極秘の依頼

ショートシナリオ&
コミックリプレイ プロモート


担当:紅茶えす

対応レベル:5〜9lv

難易度:普通

成功報酬:3 G 2 C

参加人数:8人

サポート参加人数:-人

冒険期間:02月14日〜02月20日

リプレイ公開日:2005年02月16日

●オープニング

 とある村の村長宅での出来事だった。
「一人で行けるから心配しないで! 絶対着いてきちゃダメだからね!」
 いそいそと旅の準備をする少女の姿があった。

 お遣いを兼ねて、徒歩一日ほどで行ける隣村の祖母の家に行くだけなのだが、この少女、普段から方向音痴で何度も迷子になった前科を持つ。
 ちょっとぽーっとした所の目立つ少女の一人旅を心配しない親など居ないだろう。
 しかし、年頃の少女には頑固な一面もあり、こっそり着いていったのがバレた日には暫く口も聞いてくれないだろう。
「ああ、心配だ心配だ‥‥」
 困り果てた村長は一計を案じたのだった。

 ここは冒険者ギルド。
 冒険者達が仕事の斡旋を求めて集う場所である。
「仕事の斡旋か? 急ぎの依頼があるんだが引き受けてくれないか?」
 冒険者ギルドのおやっさんが依頼書のひとつを見せる。

『極秘の護衛依頼です。
 護衛対象は私の娘なのですが、娘に気付かれることなく、二日間ほど護衛していただきたいのです。
 と言うのは、娘が近々、隣村へのお遣いに一人で行く事になったのですが、どうにも不安で仕方がないのです。
 しかし、娘からは『絶対に着いてくるな』と念を押されてしまいました。
 そこで冒険者の方々に、密かに護衛をして頂きたいのです。
 護衛の方法はお任せしますが、私が娘を心配して雇った護衛だということを娘に気付かれないようにしていただくことが条件です。
 娘の名はマナといいます。護衛期間の二日間の食料はこちらで用意しておきますので、宜しくお願いします』

「娘を思う親心ってヤツだねぇ。引き受けてくれるなら、娘さんの出発に間に合うよう早めに出発してくれ。その村までは片道二日ってところだ。その往復四日分の食料は自分達で用意してくれ」
 こうして、新たな依頼を受けた冒険者達であった。

●今回の参加者

 ea0439 アリオス・エルスリード(35歳・♂・レンジャー・人間・ノルマン王国)
 ea0504 フォン・クレイドル(34歳・♀・ファイター・人間・イギリス王国)
 ea1128 チカ・ニシムラ(24歳・♀・ウィザード・人間・イギリス王国)
 ea1131 シュナイアス・ハーミル(33歳・♂・ナイト・人間・イギリス王国)
 ea3519 レーヴェ・フェァリーレン(30歳・♂・ナイト・人間・フランク王国)
 ea3866 七刻 双武(65歳・♂・志士・人間・ジャパン)
 ea3970 ボルジャー・タックワイズ(37歳・♂・ファイター・パラ・ビザンチン帝国)
 ea5876 ギルス・シャハウ(29歳・♂・クレリック・シフール・イギリス王国)

●リプレイ本文

「僕はギルス。小さき者達の伝道師、ギルスです」
 仲間達に挨拶するクレリックのギルス・シャハウ(ea5876)。
「マナちゃんを護衛だとばれないように護衛か〜。とりあえず依頼はさておき、マナちゃんとお友達になれるといいな♪」
 ウィザードのチカ・ニシムラ(ea1128)。依頼はさておかないで欲しい所だ。
「初めてのお使いとは微笑ましいな」
 必ず成功させねばと考えている志士の七刻双武(ea3866)。
「しかし、護衛対象と同行できないってのは厳しい」
 ナイトのシュナイアス・ハーミル(ea1131)。そう、この依頼には特殊な条件が付いていたのだ。
「がんばれ、がんばれ女の子〜、一人でお使いがんばって〜♪
 パラの戦士は見守るぞ〜、こっそりこっそり見守るぞ〜♪」
 ファイターのボルジャー・タックワイズ(ea3970)の陽気な鼻歌を合図に、依頼の村へと出発する冒険者達であった。

 依頼人から娘のマナの特徴を聞くと、分散して護衛に当たる冒険者達。
 最初にマナと接触したのはナイトのレーヴェ・フェァリーレン(ea3519)だった。
 馬を駆り、先回りしていた彼は、旅の騎士が一休みしているよう装っている。
 そこへ通りかかるマナ。それを尾行していた冒険者達が、レーヴェの登場にギョッとしつつも見守る。
 軽く会釈して通り過ぎようとするマナに声を掛けるレーヴェ。
「この先へ行くのか?」
「隣村へお使いに行くの。一人で行くのは初めてだけど、何度か行った事があるから大丈夫☆」
「今この森は女が一人歩きするには危険だ。そこの村まで送ってやるから引き返すんだ」
「でも‥‥」
「どうしても行くのなら隣村まで送ろう」
 引き返させようとする事で親の雇った護衛ではないと思わせつつ、同行することに成功したレーヴェであった。

