●リプレイ本文
依頼を受けた冒険者パーティ恒例の挨拶を交わし、信頼を築く冒険者達。
「いぇ〜い、我こそは『堅牢なる戦乙女』! ピアレーチェ・ヴィヴァーチェだよっ。ピアって呼んでね〜☆」
元気よく自己紹介する神聖騎士ピアレーチェ・ヴィヴァーチェ(ea7050)。
「神聖騎士のリュウガ・ダグラスだ、よろしく頼む」
続いて神聖騎士リュウガ・ダグラス(ea2578)。
「死体を食べるなんて‥‥私たちには想像もつかないね。とにかく、こういうのは許しちゃおけないよ」
意気込むウィザードのサーシャ・クライン(ea5021)。
「死食鬼‥‥直接当たるのは初めてだね‥‥」
大きな胸をサラシで潰して固定している浪人の御山閃夏(ea3098)。目標でもある兄に手傷を負わせたという話に少し緊張気味である。
『モンスター何匹かわからん、報酬安くねぇか?』
ゲルマン語で話すファイターのオラース・カノーヴァ(ea3486)。イギリス語は修得していないが、ファイターのカシス・クライド(ea0601)、サーシャ、リュウガらが通訳可能なので、不自由する事は少ない。
それほど余裕のある村では無いだろうが、期間と実力を考えれば適正な報酬である。
目的地の村へと向かう道中。
「今回はグールってゆーアンデッドが相手らしーねぇ。‥‥グール君って、つおい?」
首を傾げるピア。老若男女モンスター含めて『君づけ』らしい。
「グールについて詳しく情報を知りたいのだが、誰か知っていたら教えてくれ!」
そう尋ねるリュウガだが『ズゥンビに似ているが遙かに強い』と、それ以上に詳しく知る者はいなかった。
「なるほど‥‥、後は実際に戦って認識するしかないな。ありがとう」
村付近から念のため警戒していた冒険者達だが、何事もなく到着することができた。
グールを警戒してか、閑散とした雰囲気の村である。まず村を一回りする冒険者達。
『今日一日は外出を控えるよう頼んでくれ』
そう仲間に通訳してもらうオラース。
「‥‥もしあれば、譲って頂けないでしょうか?」
また、村で古くなって使えない肉を譲って貰うカシス。少量ではあるが集める事が出来たようだ。
「まだ村人に被害は出ておらぬようでござる」
ほっとしたように浪人の天城月夜(ea0321)。
「背負ってみせる。己が視界の全ての人を」
使命感に燃えるナイトのクリス・シュナイツァー(ea0966)。
『アンタ、いいヤツだな!』
オラースの言葉の通訳を聞いたクリスは少し照れていた。
墓地へと向かう冒険者達。
『デティクトアンデット』を掛けて、グールの出現に備えるピア。
「肉を好むのであれば拙者ら自身が餌であり囮に為れる」
納刀したまま、回りに気を巡らしつつ進む月夜。
「グール君の好きそうなエサを置いて待ち伏せしてるとこに誘き寄せて、纏めてやっつけちゃおう! ってな、感じだね!」
説明有り難うピア。
「‥‥グールの悪食っぷりを、思う存分見せて頂くとしましょう」
墓地の少し広い所に古い肉を設置するカシス。
そして辺りを警戒し、
「どこから、襲撃してくるか分からないので結界を張るぞ!」
リュウガの言葉で密集して円陣を組み、身を隠す冒険者達。
「再現の神、大いなる父の力を持って聖なる結界をここへ! ホーリーフィールド!」
目に見えない聖なる結界が彼らを包む。
「エサに釣られてグール君が来たら戦闘だね」
ラージフレイルとリュートベイルを構えているピア。そこで、『デティクトアンデット』に反応があり、グールが二匹出現する。
「「Gu〜Ru〜♪」」
美味そうな肉を見つけたと喜んでいるのだろうか、グールが何を考えているかなど推し量ることは出来ないが、彼らはグルグルとまわりを回ってから、ついに肉にかぶりつく!
そこへ、中心にサーシャを置く円陣を組んだまま襲いかかる冒険者達!
「「Gu〜Ru〜ッ!!」」
現れた生者達を怨みがましい目で睨み付けると飛び掛かってくる!
一撃目は、『ホーリーフィールド』によって防がれるが、同時に結界も消滅する!
