舎。なぜか旗持ちの掲げる軍旗にはジャパン語で『天手力男神』と力強く書かれている。
「諸君、日々の鍛錬と激務、御苦労である!」
 隊長がポージングをキメる。
「筋肉騎士として当然であります!」
 ポージングで返す筋肉騎士。
「近々、筋肉騎士団は鴨狩りを企画している。期待しておくように」
「鴨狩りですと? それは楽しみですなぁ!」
「そろそろ鍋物の美味い季節。鴨は良質のタンパク質の宝庫ですからなぁ」
 ポージングをキメつつ、鴨鍋を無想する筋肉騎士達。
「とある池に鴨が多く居るという情報を入手してな。穴場らしいぞ。冒険者達も呼んで鴨狩りを楽しもうと、先ほど冒険者達ギルドに依頼を出してきたところだ」
「冒険者には見所のある筋肉を持つ者も多いですからな」
「その通り。冒険者達と親睦を深めつつ、人材発掘も兼ねているのだ!」
 ニカッと笑い、ポーズを変える隊長。テカった汗が滴り落ちる。
 どうなることやら‥‥。

 ここは冒険者ギルド。
 冒険者達が仕事の斡旋を求めて集う場所である。
「仕事の斡旋か? キミ達ならば、これなんかどうだい?」
 いつものように冒険者ギルドのおやっさんが依頼書のひとつを見せる。

『筋肉騎士団と鴨狩りに行こう!
 キャメロットから二日半ほどの所に鴨狩りの穴場があるという情報を入手したのだ。
 冒険者達との親睦を深める意味を込めて、共に鴨狩りに行こうではないか!
 勿論、その場でキャンプをして筋肉騎士団特製の鴨料理を御馳走する予定である。
 食いきれないほど鴨が獲れる事を期待して報酬も提示しておいた。
 依頼期間は七日間。道中の食料などは、こちらで用意しておく。
 また、筋肉騎士団では優秀な人材を求めている。志願者歓迎! 入団しても冒険者としての稼業を束縛する事はないので気軽に隊長まで。
 筋肉騎士団隊長』

「依頼というほどでもないが報酬も出るようだし、食料も筋肉騎士団持ちだ。行ってみちゃあどうだい?」
 おやっさんが依頼書の控えを渡してくれる。
 さあ、鴨狩りに行こう!

●今回の参加者

 ea0061 チップ・エイオータ(31歳・♂・レンジャー・パラ・イギリス王国)
 ea0187 空魔 玲璽(34歳・♂・武道家・人間・華仙教大国)
 ea0340 ルーティ・フィルファニア(20歳・♀・ウィザード・エルフ・ロシア王国)
 ea0780 アーウィン・ラグレス(30歳・♂・ファイター・人間・イギリス王国)
 ea1131 シュナイアス・ハーミル(33歳・♂・ナイト・人間・イギリス王国)
 ea2889 森里 霧子(30歳・♀・忍者・人間・ジャパン)
 ea5876 ギルス・シャハウ(29歳・♂・クレリック・シフール・イギリス王国)
 ea7757 サラ・レイモンド(28歳・♀・レンジャー・人間・イギリス王国)

●リプレイ本文

 筋肉騎士団宿舎では鴨狩りの準備が完了しようとしていた。
「ようこそ冒険者諸君。歓迎するぞ」
 隊長以下、筋肉騎士達がポージングで出迎える。
「お久しぶり、諸君」
 筋肉騎士達と握手していく武道家の空魔玲璽(ea0187)。
「小さき者達の伝道師、ギルスです。筋肉さん達、お久しぶりです」
 続いてクレリックのギルス・シャハウ(ea5876)。
「噂に名高い筋肉騎士団の方々ですね、スリムな身体のレンジャーですが宜しくお願いします」
 平然と対応するレンジャーのサラ・レイモンド(ea7757)。
「お久しぶりです〜♪『面白いお嬢さん』、性懲りもなくやってきました〜。‥‥ふふ、今回は先制攻撃♪」
 そう挨拶するウィザードのルーティ・フィルファニア(ea0340)。
「相変わらず面白いお嬢さんだな、ルーティ殿」
 楽しそうにポージングで返す筋肉騎士。
「おいら、隊長にずーっと憧れてたんだ♪」
 熱い眼差しを送るレンジャーのチップ・エイオータ(ea0061)に、隊長がポージングして見せる。
「同じコナン流の剣士として何か得る物があるかもしれないとお邪魔させて貰った」
 ナイトのシュナイアス・ハーミル(ea1131)が挨拶すると、
「「オゥ、ブラザー!」」
 筋肉騎士達が歓迎のポージングをする。
「さあ、鴨狩りに出掛けるとしよう!」
「わーい、鴨狩り鴨狩り‥‥って、僕より大きなやつがいるのかな?」
 隊長の号令に、はしゃぐギルス。
「鴨と言えば葱だなっ!」
 そう主張する忍者の森里霧子(ea2889)。
 またチップの意見も取り入れ、ハーブなどを調達してから出発。

