恐るべき障害ガヴィッドウッド!

■ショートシナリオ


担当:紅茶えす

対応レベル:4〜8lv

難易度:やや難

成功報酬:2 G 88 C

参加人数:8人

サポート参加人数:-人

冒険期間:01月11日〜01月16日

リプレイ公開日:2005年01月13日

●オープニング

 キャメロットから南西二日ほどの所にギルフォードという街がある。
 街の周辺には農耕や狩猟を中心とした小さな村が点在しており、森林地帯が多い。
 領主である紅茶男爵の方針で、森林開拓や街道の整備に力を入れているのが特徴のひとつである。

 ここは冒険者ギルド。
 冒険者達が仕事の斡旋を求めて集う場所である。
「仕事の斡旋か? この依頼を受けてくれないか?」
 いつものように冒険者ギルドのおやっさんが依頼書のひとつを見せる。

『街道整備工事現場からの依頼です。
 工事中突然、樹木のバケモノに襲われ、作業員に被害が出ました。
 現在、工事は中断しており、このままでは大きく迂回する道を作る事になります。そうなれば、工事期間の延長や街道利用者の利便性が失われるなど、様々な弊害が予測されます。
 何としても樹木のバケモノを排除してください。
 ギルフォード街道整備責任者』

「人を襲う樹木のバケモノ‥‥ガヴィッドウッドってヤツだろうな。歩き回ったりはしなかったと思うが、排除するとなると大変だろうな」
 依頼書の控えを差し出すおやっさん。
「現場までは片道二日半ほどだ。早急に退治してやってくれ。往復五日分の食料は用意しておけよ」
 こうして新たな依頼を受けた冒険者達であった。

●今回の参加者

 ea0244 アシュレー・ウォルサム(33歳・♂・レンジャー・人間・イギリス王国)
 ea2578 リュウガ・ダグラス(29歳・♂・神聖騎士・人間・イギリス王国)
 ea2939 アルノール・フォルモードレ(28歳・♂・ウィザード・人間・イギリス王国)
 ea3468 エリス・ローエル(24歳・♀・神聖騎士・エルフ・イギリス王国)
 ea3947 双海 一刃(30歳・♂・忍者・人間・ジャパン)
 ea3991 閃我 絶狼(33歳・♂・志士・人間・ジャパン)
 ea6089 ミルフィー・アクエリ(28歳・♀・ナイト・人間・イギリス王国)
 ea7623 ジャッド・カルスト(36歳・♂・ファイター・人間・イギリス王国)

●リプレイ本文

 まず、同じ依頼を受けた冒険者同士、挨拶を交わしていく。
「リュウガ・ダグラスです。ガヴィッドウッドのことは良く知らないが、神聖騎士なので護衛役を勤めさせていただきますので、よろしくお願いします」
 丁寧に挨拶する神聖騎士リュウガ・ダグラス(ea2578)。
「歌姫騎士、参りますよー♪」
 元気いっぱいナイトのミルフィー・アクエリ(ea6089)。
「今回の相手は植物か‥‥冒険者ってのは暇しないね」
 軽口を叩き、余裕を忘れないファイターのジャッド・カルスト(ea7623)に、
「やれやれガヴィッドウッドかぁ‥‥相手は木だし、矢が通じにくいから厄介だなあ」
 レンジャーのアシュレー・ウォルサム(ea0244)が続く。
「化け物樹ですかい‥‥この前の迷宮のアンデッドと言い、この領地って呪われてるんじゃないのか?」
 志士の閃我絶狼(ea3991)。そのおかげで冒険者の需要は絶えないのである。
「火を使って全焼させれば楽かと思ったが、‥‥延焼しては元も子もないしな」
 どう戦うか考えている忍者の双海一刃(ea3947)。
「この依頼を成功させれば森が‥‥ですが迷いは皆さんに迷惑がかかりますよね」
 自然を愛する者としての葛藤を抱える神聖騎士エリス・ローエル(ea3468)であった。

 怪我をした作業員が収容されている施設に立ち寄った冒険者達。
「慈愛神は決してあなた達を見捨てたりはしませんよ」
 怪我人に『リカバー』を掛けていくエリス。
 襲われた時の状況などを尋ねておくミルフィー。
 作業員達はエリスに感謝し、分かる範囲で状況説明をすると、早く仕事に戻れるよう冒険者達に願うのだった。

 整備された道を進むと、工事の道具が放置されたままになっている地点に到達する。
 逃げ出すので精一杯だったのだろう。
 この辺りは木々が生い茂り、ここまでの工事の大変さを伺い知ることが出来る。
 前を行くリュウガの服に手をかけて及び腰でキョロキョロしているウィザードのアルノール・フォルモードレ(ea2939)。薬草師をしているのだが、森の深部へ来ることは滅多にないらしく、
「うぁっ‥‥!」
 枝鳴りや鳥の羽音にも、ビクつく有り様である。
 そう、この少し先にガヴィッドウッドが居るのだ。