『ヨォ腐れ鬼。初めましてだな』
ジャイアントソードとライトシールドを構えるオラース。
ラージフレイルをグルグル回すピア。
「さて‥‥見えるでござるかな。拙者の太刀筋が」
『ブラインドアタック』による月夜の刀は瞬く間にグールを斬りつけ、次の瞬間には鞘に収まっていた。
『先に言っとくが、俺は手強いぜ‥‥』
盾受けと、ジャイアントソードでの受けを駆使してグールの攻撃を捌くオラース。
「ここは通さない」
グールの牙を盾で防ぎつつ、当たっても完全装備による『ガード』で弾き返すクリス。恐るべき防御力である。後衛にグールを近づかせない。
「お婆ちゃんみたいに‥‥、いつかはウインドマスターと呼ばれるためにも、こんなところで負けるわけにはいかないんだぁっ!!」
後衛として『ウインドスラッシュ』で的確に支援攻撃していくサーシャ。
「再現の神、大いなる父の力を今ここ示し、邪悪なる敵を撃破せよ! ブラックホーリー!」
聖なる力でグールを撃つリュウガ。
「その、死肉臭い口を、直に、閉じろ!」
パリーイングダガーでグールの攻撃を受け流しつつ刀で斬りつけていく閃夏。
そして、スキあらば『スマッシュ』を叩き込んでいくクリスとオラース。
「Gu〜Ru〜ッ!」
『ブラインドアタック+ポイントアタック』で的確に急所を捉える月夜だが、痛みを感じないグールの牙は、その動きを鈍らせる事はなかった。
「くっ‥‥」
恐るべき威力である。すぐさま『リカバーポーション』を飲んで傷を回復する月夜。
「グルグールカウンター!」
『カウンターアタック』の体勢では、盾受けに失敗して噛みつかれるも、手痛い反撃をお返しする事には成功するピア。受けたダメージはリカバーポーションで回復だ。
「さてさて‥‥名前どおり、ぐるぐる振り回して差し上げましょうか」
『オフシフト』を駆使してさえ回避困難な鋭いグールの牙で受けた傷をリカバーポーションで回復したカシス。
「あまり掴みたくない相手なのですが‥‥仕方ありません!」
グールを掴んで『スープレックス』で振り回して投げる!
「‥‥吹けよ風、轟け嵐‥‥我に仇なす全てのものに裁きを! ‥‥トルネード!!」
うまくグール二匹を密集させた所で仲間達に合図を送るサーシャ。竜巻がグールを持ち上げ、叩きつける!
そこへ波状攻撃を仕掛ける冒険者達!
「全開でいくよ!!」
『ダブルアタック』で閃夏が斬りつける!
「蒼穹の牙の一撃を受けて滅せよ!」
『チャージング+スマッシュ』を叩き込むリュウガ!
「亡者よ還れ。肉は腐りて土に還り御心は天へ‥‥!」
同時に月夜の『ブラインドアタック+ポイントアタック』でグールが一匹崩れ去る!
『絶対勝利〜ッ!』
もう一匹にもトドメの一撃、オラースの『スマッシュEX』で真っ二つ!
そして、墓地に静けさが戻った。
グールの残骸は、念を入れて油を掛けて燃やす事にした冒険者達。
「村の付近にグールが出るなんて嫌でしょうし、しっかりと討伐してしまいたいです」
「‥‥もう、さすがにいないよね。実はまだいました、何てのはさすがに嫌だからね‥‥」
その夜、グールの討伐漏れの無いよう見回るクリスとサーシャ。
だが心配も杞憂だったのか、それ以上グールが出現することは無かった。
グールがどこから来たのか調べてみる閃夏だが、発生原因などは解明できなかった。
「理屈では説明できないこともあります」
そう呟くカシスであった。
翌朝、報告を聞いた墓守も仕事に復帰するそうである。
「手伝うでござるよ」
荒らされた墓地の手入れを手伝う月夜。
『知って行なわざるは知らざるに同じ‥‥だろ?』
「よっし、がんばるぞぉ!」
それに倣うオラースとピア。
結局、全員で昼頃まで手伝った後、村人達に見送られながらキャメロットへと帰還するのだった。
いずれ彼らが英雄と呼ばれる日が来ることを願っている。