 順調に目的地へ到着。
 そこは穴場と言うだけ有って鴨の群がいた。
 冒険者達は鴨狩りに備え、すでに様々な準備をしていた。
 迷彩材料を集めて、潜伏場所やキャンプをカモフラージュするチップと霧子。
 近くの森林で鴨の臭み消しになる植物を探しておくルーティ。
「よろしくおねがいします〜」
 筋肉騎士団神聖騎士と『チーム回復役』を組むギルス。
 そして、風向きに注意して鴨狩りの罠を設置する冒険者達。
 猟師セットの縄と針を使い、引けば刺さるような仕掛けを作る空魔。
 麦を酒に浸した物を撒き餌にするチップ。
「メロメロになった鴨をこの釣り具で‥‥」
 釣り道具に工夫をしておいた霧子。
「ん〜、本来魚を獲るモンだけど‥‥猟に使えないこともないだろ」
 トライデントを手にファイターのアーウィン・ラグレス(ea0780)。
「常日頃から筋肉を見ていればいずれ周りも慣れてしまうでしょう。それを打破するには‥‥そう、インパクトです」
 筋肉騎士達に隠密行動の指導をするサラ。
「普段から力を溜めておき、効果的なタイミングに狙いを定めて全力を尽す、これこそが最大の効果を発揮させる秘訣です」
「「なるほど!」」
 感嘆しつつポージングしている筋肉騎士達。ちゃんとサラの意図は伝わっているのだろうか?

 3手に配置に着いて準備完了、鴨狩り開始!
(「一応弓矢は用意してきたが、飛び道具は好きになれないな」)
 『オーラエリベイション』を発動させ、ミドルボウを構えるシュナイアス。
 全身にカモフラージュし、罠から少し離れた潜伏場所で待機するチップ。
 筋肉騎士団と共に、素肌が見えている部分に泥を塗った迷彩のサラ。
「ウ〜、蒸れる〜。僕ってばまた袋の中か〜。芸がないな〜」
 バックパックを被ってじりじり陸地から接近するギルス。
 獣の唸り声を発し、鴨をそれとなく誘導するアーウィン。
 おびき寄せの様子を罠班配置から見守る霧子。
 筋肉騎士団に鴨誘導の合図をするサラ。
 彼女の指導で全身に泥を塗ってカモフラージュしていた筋肉騎士達が一斉に飛び出す!
 盛り上がった筋肉で泥が剥がれ落ちると、お肌ツヤツヤになっていた。
「「「オゥ! びゅーちほー!!」」」
 何やら感動している筋肉騎士達に指示を与えつつ、ショートボウで射撃開始するサラ。
 驚いた鴨の群が逃亡を開始する。
「よし、仕掛けの軸に入った。よっ!」
 頭に枝を載せた空魔が、鴨が仕掛けに入った所で一拍置いて作動させる!
「クァッ!?」
 罠に掛かってもがく鴨。
「一生懸命食べるからね、許してね」
 罠の発動に合わせて、ショートボウで射撃して鴨を撃ち落とすチップ。
 飛び立とうとする鴨には、石を投げつける空魔。
 鴨が飛び立とうとする直後を狙い撃つシュナイアス。
 『レビテーション』で上昇するルーティ。
「父と子と精霊の御名において、晩ご飯の材料になれ」
 『コアギュレイト』を発動させるギルス。同時に『春花の術』を発動させる霧子。
 斜め上方からの最適な射線を決定するルーティ。『グラビティーキャノン』を発動!
「‥‥鴨相手にポルターガイストと戦うよりも威力が上‥‥なんだか複雑」
 ブッ飛ぶ鴨の群に苦笑するルーティであった。
 それらの鴨を数珠繋ぎに縛っていくアーウィンと筋肉騎士達。

 そこへ、罠と襲撃を逃れた一回り大きな鴨が二羽、普通の鴨を伴って出現する!
「どけ! 俺の獲物だっ!!」
 『オーラパワー』を発動させる空魔。筋肉騎士達をかき分け、真っ先に突貫する!
「お〜お〜、穴場のヌシがお出ましか?」
 空魔に続くアーウィン。
 威嚇射撃をするチップとサラ。
「クアーッ!」
 肝が据わっているのか動じない大鴨。
「気を付けないと、逆に僕がお持ち帰りされちゃうぞ‥‥」
 空を飛んで、自分よりも大きな鴨に立ち向かうギルス。
 忍者刀で取り巻きの鴨を斬りつけて牽制する霧子。
「やはり、俺には弓よりこっちの方が性に合っているな」
 ジャイアントソードを構えるシュナイアス。
「クアーッ!」
 果敢にもクチバシで反撃してくる大鴨!
「叩き落してやる‥‥喰らえ!」
 『デッドorアライブ』で当たるに任せるシュナイアス。そして『スマッシュ』で大鴨を叩き伏せる!
「もらった!」
 続いて空魔が『ストライク』で大鴨を叩き落とす!