 暫くして。
「あっ、精霊さん発見☆」
 木陰を飛ぶエレメンタラーフェアリーを見つけたマナ。慌てて飛び去るのを追って森へと入ってしまう。
「待つんだ!」
 制止も届かず、仕方なく後を追うレーヴェ。
「あや‥‥道外れちゃったよ‥‥。とりあえず、あたしはそろそろ行動開始かな」
「‥‥まさかこうなるとはな。マナに見つかると厄介だが、ここで見失うと拙い」
 チカやシュナイアスを初め、尾行していた冒険者達も慌てて追いかけていく。

 結局、精霊を見失ったマナ。気付けばレーヴェともはぐれ、自分がどちらから来たのかも分からなくなっていた。
「精霊さ〜ん、騎士さ〜ん‥‥」
 不安そうに見回すと、森のざわめきが怖ろしくなってくる。
「こんなところで何をしているんだ? 道からはだいぶ外れているぞ」
 知らない声を掛けられ、ビクッと振り向いたそこに居たのはレンジャーのアリオス・エルスリード(ea0439)。
「‥‥誰?」
「俺か? 俺は通りすがりの狩人だ。森が騒がしかったのでな。様子を見に来たのだよ」
 涙目で尋ねるマナにそう答えると、道を教えるアリオス。
 冒険者達もそこでマナを発見するが、少し打ち合わせをすると、その場での接触は控える事にした。

 教えられた通り森を歩くマナは、チカと出会う。
「あたしはチカ・ニシムラって言うの♪ えっと‥‥あなたは名前はなんていうの?」
「私はマナ。お使いの途中なんだけど、迷っちゃって‥‥でも道を教えて貰ったから大丈夫☆」
「ふに、あたしも道に迷っちゃったんだよ。近くの村に行くなら一緒に付いて行っちゃだめかな? 一人より二人の方が楽しいしさ♪」
「うん、いいよ☆」

 更に進むチカとマナは、ファイターのフォン・クレイドル(ea0504)と出会う。
「ちょっとそこ行くお嬢ちゃん達。お助けください、この複雑怪奇摩訶不思議にいりくんだ森のヤローが、あたいを閉じ込めて出してくれないのです」
 ボロボロ涙やら鼻水やらを流し、助けを求めるフォン。道に迷った旅人を演出するつもりが、マナを追う間に本当に迷ったようだ。
「任せてっ☆ 私が案内してあげる」
 自信満々に言うマナ。先ほどまでは自分がそうだった事など気にしていないようだ。

 更に進むと、今度はシクシクと泣き声が聞こえてきた。
 怖々近づいていくマナ達はギルスと出会う。
「あっちの村に行く途中、大きな鳥に襲われて、森に逃げ込んだら迷っちゃったんです〜」
 泣きつくギルス。
「あれ、さっきの精霊さん? あ、シフールさんかぁ」
「僕はギルス。僧侶の修行中で、村々を巡って怪我人を治したり、神様の教えを広めているんです〜」
 次々に同行者の増えていく不思議な森。まるで童話の主人公のような気持ちのマナであった。

 しかし、まだ気は抜けない。
 いつの間にか、マナの案内は道の方角から外れそうになっていた。
 それを救ったのは、ボルジャーが目印に結んでおいたロープの切れ端だった。同行者達が、それを頼りにさり気なくマナを誘導し、無事道へと戻ることが出来たのだった。
「あ、騎士さ〜ん☆」
「いきなり森に駆け込んで‥‥心配したぞ」
 道で待っていたレーヴェに手を振って駆け寄るマナであった。

 こうして、再び隣村を目指すマナ達。随分遅くなったが、夜半過ぎには隣村へと到着することができた。
「にゃ、無事村に着いたね〜。迷った時はどうしようかと思っちゃったけど‥‥よかったね」
「うん。あ、みんなも一緒に泊めてもらえるよう、お祖母ちゃんに聞いてみるね☆」
 歳も近いせいか、すっかり仲良くなったチカとマナ。
 不思議な同行者達に驚きを隠せない祖母だったが、こっそり事情を話し、安心させるギルス。その後、歩き疲れたマナが眠るまでのわずかな間だが、神様のお話をしてあげるなど『小さき者達の伝道師』の名に恥じない。

 翌朝。お使い事を済ませ、帰路に着く。
「マナさんの村にも行った事がないので、一緒に行ってもいいですか?」
「うん、一緒に行こう☆」
 ギルスの提案をすんなり受け入れたマナであった。