 そして、冒険者達の前に奇怪な巨木が姿を見せる。
「ほぉ、立派な木だな。これを倒せば、すぐ木こりとして生活できそうだ」
 軽口を叩きつつも相手の危険性を感じ取り、気を引き締めるジャッド。
「うーみゅ、これはちょっと、すぐには倒せそうにないのです」
 ノーマルソードを構えるミルフィー。
 ざわざわと動き出す枝。ガヴィッドウッドに間違いない!
「さあ、出番だぜ‥‥我が呼ぶは邪を断つ魔剣」
 絶狼の手に『クリスタルソード』が出現する。
「Buoooo‥‥」
 大きなウロのような口から、声なのか風の音なのか不明だが、そんな音が聞こえた気がする。
「‥‥!」
 ガヴィッドウッドの怪異さに笑顔のまま青ざめるアルノール。
「口はあるが、目はないな‥‥。どうやってエサを認識するのかは知らんが、周囲すべては見えんことにかけてみる‥‥参る!」
 真っ先に枝の攻撃範囲に飛び込み、短刀二刀流による受けと回避術を駆使してガヴィッドウッドの攻撃を撹乱する一刃。
「あなたの当たり前の営みが他の者に害を与えるのです。ですから排除させてもらいます」
 そう宣言し、ガヴィッドウッド接近していくエリス。そして、彼女を周囲を固めるジャッド、リュウガ。
「再現の神、大いなる父の力を持って聖なる結界をここへ! ホーリーフィールド!」
 聖なる結界を張るリュウガ。
 そしてガヴィッドウッドから無数の枝が襲いかかってくる!
 その枝は結界を撃ち破り、恐るべき手数で襲いかかってくるが、リュウガも負けじと『ホーリーフィールド』を何度も張り直し、到達しそうな枝もジャッドのライトハルバードによって多くが防がれている。
「うにゃー! 枝が、凄いのですぅ!」
「‥‥動かないっつっても厄介なモンスターだよな、一体何処から生えて来たやら、それとも元々ここに居たのか?」
 最前線で、剣に拳や蹴りを交えたミルフィーと、『クリスタルソード』とパリーイングダガーの絶狼が、襲いかかってくる枝を受け流し、切り払っていく!
「とりあえず後方援護かな、俺は」
 魔法の梓弓から放たれるアシュレーの『シューティングPA』が、襲いかかってくる枝を的確に捉える!
「逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ‥‥!」
 必死に自分を鼓舞するアルノール。ガヴィッドウッドに絡み付いているツタに『プラントコントロール』を掛けて、枝による攻撃の阻害を試みる!
「人間丸呑みするような樹なんだから、多少の異物でも気にしないだろう」
 この隙に一刃が油をウロに放り込み、更に、
「神弓一射‥‥内側から燃え尽きるんだね!!」
 油をにつけた布を巻いた火矢を『シューティングPAEX』でウロに放つ!
「BoHaaa‥‥」
 ウロの中に赤い炎が見え、煙がモクモクと立ち上る。一気に燃え上がりはしないようだが、攻撃の手が緩んだ所で冒険者達の接近を許してしまう!

 次々に枝を打ち払われ、ウロから煙を吐き出すガヴィッドウッドを自分が打たれるかのような表情で見つめるアルノール。だが、『プラントコントロール』による束縛を緩めるわけには行かない。
「どんなに強靱で力があっても、これではどうしようもないでしょう」
 何度か抵抗されたが、ついにエリスの『コアギュレイト』が効果を発揮する!
「再現の神、大いなる父の力を今ここ示し、邪悪なる敵を撃破せよ! ブラックホーリー!」
 リュウガも聖なる力で攻撃に転じる!
「これで余裕ができましたね。皆さん今のうちに手当を」
 負傷した仲間達に『リカバー』を掛けていくエリス。

 そして回復した冒険者達が次々に攻撃を仕掛けていく!
「硬いな‥‥全く立派な木だよっと!!」
 愚痴をこぼしつつ『スマッシュ』で叩き込むジャッド!
「トルバドールの名の下になのですー」
 ミルフィーも『スマッシュ』を叩き込む!
「‥‥動かないなら威力のみ重視で問題無いはず‥‥砕け散れ!」
 更に『スマッシュEX』を叩き込む絶狼!
「さあ、皆さん決着をつけましょう」
 『チャージング』を仕掛けるエリス!
「神命に従いし、蒼き聖獣の一撃! その身でしっかりと受け取れ!」
 『チャージング+スマッシュEX』で一気に踏み込むリュウガ!
 こうして冒険者達の連続攻撃によって、ガヴィッドウッドは活動を停止した。

 燃え上がり始めたガヴィッドウッドを消火した冒険者達。
「後は報告して街道整備に任せれば良いか‥‥?」
「そうだな」
 絶狼と一刃。さすがにこれを処理するのは冒険者達の手に余るだろう。
「ガヴィッドウッドさんも本当は人間が恐かったのかもしれませんです。もっと穏便に済ませられなかったのでしょうかぁ?」
 誰にとはなく呟くミルフィー。
 黒こげになったガヴィッドウッドに恐る恐る近づくアルノール。
「人の英知と努力で生活は楽になるけれど、その所為でまた森が消える。人の欲はどこまでこの大地を被い尽くすのだろう‥‥」
 そう言って、まだ若葉の残る枝をひと振り手折るのだった。その後、彼の棲家の庭に植えられたそれが根付くかどうかは彼の努力次第だろう。
「これでこの森は失われてしまいますね‥‥迷える魂に安らぎを‥‥」
 目を閉じて祈るエリス。今日明日どうにかなる事は無いが、道が出来れば、少しずつ森は開拓されていくことだろう。

 報告を済ませ、帰り支度をする冒険者達。
「さて無事終わったし、紅茶男爵様に新年の挨拶をして行こうかな」
 用意しておいた礼服を確認するアシュレー。
「この後一杯やるけど、どうだい?」
 エリスとミルフィーに声を掛けるジャッド。
 こうして、それぞれの帰路に着いた冒険者達であった。
 いずれ彼らが英雄と呼ばれる日が来ることを願っている。