 こうして鴨狩りの結果は、大鴨二羽を含む大猟となった。
「うふふふ、筋肉さん、早くよくな〜れ。」
 カスリ傷だが、愛おしむように撫でながら『リカバー』を筋肉騎士達に掛けていくギルス。
「隊長の料理も楽しみだし、空魔さんの良い思い出になるといいな‥‥」
 家事スキルを活かして、料理の手伝いをするチップ。
 罠類の撤去をした霧子も続いて料理を手伝う。
「その漢鍋、葱を入れろ」
 筋肉騎士達の作る圧倒的に鴨肉の多い漢鍋を阻止すべく野菜を投入する霧子であった。

 そして、出来上がった鴨鍋を囲んで盛り上がるキャンプ♪
「攻撃こそ最大の防御。武器の重量を活かした一撃必殺こそコナンの神髄!」
「それを実現する比類無き筋肉! シュナイアス殿も我ら筋肉騎士に引けを取らぬ。是非入団を!」
「うむ、考えておこう‥‥」
 鴨鍋をつつきながら筋肉騎士達と語り合うシュナイアス。
「弁十郎というナンパの為に体を鍛えた生臭坊主が居てな‥‥」
 友人を筋肉騎士団に推薦する霧子。
「動機は不純だが、鍛錬するのは良いことだ。是非、筋肉騎士団に来るよう勧めておきたまえ。心も鍛え直してやるぞ」
 ニカッと笑う隊長。
「捕った鴨は‥‥(もごもご)‥‥一週間くらい経ってから‥‥(もごもご)‥‥食べ頃とか何とか‥‥(ごくん)でも、美味しいから問題無しですね♪」
「レディがはしたないですぞ、ルーティ殿」
 頬張りながら話すルーティを窘める筋肉騎士。
「美味しいのですが、私には食べ切れません‥‥」
 小食のサラは適度に鴨鍋を楽しむと、筋肉騎士達に勧めていく。

「俺はこれが終わったらイギリスを発つ。そこで賭けをしよう」
 木の上で悠々と食していた空魔。隊長が食べ終わったのを見計らって持ちかける。
「素手で隊長が勝てば、俺は入団する。OKなら‥‥勝負だ」
 装備品を全て外す空魔。
「よろしい。何としても入団してもらうぞ。空魔殿が勝てば、そうだな‥‥名誉ある称号を与えようではないか」
 外套を脱ぎ捨て、ポージングする隊長。
「なぁ、腹ごなしに一つ手合わせしてぇんだが‥‥構わねぇかな?」
 アーウィンも、筋肉騎士の一人に手合わせを申し込む。
 筋肉騎士団と冒険者達の見守る中、二つの模擬戦が開始された。
 素手戦闘に慣れた武道家の空魔が有利なのは明白だが、隊長にも勝算はあるようだった。
「ぬぅぅん!!」
 空魔の『ストライク』を『デッドorアライブ』『カウンターアタック』で返す隊長!
 それを『オフシフト』で見切ろうとする空魔だが、鋭い反撃は空魔を捉える!
 避ける気が無いならばと『ストライクEX』を叩き込む空魔!
 一方、トライデントのリーチを活かした中距離戦を展開するアーウィン。スキを突いて『チャージング』をかける!
 筋肉騎士のウォーアックスが交錯し、双方紙一重で止める。
 巻き起こる拍手!
「お見事! 素晴らしい筋肉と槍捌きは『輝刃』の如きでしたな。是非とも我が筋肉騎士団への入団を!」
 ガッチリ握手を交わす筋肉騎士とアーウィン。
 そして、隊長と空魔の闘いも決着がつこうとしていた。
 完全に本気になっている二人。空魔はアッパーと見せかけて砂を拾い目潰しを仕掛ける!
「ぬぅお!?」
 怯んだ隊長に空魔はトドメの『ストライクEX』を放つ!
 息を呑む筋肉騎士団と冒険者達。
「さすが隊長だな‥‥」
 寸止めした空魔。そして、隊長の『カウンターアタック』も寸止めされていたのだ。
 空魔の最後の一撃で隊長は崩れ落ちていたかもしれないが、持ちこたえたならば、反撃で確実に空魔が倒れていただろう。拳と言えど彼らの場合、一歩間違えれば死を招きかねない。
 再び巻き起こる拍手!
「不向きかも知れないけど、見習いでもいいから入隊を希望します!」
 真剣な表情で隊長に申し込むチップ。
「‥‥よかろう! まずは体を鍛えるところから始めよう。毎日、腕立て腹筋背筋‥‥」
 暫し逡巡した後、常人には到底不可能と思えるトレーニングメニューを言い渡す隊長。
「が、がんばります!」
 燃える闘志でトレーニングを開始するチップ。
「引き分け、としておくしか無いだろう。新天地でも頑張りたまえ」
「‥‥ありがとさん。さて‥‥これで、さよならだ」
 握手を交わす隊長と空魔。
「神様はいつでも、あなた達をじ〜っと見守っていますからね、じ〜っと」
 ニッコリ笑って、空魔の旅立ちと筋肉騎士団を祝福するギルスであった。
 筋肉騎士団と冒険者達に栄光あれ!