 道中、様子を見守る冒険者達以外に、悪意の視線が発生していた。
 行く手を阻むように現れたのは人相の悪い男達だった。軽装ではあるが武装している。
「女子供に騎士が一人じゃ、この道は危ないぜ?」
 ナイフをちらつかせる男。
「あーっ、さてはお父さんに言われて私を迎えに来たのね!」
 そう叫んだマナに暫し絶句する一同。
「え‥‥? あ、そうそう。そうなんだ。さあ、お兄さん達と一緒に行こう」
 一番最初に話を合わせたのはゴロツキの一人だった。
「もう、一人で大丈夫って言ったのにぃ」
「一人じゃねーし‥‥」
 勘違いしているマナにツッコむゴロツキ。
「この人達はお友達だもん☆」
「ああもう、知るか! いいからこっちへ来い! 抵抗すると痛い目に遭わせるぞ!」
 マナ理論に着いていけず、武器を構えるゴロツキ達。
「我が恩人であるマナさまを狙うなど、バカなアホどもめ! 痛い目を見させてピーピー泣かしてやる!」
 素手のまま、マナの前に立つフォン。
 刀と盾を構えるレーヴェ。
「マナさんには指一本触れさせませんよ〜」
 後ろに隠れつつ、『ホーリーフィールド』でガードするギルス。
「うぎゃっ!?」
 突然、ゴロツキの一人に矢が刺さる。
「こんないたいけな子に手を出そうとするとはな‥‥恥を忘れたら人間おしまいだぞ?」
 森から現れたのはアリオス。
「あ、昨日の狩人さん☆」
 手を振るマナ。
「バカにしやがって! やっちまえ!」
 襲いかかってくるゴロツキ達。
「わ〜、こっち来るな〜」
 そう言いつつも『コアギュレイト』を唱えているギルス。
 そこへ、ボルジャーが駆けつける!
「さぁ、こい! パラの戦士が相手になるぞ!!」
 ゴロツキを引きつけると、見事な回避からの日本刀3連斬りを見舞う!
 更に、いつの間にか居なくなっていたチカが『魔法少女のローブ』を着て木の上から再登場!
「魔法少女『まじかる♪チカ』参上♪ 悪い人にはお仕置きだよ♪」
 ポーズをとって『ライトニングサンダーボルト』を放つ!
 更に逆サイドからも『ライトニングサンダーボルト』が!
「怪盗かと思うたが、ゴロツキとはな。覚悟せいよ」
 刀と盾を構え、怯んだゴロツキに一気に接近してきたのは双武! 『ポイントアタック』で腕を狙う!
「な、なんだ次々と!?」
 腕を負傷し、武器を落とすゴロツキ。浮き足立ってくる。
「女子供に手を出すチンピラ、か。分かり易い状況で結構な話だ」
 皮肉っぽく笑って登場したのはシュナイアス。クイクイと指で挑発して攻撃を誘い、『デッドorアライブ+カウンターアタック』でゴロツキに重傷を負わせる!
「この愚鈍なるカスどもめ!」
 『スープレックス』で叩きつけ、『ホールド』で締め上げるフォン。
「ここまでだ! 得物を捨てて降伏するなら、命だけは保障する。否と言うなら‥‥剣の錆になる覚悟を決めろ」
 駄目押しの降伏勧告するシュナイアス。
「ちっ。チクショウ! 覚えてろ!」
 月並みな台詞を残して逃走するゴロツキ達。
「忘れろ。犬に噛まれたと思って‥‥」
 あっさりそう言うレーヴェ。
「『まじかる♪チカ』がいる限り、この世に悪ははびこらせないよ♪」
 そして『フラインブルーム』に乗って飛び去るチカであった。

「えっと、何だか助けて貰ったみたい‥‥ありがとう☆」
 現れた助っ人達に礼を言うマナ。
「最近、この辺りで怪盗マスカレードを見たと言う者がおってな、その調査に来たのじゃが、当てが外れたようじゃ」
 そう話す双武。
「おいらは近くを探検していたパラの探検家なのさ!」
 などと言い訳するボルジャー。へたっぴぃな歌と踊りで誤魔化す。
「パッラッパパッパ! おいらはパラっさ!!
 パラッパパラッパ! おいらはファイター!!」
「そなたの旅路に幸運を」
 そんなボルジャーや双武、助っ人達と別れたマナ達。
「あや、あたしが隠れてるうちにゴロツキは倒されちゃったんだね」
 着替えたチカが再登場。バレバレだと思うが、
「うん、みんな凄かったよ〜」
 楽しそうに話すマナであった。

 そして、マナの住む村へと無事帰還を果たす。
「神様はあなたの事をじ〜っと見守っていますからね、じ〜っと」
(「そしてお父様もね」)
 ニッコリ笑うギルス。
「いつか私も冒険者になって世界を旅しようかな☆」
 手を振るマナ。その言葉に複雑な表情で顔を見合わせる冒険者達。
「かくて少女は、家路に着く、良きかな、良きかな」
 呟く双武。戦闘後、別れていた面々も陰ながらマナの無事を喜ぶのだった。
 いずれ彼らが英雄と呼ばれる日が来ることを願っている。

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